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ギャルゲ・ロワイアル2nd 本スレッド10

1 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:30:50 ID:4KSJhHmS
このスレはギャルゲ・ロワイアル2ndの本スレッドです
ギャルゲ・ロワイアル2ndを一言で表すのならば、ギャルゲーの人気キャラを用いてバトルロワイヤルをするというリレー小説企画です
基本的に作品の投下・感想共に、このスレで行って下さい

前スレ
ギャルゲ・ロワイアル2nd 本スレッド8
ttp://game14.2ch.net/test/read.cgi/gal/1209908326/

ギャルゲ・ロワイアルしたらばBBS(1st・2nd兼用)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/8775/

ギャルゲ・ロワイアル2nd 議論・毒吐き専用スレpart2(上記したらば内)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8775/1203171454
※議論はこちらでどうぞ

ギャルゲ・ロワイアル2nd避難所スレ(同上)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8775/1205659483
※本スレが荒れている場合の感想・雑談はこちらでどうぞ。作品の投下だけは本スレで行って下さい

ギャルゲ・ロワイアル2nd予約専用スレ(同上)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8775/1205656662/l50

ギャルゲ・ロワイアル2ndまとめwiki
ttp://www7.atwiki.jp/galgerowa2

ギャルゲ・ロワイアル2nd毒吐きスレ(パロロワ毒吐き別館BBS)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1203695602
※毒吐きスレ内での意見は、基本的に無視・スルーが鉄則。毒吐きでの話を他所へ持ち出さないように!

テンプレは>>2以降に


2 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:33:15 ID:4KSJhHmS
・参加者一覧
・参加者一覧
2/3【THE IDOLM@STER】
   ○高槻やよい/○菊地真/●如月千早
3/5【アカイイト】
   ○羽籐桂/○千羽烏月/●浅間サクヤ/●若杉葛/○ユメイ
5/5【あやかしびと −幻妖異聞録−】
   ○如月双七/○一乃谷刀子・一乃谷愁厳/○アントニーナ・アントーノヴナ・ニキーチナ/○九鬼耀鋼 /○加藤虎太郎
3/5【機神咆哮デモンベイン】
   ○大十字九郎/○アル・アジフ/●ウィンフィールド/○ドクター・ウェスト/●ティトゥス
0/4【CLANNAD】
   ●岡崎朋也/●古河渚/●藤林杏/●古河秋生
3/4【CROSS†CHANNEL 〜to all people〜】
   ○黒須太一/○支倉曜子/○山辺美希/●佐倉霧
2/2【極上生徒会】
   ○蘭堂りの/○神宮司奏
3/4【シンフォニック=レイン】
   ○クリス・ヴェルティン/○トルティニタ・フィーネ/○ファルシータ・フォーセット/●リセルシア・チェザリーニ




3 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:34:36 ID:4KSJhHmS
2/4【School Days L×H】
   ○伊藤誠/●桂言葉/○西園寺世界/●清浦刹那
1/2【Strawberry Panic!】
   ●蒼井渚砂/○源千華留
4/6【つよきす -Mighty Heart-】
   ●対馬レオ/○鉄乙女/○椰子なごみ/○鮫氷新一/●伊達スバル/○橘平蔵
1/3【To Heart2】
   ○柚原このみ/●小牧愛佳/●向坂雄二 
2/3【Phantom -PHANTOM OF INFERNO-】
   ●アイン/○ドライ/○吾妻玲二 
2/4【Fate/stay night[Realta Nua]】
   ○衛宮士郎/●間桐桜/○葛木宗一郎/●真アサシン 
4/4【舞-HiME 運命の系統樹】
   ○玖我なつき/○深優・グリーア/○杉浦碧/○藤乃静留
4/6【リトルバスターズ!】
   ○直枝理樹/●棗鈴/○来ヶ谷唯湖/○棗恭介/●宮沢謙吾/○井ノ原真人

【残り41/64名】


4 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:35:23 ID:4KSJhHmS
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → 舞台である島の地図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。



5 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:36:08 ID:4KSJhHmS
【禁止エリアについて】
放送から2時間後、4時間後に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。

【舞台】
ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/ed/c29ff62d77e5c1acf3d5bc1024fe13f6.png

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24



6 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:36:53 ID:4KSJhHmS
【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述する。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。



7 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:37:38 ID:4KSJhHmS
【首輪】
参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
放送時に発表される『禁止エリア』に入ってしまうと、爆発する。
無理に外そうとしたり、首輪を外そうとしたことが運営側にバレても(盗聴されても)爆発する。
なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
たとえ首輪を外しても会場からは脱出できない。

【デイパック】
魔法のデイパックであるため、支給品がもの凄く大きかったりしても質量を無視して無限に入れることができる。
そこらの石や町で集めた雑貨、形見なども同様に入れることができる。
ただし水・土など不定形のもの、建物や大木など常識はずれのもの、参加者は入らない。

【支給品】
参加作品か、もしくは現実のアイテムの中から選ばれた1〜3つのアイテム。
基本的に通常以上の力を持つものは能力制限がかかり、あまりに強力なアイテムは制限が難しいため出すべきではない。
また、自分の意思を持ち自立行動ができるものはただの参加者の水増しにしかならないので支給品にするのは禁止。



8 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:38:28 ID:4KSJhHmS
【能力制限】
ユメイの幽体問題→オハシラサマ状態で参戦、不思議パワーで受肉+霊体化禁止
ユメイの回復能力→効果減
舞-HiME勢のエレメントとチャイルド→チャイルド×エレメント○
NYP→非殺傷兵器で物理的破壊力も弱い
     ただし、超人、一般人問わず一定のダメージを食らう
     NYPパワーを持ってるキャラはその場のノリで決める
リセとクリスの魔力→楽器の魔力消費を微小にする、感情に左右されるのはあくまで威力だけ
ティトゥスの武器召喚→禁止あるいは魔力消費増
士郎の投影→魔力消費増
アルの武器召喚→ニトクリスの鏡とアトラック・ナチャ以外の武器は無し。
            または使用不可。バルザイの偃月刀、イタクァ&クトゥグア、ロイガー&ツァールは支給品扱い
            またはアル自身、ページを欠落させて参戦
            または本人とは別に魔導書アル・アジフを支給品に。本の所持者によってアルの状態が変わる
武器召喚全般→高威力なら制限&初期支給品マイナス1&初期支給品に武器なし
ハサンの妄想心音→使用は不可、または消費大、連発不可。または射程を短くする
ハサンの気配遮断→効果減
虎太郎先生の石化能力→相手を石にできるのは掴んでいる間だけ

その他、ロワの進行に著しく悪影響を及ぼす能力は制限されている可能性があります





9 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:39:13 ID:4KSJhHmS
【予約について】
書き手は事前に書きたいキャラを予約し、その予約期間中そのキャラを使った話を投下する義務がある。
予約無しの投下は不可。
予約期間は3日間(72時間)で、その期間を過ぎても投下がなかった場合、その予約は無効となり予約キャラはフリーの状態になる。
但し3作以上採用された書き手は、2日間の延長を申請出来る。
また、5作以上採用された書き手は、予約時に予め5日間と申請することが出来る。
この場合、申請すれば更に1日の延長が可能となる。(予め5日間と申請した場合のみ。3日+2日+1日というのは不可)
期限を過ぎた後に同じ書き手が同じキャラを予約することはできない。(期限が六日、九日と延びてしまう為)
予約の際は個人識別、騙り防止のためにトリップをつけて、 したらばで宣言すること。
投下の際には予約スレで投下宣言すること。

10 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:42:59 ID:+dYFcLpC
>>1
お疲れ様です。スレ立てありがとう御座います。

11 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:47:41 ID:GE8X86wX
 服。
 それは、人類が生活≠ニいう習慣を身につけた末に定着した、文化の一片である。

 雨風や紫外線、寒気といった気象条件から肉体を保護するため、機能性を求めたもの。
 装着者の富や権力を誇示する象徴、あるいは看板として、見た目の奇抜さを求めたもの。
 生殖行為に順ずる過程を重んじ、対象となる異性の気を引くために象徴性を際立たせたもの。

 文化の真髄は各々の世界、歴史によって異なり、様々な発展を遂げる。
 そもそものルーツは――――え、堅苦しいですか?
 わかりました。では少々口調を緩めまして……コホン。


 さて、この究極の異文化交流とも言えるステージでは――いったいいかなる服≠ェ、あなたを魅了しますでしょうか?


 思い返してみてください。
 これまでに紡がれてきた数々の物語……あなたは、どんな服≠目にしましたか?

 あなたのために用意されたステージ衣装の数々……もし、未だご覧になられていないというのであれば。
 ささやかながら、私がご紹介に預からせていただきます――

12 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:48:55 ID:GE8X86wX
【No.1――防弾チョッキ】

 防弾チョッキですね。サバイバルゲームには欠かせないでしょう。
 一般の方は、銃弾を防ぐ優れものだと認識しているでしょうが……それは大きな間違いです。
 防弾チョッキの性能は、銃撃の無効化ではなく緩和。衝撃を分散する程度のものでしかありません。
 その効果を過信すれば、取り返しのつかないことになります。
 弾の口径によっては、まったく歯が立たない場合もあるのでご注意を。


【No.2――マッチョスーツ型防弾チョッキ】

 ……服? いえ、そのまえに……ま、マッチョスーツってなんですか? 想像難しいんですが……。
 人工皮膚がぺたぺたくっついていたりするのかしら……な、なんのために?
 私はなんと言いますか、バラエティ番組内のミニドラマに出てくるような筋肉教師の姿を思い浮かべてしまうのですが……。
 世には、こういった代物を有効的に活用できる人もいるのでしょうか……わかりません。


【No.3――ミアトル女学院制服】

 ゴシック調の黒をベースに、あしらったフリルは華美になりすぎないよう、丁寧に纏まっていますね。
 乙女の憧れ、お嬢様が集う学び舎の制服としては、これ以上のものはないでしょう。
 私は明るい色も好きですけどね。あ、姉妹校のデザインもすてきかもー。


【No.4――ナイスブルマ】

 こ、これはすごい……! なんて洗練されたフォルム……これはまさしく職人芸の域です!
 思春期真っ只中の男子中学生及び高校生ならば、思わず「ナイスブルマ!」と親指立ててしまうことでしょう。
 今年で2x(ちょめちょめ)歳になる大人の女性な私でも、思わず喉に……な、な、ナイス――(省略されました)。

13 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:49:16 ID:+dYFcLpC


14 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:49:24 ID:MKO80ny1



15 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:49:53 ID:GE8X86wX
【No.5――地方妖怪マグロのシーツ】

 くふしゅ〜、出ーたーぞーっ。弱い子はいねがぁーっ……こほん。
 地方妖怪マグロ。人間との適応を望み、現代社会に上手に溶け込んだ知性派ですね。
 でも上司からの抑圧など、人間世界のしがらみにむかついて弱い者イジメしてはスッキリして帰っていく狡猾な妖怪です。
 追い払う方法は、現れたら「マグロさん、俺空手やってるんだ」とか言えばビビッて逃げいていくらしいです。
 地方妖怪マグロは、のどかな昼下がり、閑静な住宅街、一人暮らしを狙って現れるので皆さんも気をつけましょう。


【No.6――リトルバスターズジャンパー】

 このジャンパーからは……仲間を強く慕う、作り手の想いが込められているような気がします。
 センスとしては、まぁ平凡の域を出ないというか、仲間からの反応は薄そうと言いますか……。
 これをたった一人で、一晩で縫い上げたと知れば、多少は印象もよくなると、思いません? ません?


【No.7――ウラジミールのTシャツ】

 あ、アニメキャラプリント……? え、えと…………わー、かわいらしー(棒読み)
 まぁ世の中にはこういったものを好んで着るロシア人がいたりもするわけで、
 これを配られたからといって必ずしも着る義務はありませんし……コメントも控えておきますね。


【No.8――刀子の巫女服】

 神聖な礼装ですね。巫女服……どうして巫女『装束』と記載されていないのか、が些細な疑問ではありますが。
 白い小袖に緋袴。これを見ると甘酒が飲みたくなると思いませんか? 仕事中に不謹慎ですか?
 丈が長すぎるので、ステージ衣装とするには難がありますね〜。

16 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:50:04 ID:4KSJhHmS



17 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:50:38 ID:GE8X86wX
【No.9――アーチャーの騎士服】

 とある正義の味方が身につけていたという、赤い外套。
 戦隊もののリーダーが決まってレッドなのと道理は同じく。
 赤はヒーローの証なのかもしれませんね。


【No.10――キャスターのローブ】

 先ほどの真っ赤な外套とは対照的な、黒衣のローブですね。こちらはどことなく魔法使いチックです。
 フードもついていて、ハロウィンなんかの仮装にはもってこいかもしません。
 いくら生地が厚いとはいっても、肌着くらいは着込んでから着用しましょうねー。


【No.11――メルヘンメイド(やよいカラー)】

 シャボン玉が似合うフリフリふわふわがかわいい衣装。EXTEND系衣装です。
 何のイメージがアップするかはお楽しみ。1000マイクロソフトポイントとなっております。
 ご一緒にヘッドドレスなんかもつけてあげると、イメージアップですよプロデューサーさん♪
 ちなみに、これはやよいちゃんのキャラに合わせたオレンジ色のタイプですね。


【No.12――765プロ所属アイドル候補生用・ステージ衣装セット】

 うぇええ!? ぜ、全部詰め合わせですか?
 これだけでもかなりの量ですけど……いいのかしら……あのう、一応社長に許可を…………。

18 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:50:41 ID:+dYFcLpC


19 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:51:08 ID:GE8X86wX
 ――どうでしたか? あなたの気に入った服≠ヘあったでしょうか?

 今回紹介した他にも、世界各国の様々な服がこのステージには眠っています。
 それを発掘し、どのように活用するかはあなたの自由!

 実年齢と服のカラーを見合わせた上、苦悶しつつ自分で着て楽しむのもまた良し!
 自分好みの可愛い着せ替え人形ちゃんを見つけてプロデュースするのもまた良し!!
 欲しがっている人に高値で売りつけ、左団扇で恍惚とした気分に浸るのもまた良しです!!!

 そして、めでたく全ての服をコレクションできた人には金ぴか≠ネご褒美が――!?

 詳細はあなた自身の手で確認してくださいね。私は影ながら応援させてもらいます。
 では――――





 ――――………………え? ところで私は誰かって?
 私は名もないただの語りべで……え、別に隠す必要はない?
 正体をぼかして……、本名は言わず……、社名も伏せて……はぁ、わかりました。

 こほん。
 えー、では。この場は『怪人ピヨピヨ』とでも名乗っておくとしまして……。
 ちょっとした自分語りでも始めるとしましょうか。

20 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:51:43 ID:4KSJhHmS



21 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:52:01 ID:+dYFcLpC


22 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:52:26 ID:4KSJhHmS



23 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:52:42 ID:GE8X86wX
 今回の仕事を引き受けるきっかけにもなった話です。

 お昼時。
 いつもどおり会社で事務の仕事をこなしていた私は、たまには外食もいいかなー、
 なんて軽い気持ちで、ふらふら〜っと会社近くの中華飯店に足を伸ばしてみたんですね。
 なににしようかなー、などと鼻歌混じりにメニューを眺めていると、ふと隣の席に座るお客さんに声をかけられたんです。


『なかなかに良い声をしている。どうかね、私が主催する企画の語りべ≠ニして、君をスカウトしたいのだが――?』


 ……と、なんだかすごい色をした麻婆豆腐をほうばりつつ、その神父らしき男性は私を勧誘してきたんです……!
(お近づきの印に私が作った特性麻婆はどうかね? と勧められましたが、それは丁重にお断りしておきました♪)
 とはいえ、私は極々一般的な某芸能プロダクションの事務員。
 いきなりそんなこと言われましてもいろいろと制約が……と渋ったところで、その神父さんは社長と交渉したいと言いまして。

 会社にご案内したところ、社長は神父様を一目見るや「ティンときた!」の一言で了承なさいまして。
 そして私は、こうやって音声収録を行っているわけですが……いったいどんな企画に使われるのか皆目検討もつきません。
 テレビ……じゃないと思うけど、どこかの富豪が大掛かりなイベントでも始めたのかしら?
 弱小だった我が社も日々躍進を遂げているし、ここらで大きなお休みが欲しいところよねぇ……とと、し、失礼しました。

 収録はこれで終わりじゃないし、またどこかでお会いできるかもしれませんね。
 とりあえず、この場はここでお別れということで……

 お相手は、765プロの音無小鳥でし――――あぁ!? 今のところカットお願いしま〜すっ!


※【某芸能プロダクション所属『怪人ピヨピヨ』による支給品解説CD〜@衣類編】が、会場内のどこかに隠されています……?


 ◇ ◇ ◇

24 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:53:19 ID:4KSJhHmS



25 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:53:21 ID:MKO80ny1



26 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:54:13 ID:4KSJhHmS



27 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:54:43 ID:GE8X86wX
 

 一乃谷刀子は表舞台に君臨して早々、後の未来を左右するある重大な二択を迫られていた。
 用意された選択肢は二つ――着るべきか、着ざるべきか。
 兄、愁厳が残したぶかぶかの神沢学園生徒会会長用男子制服を持て余しつつ、刀子は懊悩した。

「服ならなんでもいい、と……確かに言いました。言いました、が……!」

 わなわなと微動する全身は、怒りの表れか。怒りだったとして矛先はどこに向いているのか。
 刀子に選択肢を与えた九鬼耀鋼に――ではない。矛先があるとすれば、それは世の不条理に向けて。
 刀子はものにあたることも適わず、やり場のない怒りにただ打ちひしがれていた。

 ――刀子の兄、一乃谷愁厳の愚挙は九鬼の手によって鎮圧され、刀子は念願かなって表に出てくることができた。
 人妖――『牛鬼』という妖怪を祖に持つ刀子は、兄と体を共用している。
 片方が現世という表舞台に立てば、もう片方は精神世界という名の舞台裏に引っ込む。
 主導権を握るのはそのとき表に君臨していた者であり、刀子は今の今まで、愁厳に表に出ることを禁じられていた。
 全ては刀子を元の世界に帰すため――殺戮の邪魔をさせないために、卑怯な手で刀子を精神世界に隔離していたのだ。
 だが先の戦いで九鬼が愁厳を下したことにより、愁厳は意識を失い、主導権はあえなく刀子に明け渡されたのだった。

28 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:54:47 ID:+dYFcLpC


29 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:55:00 ID:4KSJhHmS



30 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:55:08 ID:MKO80ny1



31 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:55:46 ID:4KSJhHmS



32 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:55:47 ID:GE8X86wX
 表に立ち、改めてこの殺し合いという事態を認識した刀子は、まず戦慄した。
 この地に愛すべき人……如月双七がいたという事実。
 神沢学園生徒会に籍を置くトーニャや、教師の加藤虎太郎まで参加していたという事実。
 いるはずがないと割り切っていた仲間、切り離すことのできない命が、三つもあった。
 そんな事実を知らず、愁厳は愚かしくも殺し合いを肯定してしまっていたのだと、兄の犯した罪に自責の念を感じざるを得ない。

 だが同時に、悔いてばかりいても仕方がないことだと、刀子は思う。
 この地に境遇を共にした仲間がいるというのであれば、一刻も早く合流を果たすべきだろう。
 詳しい事情は未だのみ込めないが、この刀子と面識がある『らしい』九鬼なる男は、双七の居場所を知っていると言う。
 愁厳との戦い、その後の刀子への対応などから見ても、十分信頼には足る。
 なにより一刻も早く双七に会いたいという念が、刀子の気持ちを焦らせた。

 故に、こんな選択肢などに時間をかけている暇はない……のだが。

33 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:56:39 ID:+dYFcLpC


34 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:56:46 ID:MKO80ny1



35 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:57:03 ID:aKpuAxXU


36 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:57:05 ID:4KSJhHmS



37 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:57:07 ID:GE8X86wX
(こんなもの並べられて……悩まないはずがないでしょう!)

 人目を避けた街外れの路上にて、刀子は眼前に二つの衣類を並べていた。
 一つは、刀子が元から所持していた濃紺色のブルマ。時代錯誤も甚だしい、旧時代の産物だった。
 そしてもう一つは、九鬼が着るものに困った刀子のために提供したもの……それが、刀子の頭を悩ませている。

 なにせ九鬼から渡されたそれは、本来なら結婚式まで取って置いて然るべき――ウエディングドレスだったのだから。

 刀子は頭を抱えつつ、付属されていたらしい説明書の文面を眺める。
 その内容がまた、刀子に頭痛を与えんほどの威力を秘めていた。


【『ミニウエディング』。1000マイクロソフトポイント。  
 衣装:憧れのウェディングドレス。ステージ以外で見てみたい? 今はまだ、見るだけですよ!】


「……マイクロソフトポイントって、なんでしょうか?」
「知らんな。というか、俺に聞かれても困る」
「そうですよね……」

 そもそも着用以外に用途などないであろう衣服に、説明書が付属されるというのもおかしな話。
 常人の考えつかないような未知の効能でも秘めているのかと思いきや、そんなおいしい話があるはずもなく。
 結局、これはただのウエディングドレス――といっても、厳密に言えば本物ではない。

 まず、丈がありえないほど短い。本物のウエディングドレスなら身動きなど取れるものではないが、
 これは丈が膝までしかなく、走るにしても刀を振るうにしても、懸念する不自由はないと思われた。
 ……どころか、これは普段刀子が履いている神沢学園女子制服のスカートよりも短い。
 こんなものを履いて戦場を立ち回ったりしたら、いろいろと見えてしまうではないか……とまた別のところで懊悩する。

38 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:57:57 ID:4KSJhHmS



39 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:58:29 ID:GE8X86wX
 瞬時に兄と体をスイッチできるとはいえ、身につけているものまでパッと変わるわけではない。
 サイズがまるで違う着衣はもちろんのこと、男女間では絶対に共有の利かない代物――下着の問題がある。
 ブラジャーがないならさらしを巻けばいい。ショーツがないなら兄のトランクスを我慢して履けばいい。
 などと、お年頃な刀子が簡単に納得できるはずもなく…………だからこそ余計に懊悩し、九鬼を待たせてしまう。
 ぐぬぬ……と唸り始めて数十分。刀子は深く息をつくと、観念したように一つの案を口にした。

「……非常時ですし、やむをえません。こうなったら適当な家屋を物色して――」
「残念だが、それは無理だ」

 が、その案は全容を語りきる前に九鬼に却下されてしまう。

40 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:58:46 ID:4KSJhHmS



41 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:59:17 ID:a1WkYNXQ


42 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:59:31 ID:4KSJhHmS



43 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 00:59:43 ID:aKpuAxXU


44 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 00:59:54 ID:GE8X86wX
「考えても見ろ。これは殺し合いという内容のゲームと銘打たれているが、実際はサバイバルだ。
 なんのために支給品なんてものが配られていると思っている?
 参加者たちは与えられた数少ない物資を節約し、時には奪い合い、なんとか乗り切れということなんだろう。
 そのための支給品システムだ。ところかまわず物資が手に入るような環境は好ましくない。
 主催者たちは、お嬢さんのような参加者が物欲しさに他者を襲うのを期待しているんだろう。
 だからこそ、素直に武器だけを配っておけばいいはずの殺し合いの場に、こんな洒落た服を混ぜている。
 つまり――そう安々と、現地で物資が調達できるはずはない。冷静に考えればすぐに気づくことだ」

 探すだけ時間の無駄だ。と九鬼は付け加え、その意見に納得を覚えてしまった刀子は返す言葉もなく押し黙る。
 確かにそのとおりだった。街や家があるからとはいえ、そこに武器が残されているかと言えば、考えるまでもなく、ない。
 刀子や九鬼が身を置いていた世界では、人妖問題の件もあって、銃刀法が改訂されている。
 一般市民でも銃器は購入できるし、街をふらつけばガンショップの一つや二つは見つかる。
 そんな常識を持つ刀子だからこそ、支給品以外でゲームの必需品――それが例え下着であったとしても――を手に入れるのは困難だと、認識してしまった。

 …………実際のところ、主催者はそういった縛りには案外甘い人物だったのだが、それを刀子が知る術はなく。
 また、九鬼も既にこの地で酒を現地調達しているのだが、本人は「酒は別だろ」という認識でいるので、なおさら間違いには気づけない。

45 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:00:13 ID:my0pbd6Q
 

46 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:00:19 ID:4KSJhHmS



47 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:00:54 ID:GE8X86wX
「俺としては、こちらの花嫁衣装を着ることを推奨する」

 どうしても究極の二択を選ばせたいらしい九鬼は、刀子に誘いの言葉をかける。

「……まことに失礼なのですが、それはその……九鬼さんの趣味、というわけではありませんよね?」
「冗談はよしてくれ。ま……俺も馬鹿らしいとは思っているが、一応理由はあるぞ」

 九鬼の表情は――本来の外見のおっかなさもあるが――いたって真面目だ。
 茶化すようなつもりではないとわかっているのだが、それでも唯々諾々と従うことができないのが乙女心なのである。

「お嬢さんは兄と体を共有しているが、体が入れ替わっても着衣までは変えられない。そうだな?」
「ええ」
「なら、もしなにかの拍子にお嬢さんの意識が失われたとして、あのおっかない思想の兄が表に戻ってきたとしよう」
「はぁ」
「そのときあの兄は、お嬢さんと同じ服を着ているということだ……その、花嫁衣装をな」
「あの、つまり……」
「お嬢さんの兄は、そんな恥ずかしい格好をしながらでも殺し合いができるような粋な男か? どうだ」
「兄は……その、かなりの照れ屋というか恥ずかしがり屋といいますか……まぁ、赤面はまず間違いないかと」
「くっくっ、そうか。なら、十分な抑止力になるとは思わんかね? お嬢さんも、兄に殺し合いはしてほしくないんだろう?」
「…………」

 なにやらすごい超理論を述べる九鬼だったが、あながち的外れとも言えなくはない。
 刀子の兄、愁厳は堅物と言っても過言ではないほどの実直すぎる人間である。
 愁厳は神沢学園生徒会会長の証である白の学ランを一張羅としており、これを一日一着、計七着持っている。
 その他には式典用の晴れ着くらいしか持っておらず、女物の服など、ましてやヒラヒラのウエディングドレスなど、もってのほかだった。

 刀子は想像する……愁厳がウエディングドレスを着込み、冷徹に刀を振るう姿を…………。
 ………………………………想像してはいけない光景だった。というか、ありえない。
 九鬼の言う抑止力としての効果も、十分に機能するように思えるから不思議だった。

48 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:01:34 ID:4KSJhHmS



49 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:01:51 ID:a1WkYNXQ


50 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:02:21 ID:4KSJhHmS



51 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:03:03 ID:GE8X86wX
「……わかりました。では、着替えてきますのでしばしの猶予をいただきたく」
「なるべく速く頼む。本物のドレスというわけではないから、それほど時間はかからないだろうがな」

 もう随分と九鬼を待たせてしまっている。そろそろ決断をしなければなるまい。
 たび重なる懊悩の末、刀子は――ミニウエディングとナイスブルマ、両方着るという選択肢を選んだ。
 ブラは……なくてもどうにかなる。
 元々、このウエディングドレスもどきはアイドル用のステージ衣装ということもあり、ご丁寧にもパットつき。
 サイズも765プロ一の豊乳アイドル、三浦あずさに合わせてあるので、刀子の豊満な肢体も窮屈には感じない。
 残る問題は下のみとなるが、これは愁厳のトランクスを履いておくくらいなら、ブルマを直に履くほうを取る。
 理由は語るのも無粋なので省略。

(とはいえ……まさか、こんな場所で、こんなものを着るはめになるなんて……)

 九鬼は外に待たせ、刀子は適当な家屋へと立ち入り、慣れ親しんだ畳の和室にて脱衣に勤しむ。
 神沢学園規定の、愁厳が好みそうな清楚極まりないシャツ。
 刀子の女体には余る大きさのそれ、正しく留められたボタンを、ぶかぶかの袖口から覗く手でちまちまと外していく。
 男と女とではボタンのかけ方からして真逆なのだが、体質上、こういった経験は初めてではないのが救いだった。
 なるべく布の擦れる音が出ないよう気をつけて脱ぎ、シャツは丁寧に畳んでデイパックにしまう。
 続いて下穿き。こちらは腰元のベルトを緩めるまでもなく、手をかけただけで容易く下に落ちていった。
 男物のトランクスも取り去るのは容易であり、あっという間に刀子は全ての着衣を失う。
 目撃者がいたとするならば、その者は空前絶後の幸福者と言わざるをえない、刀子の裸身。
 モデルが裸足で逃げ出すような豪勢なプロポーションは、媚も売らず科も作らず、ただ堂々と屹立する。
 起伏に富んだラインは外国の山脈を思わせ、思春期の少年なら滂沱の涙を流すであろう母性が秘められていた。

(……本当に、着るしかないのですね)

52 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:03:10 ID:4KSJhHmS



53 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:03:22 ID:a1WkYNXQ


54 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:03:56 ID:GE8X86wX
 全裸はさすがに寒いので、刀子はトランクスを脱ぎ去るとすぐさまブルマを履く。
 上半身裸にナイスブルマという、時代を先取りしすぎた扇情的スタイルは、竜鳴館ならば神格化されていたであろうほどだ。
 我ながら恥ずかしい格好だと自認しているのか、畳部屋に言葉なく立つ刀子の顔は、深紅のごとく赤い。

(非常時とはいえ……花嫁衣装を……着る)

 恥ずかしさを紛らわせるためにも、早くミニウエディングを着たい――のだが、今一歩手が出せない。
 この期に及んで、刀子はまだ頭を悩めていた。
 一度はつけたはずの決心が、いざこれからというタイミングになって揺らぐ。

 刀子を苦しめているのは、このミニウエディングが――偽物であるとはいえ――本来は花嫁が着て然るべき礼装であるという事実だ。
 乙女なら誰もが抱く憧れの未来像――お嫁さん。
 そのシンボルこそ、刀子の目の前に置かれているウエディングドレスなのである。

 一乃谷の家は神社ということもあり、いざ結婚式となれば白無垢の可能性のほうが高いが、やはり女の子としては洋物にも憧れてしまうわけで。
 そもそも誰のために着るのか――と問われれば、刀子の頭には光の速さで如月双七の姿が浮かぶ。
 この会場内には愛しの彼、双七がいるわけで、これから双七に会いにいくわけで、再会したときこんなものを着ていたとしたら――

55 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:04:22 ID:4KSJhHmS



56 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:05:10 ID:GE8X86wX
「そ、そ、それって……将来の予行練習? いえ、むしろ求婚にほかならないのでは――!?」

 刀子の全身が、沸騰した薬缶のように音を上げる。
 本人は気づいていないが、思っていることがそのまま表に出てしまっていた。

「こんな非常事態でそんな……で、でも世の中にはこういった場で盛り上がる愛もあるといいますし、
 き、期待しても損はないのでは、というかこの場合、あらかじめ名簿の名前を書き換えておくのも、
 ありといえばありと言いますか、その場合は如月刀子? もしくは一乃谷双七さん?
 き、如月……刀子。一乃谷……双七。そんな、そんな…………やんやんやーんっ!」

 妄想に浸っていると、急激に視界が揺らいだ。同時に、身悶えするほどの羞恥が込み上げてくる。
 恥ずかしさを紛らわせようと、刀子はぱんぱんと畳を叩き、破片を飛び散らせる。
 牛鬼を祖に持つが故の怪力が思わぬ場所で発揮され、しかし刀子は平静を取り戻せぬまま、

57 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:05:20 ID:4KSJhHmS



58 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:05:27 ID:aKpuAxXU


59 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:05:28 ID:a1WkYNXQ


60 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:06:03 ID:GE8X86wX
「待った、待つのです一乃谷刀子! 結婚となるなら、いっそのこと呼び名も改めたほうがいいのでは?
 やはりここは定番なところを攻めて、だ、だ、だだだ旦那様……とか。
 ああ! でも双七さんはこういう堅苦しそうなのは好かないかしら!?
 いえ、いえ、いえ……っ! でしたらいっそのこと……! そ、そう! いっそ思い切って!
 …………ダー……………………ダーリン♪ ……………………とか」

 刀子の口が沈黙する。
 刀子の顔が赤面する。
 刀子の頭が沸騰する。
 刀子の身が悶絶する。
 刀子の自我が壊れる。

「……いやーっ! いや、いや、いやーっ!」

 ごろごろごろごろごろー、と畳の上を猛烈な勢いでローリングする刀子。
 時折、畳に平手を打ち付けては木々の破片を飛び散らせ、にやけた顔は原型を失いかける。
 加速する妄想の中では、双七との熱い接吻やら身も焦げるほどの抱擁やら砂糖菓子みたいに甘い愛の囁きやらが繰り返されている。

 そんなことをしていたので、

「盛り上がっているところ悪いんだが、ちゃっちゃと着替えてくれないかね」
「いやんっ、いやんいやんいや…………のぉぉぉっ!?」

 和室の外、障子越しから九鬼の忠言が入る。
 想定外にもほどがある不意打ちに、刀子は転がっていた体を大きく跳ね上がらせ、そのまま立ち上がった。

「く、くくくくく九鬼さん!? 覗きですか、見てたんですか、助平さんなんですかーっ!?」
「落ち着け、見ちゃいない。あまりにも遅いんで様子を窺おうとしていただけだ」
「やっぱり見てたんじゃないですかーっ!?」
「見ていないと言っているだろうが。玄関口にまで聞こえるほどの大声を上げていれば、そりゃ声もかけたくなるというものだ」

61 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:06:32 ID:4KSJhHmS



62 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:06:56 ID:a1WkYNXQ


63 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:07:39 ID:4KSJhHmS



64 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:07:50 ID:GE8X86wX
 やや気疲れしたような声で、和室の外に立つ九鬼が嘆息する。
 知らず知らずの内に妄想を口に出していた、そしてそれを九鬼に聞かれてしまっていたという事実に、刀子は首を吊りたくなるほどの羞恥を味わった。

「妄想の中の莫迦弟子と乳繰り合うのは構わんが、状況が状況だ。もうちょっと緊張感を持ってくれんか。
 こうしている間にも、双七の身になにが起こっているかわからん。次の放送で呼ばれる可能性とて、ゼロとは言えん」
「それは……心得ています」
「ただでさえ、お嬢さんは兄の馬鹿げた行いを正したいんだろう?
 なら、遊んでいる暇はない。俺も野暮用を抱え込んだままだしな」
「…………」

 障子越しから九鬼の言葉を聞いていると、途端に居た堪れない気持ちになってきた。
 浮かれていた。このような危急存亡の場で妄想に浸るなど、愚かにもほどがある。
 刀子は反省の意を込めて、声もないまま早々に着替えを済ませてしまう。

 これは花嫁衣装ではなく、あくまでもステージ衣装――ミニウエディング。
 スカートの下は、少年が親指立ててしまうほどの魅力を秘めた――ナイスブルマ。

 二つの服≠その身に纏い、刀子は心機一転、ゲームへの参戦を胸に決めた。
 役回りは、既に決まっている。愁厳のような非道な選択は取らない。
 一乃谷刀子が目指す未来は――

「お待たせしました。急ぎましょう」
「ああ」

 賛美も世辞もなく、九鬼は擬似花嫁装束を纏った刀子と並び立つ。
 放送も近い。如月双七は、羽藤桂は、アル・アジフは――生を拾えたのだろうか?
 そして、この地にいるであろうことは間違いないトーニャや虎太郎の安否は――

65 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:08:30 ID:4KSJhHmS



66 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:08:59 ID:GE8X86wX
(兄様……私は、仲間を救う道を選択します。 一のために全を……
 ましてや友愛するみんなを蹴落としてまで、私は幸せを得たいなど思わない。
 ですから兄様、どうか――私の本当の願いを、わかってください)

 一乃谷刀子は、歩む。
 死の香り充満する、生への王道を。


 ◇ ◇ ◇


 一乃谷愁厳が実直な人間であることは既に認知されているとして、妹の刀子も兄に負けず劣らずの出来た人間である。
 一人の男に一途な恋情を傾けようとも、そのために他を蔑ろにするようなことはまずなく、
 学園の影でバカップルと噂されようものなら、真面目に対策に躍り出るような実直すぎる人間だ。
 ……それは本人の気づかぬところで空回りしていることもあるが、結果的には成功に繋がっている。

 一乃谷愁厳が刀子を帰してやりたいと願ったのは、如月双七のいる日常だ。
 刀子の恋情を受け止め、またその想いと共に妹を守れる気概を持ち合わせた好青年、それが如月双七だ。
 刀子の幸せは、双七の存在なくしては成立しない。
 だからこそ――愁厳は、修羅への道を引き返さざるを得なかった。

 刀子だけではない。境遇を同じくしている双七も、神沢市に戻してやらねばならない。
 トーニャや加藤虎太郎、双七の師たる九鬼耀鋼もまた等しく、失いたくはない。
 既に、二人の罪もなき人間を屠ってきたというのに――。

(俺は――)

 それが、実直すぎるが故の弱さ。
 一乃谷愁厳が抱える、優しさという名の弱所。
 彼は妹だけのために、いや、真に妹のためを思えばこそ。
 修羅道を制覇することなど、できはしない――

67 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:09:26 ID:4KSJhHmS



68 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:09:58 ID:GE8X86wX
【F-7 南部/1日目 昼】

【九鬼耀鋼@あやかしびと −幻妖異聞録−】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、不明支給品1、日本酒数本
【状態】:健康、肉体的疲労中
【思考・行動】
 基本:このゲームを二度と開催させない。
0:アルたちと合流。方角が一緒なので途中までは刀子と同行
1:首輪を無効化する方法と、それが可能な人間を探す。
2:制限の解除の方法を探しつつ、戦力を集める。
3:自分同様の死人、もしくはリピーターを探し、空論の裏づけをしたい。
4:如月双七に自身の事を聞く。
5:主催者の意図に乗る者を、場合によっては殺す。
【備考】
※すずルート終了後から参戦です。
 双七も同様だと思っていますが、仮説にもとづき、数十年後または、自分同様死後からという可能性も考えています。
※自身の仮説にかなり自信を持ちました。
※今のところ、悪鬼は消滅しています。
※主催者の中に、死者を受肉させる人妖能力者がいると思っています。
 その能力を使って、何度もゲームを開催して殺し合わせているのではないかと考察しています。
※黒須太一、支倉曜子の話を聞きました。が、それほど気にしてはいません。
※アルとの情報交換により、『贄の血』、『魔術師』、『魔術』、『魔導書』の存在を知りました。
 情報交換の時間は僅かだった為、詳細までは聞いていません。
※首輪には『工学専門』と『魔術専門』の両方の知識が必要ではないか、と考えています。

69 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:10:13 ID:4KSJhHmS



70 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:10:27 ID:GE8X86wX
【一乃谷刀子@あやかしびと −幻妖異聞録−】
【装備】:古青江@現実、ミニウエディング@THE IDOLM@STER、ナイスブルマ@つよきす -Mighty Heart-
【所持品】:、支給品一式×2、ラジコンカー@リトルバスターズ!、ランダム不明支給品×1(渚砂)
【状態】:健康
【思考・行動
基本方針:殺し合いには乗らない。兄の愚かな行いを止める。
1:双七に会いに行く。方角が一緒なので途中まで九鬼と同行。
2:主催者に反抗し、皆で助かる手段を模索する。
3:兄の犯した罪を償いたい。

【備考1】
【一乃谷愁厳@あやかしびと −幻妖異聞録−】
【状態】:疲労(中)、右肩に裂傷、腹部に痣、白い制服は捨てた状態、精神体
【思考】
基本方針:刀子を神沢市の日常に帰す。
0:気絶中
1:生き残りの座を賭けて他者とより積極的に争う。
2:今後、誰かに名を尋ねられたら「黒須太一」を名乗る。

【備考2】
※一乃谷刀子・一乃谷愁厳@あやかしびと −幻妖異聞録−は刀子ルート内からの参戦です。 しかし、少なくとも九鬼耀鋼に出会う前です。
※サクヤを人妖、尾花を妖と警戒しています。


 ◇ ◇ ◇



71 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:10:58 ID:a1WkYNXQ


72 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:11:19 ID:4KSJhHmS



73 :Do-Dai ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:11:22 ID:GE8X86wX
【No.13――ミニウエディング】

 女の子なら誰もが憧れを抱くでしょう、純白のウエディングドレス……。
 ショーウインドウに飾られるモデルを目にしたあの日、いつか私も……と思い流れて幾数年!
 まだまだこれから、結婚適齢期なんて始まってもいない、そう! まだ本気出してないだけ!
 日々、フレッシュなアイドル候補生のみんなを見ていると悲壮感が漂う反面、逆に熱意が湧いてくるというもの!
 うーん、漲ってきたわ! 明日のきらめく舞台が、私を待っているーっ!

 …………と、熱弁を振るっちゃったりもしましたが、漏れる溜め息は単なる寂しさの表れですよ?
 はぁ、誰かこの胸にポッカリ空いた穴を埋めてくれないかしら……とと、愚痴っぽくなってしまいましたね。すいません。

 さて、このステージで女の子の憧れたるドレスを着ることができるのは――いったい誰なんでしょうか?

 今の私にはわかりません……だけど、だけどこれだけは言わせてもらいます!


 お幸せにーっ!

74 : ◆LxH6hCs9JU :2008/05/20(火) 01:11:58 ID:GE8X86wX
投下終了です。支援ありがとうございました。

75 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:12:04 ID:4KSJhHmS



76 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:13:18 ID:aKpuAxXU
投下乙!
わあ、刀子さんがいつも通りの妄想色物キャラクターにw
ようやく刀子さんは登場話、という気がしてきたのは自分だけだろうかw
しかし、地味にあやかし勢で行動を共にしているw それだけで惨劇フラグのはずなのにw

この二人の面識がほとんどないせいで、惨劇にはなりそうにもないんだよなぁw

77 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 01:15:59 ID:a1WkYNXQ
投下乙です!
途中で一回sage忘れました、申し訳ない!

それにしても刀子さん自重www
ナイスブルマに耐えた男、九鬼先生はさすがにクールだぜ!
これからの時代はアレですね、風にめくれるミニウェディングから除くナイスブルマ!
それで敵の動きを一瞬止める、ヤック・デ・カルチャーな光学兵器!

筋肉の妖精に続いてあやかしチームが(主役を除いて)大活躍!
おもしろかったです!

78 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 09:56:06 ID:T2MraDGE
投下乙ですwww
刀子さんってこんな人だったんだ……いままでシリアスってたからびっくりしたわ
なんか可愛いぞwww
そして常に冷静な九鬼先生!このロワは先生が映えるなあ
空気弟子とは同じ空気流なのになんとも頼もしいwww

……九鬼先生、冷静に考えたらそういう風に思うよな
でも実際は……服一式民家から調達した人がいるんだよなあ

79 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 18:20:25 ID:7oLvvNkz
おおお。なんか面白そうなスレ
作品しってないとつらいけど
40本くらいやったから平気なはず…

80 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/20(火) 22:04:39 ID:aHvljo1y
>>79
ようこそいらっしゃいました。
>>1-6辺りにwikiやテンプレがありますので、お時間がありましたら読んでみてくださいな。
今までの作品は収録されていますので、最新話でお待ちしておりますw

81 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:07:07 ID:pDrhp95A
陰惨な殺し合い。誰かが望む人間同士の醜い交流。弱さの露呈とそれを隠そうとする強がり。
彩るのは赤と黒。
零れ出て決して取り返しのつかない血の赤。吹き上がり身を焼く炎の赤。憎悪に満ちる眼の赤。
青空を曇天へと変える煙の黒。心の中に沈み溜まってゆく澱の黒。曇らせ真実からそれを遠ざける目隠しの黒。

何もかもは誰かの思い通りで、切り取られた世界――小さな島の中はそれで満たされていた。
中には、その様な黒と赤のキャンバスの上においても輝く星の様な存在もあったが、今回はそれには触れない。

今回の話は……、小さな世界の端。
まだ何色にも塗られていない、ポツンとそこに取り残された一つの白い箱の話である。

82 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:08:23 ID:pDrhp95A
 ◆ ◆ ◆


真上近くにまで昇った太陽の下。
明るいブルーを背に、爽やかなグリーンに囲まれて、それ――真っ白な発電所はそこにあった。

普通よりも高く作られた金網の柵の中には、円柱や立方体など簡単な形をした建物がいくつか並んでいる。
それは巨大な積み木を組上げただけの様な簡素さで、遠目には玩具かと錯覚してしまう――そんな印象があった。
そして、そんな建物の前に一人の女性が立っている。

陽光を跳ね返し風にたなびく黄金の髪。漆黒のライダースーツで覆ってなお女らしさを溢れ出させる姿態。
猫科の猛獣を思わせる蒼く鋭い瞳……第三の亡霊――ドライの姿がそこにあった。



ドライは一人、目の前の発電所を見上げ思案する。

ここまで辿り着いたのは半ば偶然だ。
クドリャカという名の個人用ロケット。その試運転の結果として、辿り着いたにすぎない。
立地条件や発電所という建物自体の性質を考えれば、ここが誰にとっても意味の薄い場所であることには違いない。
更に言えば、彼女が探しているアインと玲二(ツヴァイ)がここに来るかと考えれば、やはりそれもないだろうとドライは考える。
尤も、自分がこのように偶然とはいえ来てしまったのだから、その可能性がゼロとは言い切れないのも事実だが。

83 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:09:07 ID:pDrhp95A
「……さぁて」

海風に掻き乱される髪を押さえ、ドライは身体の向きを発電所より逆方向へと転じる。
視界いっぱいに広がるのは薄緑の美しく牧歌的な草原だ。
さらに先。地平線の奥には色取り取りの花が咲き、とてもここが殺し合いの場とは思えない風景を見せてくれている。
数時間前までいたスラム街はワザとらしいまでにそれらしいシチュエーションであったが、逆にここは……と。

「――あ、なんだ?」

不意に襲われる違和感。ドライの中の直感が、この美しい風景の中に何か”おかしい”ものがあると彼女に告げていた。
再び発電所を振り返り、そしてまた草原の方へ、更に四方八方へと視線を流してドライは、それに気付いた。

84 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:09:52 ID:pDrhp95A
 ◆ ◆ ◆


結局。ドライは発電所の中に入った。

外装と同じく真っ白に塗られた廊下の中を、まったくのよどみなく静かに素早く移動している。
何か目的のものがあるかのように、それがどこにあるのかが解っているかのように……、そして――。

「――ここか」

果たして彼女の考えた通りのものが其処にあった。
それは、地下通路。
正しく言い直せば、地下送電ケーブルとそれに併走するメンテナンス用通路であった。



そう、やはりあの平原は不自然なほどに美しすぎたのだ。
彼女が気付いたのは、本来ならそこにあるべき鉄塔と送電線の不在。

発電所ならば、そこで生み出した電気を必要とする場所へ送るための送電線が、そこから延びていなければならない。
だが、見渡す景色の中にそれは見当たらない。ならば、この発電所は無用の長物なのか?
そんな訳がないと彼女は考える。
地図に従えばここがこの島の中で唯一の発電所であることは明確であるし、
海に隣接していること、他の市街から離れていることを考えれば他に同じものがあるとは考えられなかった。
そして、内部に踏み込んだことでこの発電所が稼動していることも確認できた。

ならば、どこかに電気を送る線があるはず――そして、それは地下にあった。
工費や手間を考えれば、地上に鉄塔を建てるのが道理だが、この島はリゾートアイランドらしい。
それを考え、また一つの島を補う部分だけとなればケーブルの類を全部地下に潜らせるというのもありだろう。

85 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 01:10:06 ID:eEt+tccv


86 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 01:10:34 ID:q0b0Lmyx


87 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:10:45 ID:pDrhp95A
ドライは自分が通り過ぎた場所を回想し、それがどこにあってどこになかったかを思い出す。
最初にいたスラム街やダウンタウン。あそこには朽ちてはいたが、電柱が立っていたのは確かだ。
そして、森に入り刑務所を越えて……そこからは空中からの景色ではあったが、あのファンシーな町並み。
地図において、「中世風」などと書かれていた街を見下ろした時には電柱などはその中になかった。

つまりは、少なくともリゾートに関した区域に関しては電線の類は地上に出ていない。
逆に言えばそこでは地下に電線があり、それと併走する通路が存在する可能性があると推測できる。



そして、ドライはその想像を地下通路の入り口にあった案内板で確認する。

発電所から伸びる地下通路は北に向かい、そしてすぐの所で二つに分岐している。
一つは真北の方角。地図の升目で「F-2」の位置にある駅へと伸び、さらにそこから真っ直ぐに北進。
あの焼け落ちた娼館の近くで止まり、そこには「変電所」と記されていた。

言われてみれば……と、ドライは思い出す。
娼館から離れる際、眼に映る景色の中にあの鉄塔が立ち並ぶ独特の施設があったと。
街の中においては普通の光景故に気にも留めなかったが……。

しかし北に向かう通路に関しては、現在のところ意味合いは薄い。
ドライはもう一度視線を発電所の位置まで戻し、今度は東へと伸びる線を辿った。
その線は東北東に伸び、花畑の地下を潜りそのまま「G-4」の位置にある駅へと到達――終着のようであった。

88 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:11:20 ID:pDrhp95A
 ◆ ◆ ◆


「……で、どうしようかねぇ」

ドライは地下通路の入り口。その脇に止められている移動用のカートに腰掛けて、思案する。
とりあえずの所、この施設内に自分以外がいないのは確かなようだし、やはり誰もが近づかない場所だということはハッキリした。
ならば自分はここからどの手段を以って移動するのか……と、そういう話になる。



一つに地上を徒歩で進むというもの。――しかし、これはNGかも知れない。
遮蔽物が溢れている街中とは違い、発電所の周りは腰の高さまでもないような低い草原ばかりである。
そこを暢気に鞄片手に行くというのは、これはもうピクニック以外の何物でもないだろう。
赤、青、黄色の花畑の中。そこをスッキプで行く自分の姿を想像し、ドライはその案を即座に却下した。



次に考えられるのは空中を行くことだ。
空を飛んだ犬の名前を付けられた、ロシア製の個人用ロケットであるクドリャフカ。
これを再び背負って宙へと飛び立てば、ここより最寄の市街までは僅か10分程度で移動できる。
だがしかし、この案もNGだった。
飛んで始めて気付いた事だが、これは長距離の移動には適していても短距離や捜索においては全くの不向きであった。

89 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 01:11:24 ID:eEt+tccv


90 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:11:54 ID:pDrhp95A
推力がロケットオンリーで、翼がないため低速での滑空が不可能。
噴射口を真下に向ければその場に留まることも理論上不可能ではないが、
それがいかに難しいかは、彼女がこんな端っこまで流されてきたことが証明している。

付け加えて言えば、着陸もまた極めて難しい。
調整はしてもそれなりの速度で地上へと降り立たなければならない。
故に足を痛めている彼女は草原を着地場所へと選んだのだ。
万全の状態であればともかく、数十キロに及ぶ装備を背負っての着地。それを道路や建物の天井の上でできるとは言い切れない。

更に、ロケットを操縦中は他のことができない。少なくとも空中から精密射撃などとは無理も甚だしいだろう。
仮に空中から標的であるアインや玲二を発見できたとしても……、成す術がない。
まさか、ゆっくり着地するので待ってくださいね――などと声をかける訳にもいかないし、あり得ない。
ということで、ドライはこの案も却下。クドリャフカには別の使い道を与えるべきだと考えた。



三つ目の案は、この地下通路を伝って東――「G-4」の駅まで移動することである。
移動するだけというのなら確実で安全だ。
恐らくはこの地下通路のことを知っているのは現時点で自分一人であろうと、ドライは確信している。
出入り口は、この発電所を含め、「C-2」「F-2」「G-4」にある三箇所の変電所のみ。
発電所自体は僻地にある故、誰かがこのことを知っているとは考えにくいし、変電所に至っては地図に明記されていない。
彼女自身もそうであったが、例え見かけても特に気にかけたり、ましてや地下通路があるなどとは考えもしないだろう。

91 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 01:12:34 ID:eEt+tccv


92 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:12:38 ID:pDrhp95A
逆に言えば、アインや玲二もここにはいないだろうということが言えるが、しかしそれは直上の花畑も一緒だ。
亡霊が真昼の太陽の下で花畑の中を歩くなどとは、考えられないし考えたくもない。
ならば、やはり……このショートカットは活用すべきだろう。
誰も知らないはずの地下通路。それを自分だけが知っているということは、いずれ有利に働くに違いない。
その時の為にも、ここを一度通り抜けておくことは必要なことだ。



「……よし」

思案を終え、ドライはカートより腰を上げて歩き始める。
元よりカートに乗って行くという考えはなかった。
もしカートを動かせば、この狭い通路のこと……そのエンジン音は端から端まで伝わってしまうだろう。
自分以外は存在しないという確信はあるが、万が一の事を考えれば敵に不意打ちのチャンスを与えることになる。
いくらなんでも、そんな抜けた行動を取るようなことはしない。
捻った左足は若干名残惜しそうにしているが、子供でもないのでここは我慢。あくまで自身は亡霊なのだから。

音もなく現れ、足跡を残さずに命だけを持って行く。それが、亡霊(ファントム)――不可知の存在。

第三の亡霊は、静かに薄暗い通路を進んでゆく――……。

93 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:13:29 ID:pDrhp95A
 ◆ ◆ ◆


……――そして、彼女は冷蔵庫を漁っていた。

場所は、発電所内にある食堂。ガランとしたテーブルの並ぶその奥の調理場の更に一番奥。
銀色の巨大な業務用冷蔵庫の前にドライはいた。
何故か――?

地下通路を進み始めてすぐに、彼女は時計を見て定時の放送が間もなくである事に気付いた。
それと同時に、ある懸念が頭の中に浮かび上がる。
果たして地下通路の中にもあの放送は届くのであろうか……と、いうことだ。
別に、意味の解らない戯言に価値は見出してないが、死者と禁止エリアの発表だけは聞き逃せない。

と、いう訳で彼女は一旦発電所へと引き返し、ついでに十数分の間を食事に当てようと考えた。
殺し屋といっても機械ではない、食事も休息も必要であったし、それを的確に行えるのもまたプロなのだから。



「……これはチーズか」

食事とは言っても、鞄の中に予め入れられていたのはスカスカのパンと水だけである。
飲み込んでも腹が膨れるだけの、カロリーもビタミンの欠片すらない粗末なものだ。
なので、彼女はこの冷蔵庫の前まで来た。

チーズと言えば栄養価の高い保存食として有名だ。
最初に冷蔵庫を開けた時、白いブロックばかりが詰まっていたことにドライは面を喰らったが、同時にありがたいとも思った。
しかし――。

94 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 01:13:55 ID:rjN2x2i+


95 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:14:05 ID:pDrhp95A
「……? なんだ、チーズじゃ……えっと、確かこれは……」

チーズにしては柔らかい白いブロック。それは豆腐であった。つまり、冷蔵庫の中は豆腐で満ちていたと言う訳だ。
豆腐――紀元前により中国で生み出されて以降、東洋で幅広く食されているこれもまた偉大な食物。
ドライはアメリカ育ちであったが、チャイナフードは身近にあるし、日本食がダイエットによいなどと言う話も耳にはしている。

若干、期待外れな面もなかったではないが、
ドライはそれをいくつか取り出し、調理台の上に乗せようとして――気付いた。

そこにある、怪しげなダンボール箱に。
その、真っ赤な、毒々しいテープで閉じられた、その箱には、また真っ赤な文字で、こう記されていた――……、


――麻婆豆腐、と。

96 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:14:40 ID:pDrhp95A
 ◆ ◆ ◆


「これは…………もしかして、罠なのか?」

そう、ドライは思う。
麻婆豆腐という四文字。それはつい先程、刑務所で手に入れたノートに書かれていたものと全くの同一だ。
打ち捨てられていた灰色の朽ちた刑務所。その中に唯一……今考えればわざとらしく残されていた一冊のノート。
それにより彼女は麻婆豆腐の作り方を不本意ながらも知った。

そして、そこより移動して次の建物の中にそれの材料が用意されている……。

あまりにもあからさまな、誘い。
それは迷子を導く道に撒かれたパンくずなのか、それとも戦場に仕掛けられたブービートラップなのか?

視線を少しずらせば、コンロの上には真黒な中華鍋。そしてその脇に油の瓶。
これは一体何を意味するのか……、考えるまでもない。やはり、挑発なのだ。
ならば問題となるのは、その行く先。

この麻婆豆腐という領域。踏み込むとその先には何があるのだろうか――?

97 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:15:18 ID:pDrhp95A
 ◆ ◆ ◆


真空パックされた牛の荒挽き肉。
小瓶に入った、大蒜と生姜の微塵切り。
細長い瓶に詰められている豆板醤。
パックの中に収められた刻み葱。
紙の袋に閉じられた鶏ガラスープの元。
酒、醤油、砂糖、胡椒、胡麻油……等々の調味料。
そして、トロミをつけるのに必要な小麦粉。

……小さなダンボール箱の中に収められていたのは、おおよそこの様なものであった。
言うまでもなく、そして箱に書かれていた表記ともまごうこともなく、それは麻婆豆腐の材料に他ならなかった。

しかも、丁寧に必要分ずつに小分けされ、下拵えや無駄な手間が省けるようにと気を使われている。
豆腐だけが別になっていたのは、やはりそれだけは長期間の保存に適していないからなのだろうか。
ともかくとして、これを鍋に放り込めば誰でもそれなりに麻婆豆腐を作れると、そういう用意がなされていた。

ドライは油を垂らし鍋に火をかける。
なんとも踊らされているようで癪な話ではあるが、ここに何かを食べようと立ち寄ったのは彼女の意思だ。
料理をする気などは考えていなかったが、これも腹の立つことにここにはその用意と猶予があった。

敵の奏でる音色に合わせてステップを踏む趣味はないが、それを逃げたと揶揄されるのはそれ以上に腹立たしい。
故に彼女は踏み込む。あくまで、そこを踏破するために――……。

98 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:15:57 ID:pDrhp95A
 ◆ ◆ ◆


殺し屋という立場、そして粗暴な態度からそうは思えないかもしれなかったが、ドライは決して料理は不得意ではなかった。
力強く振られる中華鍋の中で、見る見る間にただの材料だったものは絡み合い、変化し、料理という存在へと移り変わってゆく。

熱をもたせ油を馴染ませた鍋から一旦火を遠ざけ、そこに牛の荒挽き肉を落として炒め始める。
ここは時間を少しかけねばならない。しっかりと肉の脂が浮き出てくるまで……数秒の差が後の味の差になるのだ。
火は料理の味方であると同時に敵でもある。その加減は慎重に計らなくてはならない。
今は強く。肉から旨味を叩き出すが如くに強く。そして、次は弱く。大蒜や生姜の香りを壊さぬように繊細に。
そして、麻婆豆腐を彩る真っ赤な豆板醤を投入する。
唐辛子をふんだんに混ぜ込んだ真っ赤な味噌を広げ、後に入る白い宝石が踊るための舞台を整える。
無色の香り、緑の彩りで舞台が整えば、次はスープ……そして待望の豆腐だ。
触感を楽しむのならば絹ごしではあるが、しっかり味を絡ませて楽しむとなれば木綿が相応しい。
等分に分割されたそれを投下し、火力を最大にして後は待つのみである――……。

「ん? 一つ余って…………」

ダンボールの底。その角に残った一つのビニール袋を取り上げドライは首をかしげる。
箱の中にあった説明書によれば、好みに合わせて入れる辛味調味料ということらしい……さてどうするか?
ふと、記憶に引っかかりを覚えて先に入手したノートを見ると、そこには「全て入れるべし」と書いてあった。
どうやら、このノートを記した人間にとってはこの袋一杯をつぎ込んでこその麻婆豆腐ということらしい。

「……じゃあ、入れっか」

初めて作る料理であったし、知ってはいても馴染みが薄い中華だった故に彼女は簡単にそれを判断してしまった。
後に考えれば、ここが命を賭けたフィールドであることを失念していたと、そう言わざるを得ない。
そんな判断であった。

99 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:16:34 ID:pDrhp95A
 ◆ ◆ ◆


数分後、放送まで後10分足らずという頃。
そこに、冷たい床の上で身悶えているドライの姿があった。

火照り……などという言葉では生温い、まさに烈火と表すべき熱が彼女の身体を今蹂躙している。
やはりと、彼女は思う。
これは罠だったのだと……。(本当は親切心だったのかも知れないが)

幸いなことは悪戯という領域にギリギリ収まる範疇であったことだろうか。
身悶える辛さではあるが、どうやら毒ではないようだし……美味であることには間違いなかったのだから。



頭を湯立てる熱……そのせいだろうか、不意にドライの脳裏に何かが閃く。

この世のものとは思えない程のディナー……と、そんな言葉を聞いたのはいつだったか。
業務日誌の最初の頁に書かれていたこと、それと連なる用意されていた食材。整えられていた状況。
誰もが近づくとは考えない島の端。発電所。地下を伝って伸びる通路。島内唯一の動力源。
空から見渡すことのできた青く青く……青色だけの海原。
それらが……これらが、意味することは。これに何かの意味があるとすれば……?

――もしかすると、ここがあの黒服達がいる場所なのかもしれない。



別にそんなことにドライは興味がなかった。
あくまで彼女の目的はアインと玲二の二人を見つけ出し、そして自らの手で殺害――葬り去ることなのだから。
なので、あくまで身体が冷めるまでの暇潰しとして彼女はそれを考える。

100 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:17:20 ID:pDrhp95A
超常的な力があるらしい。そして、それはすでに実感している。
だがあえて常識的な線を辿ってそれを考えてみよう。

あの黒服達はどこにいるのか――考えるまでもない。安全地帯と言える場所だ。
戦場の真っ只中、ひっきりなしに誰かが強襲をかけてくる場所となったら、落ち着いて食事をとることすらできないのだから。
それはどこかとなると、まず思いつくのは島の外……これが一番あり得る線だと言える。
距離的にも離れていることは有利であるし、仮に島を離れてそこに接近するものがいたとしても察知は容易であるからだ。
だが、クドリャフカで空の上にいた時。そこから見た光景の中にここ以外の島はなかった。
見えたのは真っ青な海原のみ。(……もっとも、これは西や南にはと、限定される)
とはいえ、例えば船舶や潜水艦などという線もありうる。……が、これには否定できる材料が一つある。
それは最初にいたあの部屋は揺れていなかったという事実だ。故に船はない。
部屋の広さを考えれば潜水艦というのもないだろう。

これで、あの黒服達はこの島の中にいると仮定できる。

では、島の中のどこかと言えば……最も怪しいのはこの発電所に他ならない。
不自然なまでに他から離れていることもそうだが、重要なのはここがこの島唯一の動力源であることだ。
勿論、個別で見れば病院や空港など、自家発電設備を備えている建物もあるだろうが、
主電源がここから供給されるものであろうことは間違いないはずだ。
つまり、人間の身体に例えればこの発電所は心臓という部分に相当すると言える。
そういう意味において、この場所の重要度は計り知れない。

次に、先程発見した地下通路。別の言い方をすれば誰も知らないはずの道。
案内板には北西部と南部への道しか伸びていなかったが、もし真実はそうでなく島全体に伸びているとしたら?
それはさすがに荒唐無稽な妄想であったがしかし、この舞台の上に黒子がいるのだとしたらそれは有用であろう。

101 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:17:57 ID:pDrhp95A
……と、ここまで考えたところでドライは放送までの時間が一分を切ったことに気付いた。



額の汗を拭いながら、ドライは転がった椅子を戻しその上に腰掛ける。

たった今考えた事は本当に戯言でしかない。
未知のファクター……超常的な力とやらが混ざれば、根底から覆る可能性もあるのだから。
そしてやはり、暇潰し。ドライには黒服達やその後ろにいる存在について、関心を持つことはできなかった。

彼女には確固とした目的。生きる動機。殺すべき対象。亡霊としての責務が存在するのだから……。

濡れた髪をかき上げながらドライは残り数秒を待つ。
第一の亡霊と、第二の亡霊は、果たしてまたこの六時間を生き残ったのか。それとも朽ち果てたのか。



ドライ(V)……ツヴァイ(U)……アイン(T)……――正午丁度。数えて二回目の放送が始まった。





【1日目 昼/H-1 発電所】

102 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:18:23 ID:pDrhp95A
【ドライ@Phantom -PHANTOM OF INFERNO-】
【装備】 クトゥグア(10/10)@機神咆哮デモンベイン
【所持品】 支給品一式×2、マガジン(クトゥグア)×1、懐中時計(オルゴール機能付き)@Phantom
        噴射型離着陸単機クドリャフカ(耐熱服付き)@あやかしびと、包帯、業務日誌
【状態】 左足首捻挫(治療済み、患部に包帯を巻いている)
【思考・行動】
 基本:アインと玲二(ツヴァイ)を探し出して殺す/男を殺す。
 0:放送を聞き、対応する。
 1:地下通路を通ってG-4変電所(駅)へと向かう。
 2:人間を見つけたらアインと玲二を知っているか尋ね、返答に関わらず殺害する。
 3:娼館での一件については考えない。

【備考】
 ※クドリャフカの操縦を覚えました。(なんとか操縦できる程度です)
 ※クドリャフカの移動速度は1エリアを約5分で通り抜ける程度。
 ※業務日誌の最初のページには「麻婆豆腐の作り方」、最後のページには「怪しげな画」が書かれています。
 ※ただ最後のページは酷い嬲り書きなので、辛うじて「ヨグ・ソトース」「聖杯」「媛星」ぐらいが読める程度です。
 ※発電所から伸びる地下通路の存在に気付きました。



【発電所より伸びる地下通路】
 発電所より島内の地下を走る送電線のメンテナンス用通路で、北西部と南部へとそれぞれ伸びている。
 1.【H-1/発電所】――【F-2/変電所(駅)】――【C-2/変電所】
 2.【H-1/発電所】――【G-4/変電所(駅)】

 ※案内板にはこの2つの経路しか書かれていないが、もしかしたら…………?

103 :UNDERWORLD  ◆AZWNjKqIBQ :2008/05/22(木) 01:18:48 ID:pDrhp95A
投下終了しました。支援感謝です。

104 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 01:37:50 ID:eEt+tccv
投下乙です!
地下を通る変電所か……その発想はなかった。
そしてドライさんが考察系キャラまっしぐらにw
亡霊が見せる日常的な描写が新鮮でよかったです

105 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 20:51:20 ID:7u7uA0XX
投下乙です
まさか地下通路とは……確かに電線はなかった、盲点でした
さてドライさんの考察は当たっているのか
でもまさか適当に拾った日誌で被害を被るとはw不運だ



106 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:13:33 ID:sPQ4vAan
投下乙。
おお、ドライさんw マーボーは間違いなく罠だ、気をつけろw
それにしても彼女もマーダーのはずなんだけど、まだ一人も撃墜してないなぁw

107 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:14:33 ID:7u7uA0XX
 

108 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:16:11 ID:sPQ4vAan
 


「………………」

人形のような人間。
人の姿をした異形の生物とも言える。
もしかしたら人形のような人間に擬態した固有の生命体かも知れない。
親しい人の死を嘆く心や、恐怖だの焦燥だのと人間に必ず備わった何かしらの感情があれば、それは人と呼べたかも知れない。

喜怒哀楽、人間の心を司るもの。
それを演技でもなく、心の底から表現できることができれば、それは正しく人間として機能する。
ならば、とこの世界は少年は逆に問う。

心の底から友人の幸せを喜べない者を人と呼べるのか。
理不尽な死に対して心から怒ることのできない者を人として考えていいのか。
死んでしまった友人の死に悲しむ真似をする者は人と呼んでいいのか。
楽しむ心はおろか、人間らしい部分の八割以上を人ではないと示された人物を『人間』と認めていいのだろうか。


―――――適応係数84%。



109 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:16:55 ID:sPQ4vAan
適応係数。
個人の一般社会との適応、もしくは非適応の度合いを表した数値で百分率で表される。
国によって突きつけられた数字は、少年の『人間らしさ』は二割も残っていないことを告げていた。
社会に適合できる部分は僅か16%……少年の世界でも、ここまで酷い数値が出た者はいない。

事実、黒須太一は一番の危険人物だろう、と被害者がいるなら答えるかも知れない。
殺人というものを禁忌とは見ない。彼の人格はとある箱庭の中で崩壊してしまっている。
箱庭で起こった事件で、一時完全に損失してしまった理性。与えられたのは他人によって植えつけられた人格のみ。
そのこと自体、太一には怒りも悲しみもない。
彼は理性的に狂う。多面的な精神構造、道化のように『普通』を演じる怪物だ、と誰かは語る。

「くしゅん!」

そんな彼でも風邪は引くものだ。
河に突き落とされ、そのまま気絶などしていては顔が熱いのも、鼻水が出てくるのも頷ける。
寒い、寒いなぁ、と独り言を呟きながらも思考が進んでいく。

何にでも解釈を求める性格だった。
説明がつかない疑問には、ぶっ飛んだ理論を持って自分の考えに決着をつけるほど。
彼が想定した『エイリアン』もそのひとつに過ぎず。
別に超常現象的な参加者の正体が『宇宙人』だろうと『鬼や悪魔』の類であろうと『神』であろうと、割と気にしない。
ただ、妙に『エイリアン』という単語が気に入っただけだ。

そういう意味では先ほど深優・グリーアが告げていた『自分以外の全員がエイリアン』は考えざるを得ない。
少なくとも『支倉曜子』『山辺美希』『佐倉霧』の三名は人間だと太一は知っている。
たとえ捕まってエイリアンになるよう改造を受けていたとしても、自分だけが人間のままである理由などないのであった。


110 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:17:08 ID:7u7uA0XX
 

111 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:17:54 ID:sPQ4vAan
「わはは」

一人寂しく笑ってみることにした。
個だ。
今の黒須太一という存在は限りなく、個に近い。
接触してくる者たちを例外なく襲い掛かれば、たとえ人間であろうとそれ以外であろうと集まらないものだ。

個はいい、と太一は思っている。
複数では、群では生きていけない場合もある。自分のような異常者には特に。
だから自立した存在が大好きだ。孤独のまま、孤高のまま己を保つような人間は美しい。芸術的な価値がある。
それがあまりにも美しく、キレイなものだと思うのが太一の美的感覚だった。

生まれ変わるならタニシになりたい。
タニシは存在するだけの個だ。だからこそ無害、人畜無害。誰にも迷惑をかけず、ただ其処に存在する。
もっと個であれば、無害なものになれるのに。
世界で自分に干渉するモノがいなくなれば、残った最後の一人は限りなく個へと近づくことができる。

「……くそう、一人だ。寂しいぞ。ウサギになってしまう」

だが、その一方で『人間でいたい』という欲求が太一の中に存在している。
この世に生れ落ちた9割以上の人類が得ることができる『普通』ということ。それにとても強い執着があった。
個になるということ。孤独であることは出来た。
それでも、人間として生きていきたいなら……他人との繋がりが必要なのだ。人は一人では生きていけない。常套句である。


112 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:18:23 ID:7u7uA0XX
 

113 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:18:48 ID:sPQ4vAan
平穏な繋がりが欲しい、と思う心は真実だ。
個でありたいという願いと他者との繋がりを求めたいという願い。
矛盾するふたつの激情と理性は84%が歪め続ける。
それでも黒須太一の恐ろしいところは、僅か16%に過ぎない人としての理性が84%の侠気を飼い慣らすところにある。
繋がりがあればこそ、絆があればこそ、人間らしい部分が怪物の太一を抑え付けることができるのかも知れない。

いずれも観測者の想定に過ぎないのだろう。
彼の心理は複雑にして多面的。その全てを理解することは難しい。

「寒いなぁ……ああ、ついでにハラ減ったなぁ」

一人しかいないなら、どんな言葉も独り言になるだろう。
温泉宿へと向かいたいところだが、風邪の悪化というか何というか、とにかく気分が悪くなってその場に座ることにした。
風邪を引いた奴が風呂に入ることは認められないそうだ。
まずは体力の回復が通令なのだ、と納得をひとつすることにする。

※通令→太一語、通例の誤字。通例本来の意味に命令を付け加えること。よって強制の意。

ぐるるるるるるるるるるるる。


114 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:19:41 ID:sPQ4vAan
「おお、まるで餓えた猛獣のようだ」

腹の虫が中々動かない主人への苛立ちをぶつけるため、唸り声を上げていた。
黒須太一曰く、自分ほどの存在になれば観念的な存在と意思疎通が図れるらしい。
人はそれを電波が降りる、などという。気にしてはならない。

『おいっ、テメエ、とっとと飯食えよ! 俺は腹減ってんだよ!』
「うるさいな。いつの間にコミック力場が発生してるんだ」
『訳分かんねえこと言ってねえで、早くしろよ! 俺じゃどうしようもねえんだっ!』
「短気な奴だ。それでも俺の腹の虫か。まずは自分を食って満足してみろ、話はそれからだ」
『なんだと、テメエ! 表に出ろ!』
「まず、お前が現世に光臨して見せろ、この空想の産物が」

もちろん、第三者から見れば太一が自分の身体に向かって独り言を言っているように見える。
素晴らしくクレイジーな会話なのだが、当人たち(?)はもちろん真面目だ。

『舐めてんのか、面白れえ。殴ってやる』
「やってみろ。未だかつて腹の虫に殴られたことはない、と愛貴族の名に誓って断言してやる」
『この甘々に育てられた芸能人の息子クラスの我侭ぶりを甘く見るんじゃねえぜ?』
「フー、そいつはクールだ。けどお前のスウィートガイっぷりも、肉体という檻の中じゃ実刑判決食らって豚箱入りぐらい無力だってことを忘れるな?」

世界初、腹の虫とマジで殺し合う五秒前になるナイスガイ(青年)だった。

(……そういうのを一般的にはキ○ガイと言いますか、そうですか)

俺、泣かない……! と、別の意味で気合を入れてみることにした。
やはり一人は虚しい、と改めて思う。
今までの自分の行動を鑑みて、少し浮かれすぎたかなぁと溜息ひとつ。だが挫けない男だった。


115 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:20:02 ID:7u7uA0XX
 

116 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:20:26 ID:sPQ4vAan
「しかし、本当に腹は減ったんだよなぁ……」

デイパックの中を漁ることにした。
世界に八人だけしか残らなかったときは、食料の調達にも苦労したものだ。
だが、黒尽くめの男たちはちゃんと食料を支給してくれているらしい。
ありがたや、ありがたや、と楽しみにしながら食物を漁ることにした。

パンがあった。だが川に落ちたときに水の直撃を受けていた。
干し肉があったはずだった。しかし川に流されて行方不明になったらしい。
ジャガイモがあった。こればっかりは水に濡れても平気なため、残されていた。
夢と希望があった。……これはまったくもって、完膚無きまでに何の役にも立たないので捨てる。

それは捨ててはダメだろう、などというツッコミはどしどし応募しよう。

「ふう、使えない管理人共だ」

文句は明後日の方向に。
とてもクールに、貴族の如く。これが愛貴族である自分の生き様だ、と語ってみる。
さっきから独り言ばかりで、段々虚しくなってきた。
こうなれば現地調達の如く、サバイバルしかない。ここは廃校だが、食べ物はあるのだろうか。

ついでに風邪を引きそうなので新しい衣服が欲しい。
冷えた身体も暖めたいところだが、さすがに水際から復活して四時間以上が経過する。
服は昼の陽気に満たされて乾き始めている。
問題は水を吸った服を着たまま気絶していたため、身体が冷えたことだがヤングアダルト候補生な黒須太一はめげない。


117 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:21:22 ID:sPQ4vAan
家庭科室に行く。
コンロ一式があった。だが、廃校だけにガスが通っていなかった。
畜生、なんて使えない学校なんだ、と文句を言うしかない。
とりあえず火に関しては昼の間は使わないランタンを壊して確保することにした。

太一は暗闇の中でランタンを必要としない。
彼の瞳は暗闇の中でも良く見える。猫の瞳と遜色ないほどに良く遠くまで見通せるのだ。
よってランタンは必要ない。破棄することにして有効活用。
さあ、残りの材料や調味料を確保しよう。

「……って、塩だけかよ」

さすが廃校、塩で我慢せよとは極貧生活にも程がある。
きっと生徒全員が食物を巡って天下一武闘会を開催し、荒れに荒れた学校は閉鎖されたのだろう、と太一は思う。
塩だけにしょっぱい現実を噛み締め、ついでにほんの少し辛い現実に涙する。

「……っし、太一様の三分クッキングの時間だ」

@外に出てランタンを破壊、落ちていた枯れ葉に着火して火を起こす。

A踊る。イメージとしては辺境の部族のように。

Bジャガイモに一人一人名前をつける。

Cホイルに包んだジャガイモを断腸の思いで放り込む(風味が増す)。


118 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:21:56 ID:7u7uA0XX
 

119 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:21:59 ID:sPQ4vAan
D待つ。

E涙する。

F待つ。

G涙を拭う。

H待つ。

I哀しみを乗り越えて人として大きくなる。

J待つ。

K待つのをやめ、腹の虫を止め、取り出す。

「よし、完成だ」

残りはホクホクのジャガイモに塩で味付けしていただこう。
これで煩い腹の虫も黙ってくれるだろう。
そのことに満足しつつ、まず最初の一手として向坂(ジャガイモの名前)を口の中へ運ぶことにした。
熱いが、うまい。
身体が芯から温まる。犠牲の元に散った向坂(ジャガイモの名前)を無駄にはしない、と心に誓う。

一つ目は一心不乱に食う。
まずは空腹をそれなりに抑えて、一息。二つ目の間桐を取り出しながら思う。


120 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:22:49 ID:sPQ4vAan
(生きてるって素晴らしい)

他者を蹂躙して、或いは自己を必要以上に守ってでも生きている。
その実感からこうして食べ物を食べることが出来る。
たとえその裏で多くの犠牲者が食い物にされていようと、今、こうして生きていることの素晴らしさは太一にも理解できた。
三つ目はリセルシア。優雅な名前だ、気に入った。

ぐちゃぐちゃぐちゃ。
はぐっ、はぐ、はぐ。
もぐもぐもぐもぐ、ごっくん。
ぱくぱくぱく、ランチタイムの時間だよ。

「ふーっ」

異様な食事風景というわけではない。
子供が食べるモノに名前を付けながら食べていくのは、キャラクターを模ったパンを食べるのとなんら変わらない。
だからこそ、黒須太一は気にすることなく腹の中に四つ目のジャガイモに手を伸ばした。
背徳的な味がする。ジャガイモと塩だけでは味わえないような甘美な味がした。

その事実に酔っていた。
酒のように、麻薬のように広がっていく欲望に少しだけ身を任せ続けていた。



121 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:23:32 ID:7u7uA0XX
 

122 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:23:37 ID:sPQ4vAan
「動かいへんでおくんなはれ」


それが原因なのだろう。
廃校の庭でサバイバルを楽しんでいた太一の背後の影に気づけなかった。
若干の発熱なども理由に起因するだろう。
太一の背後にはコルト・ローマンを構えた修羅がいた。人を殺す覚悟を決めた藤乃静留が立っていた。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「うちのこと、覚えてやはるか……?」
「ええと……?」

何となく振り向くまでもなく、覚えている。
コミュニケーションを取るために拡声器を利用した際に、その危険性を指摘した女性だ。
ついでに超常現象を使用する、太一曰くのエイリアンである疑いがある。
確か、確か名前は藤乃静留と思い浮かべて……彼女に関する一番印象的な出来事を口にした。


123 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:24:23 ID:gFetv830
 

124 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:24:45 ID:sPQ4vAan
「ナイスパンチラ」
「はっ……?」
「いや、なんでもないです、はい」

崖に突き落とされたとき、彼女の足を掴んでいた。
当然、自分が下で彼女が上で。そして視線は間違いなく上に向かれていたため。
目の前に広がる光景に対する余裕も失われていたあのときが、妙に勿体無い。
あの時は色々と舞い上がって無我夢中になってしまったが、ここはいつも通りの冷静な分析をすることにした。

さて、彼女は今すぐ殺すつもりだろうか。
深優・グリーアのときといい、簡単に自分を殺せる状態だと言うのに猶予が残されている。
ここに存在するのが迷いか、それとも利己的なものかは問わない。

「ええと、俺をどうするつもりかな……?」
「殺すわぁ」
「即答! 大ピンチ! ウェイト、ウェイト! とりあえず落ち着こう、どうして殺すんだ?」
「太一はんが危険そやさかいに」

危険。
無害ではなく有害。
自身の中にある化け物を自覚している太一に反論はない。
反論はないが、それでも道化のように口は回り続ける。


125 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:25:13 ID:gFetv830
 

126 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:25:30 ID:sPQ4vAan
「どうして? 俺だって殺し合いに放り込まれて怖かった。いきなり、あんな奴が出てきて怖かったんだ」
「確かにそれは分からへんでもない」
「だけど、頭を冷やして(文字通り)考えたんだ。あれは浅はかな行為だったよ。それは認める」
「太一はんは、殺し合いに乗ってへんと……?」

静留にしてみれば、黒須太一は見つけ次第に殺害するぐらいのつもりだった。
なつきに危機を及ぼす可能性のある存在の排除。
なら、あの狙撃してきた男や目の前の白い髪の青年などは真っ先に排除すべき存在だった。
それでも声をかけたからには、迷いがあるのかも知れない。

もう手を血で汚してしまったけど。
それでも人を楽しんで殺すようなことは出来なかったのだ。

「……言い訳にならないかも知れないけど、俺って少し不安定だから」

一方の太一は欺瞞を塗りたくる。
本能を理性が抑え付けながら、残った二割以下の人間らしさで『人間に擬態』する。
彼が心の平穏を手に入れるために培った、偽りの人格だ。
それを前面に押し出して訴える。決して、自分が無害であるとは言わずに。


127 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:26:05 ID:gFetv830
 

128 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:26:33 ID:7u7uA0XX
 

129 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:26:37 ID:sPQ4vAan
「……信用でけへんな」
「まあ、そうだろうなぁ……どうすれば信じる?」
「まずは武装解除してもらいまひょ、少しかてけったいな真似したら撃ちますわ」
「……了解」

ぽいぽいぽい、っとサバイバルナイフを捨てる。
何だか良く分からないウィルスは捨てるかどうか迷った挙句、デイパックごと渡すことにした。
とりあえずこれで無手、何も持っていない。
現時点では無害ではなく、無力な純愛貴族の黒須太一だった。

「……まだ、何ぞ隠していまへんか?」
「これ以上はない。逆さに振っても出てくるのは悲鳴だけだ」
「…………まだ信用できへんどすなぁ。面倒やから撃ってしまいまひょか」
「ノー、ノー、やめてーっ」

平伏して許しを請うことにしたらしい。
泣きそう、というような表情は演技か、それとも素かは判断がつかない。
太一だって死にたくはない。
何処か冷静な自分が物事を客観的に見てしまうが、それでも突きつけられた銃の恐ろしさは知っているつもりだ。

「……まあ、ええですわ。ただし何ぞ隠し持ってたりしたら、遠慮なく」
「オーケー、オーケー……助かった」

ぐったり、と冷や汗の流れる三分間を楽しむことになった。
エイリアンにせよ、何にせよ、少し前の大考察がそれなりに正しければ目の前の女性は敵ではない。
人間とそれ以外の存在の殺し合い。
もちろん、人間じゃない存在とて平気で従うかどうかは別なのだろう、と勝手に思うことにした。


130 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:26:59 ID:gFetv830
 

131 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:27:58 ID:sPQ4vAan
深優・グリーアも目の前の静留もすぐに太一を殺すことはしなかった。
64人。太一のいた8人だけの世界を更に八倍しただけの数による殺し合いだ。
殺し合え、と言う命令の元に誕生した世界。
ならば殺し合うこと自体も正しい世界の回り方なのかも知れない。少なくとも生きたいから殺すのは人間らしい思考だ。

とりあえず、親睦の証としてホカホカのジャガイモを渡してみる。

「……? これは?」
「自家製のジャガイモ。塩をかけてお召し上がりくださいませ、お嬢様」
「……何だか、口調が一定にならへんなぁ」

最初は毒ではないか、と疑っていたらしいが、周囲の状況を鑑みるに問題ないと判断。
以前の拡声器といい、今回のジャガイモを焼く匂いといい、人を集めることの危険性をまるで理解していない。
そんな太一は危険なのではなく、ただの莫迦なのだと当たりをつけてジャガイモをいただくことにした。

ぱくり、と一口。
静留もそれなりに空腹であるために、とても美味しかった。
空腹は最高のスパイスである。

「…………対馬」
「……ん?」
「いや、なんでもない」

訝しげな静留の様子に首を振る。
気になった静留ではあるが、もはや太一には変人のレッテルを貼ったばかりなので気にしないことにした。
二つ目に手を伸ばす。太一は粛々とその様子を見守った。


132 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:28:17 ID:gFetv830
 

133 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:28:25 ID:sPQ4vAan
「…………岡崎」
「……なっと、さっきから聞いた名前が聞こえるんせやけど、太一はんの知りたいやったんか?」
「いや、ほとんど知らん」
「……なんやそれ」

静留の血肉となった新じゃがの無垢なる民たちの名前だ。

「気にしないでいい、命は受け継がれていくものなのだ。合掌」
「…………はあ」

もうツッコミを入れることにも疲れたのか、それからは無言を通すことにしたらしい。
太一も残った三つのジャガイモのうちのひとつを口にする。
塩だけでは飽きてきたところだ、バターが欲しいと思うが残念ながら贅沢品である。
とりあえず腹が膨らめばお互い落ち着くだろう、ということで食事タイムと相成った。


     ◇     ◇     ◇     ◇



134 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:28:48 ID:gFetv830
 

135 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:29:25 ID:sPQ4vAan
その後、静留は太一と別れることになった。
太一は『交流できる仲間』を集めて、管理人を打倒するらしい。
もっと回りくどく説明されたので、勝手にそう解釈させてもらった。彼のぶっ飛んだ性格は考慮しきれない。
静留も一度修羅に落ちると決めた以上、馴れ合うつもりはなかった。

(なんや。結局、人殺しを忌諱してるとゆーことどすか)

自分がこの手で殺した、藤林杏のことを思い出した。
彼女は大切な人を救いたかったのだろうか。
静留は殺人鬼にはなれなかった。人殺しにはなってしまったけど、望んで殺すことはできなかった。
その結果、黒須太一を見逃す要因になってしまったのかも知れない。

多少でも危険があれば殺すべきだったのに。
それでも殺そうとしなかったのは、きっと迷いからなのだろう。

(甘いなぁ……甘い)

烏月たちを見逃したときも、そして今も。
こうしている間にもなつきが苦しんでいるかも知れないというのに、昼行灯な態度。
静留自身にだって分かっている。
今の態度はいずれ己の身を滅ぼしかねないことぐらい、誰に言われるまでもなく分かっているのだ。


136 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:29:46 ID:gFetv830
 

137 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:30:11 ID:sPQ4vAan
「……放送が、始まるなぁ」

時計を見る。
時刻は正午ちょうどまであと秒針十周程度。
廃校を出たところで、静留は一度立ち止まった。

背後から声が聞こえてきたからだ。
聞くのは二度目で、彼に気を取られるのは三回目。黒須太一の交流方法が静留の耳に届く。
だから、その行動が危険だというのに……などと言った言葉を飲み込んだ。
これ以上気にかける余裕はない。それで彼が死ぬのなら、勝手にすればいいのだ。それこそ、自業自得というものなのだから。

彼が何を求めているのか、静留には分からない。
それでも願いが同質のものだというのなら、彼の願いが叶うことを祈るぐらいはしてやろう。
代わりに自分の願いも叶って欲しい。
逢いたい。愛するなつきに。でも、血で穢れたこの両手では抱きしめられない。

――――だからせめて、無事でいてください。


138 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:30:48 ID:gFetv830
 

139 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:30:50 ID:sPQ4vAan
「……なぁ、なつき……うちより先に名前を呼ばれたらあかんよ……?」

切ない思いに胸が苦しくなった。
いずれ覚悟は決めるのだろう。人を殺す覚悟も、人に殺される覚悟も必ず決める。
だから今だけは願わせて欲しい。
人殺しとしての自分ではなく、なつきを大切に想う『藤乃静留』として……名前を呼ばれないことを祈らせて欲しい。

廃校での放送が終わると同時に、島全体がソレに反応する。
死神が告げる残酷な真実、悪魔が騒ぐ知らせの刻が迫っていた。



【D-6 廃校の外/一日目 昼(放送直前)】

【藤乃静留@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備:殉逢(じゅんあい)、。コルト・ローマン(3/6)】
【所持品:支給品一式、虎竹刀@Fate/stay night[Realta Nua]、玖我なつきの下着コレクション@舞-HiME 運命の系統樹、木彫りのヒトデ1/64@CLANNAD】
【状態】疲労(中)、左手首に銃創(応急処置済み)、左の太股から出血(布で押さえていますが、血は出続けているが少量に)
【思考・行動】
 基本:なつきを探す なつきの為に殺し合いに乗る。
 0:放送を待ち、祈る
 1:なつきの為に殺し合いに乗る、しかし殺し合いに乗った人間を優先的に排除
 2:殺し合いに乗る事に迷い(特に力なき人間を殺すことにためらい)
 3:太股の傷を治療する為の道具を探す。
 4:なつきに関する情報を集める。


140 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:31:32 ID:sPQ4vAan
【備考】
 ※下着コレクションは使用可能です。
 ※理樹を女だと勘違いしてます。
 ※詳しい登場時系列は後続の書き手さんにお任せします。
 ※死者蘇生に関して否定。
 ※移動中です。移動先は後続の書き手さんにお任せします。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「………………」

ぐらり、と身体が揺れかけている。
ノイズだ。頭の中をノイズが走り続けている。
ぶつり、ぶつりと人間らしい二割にも満たない理性が切れ始めている。

「―――――――」

食事後、情報交換はした。
再会記念にセクハラをしたかったが、銃に脅されて仕方なく引き下がることもあった。
太一曰く、人間以外の存在との交流を成し遂げたのだ。
人間の可能性はすごい。


141 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:31:35 ID:7u7uA0XX
 

142 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:32:09 ID:sPQ4vAan
太一は彼女と行動を共にしたかった。
足早に去ってしまおうと背中を向ける静留を追いすがろうとして、そして気づいた。
静留の左の太腿。彼女が太一に見せないように隠し続けた傷だ。
そこから流れ落ちるのは血だ。世界を曖昧にさせる猛毒だった。

「――――――――――」

キレイなおみ足、その太腿から血が滲んでいた。
大変だ、と思った。こんな綺麗な血が流れてしまうなんて。
赤い血。血。血。
赤い、赤い、赤い、赤い、赤い。

「…………ぐっ」

眩暈を感じて、目を閉じた。そうすることで歪みを矯正しようとした。
改めて目を開くと、既に静留の姿はなかった。足早に去ってしまったらしい。
ああ、ああ。
なんて勿体無い、と怪物の自分が嘆く。世界はいつだって曖昧で、蠢くものたちは触れるだけで赤くなる。

キレイなものは綺麗であればこそ、壊したくなる。
存分に破壊して、制圧してしまいたくなる。簡単だ、簡単に事は済んでいた。だが、もう獲物はいない。
残念だ。視界はぼんやりと霞むくせに、動くものは敏感に全てを察知してしまえるだろう。

唐突に自分が何者であるかを忘れて、衝動のままに動こうとする。
黒須太一が侵食されていく。
何処からが人間としての黒須太一で、何処からが化け物としてのクロスタイチかが曖昧になる。
そうだ、全ての感覚が曖昧になってしまう。


143 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:32:09 ID:gFetv830
 

144 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:32:55 ID:pDrhp95A
 

145 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:33:19 ID:sPQ4vAan
「―――――――――っ」

今まで抑えてきた84%の濁流が、16%の堤防に襲い掛かろうとした。
幸福だったのは、彼の視界にはもはや赤が残っていないことか。
赤い点があれば接触しただろう。赤い存在があれば、何かの現象を引き起こしていただろう。
世界と一体化したような、不思議な感覚が身体を制圧しようとするだけだ。

ノイズはもうない。
赤い色が太一の視界から消えたからだ。

「あー、あー……」

まるでマイクのテストをするかのような声が漏れる。
どうやら、己の声から出る音を正しく認識できるらしい。大丈夫、戻れている。
安心した。まだ心の平穏は保たれているはずだ。
曖昧だった世界と己の区分けが整うのに、十分近くの時間を要した。

視界がクリアに。
獲物がいない以上、攻撃は禁止。

「……まったく、もー」

血は苦手だ、と太一は独白する。
これで夕日と組み合わされたら、一体どうなってしまうのだろうか。
さて、あの上級エイリアンが言っていた『制限』とやらは自分にも等しく繋がっているのだろうか、などと首をかしげる。


146 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:33:55 ID:pDrhp95A
 

147 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:34:21 ID:gFetv830
 

148 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:34:26 ID:sPQ4vAan
「いやー、困ったもんだ、うん」

わはは、と愛想笑いをした。
殺し合えば血が出るし、世界は赤く変質していくのだろう。
赤い色、特に血は太一の心を酷く揺るがせてしまう。
まるで化学実験のように、混ぜるな危険、の張り紙が必要だな、などと独り言。

独り言を言うと、この世界に留まっていられるという安心感が沸く。
どんな無茶な解釈でも、答えを得ることが出来れば不安定な存在は付け焼刃でも存在できるのだ。
そういう意味でも、独り言とは大切なファクターだ。

「よし、気を取り直して仲間を捜すか」

人間を集めて『エイリアン』を打倒し、地球の平和を守るのだ。
先ほどのように人間以外の可能性があるからといっても、急に襲い掛かるものではない。
エイリアンと手を組み、強大な敵と共に戦うこと。
友情が生まれれば、それはとても素晴らしいことだ。合言葉は『友情は見返りを』『求めない』に大決定。

交流できれば、可能性はたくさん含まれるのだ。
人間ってすげえ、と太一は思う。目の前に指し示された何百もの選択肢は普通の人間が選べる無限の可能性だ。

「じゃ、じゃ、じゃーんっ! 拡声器ー!」

初心に戻って問いかけよう。
この一室から窓に向けて呼びかけても、恐らくは意味のない問いかけになるだろう。
なら、週末にやるつもりだったことでもやろうか。
群青学園放送部による放送を。終わってしまった廃校と終わってしまった世界の中で。


149 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:34:54 ID:gFetv830
 

150 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:34:59 ID:sPQ4vAan
ガピッ――――スイッチを入れた。
川の中にダイブしてパンは濡れてしまったというのに、どうやら拡声器自体は無事のようだ。

さて、どんなことを話そう。
どうせ誰も聞いていないだろう放送だ。拡声器がまだ使えるかどうかを確かめるための試運転。
なら、考えられるぐらいの『普通』をやってみたいと思った。
そうすることで心の平穏を、安心を得たいと思った。


「こちら、群青学園放送部―――――」


今までは心の平穏を得られなかったのかも知れない。
一度一人でじっくりと考えて、ようやく自動化しかけた思考を繋ぎとめるぐらいの回復ができた。
それも一時のことに過ぎないのかも知れない。
ただ、16%が確かにここに存在したことを告げるために、黒須太一はその続きを促した。


「―――――生きている人、いますか? それでは、また来週」



151 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:35:41 ID:sPQ4vAan
一週間以上も殺し合いの舞台にいるだなんて、ナイスジョーク。
つまらないことを思ってプププ、と口元を歪めて笑ってみる。
聞く人間が聞けば抱腹絶倒で間違いない。友人たちと笑いあうに無邪気に笑って見せた。
そんな太一の放送に呼応するように、ブツブツッと島全体が唸り声を上げた。

放送の時間だ。
死を告げる時刻、現実を突きつける甘美なる時間の中に身を委ねることにした。



【D-6 廃校の一室/1日目 昼(放送直前)】

【黒須太一@CROSS†CHANNEL】
【装備】:サバイバルナイフ
【所持品】:支給品一式、ウィルス@リトルバスターズ!、第1次放送時の死亡者とスパイに関するメモ
【状態】:疲労(小)、やや風邪気味(軽い発熱・めまい・寒気)
【思考・行動】
0:『人間』を集めて『エイリアン』を打倒し、地球の平和を守る。
1:拡声器を使って、人と交流する。
2:『人間』や『エイリアン』と交流を深め、強大な『エイリアン』たちを打倒する。
3:『支倉曜子』『山辺美希』『佐倉霧』と出会えれば、仲間になるよう説得する。
4:「この島にいる者は全てエイリアン」という言葉には懐疑的。


※第一回放送を聞き逃しましたが、死亡者のみ名前と外見を把握しました。
※太一の言う『エイリアン』とは、超常的な力を持った者を指します。
※登場時期は、いつかの週末。固有状態ではありません。
※直枝理樹(女と勘違い)、真アサシン、藤乃静留、玖我なつき(詳細は知らない)、深優・グリーアをエイリアンと考えています。
※スパイに関するルールはでたらめです。
※次の行き先や行動方針については、後続の書き手さんにお任せします。


152 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:35:43 ID:gFetv830
 

153 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:37:29 ID:sPQ4vAan
投下完了です。
タイトルは『例えば孤独なら傷つくのは、一人ぼっちの自分だけだと』
ご指摘、ご感想をお待ちしております!

154 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:45:34 ID:bitCmkZM
黒須太一…ただのどうしようもねえ電波かと思っていたのだが、
なんだか事情を知ると哀れになってきた。

とりあえず、原作探すか。

155 : ◆WAWBD2hzCI :2008/05/22(木) 22:50:52 ID:sPQ4vAan
っと、しまった。
拡声器については後に修正案を投下いたします。誤字についてはwiki編集後に。
すいませんでしたorz

156 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 22:51:46 ID:gFetv830
投下乙です

太一がちゃんと太一してるw
今まで口を開けばエイリアンがどうとしか言ってなかったような気がしましたが
やっぱりこういう太一もいいですね
果たして彼はこのまま人間らしい人間になれるのか?

157 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 23:01:18 ID:j4eNcbrd
すげぇ…一瞬田中ロミオが降臨したのかと思ったぜw
さあ次に太一と交流する奴は誰かな?

158 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/22(木) 23:35:49 ID:kEADIBfh
GJです
久々に太一らしい太一を見たw
じゃがいもネタのダークさといい、非常におもしろかったです

159 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/23(金) 00:37:08 ID:K/xrZLyX
投下乙です!
おお…ようやく太一がまともに人とコミニュケーションを
狂気の中でも人とふれ合いたいと願う太一の心の動きがよく表現できていて面白かったです

160 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/23(金) 00:55:33 ID:fCpV0K33
GJ!
地の文にロミオ節が聞いてて実に太一らしさが現れてました。
でも流れ的に見ると「風邪をひいたらマトモになった」。
なんて―――侠気w

161 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/23(金) 13:51:45 ID:PykTvVFR
GJ!
太一らしいw
キャラ掴みすぎて凄いな

162 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:50:18 ID:t0N3JVXw
カタンコトン、カタンコトン、
カタンコトン、カタンコトン、
テンポの良い音楽を奏でながら、電車は進む。
一分、一秒たりとも遅れを許さず、ただ、進み続ける。
その傍らに何があろうと、その内に何を乗せていようと、
如何なる他者にも構わず、電車は、ただ己が道を進み続ける。
その、ある種の神々しさを表す金色の外見を、裏切らぬかのように。


静寂

その場を表すに相応しく、また最も相応しく無い表現。
何しろ、現在進行形で嗚咽を堪えている人間が『二人』も居るのだから。
だがそれ故に、その場にある他者は、静寂を強いられる。
彼らの嗚咽を止める手段など持たぬが故に、静寂を保つ他に無いからだ。

「…なあ、火持って……る訳ねえか……」
座席に座る眼鏡にスーツ姿の男―加藤虎太郎は、隣に座るほぼ全裸の男―大十字九郎に声をかけて…止めた。
そもそもだ、着る物にも困るような人間に、嗜好品を買う余裕などないのだから。
「……好きでこんな格好なんじゃないんだ…」
その思考を知ってか知らずか、九郎は微妙に黄昏た返事を返す。
別に九郎は普段から全裸という訳ではないが、それでも食事に苦労するくらいの人間なのだから、当然嗜好品に手を出す余裕など無い。
最も、彼自身に言わせたら、「そもそも煙草なんて吸わない」といった返事が返ってくるのかもしれないが。
「……そうか」
「……ああ」
「…………」
「…………」

沈黙


163 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:50:47 ID:t0N3JVXw
お互いの詳しい自己紹介をする。
コレまでの詳しい経緯を話す。
話すべき内容はいくらでもあるのだが、いまいちそんな気分に成れない二人。
故に、
「……車内は、禁煙なんだが」
「……こんな時だからな…吸いでもしないとやってられん」
「……マナー違反だと思うんだけどな…健康にも悪いし」
「……吸いたいもの吸って健康に悪い訳がないだろ…」
「……そうなのか」
「……ああ」
どうでもいい会話に、時間は費やされる事になる。

(……やって、られんな)
唇を震わせ、必死に何かを耐えている少女を尻目に、虎太郎は、そう一人語散る。
途切れた会話の事など一秒で忘れ、今の彼の内心を締めるのは、別の事柄。
『佐倉霧が、死んだかもしれない』
何時、何処で出会ったのかと聞かれれば、当然答えるしかない。
ホンの数時間前までは一緒だったが、見失った。
その時襲ってきた相手が、あの場所にいた。
未だ事実ではないが、ほぼ確実な事柄。
どの道、あと一時間程度で放送になる以上、いずれは知られてしまう事実。
悲しむのが、襲いか早いかの違いだけ。
だが、それでも今少女が悲しんでいるのは、虎太郎の告げた言葉によるものなのは間違い無い。
(無力…だな)
仲間の死を知って嘆く直枝理樹と、親友の危機を聞いて悲しむ山辺美希。
目の前で嘆く子供二人に、何もしてやることが出来ない。
言葉なら、いくらでも掛けてやれる。
ぶん殴って元気になるなら、いくらでも拳を振るう。
だが、諭したり、導いたりすることは出来ても、彼らに真に何かをしてやるには、虎太郎の言葉では意味がないのだ。

結局のところ、虎太郎は『他人』でしかないのだから。


164 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:51:36 ID:t0N3JVXw
無論、教師として、大人として言葉を掛けてやるのは簡単だが、それではあまり意味が無い。
厳しく教えるも、優しく諭すも、相手によって違うのだ。
今、彼らが何を望み、何をして欲しいのか、
それを知るには、共に居た時間が短すぎる。
故に、加藤虎太郎は沈黙する。

隣に座る大十字九郎の沈黙は、もっと簡単だ。
要するに、彼は落ち込んでいるのだ。
自身の力の無さを。
正義の味方だ、アーカムシティの守護者だと言ったところで、彼自身は平凡な魔術師に過ぎない。
魔道書「ネクロノミコン」を手にし、その強大な力を扱えると言っても、所詮それは「ネクロノミコン」の力でしかない。
彼自身の力など、ちっぽけなものだ。
…最初に、この島に連れて来られた時、浅間サクヤの力が無ければ、彼はこの場には居なかっただろう。
…F-7駅で神宮寺奏と別れた時、彼はただ流されただけだ。
…怯える女性を目の前にした時、仮面の大男に襲われ、訳も解らず逃げることしかできなかった。
…そして先ほど、鬼と化した少女を前にやはり逃げる事しか出来ないばかりか、あろうことか理樹の仲間を敵と勘違いし、敵が追いつく手助けまでしてしまったのだから。
故に、大十字九郎は、沈黙する。


165 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:52:19 ID:t0N3JVXw
「そういや、お前さん…少し前変な仮面の大男に襲われなかったか?」
なので、気になっていたことを尋ねる虎太郎。
細かい外見は覚えていないが、全裸などという人間が、他に居るとも思えない。
「え?何で知っているんだ?」
果たして、それは正解だったようだ。
故に、虎太郎はあの時自分もあの場に居たこと。
大男を追いかけていたが逃げられてしまった事を話した。
「誘拐犯…か」
「ああ、今思うと恐ろしい程の力量の持ち主だった…。
 良く無事で居てくれたな…」
「うーん、何ていうのか…そこまで危険っていう感じじゃなかったんだけどなあ…
 確かに物凄い身のこなしだったけど…」
襲われはしたものの、殺すというよりは一発殴るといった感じの印象の攻撃だったような…
そう、九郎は一人語ちた。
「後、和服の女子が一緒にいたと思うんだが…」
「ああ、あの子はそういえば逸れたんだった…」
「……守れよ」
「いや、そもそもその子にいきなり襲われたんだって」
「あん?」
九郎の言葉に、訝しげな声を出す虎太郎。
だが、
「……ん、まあ当然じゃないのか?」
九郎の格好を見て納得してしまった。
「……やっぱり、その所為なのかな……」
「当然だろ」
「だよ……なあ……」
がっくりと、黒い霧を漂わせ落ち込む九郎。
ある意味痛々しい沈黙が訪れた。


166 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:53:02 ID:t0N3JVXw
……そうして、少しの後。
時間にして十分も無かったであろう、彼らの耳に、

「次は、F-6、F-6、御下りの雑種は忘れ物など無いよう気をつけるのだ」

耳障りな音声が、響いて来た。
そう、彼らの沈黙など、電車には何の関係も無い。
ただその決められたスケジュールに従い、次の駅に到着したのだ。
「…F-6…!?」
そうして、その音声をきっかけにして、沈黙は破られる事になる。
「…あん?」
その声に、虎太郎はいぶかしげな声を上げる。
彼としては、この駅で降りるかどうかは決めかねていたのだ。
佐倉霧が生きているとするなら、この駅の近辺に居ると考えるのが普通だろう。
とはいえ、未だに打ちひしがれている二人を、そのままにしておくわけにもいかない。
なので、とりあえずはこのまま終点くらいまでは泣き止むのを待ってもいいか、位の考えだったのだが…
「あ、次の放送に、人と待ち合わせしているんだ。
 だから、降りておかないと」
そう、九郎がかつて浅間サクヤに神宮司奏と決めた待ち合わせ。
その為には、ここで降りて待つしかないのだ。
「それは別に構わないんだが…またあの女…いや、悪鬼か?…に出くわすかもしれんぞ」
「う…それは、そうなんだが…でもすっぽかす訳にもいかないし」
「…まあ、そうだな」
場合によっては、そのサクヤに奏という相手が危険に晒される可能性もある訳で。
「…じゃあ、俺も降りるかな…」
「え?」
「……さっきはああ言ったが、佐倉霧が死んだと限った訳じゃあ無いし、そうなると未だにF-6の近辺に居る可能性が高いからな。
 だからまあ教師として生徒は捜さんとな。
 それに…」

167 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:53:45 ID:t0N3JVXw
そこで、虎太郎は一息付く、
そして、その後には燃えるような気配。
「仇だってんなら、討ち果たしてやらんといかんしな」
そう、一時とはいえ、生徒として接した相手の仇ならば、教師としては果たしてやらねばならない。
そういう意味では、ここで降りるというのも選択としてはある。
…だが、
(あの二人をどうするか、だな)
仲間を、友人を失い、打ちひしがれている直枝理樹と山辺美希。
このまま、車内に置き去りにするなんてのは論外ではあるが…

だが、
「僕も…一緒に行ってもいいですか?」
そこで響いた声に、思考を中断される事になる。
その声の主は、紛れもなく先ほどまで嘆いていた少年、直枝理樹。
未だに涙の後は消えねども、それでもしっかりと、虎太郎達の方を見ている。
その瞳には、確かに強い意志の色。

「構わんが…もう大丈夫なのか?」
「…はい、ここで泣いている訳にはいきませんから」
はっきりとした声で、答える理樹。
「先ほどは…有り難うございました」
そうして、まず礼を述べる。
虎太郎達がいなければ、恐らくあの場で死んでいたのだから。
そして、
「出来るなら、この後も同行してくれると嬉しいんだけど…」
そう、はっきりと告げた。




168 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:54:13 ID:t0N3JVXw
F-6駅。
時刻表によれば、この駅で20分ほど停車するらしい。
なので、とりあえず四人は駅舎の中に舞台を移す事となった。

「成る程…作戦か」
九郎が関心した声を出す。
彼自身、似たような仲間はいたが、識別する道具というアイデアは無かった。
「…凄いアイデアだと思います」
歩いた事で漸く落ち着いたのか、美希も反応を返す。
その中身は、賞賛の一途だ。
「ん…まあ別に構わんな」
虎太郎にしても、反対する理由は無い。
特に問題なく、この後も協力するという流れは定まった。

「…大学、それに教会…か」
「ええ、葛木さんがあの言峰が居るとしたそこじゃあ無いかって」
そして、続いて行われるのは情報交換。
この四人だけでなく、コレまでに出会った仲間と、彼らの持つ情報、動向。
「葛木さん達とは15時にこの場所で待ち合わせをしてるから…それまでにはここにいないと」
「そうなると、それまではこの付近の探索を行うべきなんですかね。
 ……私も、霧を探しに行きたいですし…」
会話の最中、そう告げた美希の言葉に、一瞬会話が止まる。
その発言の内容はあくまで真摯で、親友の死が事実として確定されるまで、決して諦めないという意思が含まれていた。
「……手伝う」
その言葉を受けて、虎太郎が告げる。
彼自身としても、一度保護した少女を放っておくのは後味が悪いと考えていたが故に。
「じゃあ、俺たちも手伝うかな」
そうして、お人よしの九郎が賛成する。
だが…

169 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:54:38 ID:t0N3JVXw
「…なら、僕と九郎さんは、このまま電車に乗ってG-4に行きます」
理樹が、反対意見を返す。
時刻表によると、この電車が出るのは10時20分
到着してから、次の放送までは一時間半近くあるのだから、その時間を無駄にするべきでは無い。
その付近を探索するなり、そこからここまで歩いて来るなりと、出来る事は多い。
「美希さんには悪いけど…どうせ探すならこの方が収穫は多いと思うんだ」
「……いえ、私もそれで良いと思います…」

「まあ、そうなると、12時にここで待ち合わせ、は良いとして、
 そこから三時までまた付近を探索するのか?」
「いえ、九郎さんの知り合いの人の場合は九郎さんがいる必要があるけど、僕たちの場合はこの星がある。
 だから、全員がここにいるんじゃなくて、何人か、できればこの付近に拠点みたいなものを構えて、他の人はまた仲間探しと情報集めに行くべきだと思うんだ
 出来れば、大学にも行っておきたいし…」
時間は有効に。
同盟を組んだ相手が多ければ多いほど、彼らの優位性は高まるのだから、手間を惜しむべきではない。
加えて、その他の情報も、入手していかなければならない。
「それなら、俺達はついでに拠点になりそうな場所も探してみるか」
現在までのところ、拠点ならばこの近くに構えたほうが便利。
故に、付近の探索を行う虎太郎が、そう告げる。
「なら、俺はとりあえずここに戻った後大学に行くよ。
 一応魔術師の俺なら、理解できる資料とかあるかも知れないし」
「じゃあ、僕と九郎さんはそのまま大学に向かうとして…できるならその後に博物館にも行っておくべきかもしれない」
博物館にてそれなりに有用な物品が手に入るのは葛木たちの情報によって解っている。
その方向に向かうのであれば、寄っておいて損は無いだろう。




170 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:55:32 ID:t0N3JVXw
(見てて、アサシンさん)
胸に入れた仮面に手をあてて、そっと考える。
アサシンさんは、僕の事を『マスター』と呼んでくれた。
命を掛けて、僕に力を貸してくれて、
……そして、守ってくれた。
だから、僕は頑張らないといけない。
アサシンさんのマスターとして、立派にやらないといけない。

理樹は、一人、心に誓う。
強く、硬く、

心を、固める。

そう、ヒビが入れば、砕けてしまうほどに、硬く。



方針は、決まった。
後は取りあえず別れて捜索するだけなのだが、
「その前に、皆名簿を出して欲しいんだけど」
最後に、やっておかねばならない事がある。

まず、理樹が直接出会い、安全だと判断された藤乃静留と葛木宗一郎、高槻やよい。
更にその知り合いらしい玖我なつきと菊地真、如月千早。
そして、元々の知り合いであるリトルバスターズの面々。


171 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:56:06 ID:t0N3JVXw
次いで、虎太郎の教え子達と、彼が出会ったエレンの知り合い。
九郎の知り合いと、彼が再会を約束している神宮司奏と浅間サクヤに、それぞれの知り合い。
美希の同級生と、彼女が杉浦碧に鉄乙女から聞いた知り合い。
それぞれが告げられる限りの特徴と、その動向を。
棗恭介が密かに殺し合いを肯定しているかもしれない可能性までもを含めて、告げた。
そうして、メモに書き記される名前。
「そうなると…ここにいる四人を抜かして今の所多少なりともどんな相手か判明しているのは、38人だね」
今度はそれを、それぞれの分類毎に名簿に印をつけて行く。




172 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:56:27 ID:t0N3JVXw
安全(☆マーク)
・藤乃静留
玖我なつき
深優・グリーア
・杉浦碧
・棗鈴
・来ヶ谷唯湖
・井ノ原真人
・葛木宗一郎
・高槻やよい
菊地真
如月千早
・如月双七
・トーニャ
・一ノ谷刀子
・蘭堂りの
・神宮司奏
・アル・アジフ
西博士
・浅間サクヤ
羽藤桂
千羽烏月
若杉葛
ユメイ
吾妻玲二
ドライ


173 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:57:07 ID:t0N3JVXw
グレーゾーン(○マーク)
棗恭介
鮫氷新一
伊達スバル
椰子なごみ
士倉曜子
衛宮士郎

危険(◎マーク)
鉄乙女
ティトゥス
黒須太一
仮面の大男(名称不明)
刀を持った人間(名称不明:ティトゥス?)

死亡?(×)
真・アサシン
佐倉霧
エレン
橘平蔵


174 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/23(金) 23:57:16 ID:lPy+ZZ2H


175 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:57:37 ID:t0N3JVXw
不明(マーク無し)
九鬼
古河渚
藤林杏
古河秋生
クリス・ヴェルティン
トルティニタ・フィーネ
ファルシータ・フォーセット
伊藤誠
桂言葉
西園寺世界
清浦刹那
源千華留
柚原このみ



リトルバスターズの面々の中で、棗恭介のみは確実に安全とは言い切れず、
また鉄乙女から聞いた竜鳴館の面々は、何しろ告げた乙女自身があの状況である。
館長という橘平蔵という男は、安全な人物であったようだが、既に死亡してしまっているのだ。
その他、アサシンの言によって動向の確かでない衛宮士郎と、
美希の知り合いではあるが、同時に黒須太一の知り合いでもあり、霧によって危険と告げられた士倉曜子が不透明な位置に。

そして、確実に危険なのが全員がその目にした鉄乙女と、理樹が襲われた黒須太一、九郎と敵対しているティトゥス。
名前が判明している限りでは、この三人となる。
何処かの民族の仮面を付けた大男と、美希を襲ったと言う刀を持った男も、危険人物だと判明しているが、名前が不明なので、名簿には記せない。

そうして、四人は名簿に名前を記した。
(但し…虎太郎と美希は、密かにここの人間が実際に遭遇した相手14人(上記の・付)のみに更に印をつけていたが)


176 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/23(金) 23:58:02 ID:lPy+ZZ2H


177 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:58:11 ID:t0N3JVXw


「…とりあえず、このガイドブックがあればサクヤさん達からは信用されると思う」
「こんな物でか」
そうして、次に行われるのは支給品の確認。
九郎がお互いの身の証となりそうなものを虎太郎に渡す。
「あー、そういや九郎は魔術師とか言ってたな、ならコレ持ってけ」
「これは…宝石!? …こ、これを俺にくれると!?」
「……やっぱ返せ」
「あ、いえごめんなさい、魔力の篭っている道具だから何かに使えるかもしれませんから是非とも下さいお願いします」
普段の習性からか、魔力よりも金銭的な価値に目の行った九郎が虎太郎に平謝りする傍らで、
「この星を、美希さん達も持っていてくれない?」
「あ、うん仲間の証ってのだよね。 えーと、じゃあ代わりに、なりそうなものは…」
真面目なやり取りが行われていた。

そうして、状況の整理が終わり、電車の発車する時刻となる。

「気を、つけてね」
「ああ、そっちこそあの女がやって来る可能性もあるから気をつけてくれ」
「ああ、まあ心配すんな」
「うん、それじゃあ皆…」
そこで、理樹は一息付き、
(やるよ、アサシンさん)

「ミッション、スタートだ!」
再び、その言葉を口にした。

178 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:59:03 ID:t0N3JVXw
【F-7 電車内/1日目 昼】
【チーム:星組(良く見ると変態チーム)】

【直枝理樹@リトルバスターズ!】
【装備】:カンフュール@あやかしびと −幻妖異聞録−、生乾きの理樹の制服、トランシーバー
【所持品】:支給品一式×2、ハサンの髑髏面
      聖ミアトル女学院制服@Strawberry Panic!、女物の下着数枚、
      バルザイの偃月刀@機神咆哮デモンベイン、木彫りのヒトデ21/64@CLANNAD、トランシーバー
【状態】:疲労(中)、鼻に切り傷、悲しみ
【思考・行動】
 基本:ミッションに基づき対主催間情報ネットワークを構築、仲間と脱出する。殺し合いを止める。
0:西方向を探索し、12時までに再びF-7に戻ってくる。
1:リトルバスターズの仲間を探す。
2:仲間達と協力する。
3:真アサシンと敵対関係にある人には特に注意して接する。
4:首輪を取得したいが、死体損壊が自分にできるか不安。
【備考】
※参戦時期は、現実世界帰還直前です。
※真アサシンの死を、一先ず乗り越えました。
※トランシーバーは半径2キロ以内であれば相互間で無線通信が出来ます。
※名簿の名前を全て記憶しました。
※博物館に展示されていた情報を獲得しました。


179 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/23(金) 23:59:08 ID:lPy+ZZ2H


180 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/23(金) 23:59:30 ID:t0N3JVXw
【理樹のミッション】
1:電車を利用して、できる限り広範囲の施設を探索。
2:他の参加者と接触。
3:参加者が対主催メンバー(以下A)であり、平穏な接触が出来たらならAと情報交換に。
4:情報交換後、Aに星(風子のヒトデ)を自分が信頼した証として渡す。
5:12時間ごと(3時、15時)にAを召集し、情報やアイテムの交換会を開催する。第一回は15時に遊園地を予定。
6:接触した相手が危険人物(以下B)であり、襲い掛かってきた場合は危険人物や首輪の情報を開示。興味を引いて交渉に持ち込む。
7:交渉でBに『自分が今後の情報源となる』ことを確約し、こちらを襲わないように協定を結ぶ。
8:Bの中でも今後次第でAに変わりそうな人間にはある程度他の情報も開示。さらに『星を持っている相手はできるかぎり襲わない』協定を結ぶ。
9:上記の2〜8のマニュアルを星を渡す時にAに伝え、実行してもらう。
  なお、星を渡す際は複数個渡すことで、自分たちが未接触の対主催メンバーにもねずみ算式に【ミッション】を広めてもらう。
10:これらによって星を身分証明とする、Aに区分される人間の対主催間情報ネットワークを構築する。

【大十字九郎@機神咆吼デモンベイン】
【装備】:手ぬぐい(腰巻き状態)、キャスターのローブ@Fate/stay night[Realta Nua]
【所持品】:木彫りのヒトデ12/64@CLANNAD、アリエッタの手紙@シンフォニック=レイン、凛の宝石5個@Fate/stay night[Realta Nua]
【状態】:疲労(大)、背中にかなりのダメージ、股間に重大なダメージ、右手の手のひらに火傷
【思考・行動】
 0:西方向を探索し、12時までに再びF-7に戻ってくる。
 1:アルと桂、奏、蘭堂りの、佐倉霧を捜索。
 2:人としての威厳を取り戻すため、まともな服の確保。
 3:アル=アジフと合流する。
 4:ドクターウエストに会ったら、問答無用で殴る。ぶん殴る。
【備考】
 ※第二回放送の頃に、【F-7駅】に戻ってくる予定。
 ※着物の少女(ユメイ)と仮面の男(平蔵)をあまり警戒していません。
 ※理樹の作戦に参加しています。 把握している限りの名前に印をつけました。
 
 ※電車は10時20分発の10時35分着、F-2駅行きです。

181 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/23(金) 23:59:56 ID:lPy+ZZ2H


182 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/24(土) 00:00:02 ID:hZhUpWTm


電車を見送って、振っていた手を下ろす。
これから数時間、虎太郎先生と共に霧と拠点になりそうな場所を探さないと。

脱出…か。
そんな事本気で出来ると思っているのかな?
…思っていないとやらないか。
正直バカらしいと思うけど、それでも隠れ蓑としては役に立つよね。
うん、だから、しばらく…もしかしたら最後まで、一緒に行動しよう。
その為に、機会を見て、
(他には、このノートパソコンくらいしかないですけど)
(待ってくれ、パソコン?)
(九郎よ、流石に生徒の持ち物に手をだすなら容赦はせんぞ)
(い、いやそうじゃなくて、サクヤさんが)
このノートパソコンを壊さないと。
参加者の詳細名簿なんてものを見られる訳には、いかないから。
だから、この正直無駄だと思う探索にも、付き合おう。
あの女が追ってくる可能性も高いけど、でも、一緒に居るしかないよね。
だって、虎太郎先生を繋ぎ止める為に、あんなに悲しんでいるように見せたんだから。
だから、ここで霧を探す。
うん…だから…


無事で居て……霧……


183 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/24(土) 00:00:49 ID:t0N3JVXw
【F-7 駅/1日目 昼】
【チーム:星組(先生と生徒再び)】
【山辺美希@CROSS†CHANNEL 〜to all people〜】
【装備】:投げナイフ1本
【所持品】:支給品一式×2、投げナイフ4本、ノートパソコン、MTB
【状態】:健康
【思考・行動】
 基本方針:とにかく生きて帰る。集団に隠れながら、優勝を目指す。
 0:………霧
 1:詳細名簿を見れなくする為に、違和感が無いようにノートパソコンを壊す。
 2:虎太郎から信用を勝ち取り、拠り所にする。
 3:太一、曜子を危険視。
【備考】
 ※ループ世界から固有状態で参戦。
 ※理樹の作戦に乗る気はないが、取りあえず参加している事を装う事にしました。
 ※把握している限りの名前に印をつけました。(但しメンバーが直接遭遇した相手のみ安全と判断)


184 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 00:01:18 ID:lPy+ZZ2H


185 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/24(土) 00:01:48 ID:t0N3JVXw
【加藤虎太郎@あやかしびと −幻妖異聞録−】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、凛の宝石5個@Fate/stay night[Realta Nua]、包丁@School Days L×H、
      タバコ、ガイドブック(140ページのB4サイズ)、
【状態】:健康、肉体疲労(小)
【思考・行動】
基本方針:一人でも多くの生徒たちを保護する。
1:放送までF-7駅付近を捜索する。
2:美希は霧の親友であると判断、ただし霧はなぜ黙っていたのかについては考える。
3:子供たちを保護、そして殺し合いに乗った人間を打倒する。
【備考】
※制限の人妖能力についての制限にはまだ気づいていません。
※文壱を持った生徒(鉄乙女)を危険人物と判断。
※黒須太一と支倉曜子の危険性を佐倉霧から聞きました(ただし名前と外見の特徴のみ)。
※佐倉霧と吾妻エレンは、文壱を持った生徒(鉄乙女)に殺害されたと推測しています。
※理樹の作戦に参加しています。 把握している限りの名前に印をつけました。(但しメンバーが直接遭遇した相手のみ安全と判断)


186 : ◆/Vb0OgMDJY :2008/05/24(土) 00:02:44 ID:hZhUpWTm
以上です、投下完了しました。
支援有り難うございました。
誤字脱字等ございましたら指摘お願いします。

187 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 00:24:29 ID:CSJVw0Ua
投下乙。
続々と理樹のミッションに参加してくれる人が増えてるな。
まあ、少し破綻しかけてはいるんだけどw そしてノーマルに館長がwww
待つんだ美希、そのノートパソコンには無限の可能性があるんだ!

さあ、理樹は折れずにミッションをやり遂げられるかどうか。

188 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:30:47 ID:qJxxkknw
【No.13――光坂学園の制服】

 クリーム色を基調としたライトな色感。襟と袖に入った赤のラインが際立ちます。
 胸元のポケットに縫われた校章の刺繍もとってもチャーミング。由緒正しい校風を印象づけてくれます。

 ……光坂学園。どんなところなんでしょうねぇ。
 制服はブレザータイプで、地味すぎず派手すぎず、バランスよくまとまっています。
 規律の整った名門進学校か、はたまたお嬢様たちの秘密の花園か――も、想像が膨らみます。

 こんな制服を着られる女の子がいたとするなら、その子はさぞ幸せ者でしょう。
 私もあとxx(ちょめちょめ)歳若かったら……ごほんごほん。


※【某芸能プロダクション所属『怪人ピヨピヨ』による支給品解説CD〜@衣類編】より。


 ◇ ◇ ◇



189 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:31:49 ID:qJxxkknw
 F-2駅は、駅にあるまじき寂寥感を纏う、隠れ里の如き辺境の施設であった。
 朝焼けと共に飛来する小鳩の群れがハーモニーを奏でる一方で、行き交う人々の姿は一切なかった。
 鉄車輪が鉄道を擦り火花をあげる。
 近代的な香りを漂わせる時計代わりの音は、一種の騒がしさと言えた。
 ただその程度の鉄が生み出す騒ぎでは、女三人揃って産み出される姦しさには敵わなかった。

 開花期を迎えた花弁には至らぬ、深紅の蕾が一厘。
 果実にも似た潤いと湿気を併せ持つ蕾は、花というよりも苺であった。
 小さく健気で、自ら存在感を主張しようとはしない。
 半透明でありながら真っ赤、という矛盾した姿が衆目の的となった。

 衆目の筆頭として躍り出たのが、とある学び舎で「お姉様」と慕われる少女であった。
 成績優秀、容姿も派手ではないが粒ぞろいの乙女たちが介する中、頭角としての役割を少女は担う。
 ごきげんよう、と挨拶を返せばちいさな下級生たちはきゅん、と胸を押さえた。
 お姉様は蟻塚における女王蟻、ハレムにおけるスルタンであった。

 苺は熟れ頃であった。
 収穫期を前にした苺に対し、衆目の頭に位置していたお姉様は目を背けようとも顔が硬直した。
 赤。
 真っ赤。
 紅薔薇色。
 バイオレントレッド。
 赤は心を擽る魔性の色彩であり、まだ少女であるお姉様は瞳の領域をあっさりと侵略された。

190 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:32:50 ID:qJxxkknw
 苺自身に自覚はなかった。
 無自覚のまま醸し出される新鮮な香りが、お姉様の少女たる所以をやはり無自覚に刺激した。
 少女の本能は異臭を嫌う。
 空想の男性には憧れを抱きつつも、現実の男性には嫌悪感を抱く。
 汗と脂と精液と薄汚れたロマンチックの臭い。
 少女の幻想を嗅覚ごと木っ端微塵に破砕する、軽蔑すべき対象であった。
 お姉様が苺の香りに惹かれたのは、男性の放つ異臭とはまるで対局に位置する甘美であったからだ。

 お姉様のアプローチは苛烈を極めた。
 苺が発する扇情的な香りが、鼻腔を刺激する。
 お姉様は興奮している自分を見つめ、しかし暴走を諌めようとはしなかった。

 少女がなぜ少女を好くのか?
 少女はサムワンを求めるものである。
 少女は誰しも、心の中に珍獣の如き伝説の生き物を飼うものである。
 異性同性の隔てりはなく、少女は元々、幻を追い求める生き物であった!

 お姉様は、苺の震える姿態をじろりじろり舐め回した。
 着眼点は、服であった。
 苺は和装を好む。
 女としての体を慎ましく隠した衣は、新鮮味に溢れていたが物足りない。
 たとえ似合っていたとしても、お姉様はそれだけで満足できるような御利口さんではなかった。

 苺の耳元にお姉様の吐息と囁きが届く。
 ほぼゼロ距離の挑発は、苺にとっても、やられた!
 と頬を蒸気に包まなくてはならないほどであった。
 密接する体と体は、引力学に当てはまらない少女の法則であった。

191 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 00:34:58 ID:CSJVw0Ua
 

192 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:35:14 ID:qJxxkknw
 お姉様は勧めた。
 脱ぎましょう。
 苺は断った。
 いやです。

 交渉は決裂したが、お姉様にとって言葉は意味を成さぬものであった。
 いやいやする苺の態度に、また深く心をくすぐられる。
 ハート型の心臓をナイフの先端でちくちくちくちくと甚振られ、背筋に快感が走る。
 それは背徳の震えではない、まことの恍惚にほかならなかった。

 お姉様は苺の和装に手をかける。
 帯に、袖に、襟に、うなじに、ふとももに、乳房に、布から肌へと侵略していった。
 苺は口では嫌がっても、体では嫌がっていない。
 と、お姉様は合理的な解釈を持ち出した。
 苺にとってはまったく合理的などではなかった。

 苺の毛細血管が青く光る。
 雫を帯びた果実のように、食欲をそそる程度の潤いが、お姉様の視点をぐりぐりと嬲った。
 これはもはや、殺傷事件の域であった。
 弱肉強食の世を提唱する神父に反抗心を持つ程度には、お姉様は正義を重んじる。
 故に、これは苺の重大な呵責であるとまたもや合理的に解釈した。
 苺にとってはまったく合理的などではなかったが、お姉様は断罪をやめてはくれなかった。

 布擦れの音が激しく響き渡る。
 イギリスのダウンタウンの如く、駅構内は夜と霧の空気に包まれた。
 やんややんやと声を荒げる少女二人は、どっぷりと、その空気に浸り沈んでいった。

193 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:36:31 ID:qJxxkknw
 やがて苺は、清らかな裸身を包む鉄壁を剥がされてしまった。
 下手人はもちろんお姉様であった。
 目尻に僅かな涙の跡すら浮かべる苺を見ても、お姉様は情けをかけたりはしなかった。
 委ねなさい、と教えを説き、だんだんと苺に少女としての本質を理解させていった。
 そして苺は、柔肌以上にクリーム色が濃厚な、某高校の制服に着替えることとなった。

 本来、苺は人間という枠から一センチほどずれ、此度の催しのためにまた一センチ枠に戻された。
 その特異性から、着替えという行為自体が久方ぶりの感触であった。
 それも自らの四肢を持って服を纏うのではなく、他人に、立場を同じくする同性に、脱がされ着せられ。
 表向きの感想は涙であった。
 内面の嫌悪感は薄かった。
 苺はやはり、少女であったのだ!

 苺の泣き顔が少女としての体裁である一方、心中の喜悦もまたどうしようもなく少女である!
 そう察した瞬間、お姉様はまた嬉しくなって、恍惚と身を捩るのであった。
 丈の短いスカートに身を包み、頬を真っ赤に染める、果実以上に果実らしい苺に少女として嫉妬する。
 同時に、そんな苺に恋をした。
 お姉様は真性のエスというわけではないが、世間一般の少女よりは、同性への恋情を燃やしていた。
 お喋りは楽しい。
 ふれあいはもっと楽しい。
 アレやソレやコレは愉悦の極みだ。
 故に、やはりお姉様も少女であったのだ!

 苺は少女であり、お姉様も等しく少女であり、つまり結論はこうなる。
 地球は丸い。
 だからこそ、少女は少女に恋をするのだ!

194 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 00:37:12 ID:CSJVw0Ua
 

195 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:38:01 ID:qJxxkknw
 そんな二人きりのふれあいを、羨望に近い児童の眼差しで見つめる姿があった。
 給仕服に身を包み、世界の全貌を知り終えていないような若輩者の雰囲気を纏う、やはり少女。
 彼女もお姉様が見定めた苺の一種であったが、今お姉様が標的としている苺とは種が違う。
 目の前の苺がストロベリーだとするならば、後ろの苺はラズベリーであった。

 苺と木苺、甘みと酸味を併せ持った果実が二種。
 垂涎も仕方がない両手に花、状態。
 着眼点を服とするお姉様は、さらなる喜色を求めんがため、舌なめずり。

 この中でもっとも幼い木苺は、期待する反面、恐れた。
 お姉様の野望に近い目論みに、虎視眈々とした欲望が透けて見える挙動に、身構えてしまう。
 ただ無為だ。
 お姉様にとっても、木苺にとっても、抵抗は愚かすぎた。
 少女が三人集えば物理法則などまるで役に立たない。
 ふれあいを求める指先は、自然と肌を手繰り寄せた。
 お姉様が木苺の給仕服をひっぺがすのも、法則無視の必然性によるものなのだ!

 ……姦しい。
 誰かが呟いたが、それは少女たちの世界にとっては空耳ほどの価値もない、希薄な音未満であった。
 お姉様は木苺の服を剥ぎ、苺の服もまた剥ぎ、互いの服を着せ替えあった。
 眼福の境地に至ったお姉様は、失神もやむないほどの快楽を得て、失神などしていられないと踏ん張った。
 メイド姿の苺さんに制服姿の木苺ちゃんだ。
 サイズの関係上、和装姿の木苺ちゃんがクリエイトできなかったのが残念でならない。

196 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:39:20 ID:qJxxkknw
 かしまし大騒動の間、F-2の駅を何本か電車が行き来したが、三人は乗り込まなかった。
 幻の衝動を追い求める行為に、三者三様の心持で、ある意味、没頭していたからであった。
 約束の刻は正午十二時。
 間に合えば問題はない、とお姉様なりの合理的解釈に二人のベリーが服従した。

 少女は時間を厳守せず、享楽に励む。
 なぜか、なぜだ、なぜなのか。
 少女は少女である以前に、女、おんなであったから!

「ふぅ……まんぞく」
「うう……しくしく」
「はは……なははは」

 ――苺に和装を、木苺に給仕服を戻し、三人の少女は物語に帰結する。
 他を顧みない姦しさは潰えず忘れず、本来の役割を胸に刻み直す。
 次なる楽園を求めて、新たな電車の到来を待った。


 ◇ ◇ ◇



197 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 00:39:38 ID:CSJVw0Ua
 

198 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:39:55 ID:qJxxkknw
・キャスト

 源千華留――『お姉様』

 ユメイ――『苺の少女』

 蘭堂りの――『木苺の少女』


※この作品には、若干の誇張が含まれています。



199 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:40:27 ID:qJxxkknw
【F-2/駅/1日目/昼】

【源千華留@Strawberry Panic!】
【装備】:能美クドリャフカの帽子とマント@リトルバスターズ!、スプリングフィールドXD(9mm×19-残弾16/16)
【所持品】:支給品一式、エクスカリバーの鞘@Fate/stay night[Realta Nua]、
      怪盗のアイマスク@THE IDOLM@STER、物干し竿@Fate/stay night[Realta Nua]、
      RPG-7V1(1/1)@現実、OG-7V-対歩兵用弾頭x5
【状態】:健康、強い決意
【思考・行動】
 基本:殺し合いはしない。りのちゃんを守る。殺し合いからの生還。具体的な行動方針を模索する。
 0:さあ、お楽しみはこのくらいにして待ち合わせ場所に向かうわよ!
 1:りのちゃんと一緒に行動。何としてでも守る。
 2:奏会長、プッチャン、桂ちゃん、クリス、リトルバスターズメンバーを探す。
 3:恭介とトルタに若干の違和感。
 4:神宮司奏に妙な共感。
 5:とりあえず次の電車を待って、【F-7】の駅へ向かう。
【備考】
 ※浅間サクヤと情報を交換しました。
 ※恭介からの誤情報で、千羽烏月を信用に足る人物だと誤解しています。
 ※G-4の民家に千華留とりのがF-2の駅に向かう、というメモが残されています。


200 :ストロベリーミサイル ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:41:07 ID:qJxxkknw
【蘭堂りの@極上生徒会】
【装備】:メルヘンメイド(やよいカラー)@THE IDOLM@STER、ドリルアーム@THE IDOLM@STER
【所持品】:支給品一式、ギルガメッシュ叙事詩、地方妖怪マグロのシーツ@つよきす -Mighty Heart-
   騎英の手綱@Fate/stay night[Realta Nua]、ドッジボール@つよきす -Mighty Heart-
【状態】:健康
【思考・行動】
 基本:殺し合いはしない。ダメ、絶対。
 1:千華留さん、ユメイさんと一緒に行動。
 2:奏会長、プッチャン、桂ちゃん、クリス、リトルバスターズメンバーを探す。
 3:とりあえず次の電車を待って、【F-7】の駅へ向かう。
【備考】
 ※浅間サクヤと情報を交換しました。
 ※恭介からの誤情報で、千羽烏月を信用に足る人物だと誤解しています。
 ※騎英の手綱の効力については、後続の書き手氏にお任せします。

【ユメイ@アカイイト】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式×3、メガバズーカランチャー@リトルバスターズ!、光坂学園の制服@CLANNAD
【状態】:健康
【思考・行動】
 基本方針:桂を保護する
 0:うう…………きゅう
 1:桂を捜索する
 2:烏月、サクヤ、葛とも合流したい
 3:誰かを傷付けるのが怖い
 4:とりあえず千華留たちに付いていき、桂やサクヤと合流する
【備考】
 ※霊体化はできません、普通の人間の体です。
 ※月光蝶については問題なく行使できると思っています。
 ※メガバズーカランチャーを行使できたことから、少なからずNYPに覚醒していると予想されます。
 ※仮面の男(平蔵)が殺し合いに乗っていると思っています。

201 : ◆LxH6hCs9JU :2008/05/24(土) 00:41:34 ID:qJxxkknw
投下終了です。支援ありがとうございました。

202 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 00:50:40 ID:CSJVw0Ua
投下乙w
誰かこのパヤパヤ空間を止め……いや、止めるべきか否か?wwww
まさに趣味全開と言わざるを得ない、ある意味大作だったwww
お前ら、殺し合いに参加しろ、とwww

203 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 01:03:49 ID:nBpVNRGv
>>/Vb氏
投下乙です
理樹は現在唯一のステルスマーダーから逃れられたか
その代わり虎太郎先生が被害を受けそうだけどw
それにしてもツヴァイとドライが安全とかなんという勘違いw

>>LxH氏
こちらも投下乙です
お前らは一体何と闘ってるんだwww
その熱意を少しでもロワに向けてくれ
と、願いつつ次回もパヤパヤ希望でw

204 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 01:20:48 ID:Xt6G3Kwk
乙です
和やかでいいなぁ。

一つ気づいたことですが、
支給品解説CD〜@衣類編のNo.13は既に使われているため、
No.14にしたほうがいいですよ。

205 :週刊ギャルゲロワ2nd第10号(5/24):2008/05/24(土) 13:04:23 ID:CSJVw0Ua
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                   ,r':i:'::i:::i:::::i   _
                   i::::i':::::i:;':::;:r ̄'´::`.-.,_
                   l:::::i:;;/i:::::::::;;;;;;;;;;;;_::::::::`.、      素朴の疑問なのだが。
                   ヾ;::i':::i:ヾ:/ヾ:::i::::;'ヾ:::::::::`、      私の腕は結局、どうなるのだろうな?
                    l:::`、ヾrl::::::';:†:;':::::l`i、:r'''''''''''ヽ、
                    l;:';::::`:l::lv、::'__'::;r;;!:l;r':::::::::::::::ヾー-.,,_
                       l;:::'::;:ヾ;!-、  ,- ,/::;r'´ ̄'''‐-::;;::::::;! ̄ヽ、
                    ヾ::::'::;::ヽ ,,,i,,,,r'::::、ヾ、;;;;;;;;;;;r''''''`::‐-::;!:::::`ー-..,,__
                     トヾ、:::`::'''''''::::::´::-‐'´7 `''‐-<;;_::::;/:::::::;!::::::;!::::i ̄'‐.,__
                     ヾ;:ヾ:‐''''iヾ、`ーiフ'''''´      ̄''''‐-'----、;ノヾ;;ソ::::`7
                       !::>-‐ト-、!-;!                 `y'':::::::::/
                       /::!ヾ-:lヾ;i::Yl,                ,/::::::::::::/



206 :週刊ギャルゲロワ2nd第10号(5/24):2008/05/24(土) 13:05:12 ID:CSJVw0Ua

・ハ……ハサン先生ーーーーーーーーっ!!!
・まさかの言葉教、全滅! しかし、本当にこれで終わったのだろうか……
・侵食する固有結界、バカップル。再び空気に追いやられる少年のことを、我々はいつまでも覚えておこう。
・刀子さん、覚醒。いきなりの妄想癖爆発でウェンディングモードに、未把握の方々は唖然ですw
・乙女さん、もう彼女は止まらないのか……
・筋肉教教祖、着々と侵攻中?
・駅ではパヤパヤ開催の三人姦し娘たち。っていうか、筋肉といいパヤパヤといい温泉といい、ロワに参加すること自体に反逆する人多すぎだw

・第二回放送、秒読み段階! つーか早いよw 開催からどれぐらい立ちましたかwww


先週(5/15〜5/24)までの投下数:13作
死者:3名(桂言葉、棗鈴、真アサシン)
現時点での鬼他:羽藤桂(鬼)、鉄乙女、柚原このみ(悪鬼)、西園寺世界(クリーチャー)
現時点(5/24)での予約:1件(◆Uc氏)


207 :調教 ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:01:12 ID:64S90Tu5
「あ、そういえば忘れてた」

スラム街を移動していく途中、このみはふと何かを思い出したように立ち止まる。
そして、自分の後ろをついてくる男――フカヒレこと鮫氷新一――の方へ振り返った。

「な、何でありましょうかこのみさん!いやこのみ様!!」

いきなり振り向かれたフカヒレは、思わず持っていたディパックと装備を取り落としそうになりながらも本当の名を言ったとき同様、直立不動の姿勢をとる。
その顔は恐怖で引きつっているがこれは彼女に対する恐怖ゆえに仕方が無いことだろう。

「気になったんです。フカヒレさんがこのみと出会うまで何をしてたのかなって。教えてくれますよね?」

柚原このみが、自分と出会うまでのフカヒレはどこで何をしていたかを問うたことに大きな理由はない。
ただ、仲間――というより手駒ないし従者というべきか――になったのならそれぐらいは聞いておこうと思ったからだ。

もしこれが、ファルシータ・フォーセットの様に他人を利用することへ抵抗を感じない人間ならば、
そこから相手へと付け入る切っ掛けの一つも発見できるだろうが、このみにそういった発想はなかった。

「えっ、は、はい俺いや、私フカヒレめは……」

だが問いかけられたフカヒレ本人は、このみの思惑に関わらず返答に詰まった。


208 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:02:18 ID:64S90Tu5
別に自分のここにいたる経緯が人に誇れるものじゃないとは思っていない。
確かに子狐とのにらみ合いで敗北したり、保護者であった古河秋生を見捨てて逃げたという情けない部分はあるが、
それ以外は「古河渚」を名乗る少女を“倒した”という出来事や菊地真が危険人物であるのを見抜いたという人に誇れる「実績」がある。
伊藤誠の名を口に出したのも彼が真と行動を共にする危険人物だからであって、悪意を持ってやったわけではない。

返答に窮した理由を挙げるならそれは一言であらわすなら「直感」に基づくものだった。
このみへの恐怖に圧されていて、答えねばならないと思っていても彼の持つ動物的な本能が「話せば致命的に不味いこととなる」彼に告げたからだ。

「続きを話して、でないと」

そのフカヒレの態度は、このみを動かすには十分だった。
彼女の歩みが、二メートル程離れていたフカヒレとの距離を一瞬で詰める。

そして――
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「この耳、切り落としちゃうから」

次の瞬間、フカヒレの左耳その付け根へ包丁を当てていた。
耳の一つぐらい今の彼女の膂力を以って刃を引けば、すぐに切り落とせる。
それこそ水濡れの障子紙を手で引き裂くより容易に。

209 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:03:02 ID:64S90Tu5
 
 
 
 
「ひっ……ヒィッ!……い、言います!言わせていただきます!」

それで十分だった。
先ほどまで本能が発していた警告はどこへやら、自分が更に痛い目に遭うことへの恐怖からフカヒレはあっさりと陥落した。

そこから後のフカヒレは、垂れ流しに自分が会場に放り出されてから今に到るまでの全てを口にしていく。

子狐に睨まれて逃げた先で古河秋生と出会い、暫らく行動を共にしたことに始まって、放送でレオの死を知って取り乱したところで
吾妻玲二ともツヴァイとも名乗る男に襲われて秋生を見捨ててスラム街へと逃げてきたこと。
さらにその先で出会った「古河渚」を名乗る少女を倒したことも、煙の上がった方向に移動した先で伊藤誠と菊地真の二人に出会った際に
真が人殺しであると言ったら二人にボコボコにされたというその全てを。

それだけにとどまらずスバルや乙女、館長に椰子の事と他の知り合いのことまで口にしていた。


話が終わると同時に、このみはフカヒレの左耳から包丁を放す。
同時に、安堵したのか腰が抜けたのかフカヒレもその場にへたり込んだ。


210 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:03:25 ID:64S90Tu5
暫しの、そして不気味な沈黙の後このみは口を開いた。

「そっか、フカヒレさんは仲間を見捨てて逃げた卑怯者なんだ」

とても「仲間」に言うとは思えない冷徹な呟き。
それらがフカヒレの心に突き刺さる。

「だ、だって……仕方がなかったんだ……じゃない、仕方がなかったんであります……」

へたり込んだままのフカヒレの姿は気にも留めず、このみは話の内容を思い出す。

レオというフカヒレの知り合いが死んだことについては、自分もタカくんやタマお姉ちゃんやユウくんが死んでいるから何を今更としか思わない。
「古河渚」と名乗る少女を倒したという点も同じだ。ただ、フカヒレが人を殺したということを再確認しただけ。
誠が危険人物というのはファルのやったことそのものを知らなかったし、自分のことを心配してくれたことからフカヒレのウソか勘違いだろう。
玲二という名前はドライが口にしたのと同じ名だ。もしかしたらその人はドライの事を殺そうとしているのかもしれないが、はっきりしない。

だが「古河秋生という仲間を見捨てて一人逃げた」という一点は、既に悪鬼へと取り込まれつつあるこのみの心にまた一つ黒いシミを作った。

そして僅かな沈黙のあと、ヨロヨロと立ち上がるフカヒレに向けて小さく呟く。

211 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:03:45 ID:64S90Tu5
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「――――――おしおき」と
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


212 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:04:30 ID:64S90Tu5
「へ、今なん…………ブグッ!!」

口から漏れたのは、カエルが潰されるときのような呻き声。

直後フカヒレの体は、横に飛び近くの壁に叩きつけられる。
吹っ飛ばされた当人にすればいきなり視界が激しく動いたかと思えば体が硬いものに叩きつけられたというところだろう。

「ぐっ……げぇ……な……ぁんで……?」

すさまじい激痛に気を失いそうになりながらフカヒレはもがき、そしてこのみに理由を聞こうとする。
気絶しなかったのは、このみによるその一撃が本気で繰り出されたものではなかったからだろう。
そうでなければ気を失うどころか死んでいたのは確実だったはずだ。

このみは、倒れこんだままのフカヒレに近づき髪の毛をむんずと掴みながら強引に自分の方へと顔を向けさせる。

「聞こえなかった?これはフカヒレさんへのオシオキ」
「おし……おき……?ひぃ…………」

一方、フカヒレは言葉の意味を理解するより先に恐怖し、叫びとは言えぬ小声を漏らす。
輝きを失いながらも凶暴さと冷徹さと残虐さに彩られたこのみの瞳を見た瞬間、自分が殺されるのではないかと感じたからだ。

そのまま気を失いそうになった時、口の中に何かを突っ込まれ無理矢理に意識が覚醒させられる。
眼鏡が壊れ、視覚が急な状況の変化についていけなくとも、硬い金属質のそれがこのみの持つ拳銃、イクタァであると認識するまでそう時間はかからなかった。


213 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:04:54 ID:64S90Tu5
「だって、せっかく仲間になったのに逃げられたらこのみまた不安になっちゃうから。だから一度逃げたフカヒレさんにはオシオキするんです」
「ふ……ふぐぁが……」
 
ゴリゴリと銃を口へとねじ込まれるフカヒレは、そのまま首を縦に振りこのみへ肯定してみせる。
 
 
 
 
  
 
さて、ここで柚原このみによるフカヒレへの「オシオキ」と称した苛烈な暴力について述べておこう。
それはフカヒレに見捨てられた最初の犠牲者、古河秋生に対する同情と言ったものより、フカヒレ自身がとった行動そのものに対する彼女なりの回答と言える。

たとえ自分を見捨てて逃げたわけではないといえど、自分と会う前に一度そういった行動――仲間を見捨てての敵前逃亡――を
取っていたなら再び同じことをする可能性が十分あることを今のこのみですら理解していた。

もし悪鬼化する前のこのみならば、逃亡という行動に軽蔑はすれど暴力にまで到ることはなかっただろう。

だが、今はそうではない。
現在の柚原このみにすれば、フカヒレのとった行動は最初に出会ったときにとった行動と同様に彼の人間としての汚らしさを再度印象付けていく。

更に、それをただ聞いただけに留めていたならば、いずれはどこかで自分を放り出して逃亡するのではという疑心がある。
ならば、二度と同じ行動を出来ぬように、やればどうなるかというのを身をもって教え込んでやればいい。


214 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:05:22 ID:64S90Tu5
 
 
つまるところそれは言葉による糾弾ではなく「オシオキ」という名の実力行使――言い方を変えれば「調教」――に到るということだ。
 
 
 
 
(あ、ああ……ダメだ……もう、どうにもならねぇぇぇぇぇぇ……)
 
一方、このみの思惑など知らぬフカヒレ。彼は現在の状況になすすべもなくガタガタとみっともなく震えていた。
今の彼を一言で表すなら「木端微塵」というところだろう。
 
(なんで、こんなことになっちまうんだよぉ……か、勘弁してくれぇぇぇ!)
 
ワケが解らなかった。
仲間になってからは多少は安心できる、そう思っていた。
だが、歩き出して五分と経たぬうちに自分が何をしていたのか話せと言われ、多少脅されはしたが話すことは全部話した。
 
そしたらいきなり吹っ飛ばされ壁に激突し、痛みが治まるより先に今度は口に銃を突っ込まれ「これはオシオキだ」との一言。
恐怖のあまりに自分の口の中へ血の味が染みていくのも、舌に触れる銃とは違う異物感の正体が、へし折れた奥歯であると気付くこともできなかった。
ただただ首肯するのが精一杯だった……。
 
しかしそんなフカヒレでも理解できたことがあった。
 
このみへの恐怖ゆえに仲間となった彼だったが、プライドが消滅しようと恥も外聞もなく彼女に従おうと、それでも心のどこかではスバルや乙女、館長に会えれば助けてもらえる、
あるいは身体能力の差はあれど、隙を見て逃げることが出来るのではないかと思っていた。


215 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:06:18 ID:64S90Tu5
でも、甘かった。
結果はこのザマだ。
逃げるどころか、自分の過去の行動がこのみの不興を買ったのかいきなりオシオキと称して急所に膝蹴りをされた時のごとく壁に叩きつけられハエの様に無様に潰された。

つまりは「逃げられない。そのチャンスがあるかと思ったら甘すぎた」ということだ。
仮にこの先、知り合いと出会い助けを求めようとしても、その前に自分は殺されてしまうということも。

逃げられない以上はこの先もこのみに従うしかない。という絶望感がフカヒレの心を支配しているのは言うまでもない。

これが一つ目に理解したことである。

更にもう一つ。
今後、このみの許し無しには何一つ行動できないだろうということも理解させられた。いや、してしまった。

殺されたくない一心で仲間になり、これで殺されずに済む、死なずに済むという安心感がどこかにあったが、その淡い期待もあっさり崩された。
多分、自分は殺されはしないだろうとわかっていても、今後このみの不興を買えば同じ目にあわされるのは確実だったから。
その回数が積み重なれば最終的にどうなるかは考えなくてもわかりきっていることだ。

最初に出会ってからたかだか十数分、仲間となり歩き始めて五分程の間にフカヒレの心はへし折られ、とどめとばかりに粉砕されてしまった。

こんな状況なら狂ってしまってもおかしくなかったが、さしものフカヒレもそれについては必死で耐えた。
もし、狂ってしまえば。そうなったら恐怖から解放され幾らかは楽になれるだろう。
この異常な状況を忘却することで楽に死ねるかもしれない。


216 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:07:17 ID:64S90Tu5
が、発狂すれば目の前にいる少女は自分を役立たずと断じて殺すのは間違いなかった。
そうなったら最後自分は肉を食われ、血を啜られ、臓物を引きずり出され、骨はそれこそ髄までしゃぶりつくされるだろう。

そもそも死にたくない一心で仲間になることを誓ったのにここで殺されては本末転倒だ。

結果、「もっと生きたい」「死にたくない」という徹底的な、生への執着心がフカヒレから「発狂する」という選択肢を除外させていた。
現在彼が置かれている状況は別としても、生き抜く上で狂うことに抗ったのは間違っていない。


それにしても……、彼はわかっていない。

恐怖からこのみの仲間となり、そして逃げようとすればその前に殺されると理解したまではいい。
しかしその逆。何かあれば、このみがフカヒレをさっさと見捨てて逃亡する可能性が十分あることに気付いてない。

そのことに気付かないほうが今のフカヒレにとっては幸せなのかもしれない。

217 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:07:37 ID:64S90Tu5
【C-2 中心部/一日目 昼・放送直前】

【柚原このみ@To Heart2】
【装備:包丁、イタクァ(5/6)@機神咆哮デモンベイン、防弾チョッキ@現実】
【所持品:支給品一式、銃弾(イタクァ用)×12、銃の取り扱い説明書、鎮痛剤(白い粉が瓶に入っている)】
【状態:悪鬼侵食率30%、リボン喪失、右のおさげ部分が不ぞろいに切り裂かれている、倫理崩壊】
【思考・行動】
基本行動方針:何を犠牲にしても生き残り、貴明と環の仇を討つ。
0:柚原このみのまま、絶対に生き残り、主催者に復讐を遂げる。
1:ファルと世界に"復讐"をする。
2:気に障った人間は排除する。攻撃してくる相手は殺す。
3:フカヒレは今は仲間として適当に利用する。歯向かったり、逃げようとしたり、いらなくなったら殺す。
4:最悪、一日目終了時の教会でファルを殺す。
【備考】
※制服は土埃と血で汚れています。
※世界の名を“清浦刹那”と認識しています。
※ファルの解毒剤の嘘を看破しました。見つけ出して殺害するつもりです。
※第一回放送内容は、向坂雄二の名前が呼ばれたこと以外ほとんど覚えていません。
※悪鬼に侵食されつつあります。侵食されればされるほど、身体能力と五感が高くなっていきます。
※制限有りの再生能力があります。大怪我であるほど治療に時間を必要とします。
 また、大怪我の治療をしたり、精神を揺さぶられると悪鬼侵食率が低下する時があります。
※フカヒレのここまでの経緯と知り合いや出会った人物について把握済み。

218 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:08:33 ID:64S90Tu5
【鮫氷新一@つよきす -Mighty Heart-】
【装備】:エクスカリバーMk2 マルチショット・ライオットガン(5/5)@現実、ビームライフル(残量70%)@リトルバスターズ!
【所持品】:支給品一式×2、きんぴかパーカー@Fate/stay night[Realta Nua]、シアン化カリウム入りカプセル、
      スペツナズナイフの柄 、ICレコーダー
      ゲーム用メダル 400枚@ギャルゲロワ2ndオリジナル、37mmスタンダード弾x10発
【状態】:このみへの恐怖心、疲労(極めて大)、全身打撲、顔面に怪我、鼻骨折、奥歯一本折れ、口内出血、右手小指捻挫、肩に炎症、内蔵にダメージ(大)、眼鏡なし
【思考】
基本方針:死にたくない。
1:このみが恐ろしいので、機嫌を損ねたり、逆らわないようについていく。命令には絶対従う。
2:もう、逃げられない……。
3:知り合いを探す。
4:清浦刹那、ツヴァイ、ドライ、アイン、菊地真、伊藤誠を警戒
【備考】
※特殊能力「おっぱいスカウター」に制限が掛けられています?
 しかし、フカヒレが根性を出せば見えないものなどありません。
※渚砂の苗字を聞いていないので、遺跡で出会った少女が古河渚であると勘違いしています。
 また、先程あった少女は殺し合いに乗り、古川渚を名乗る偽者だと思っています。
※混乱していたので渚砂の外見を良く覚えていません。
※カプセル(シアン化カリウム入りカプセル)はフカヒレのポケットの中に入っています。
※誠から娼館での戦闘についてのみ聞きました。
※ICレコーダーの内容から、真を殺人鬼だと認識しています。
※ゲーム用メダルには【HiMEの痣】と同じ刻印が刻まれています。カジノの景品とHiMEの能力に何らかの関係がある可能性があります。
 B-2中心部に回収出来なかったゲーム用メダル@現実が100枚落ちています。
※逃げようとすれば殺されると確信しました。

219 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:08:55 ID:64S90Tu5
【エクスカリバーMk2 マルチショット・ライオットガン@現実】
全長780mm。総重量4,235g。
イギリスのワロップ・インダストリー開発のリボルビング・グレネード・ランチャー。
特大サイズのリボルバーのような、シリンダー型の大型弾倉を備えている。
撃発・発射はダブルアクション式だが、かなりトリガープルが重いので、指を二本かけて引けるようにトリガーの形が工夫されている。

220 : ◆AHO/leKv9s :2008/05/24(土) 21:09:40 ID:64S90Tu5
投下完了です。
仮投下の段階から末尾の部分を若干修正してます。

では、失礼します。

221 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 21:30:47 ID:CSJVw0Ua
投下乙!
おお、フカヒレよ。自ら発狂を諦めるとはいつになく良い選択だ。
これで確実にこのみから逃げ出す、というありがちな選択肢がなくなったな。いい気味だw
その通り、もうお前は逃げられないぞーっ

それにしてもタイトル『調教』ってwww

222 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 22:15:29 ID:TirB9J89
投下乙
フカヒレいい気味だw
これから生き地獄を存分に味わってくれw

あとタイトルを見て某るるるを想像したのは俺だけでは無いはずだww

223 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/24(土) 23:17:37 ID:Z62gy2x0
>>週刊ギャルゲロワ
投下乙です
AA一瞬誰か分からなかった
さすがハサン先生、AAまで気配遮断EXだぜw

>>AHO氏
こちらも投下乙です
フカヒレなら美少女になぶられて喜ぶかと思ったが
そこまでMじゃないのか、残念だw

224 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 00:18:06 ID:npYwa43G
>>223
なぶられるとトラウマが発動するからな。

225 : ◆UcWYhusQhw :2008/05/25(日) 22:00:59 ID:9Q1AD7r4
いい天気だった。

……むかつくぐらいに。


空はただ。

蒼く。

蒼く。

ただ蒼く。

俺はそれを見上げる。

ただ広い。

広い空を。

それに手を伸ばす。

届くわけなんて無いけど。

でも。

俺は願う。

どうか。

どうか。


226 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:01:21 ID:7TNoux7A


227 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:01:21 ID:zF4SMO6k
 

228 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:01:27 ID:SkD34NoR
 

229 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:01:29 ID:+8aeCmR7



230 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:02:49 ID:9Q1AD7r4
亡くなった人がやすらかにと。

そして誓う。

もう絶対繰り返させないと。
あの悲劇は、絶対。

もう片方の手にはリボン。

大きな、

大きな。

ただ大きなリボン。

そして空と真逆の色。

紅く。

紅く。

ただ紅く。

幼い笑みが思い出されそして儚く散った。
もう絶対彼女のような犠牲を出さない。


231 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:03:01 ID:SkD34NoR
 

232 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:03:28 ID:7TNoux7A


233 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:04:12 ID:9Q1AD7r4
そして俺は生き延びる。

そう、あの時誓ったのだから―――





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「……ここがいいかな」

治療が必要なトルタ達と一旦別れ、俺はトルタ達が治療している家のすぐ近くの公園にいた。
清浦を埋葬する為に。
埋葬しようと思った所は花壇の近くの木陰。
ここならやすらかに眠れると思って。

「……御免……御免な」

彼女はもう笑わない。

会ったのはほんの刹那。

たった一度きりの邂逅。

それでも彼女は儚く笑って。


234 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:05:09 ID:SkD34NoR
 

235 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:05:10 ID:9Q1AD7r4
それでも彼女は儚く笑って。

弱弱しいながらもしっかりしたピース。

あのとき

それでも

それでも

彼女は笑ってたんだ

確かに

わらってたんだ


でもそれは本当に刹那で。


彼女の命を奪ったほんの一発の銃弾。
でも充分だった。

彼女からスベテを奪うには。

なくなるヒカリ。
なくなるエガオ。

俺はただ見ることしか出来なくて。

あの時、気付いてれば。


236 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:06:10 ID:7TNoux7A


237 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:06:10 ID:+8aeCmR7



238 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:06:47 ID:9Q1AD7r4
あの時、

あの時と。
ただそればっかりが頭に浮かんで。
後悔だけしか。


だから。
だからこそあの2人組みは許せないと思った。
必ず倒す。
それは絶対だ。


俺はそう思い清浦を掘った穴に埋めようとする。
清浦はとても冷たく小さくなっていた。

なんだかそれが哀しくて。
それが死かとも思って。
目の前の現実が辛かった。

そして穴に横たえた瞬間こんな声が聞こえてきた。


―――どこを、間違えたのかな……?―――



239 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:06:56 ID:+8aeCmR7



240 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:07:37 ID:9Q1AD7r4
それは幻聴かもしれない。
ただ俺が思っただけかもしれない。

でも。

確かに聞こえた。

彼女の悲痛な声が。

俺はその声が聞こえた瞬間咄嗟に口にした。

「違う! そんな訳無い!」

否定の言葉を。
彼女が間違ってるわけ無いんだ。

彼女は必死に救おうとした。
あの時俺たちを。

すぐに逃げ出す事もできたかもしれないのに。

そんな彼女が間違ってる訳なんか無いんだ。
彼女は命を亡くしたかも知れない。

でも彼女の決死の行動が俺たちを生かしたんだ。
それは事実なんだ。

だから。

だからこそ。


241 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:08:17 ID:7TNoux7A


242 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:08:23 ID:SkD34NoR
 

243 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:09:54 ID:9Q1AD7r4
彼女の生は絶対に間違えたはずなんて無い。

誰かがそれを否定しても俺は絶対否定しない。
清浦刹那という人物は俺たちを救った。

例え本人が否定しても。
俺は肯定し続ける。

彼女の生が間違えたはずなんて無い事をそれを肯定し続ける為。

俺は新たに誓う。

そして俺は清浦の紅いリボンをとり声を出して。

「俺は生き続ける。そして清浦が生かした恭介たちを殺させない! 絶対だ!」

そう誓う。

強く。

ただ強く。

俺が生き恭介たちを守り抜く事。

それが彼女が命をかけて救ってくれたその生を肯定し続けることだから。

だから。

だから。

「絶対成し遂げる! そう誓う!」


244 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:10:30 ID:7TNoux7A


245 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:10:33 ID:+8aeCmR7



246 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:10:51 ID:9Q1AD7r4
成し遂げてみせる。
必ず。

だから見守ってくれ。

俺はやってみせる。

必ず

必ず……




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「みてろよ……清浦」

手に持った彼女の遺品のリボンを見てそう言う。

俺は生き延びると。
そして恭介たちを生き残らせる。

どうやら……あの2人は恋人同士みたいだし。


247 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:11:30 ID:SkD34NoR
 

248 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:12:27 ID:+8aeCmR7



249 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:12:40 ID:9Q1AD7r4
……あの後戻ったらなにやら怪しげな声が。
……多分俺の予想通りの事をしていたと思うし。
治療にはとても聞こえなかったし。
元々近寄らない雰囲気が。
それに恭介は自分の力でやるといった。
俺が手伝えばすぐ出来たあろうに。
それを拒否した。
まあ治療となればトルタが非常に恥ずかしがる可能性がある。

……それにしても治療したばっかなのに元気だなあの2人……


だから空気を呼んでちょっと時間おいて戻ったつもりがやっぱり読めてなかったらしい。
だからこそ今こうして外に一人でいるのだが。


でも恋人同士ならなおさら護らないと。
そう思う。

だから。

俺は出来る限りのことをやるよ。
全力で。

生きて。

生きて。

生き延びて。

頑張ったと胸をはれるように。


250 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:13:02 ID:SkD34NoR
 

251 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:13:48 ID:+8aeCmR7



252 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:14:36 ID:9Q1AD7r4
だからそこで見守ってくれよな?

清浦。

あかく

あかく

大きなリボンに誓おう。



そう思った瞬間。


何故か。

何故か。

その刹那に。

はかなく

きれいな

きれいな

笑顔が見えた気がした。


253 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:14:45 ID:+8aeCmR7




254 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:15:28 ID:SkD34NoR
 

255 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:15:46 ID:+8aeCmR7



256 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:16:31 ID:9Q1AD7r4
おおきく

まっすぐな

まっすぐな

ピースサインと一緒に。

あおく

あおく

澄み切った空の向こうから。

そっと

そっと

ほんの

その刹那に






257 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:16:32 ID:+8aeCmR7




258 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:17:17 ID:+8aeCmR7



259 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:18:03 ID:+8aeCmR7



260 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:18:09 ID:9Q1AD7r4
【G-6/カジノ裏手従業員用入口/1日目/昼(放送直前)】



【如月双七@あやかしびと −幻妖異聞録−】
【装備】:クサナギ@舞-HiME 運命の系統樹、双身螺旋刀@あやかしびと −幻妖異聞録− 刹那のリボン@School days L×H
【所持品】:支給品一式×3(食料-2)、予備弾丸18、首輪(リセ)、刹那の制服と下着、ファルの首飾り@シンフォニック=レイン、良月@アカイイト
【状態】:強い決意、肉体疲労(中)、精神疲労(中)、右膝と右肩に貫通射創(処置済み)、左肩裂傷(処置済み)
【思考・行動】
基本方針:仲間の確保と保護。
0:生きる!
1:恭介たちと同行、とりあえず提案は受け入れる。
2:九鬼先生と合流する。
3:向かってくる敵は迎撃。必要なら手を血で汚すことにも迷いはない。



【備考】
※双七の能力の制限は使い続けると頭痛がする程度です。
※首輪装着者の行動は主催者に監視されていると思っています。
※恭介達と情報交換しました。得たのは偽情報ではありません。
※首輪のカメラの存在について知りました。
※監視は『上空』『重要施設』『首輪』の3つから、カメラと盗聴器によって行なわれているという考察を恭介から聞きました。
※恭介&トルタを恋人同士と誤解、治療について何か致命的な勘違いをしています。



※スターブライト@Strawberry Panic! はカジノの裏口に係留されています。





261 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:18:17 ID:SkD34NoR
 

262 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:21:36 ID:/TgDk+bL
こういう気持ちの悪いポエムは日記帳にでも書いといてくれ。

263 :生きて、生きて、どんな時でも:2008/05/25(日) 22:22:10 ID:9Q1AD7r4
投下終了しました。
誤字矛盾があったら指摘お願いします。

タイトルは「いきて、いきて、どんな時でも」
元ネタはシンフォニック=レインの歌「I'm always Close to you」から。



264 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:25:46 ID:SkD34NoR
投下乙。
双七くんwwwwwwwwwww致命的な勘違いをwwwwwww
まあ、恭介とトルタのあの会話は確かに勘違いされ……いやぁ、どんなフラグにすればいいんだろう、これw
そして刹那の死を悲しんでくれるのが、刹那への救いかな。

別の話で世界の魔導書に食われてしまったのにorz

265 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:27:22 ID:7TNoux7A
投下乙&GJ!
いや、相変わらずこういうのは上手ですね。
綺麗な話だっ……と、あぁその誤解は決して責めることはできないw

266 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:27:32 ID:+8aeCmR7
お疲れ様です!
双七くん、決意はカッコいいしいい話なのになんという勘違いをw
そして刹那もワールドに碌な目に合わされなかったのに、気付いてあげられないのが哀しい……
生きろ双七くん、頑張れw


267 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/25(日) 22:37:45 ID:zF4SMO6k
投下乙です
双七君、改めて決意を固めたのになぜだろうか、君からはどうもいま一つ感が否めない
きっと勘違いしてるせいだなw気づけ……ないな、うん
刹那は改めて綺麗に逝ったなあw良かったよ
でも一方向こうでは……

268 :第二回放送 ◆LxH6hCs9JU :2008/05/27(火) 14:43:29 ID:SlsIZ4Gu
「――さて、放送の時間だ。早速死者の発表といこう。

 如月千早
 浅間サクヤ
 若杉葛
 ティトゥス
 藤林杏 
 古河渚 
 古河秋生
 佐倉霧
 桂言葉
 清浦刹那
 伊達スバル 
 アイン
 真アサシン
 棗鈴

 以上、14名。


 続いて禁止エリアを発表する。

 14:00よりD-5。
 16:00よりB-2。

 以上だ。


 では、また六時間後に再会しよう――」


269 :第二回放送 ◆LxH6hCs9JU :2008/05/27(火) 14:44:11 ID:SlsIZ4Gu
 

 ◇ ◇ ◇


 朝餉が終わり、昼餉が始まる正午の刻。
 極めて事務的な通告≠果たし、神崎黎人は進行役としての任に戻る。
 風華学園生徒会副会長の面影を残した柔和な笑みは、不快な喜色を纏わない。
 泰然自若――彼が好く四字熟語のとおり、その様は不気味なほどに穏やかだった。

「さぁ――新たに訪れる周期では、いったいどんな物語が紡がれるのかな?」

 一仕事終えた心持の神崎は、悠然とお茶を啜り、笑む。
 言葉は少なく、一切の遊び心を排除し、必要最低限の情報を与える。
 神崎の行った第二回定時放送は、言峰の趣向とはまったくの対局に位置するものだった。

「――もったいない」

 神崎の放送に率直な感想を述べたのは、背後に立つ進行役補佐――言峰綺礼だ。

「せっかくの語らいの時間を、なぜ無為にするのか。
 十二時間生き延びてきた彼らに、賛辞の一つでも与えてやらんのかね?」

 言峰に言わせれば、神崎の仕事ぶりは怠慢にも思えた。
 言葉は魔法のメスである。聞き手の傷跡に合うよう先端を研げば、その傷は容易に開く。
 許されるのならば限りなく長く、より多くの傷を抉れるように、効果的に切開という名の教えを説く。
 放送とは、愉悦を得るための唯一の機会であり、楽しみなのだ。
 それを神崎は、必要最低限の業務として終えた。言峰の考えに逆らうように。
 故に、もったいない――ただしそれは、あくまでも言峰綺礼の心理によるものだ。

270 :第二回放送 ◆LxH6hCs9JU :2008/05/27(火) 14:45:08 ID:SlsIZ4Gu
「……与えるだけが慈悲ではないと、僕は思うんですよ。甘言にしても苦言にしても、ね。
 特に言峰神父。第一回放送の際のあなたの教授は、彼らにとって実に有益なものとなったでしょうから。
 救いは与えられるものではなく、模索するものだと……知ってほしいんですよ、彼らには。
 それに、僕らは絶対の位置に立っている。それを慢心するわけではありませんが、自覚くらいはしてもいい。
 そうは、思いませんか?」

「――それが、君なりの考えというわけか。ふむ、おもしろい。
 私は神父としても、監査役としても、生と死の境に身を置く彼らに注目している。
 しかし神崎黎人、私は君という人間にも興味を抱いているのだよ。
 私と君は任を同じくする同僚といったところだが……互いにその本質を知り尽くしているわけではない。
 私が『補佐』としての役割に留まっているのも、君の手腕を見極めたいがためだ。
 神崎黎人には神崎黎人のやり方がある――そう言うのであれば、私も口出しはすまい」

 神父と――今はただの、平凡な男子高校生。
 思想も趣向も能力も違う二人が立場を同じくし、手を握る。
 その発端は未だ明かされず、暗雲のかかった関係が、舞台の幕引き役として番を待つ。
 また、六時間後に――。

271 : ◆LxH6hCs9JU :2008/05/27(火) 14:46:12 ID:SlsIZ4Gu
放送投下終了。タイトルは、
「第二回放送 神は慈悲深く、されど人の子は」でお願いします。

272 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/27(火) 16:59:23 ID:qZ2wzw8l
投下乙

WA氏
おおっ、ロワの異端児、黒須太一がついに動き出した。
こういう明るく切ないロミオ節も彼らしさなんだよな
彼の場合、生死や脱出よりも人間になれるのか気になる

Vb氏
九郎と理樹の純朴さが光ります。周囲の探索は余計は基地と出るか凶と出るか
あと、虎太郎先生、美希は本当にやばいキャラだから気をつけろ。
乙女さんも、後からやってくるわけだが、さてどうなる?

Lx氏
これは良い変化球。お前らロワ、真面目にやれw
結局、元の服を返してあげたのは彼女の優しさか

週刊ギャルゲロワ
今回の死はそれぞれ重かったなあ
まあ、腕の意味を知っているキャラは多少はいるが…

273 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/27(火) 17:00:58 ID:qZ2wzw8l
AH氏
このみ、カワイソスだったのにすっかり逞しくなって…
フカヒレ、これだと下手にトラウマモードも発動できんな
渚の真実知っちゃったらどうするんだろう、彼?

Uc氏
双七の心優しさと強さには毎回心を打たれますな
が、実害は無いとは言えまたもや勘違いw

スクイズ良心な刹那に関してはなんたる皮肉…
双七くんは間接的にワールドと因縁が出来たがどうなるか

放送
真面目な神崎でいきましたね
これまで空気だったけど、多少威厳を保てた、かな

274 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/27(火) 23:45:13 ID:nI5LELuR
放送投下乙です

ああ、神崎の存在をすっかり忘れていたw
まだ第二回放送だしこれからゆっくり存在感を出してくれ

それにしてももう第二回放送か…なんというハイペースw

275 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:40:49 ID:bcQERtdS
ファルシータ・フォーセット、投下します(・3・)
お暇な方がいらっしゃいましたら、支援宜しくお願いします

276 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:42:28 ID:bcQERtdS
「困ったわね……」

嘗てファルシータ・フォーセットと呼ばれていた少女は、心底困り果てた表情でそう呟いた。
目に入るのは、辺り一面に広がる緑。
昼食が取れる場所を求めて歩き続けていたのだが、見えるのは鬱蒼と生い茂る木々ばかり。
地図も、記憶すらも持たない身では、どの方向に進めば森を抜けられるのかすら分からない。
ファルは殆ど勘だけを頼りに、懸命に森の出口を探し出そうとする。
そんな彼女の歩みを中断させたのは、突如鳴り響いた一つの放送だった。

『――さて、放送の時間だ。早速死者の発表といこう』
「え……!?」

何処からともなく聞こえて来たのは、落ち着き払った男の声。
ファルは慌てて周囲を見渡してみたが、人の姿は何処にも見受けられない。
全く状況を理解出来ない内に、聞き覚えの無い名前が次々と呼ばれてゆく。

『如月千早、浅間サクヤ、若杉葛――』
「……っ、慌てちゃ駄目ね。まずはとにかく、話を聞かないと」

未だ混乱する思考の中、それでもファルは何とか気を落ちつかせて、放送へと耳を傾ける。
告げられる声は、森の中一帯に響き渡っていた。
これだけの声量である以上、拡声器か何かの類を用いているのは明らかだろう。
程無くして放送は終了し、ファルは重要だと思われるキーワードについて思案を巡らせる。

「放送? 死者? 禁止エリア? 一体何だって云うの……?」

『放送』、『死者』、『禁止エリア』。
この三つの単語が示す意味は、どのようなものだろうか。
『放送』とはそのまま、先の声の事だと考えて間違い無い筈。
そして『死者』の方についても、不確かながら推論を立てる事が可能だった。
既に自分は、無残に殺された少女の死体を目撃している。
恐らく『放送』で読み上げられたのは、この地で死んでしまった者達の名前ではないか。

277 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:43:46 ID:+U1sX80p
 

278 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:44:20 ID:bcQERtdS
「でも、何の為に?」

死者の名前を読み上げられるという事は、この地にいる人間達の状態を把握しているという事。
ならばこれ以上犠牲者が出ないように、即座に救出活動を行うべきだろう。
なのに先の声の主はどうして、ただ淡々と死者の名前を並び連ねる事しかしなかったのか。
ファルは暫くの間考え込んでいたが、やがて一つの結論へと辿り着いた。

「……考えても仕方ないわね。とにかく今は、人を見付けないと」

記憶を失っている今の自分には、圧倒的に情報が不足している。
これ以上一人で考え込んだ所で、信頼に足る推論が得られるとは到底思えない。
ならば今は一刻も早く人を見つけて、自分が置かれている状況について聞き出すべきだった。
そう判断したファルは考察を一旦中断して、森の中を再び歩き始めた。
そのまま数十分は歩き続けただろうか。
相変わらず緑しか見えない景色の中で、唐突に転機は訪れた。

「え、何……?」

ファルはピタリと足を止めて、呆然とした声を絞り出す。
自身の首元の辺りから、規則正しい電子音が鳴り響いていた。
音の正体を確かめるべく手を伸ばすと、鉄の冷たい感触が感じ取れた。
今まで首輪の存在にすら気付いていなかったファルは、事態を全く飲み込めていない。
何故、だろうか。
この電子音を聞いていると、どうしようも無いくらいの不安が沸き上がってくる。
ファルが不安の正体に気付くのを待たずして、首輪から機械的な声で警告が発せられる。

『貴方は禁止エリアに侵入しました。後30秒後に爆破します。
 それまでに禁止エリアから退避してください――』
「ばく、は……っ!?」

279 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:46:35 ID:+U1sX80p
 

280 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:46:40 ID:bcQERtdS
激しく点滅する首輪、放たれた警告のメッセージ。
何かが決定的に不味い。
殺人遊戯に関する記憶を根こそぎ失ったファルでも、何らかの危険が迫りつつある事は察知出来た。

『30、29、28―― 』
「いや……嫌ぁああぁぁっ!!」

30から始まって、一つずつ大きさを減らしてゆく数字。
それが、絶望的な何かが降り掛かるまでのカウントダウンだと理解して。
ファルは迫り来る驚異から逃れるべく、形振り構わず全力で駆け出していた。

とにかく全速力で、力の限り、警告を受けた地点から離れるように疾走する。
森を抜け、中世風の街並みが目に入ったが、走るのを止めようとはしない。
酸素不足で痛む肺も、弱音を上げる足も無視して、ひたすら逃亡を続ける。
ようやくファルが足を止めたのは、実に三十分近くも走り続けてからの事だった。

「――っ、はぁ、ハァ、ふ、はぁ…………」

激しく脈動する胸を押さえて、懸命に呼吸を落ち着かせる。
首輪からはもう、声は聞こえて来ていない。
兎にも角にも、危険からは逃げ切れたと判断して良いだろう。

「どうやら助かったみたいね。でも、さっきのは一体何だったの……?」

ファルは古ぼけた民家の塀に背中を預けながら、先程の出来事について思案を巡らせる。
まず第一に注目すべきは、警告に交じっていた『爆破』というキーワード。
退避しろと警告する以上、何かを爆破する予定であり、それがこちらにも危害を及ぼしかねないという事だろう。
だが、一体何を爆破するというのか。

281 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:47:57 ID:bcQERtdS
第一に考えたのは、禁止エリアそのものの爆破。
少し前に聞いた放送でも、禁止エリアという単語は出て来ていた。
禁止エリアというものが何を指しているのかは分からないが、禁止と銘打ってある以上安易に近付いて良い場所では無い筈。
先程のメッセージは、『爆破寸前の危険地帯に踏み込んだから今すぐ脱出しろ』、という警告かも知れない。
しかし、その推論では解決出来ない疑問が幾つかあった。
何故先の放送のような方法では無く、首輪から警告の言葉が発せられたのか。
何故突如として、首輪が電子音を上げ始めたのか。
そもそもどうして自分は、こんなモノを首に嵌められているのか。
禁止エリア自体が爆破されるという仮定では、首輪に関する疑問を解決する事が出来ない。

ならば、こう考えてはどうか。
爆破されそうになっていたのは、自分自身の首輪である、と。
先程自分は、踏み込む事が禁止されている地域に侵入した為、首輪を爆破されそうになった。
そして三十秒以内に走り去ったからこそ、何とか爆破を免れた。
それは数少ない情報から導き出された推論だが、あながち間違えでも無いように思えた。
警告を発したのも、電子音を打ち鳴らしていたのも、首輪なのだ。
ならば爆発するのも首輪だと考えるのは、至極当然の事だろう。

そこまで考えた後、一つの感情がファルの脳裏に沸き上がった。
外したい。
爆弾が仕込まれているかも知れないこの首輪を、今すぐ外してしまいたい。

「こんな、もの……っ」

何時襲って来るか分からない驚異から、一秒でも早く解放されたい。
ファルは両手を伸ばして、しっかりと首輪を掴み取った。

282 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:48:15 ID:+U1sX80p
 

283 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:49:59 ID:ZMM3O+Uv


284 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:50:14 ID:bcQERtdS
そのまま全力で引っ張ろうとして――行動に移す寸前で思い留まった。

「駄目ね……こんなやり方じゃ危ないわ」

記憶を失っているファルでも、爆弾が危険だという事くらいは理解出来る。
下手に負荷を加えれば、起爆の引き金となってしまうかも知れない。
勿論そうならない可能性もあるし、そもそも爆弾自体が仕込まれていない事だって考えられる。
しかし懸っているのは自身の命である以上、迂闊な行動など取れる筈が無かった。

「……私一人じゃどうしようも無いわ。やっぱり、人を探さないと」

自身の安全を確保しようと思うのならば、まずは人を探さなければならない。
もしかしたら、首輪の安全な外し方を知っている人間に出会えるかも知れない。
そうでなくとも、自分がどんな事態に巻き込まれているのかを尋ねる事くらいは出来るだろう。
ファルは他者との遭遇を渇望し、西洋風に彩られた町の中を歩いてゆく。

「何なのかしら、この気持ちは」

瞳に映る街並みからは、何処か懐かしい印象を受ける。
もしかしたら、記憶を失う前の自分は、此処と同じような街で暮らしていたのかも知れない。
ファルは様々な想いに囚われながら、静かに足を進めてゆく。
そうやって進んでいくと、やがてファルの嗅覚が錆びた鉄のような臭いを察知した。
彼女が出会った人間はまたしても、既にその生を終えたモノだった。

「……死んでる、わね」

見付けたのは、血塗れで地面に倒れている一人の少年。
それは凶弾の前に敗北した、岡崎朋也の死体だった。
以前に見た黒焦げの死体と比べれば、未だ綺麗な状態かも知れない。
しかし少年の即頭部は血で真っ赤に染まっており、顔は土茶色に変色している。
最早、絶命しているのは明らかだろう。


285 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:50:38 ID:ZMM3O+Uv


286 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:52:08 ID:bcQERtdS
「本当に、何が起こってるのよ……」

少年は明らかに、何者かの手によって殺されている。
人が人を殺すなど、どう考えても尋常な事態では無い。
死体を前にしても取り乱さないだけ、ファルは未だ冷静な人間だと云えるだろう。
しかし、それでも限界はある。
足りない情報が、次々と遭遇する死体が、首輪の驚異が、じわじわとファルの心を締め上げる。

「もしかして……私もこうなってしまうの?」

その言葉は、当然の危惧だった。
自分には、情報も身を守る術も無い。
あるのは、何時死を運んで来るか分からない首輪だけだ。
こんな状態で絶対に大丈夫と言い切れる人間は、余程の楽天家のみだろう。

「私もこの人みたいに……死んでしまうの……?」

ファルは確かな恐怖を覚えながら、目の前の死体を眺め見る。
少年のどろりと濁った瞳が、お前も早くこちら側に来いと、手招きしているように感じられた。
堪らずファルは死体から目を外そうとしたが、そこで彼女は銀色の光を目撃する。
それは、死体の首に嵌められている首輪が放つものだった。

「これは、私のと同じ……」

鏡で確認した訳では無いが、自分の首輪も手触りから判断するに鉄製だった。
恐らくは、目の前の死体が嵌めているのと同じものだろう。
ファルは更にもう一歩先へと思考を進め、現状がどんな状態であるかを正しく認識する。
即ち、これはチャンスだと。

自分の首に嵌められた首輪を分析するのは、鏡を用いたとしても困難極まり無いだろう。
しかし他人の――とりわけ死体の首輪ならば、思う存分調べられる筈だった。

287 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:53:01 ID:+U1sX80p
 

288 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:53:10 ID:ZMM3O+Uv


289 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:54:19 ID:bcQERtdS
「ごめんなさい。ちょっと、見せて貰うわよ」

死体に触れるのは気分の良いものでは無かったが、そんな事に拘っていられる状況では無い。
体温の失われた死体を抱き起こして、首輪へと視線を集中させる。
だが、その行為は全くの無意味に過ぎない。
ファルは現代よりも少しばかり昔の、未だ汽車が走っていた時代の人間。
複雑な機械に関しての知識など、殆ど持ち合わせてはいない。

首輪の外観を一見してみても、その構造については何も把握出来なかった。
自分では、首輪について調べるのは不可能。
首輪についてもっと深く知りたいのなら、他者の力を借りるしかない。
しかし、分析に使う首輪をどう確保したら良いのだろうか。
爆発の危険性がある以上、自分の首輪を分析させるといった選択肢は有り得ない。
幸い此処にはもう一つ首輪があるが、死体ごと運ぶ訳にも行かないだろう。




――ならば死体の首を切り落として、首輪だけ奪って行けば良い。




一瞬そんな考えも浮かんだが、慌ててファルはそれを打ち消した。
亡骸の首を切り落とすなど、死者への冒涜に他ならない。

「……そう、ね。そんな恐ろしい事、やっちゃいけないわよね」

この少年に何があったかは分からないが、彼は死してようやく安眠の時を迎えたのだ。
その眠りを妨げるような恐ろしい真似だけは、絶対にすべきでは無い。

290 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:54:35 ID:ZMM3O+Uv


291 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:55:54 ID:bcQERtdS


でも――本当に、それで良いのだろうか。


死者の亡骸を傷付けるのは、確かに糾弾されて然るべき行為だろう。
しかし自分とて、命が懸っているかも知れないのだ。
『首輪に爆弾が埋め込まれている』という推論が正しければ、首輪の解除は非常に重要だろう。
此処で首輪を手に入れられなかった事が、後々命取りとなる可能性も十分にある。
ならば、形振り構ってなどいられないのでは無いか。

「私は――」

ファルは震える手を鞄へと伸ばして、中から包丁を取り出した。
此処で首輪を奪い取るという行為は、果たして人間として正しいのか?
そんな事、考えるまでも無い。
記憶の大半を失ってしまったものの、最低限の道徳くらいは持ち合わせている。
死者の亡骸を蹂躙するような行為は、人間として明らかに最低最悪なものだろう。
それでも、思う。
自分はこんな所で死にたくない、と。

未だ見ぬ、愛しい両親や恋人。
彼らと逢えぬままに逝くなど耐えられない。
落ち着いた気持ちになれる、『歌う』という行為。
命を落として二度と歌えなくなるなど、到底我慢ならない。


そして何より――自分が何者なのかも分からぬままに終わるなど、断固として否定する。

292 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:56:38 ID:+U1sX80p
 

293 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/28(水) 23:58:21 ID:bcQERtdS


自分にはまだまだやりたい事、しなければならない事が沢山ある。
知りたい。
自分はどんな人間なのか、ちゃんと思い出したい。
生きたい。
歌を歌いながら、未だ思い出せぬ両親や恋人に囲まれながら、幸せな人生を送りたい。
それが自身の偽りざる本心だった。
だからこそ、名すらも失った少女は決断を下す。


「ごめんなさい、私は未だ死にたくないの。だから――貴方を『利用』させて頂戴」


ざくり、と。
倒れ伏す少年の首に、墓標のように包丁が突き立てられた。



    ◇     ◇     ◇     ◇



一度行動に移してしまえば、後は自分でも意外な程に、躊躇い無く動き続けられた。
只の一刺しで首を両断する事は叶わなかったが、ファルは何度も何度も刺突を敢行。
その際、返り血を浴びないように注意する事も忘れない。
血で服を汚してしまえば、誰かと出会った時に警戒されてしまうかも知れない。
例え記憶を失っていようとも、ファルはそんな愚を犯したりする程馬鹿では無い。
多少包丁の刃が痛んだものの、やがて首を両断する事に成功し、同時に首輪も手に入った。

294 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:58:42 ID:YsCY3pio
 

295 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/28(水) 23:59:23 ID:ZMM3O+Uv


296 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/29(木) 00:00:13 ID:bcQERtdS
「……さようなら。私にこんな事を云う資格は無いかも知れないけど、今度こそ安らかに眠れると良いわね」

ファルは朋也の死体を申し訳無さげに一瞥した後、その場を歩き去っていく。
足は、道の向こう側に見える大聖堂へと向かっていた。
大聖堂は遠目から一見しただけでも分かるくらい、無残な様相を呈していた。
大きな穴が穿たれた壁、ぐにゃりと歪んだ扉。
無数の罅、無数の瓦礫が、厳かだったであろう大聖堂の雰囲気を完膚無きまでに破壊している。
それでもファルは引き返したりせずに、壁の穴から内部へと侵入した。
住む者の居なくなった、荒廃した礼拝堂。
天窓から日差しが降り注いで、ファルの白い肌を眩く照らし上げる。

建物の中に人の姿は見受けられないが、それはファルとて予想していた事。
こんな荒れ果てた場所に滞在する愚か者など、そう居る筈が無い。
だと云うのに何故わざわざこんな場所へ来たのか、理由は只一つ。
此処は地上より遠く、天には尚遠い、告解の惑い場。
今からファルがしようとしている事には、うってつけの場所だった。
ファルが視線を正面へと向けると、一際大きな十字架が瞳に映し出された。

「じゃあ始めましょうか。私の礼拝を」

記憶を失う前の自分について、朧げながら予想が付いてきた。
殆ど無意識の内に浮かび上がってくる、『利用』という単語。
死体の首を切り落とすという行為すらやり通す、冷酷な行動力。
記憶を取り戻す前の自分は、もしかしたら随分と酷い人間なのかも知れなかった。
しかし所詮推測に過ぎないし、仮に正解だったとしても、それが自分を形作る全てでは無いだろう。
記憶を取り戻したいという想いは、今も何ら変わる事が無い。

297 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/29(木) 00:02:08 ID:bcQERtdS
「私は未だ死ねないの。私は誰? 私はどんな人間?
 知りたい事は、まだまだ沢山あるの」

死ねない。
自分が何者かも思い出せないまま死ぬなんて、余りにも哀し過ぎる。
自分は絶対に、記憶を取り戻すまで死ぬ訳にはいかない。
生き延びる為に、他者を利用する事になったとしても。
記憶を失う前の自分が、非道な悪党だったとしても、だ。

「私はパパやママと逢いたいし、恋人とも再会したい。
 歌だって、もっと歌っていたい」

瞳を閉じれば、深い緑色の目をした少年の顔が浮かび上がった。
名前までは未だ思い出せないが、彼が自分の恋人なのであるという事は理解出来た。
彼や、両親と絶対に再会しなければならない。
その為には、決して立ち止まったりしない。
ファルは目を開くと、真っ直ぐな瞳で十字架を見据えて、強く、強く、宣言する。

「だから――この十字架の前で、私は誓う。何としてでも、失った記憶と幸せを取り戻して見せるって。
 たとえその結果、罪を犯す事になろうとも」

幾ら中身を失おうとも、長年を掛けて培ってきた器までは変わらない。
嘗ての自分程、全てを割り切れている訳では無いし、他者を思い遣る心も失ってはいない。
けれどその道を目指すのに、最早迷いは無く。
少女は鉄の意志を以って、自らの中身と幸福を追い求める。

298 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/29(木) 00:02:42 ID:PgcW/bzd
 

299 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/29(木) 00:03:33 ID:VC351P8Z
【E-3 大聖堂/一日目 日中】
【ファルシータ・フォーセット@シンフォニック=レイン】
【装備:包丁(少々刃毀れしています、返り血は拭き取ってあります)、デッキブラシ イリヤの服とコート@Fate/stay night[Realta Nua] 】
【所持品:リュックサック、救急箱、その他色々な日用品、ピオーヴァ音楽学院の制服(スカートがさけている)@シンフォニック=レイン
 首輪(岡崎朋也に嵌められていたもの) 】
【状態:重度の記憶喪失(僅かだが記憶が戻り始めている)、頭に包帯、体力疲労(中)、精神的疲労(中)、後頭部出血(処置済み)、空腹】
【思考・行動】
 基本:他者を利用してでも絶対に生き延びる。自分の記憶を取り戻したい パパとママと恋人を探したい
 0:他者を利用してでも、自身の生存を最優先する
 1:まずは他者と接触して、自身が置かれている状況や、首輪についての情報を入手する。
 2:首輪を外せる人間を探す。
 3:男性との接触は避けたいが、必要とあれば我慢する
 4:パパやママ、恋人を探し出す

【備考】
※ファルの登場時期は、ファルエンド後からです。
※頭を強く打った衝撃で目が覚める前の記憶を失ってますが、徐々に思い出しつつあります。
※当然バトルロワイアルに参加していること自体忘れてます。
※教会に倒れていたこととスカートが裂けてたことから、記憶を失う前は男性に乱暴されてたと思ってます。

300 : ◆guAWf4RW62 :2008/05/29(木) 00:04:27 ID:bcQERtdS
投下完了しました
数多くの支援、どうも有難う御座いました
タイトルは『瓦礫の聖堂』で、
誤字・矛盾等ありましたら指摘宜しくお願いします

301 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/29(木) 00:04:30 ID:+U1sX80p
 

302 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/29(木) 00:06:38 ID:5TaWLxZO
うはww
蔵など、主人公メインヒロインとも死体を蹂躙されてるww

303 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/29(木) 00:06:47 ID:PgcW/bzd
投下乙です
ファルはだいぶ戻ってきてるなーいいことなんだろうけど非情ぶりも戻ってきてて複雑w
しかし、クラナド勢は死んでからも本当碌な目に遭いませんねw

304 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/29(木) 00:13:52 ID:HqUTYZX1
投下おつかれです
CLANNADでまだ安全なのはアッキーだけか…
これからどうなるかわからんな…w

305 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/29(木) 01:43:59 ID:VxaWiQul
投下乙です

やべえよwこの女
それにしても朋也哀れです

306 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/29(木) 18:16:34 ID:JJlTbXpE
投下乙
ファル様はやっぱりファル様だ
記憶復活したらどうなることやら

307 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/29(木) 18:59:24 ID:c22ogUdt
投下乙。
おお、ファル様w 記憶を失ってもなおファル様なのが妙に安心したw
朋也……これで綺麗な死体は秋生さんだけか。なんていうか、不幸ってレベルじゃないですw
しかしまぁ、渚の名前で復活しない場合、どうすれば復活するんだろうか。

やはり、クリスか誠かw

308 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:10:26 ID:cKITyGwr
 



「…………もうすぐ、放送か」

千羽烏月は高く昇った太陽と、自分に支給された時計を交互に見ながら呟いた。
静留と別れて一時間ぐらいだろうか。
すぐにでも走り出したい気持ちを抑えて、烏月は体力の回復と身体能力の把握に努めることにしていた。
周囲に気を配りながらも、腕を鈍らせないように地獄蝶々を振るって感覚を取り戻す。

(鬼切りも……『我、埋葬にあたわず』も、それぞれ体力と霊力を多く消費する。回復もいつもに比べて遅い)

どちらも一度使用すれば、六時間ほどの休憩が必要だろう、と暫定的な時間を己に告げた。
大聖堂で使用した『我、埋葬にあたわず』と千羽妙見流の裏奥義である『鬼切り』……烏月の奥の手だ。
使えば確実に戦況を一変させることができる。
だが、それ故に消費する体力や霊力は並外れている。どちらも一度使えば、しばらくの使用は禁じるべきだ。

放送ごとに六時間の殺し合い。
利用できるのはそれぞれ一度のみ。『我、埋葬にあたわず』は気絶覚悟で使えば二度はあるかも知れない。
目安はそこだ。現状把握を終えた烏月は、静かに湖を見つめて放送を待ち続けた。


309 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:11:09 ID:z5rQYDVC
 

310 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:11:27 ID:cKITyGwr
「……それにしても」

いつまで寝ているつもりなんだ、と溜息をつきたくなる。
緑色の髪の狂人を微妙に冷めた目で見下ろしながら、烏月は軽く溜息をついた。
ドクターウェストは未だ大きないびきをかいて眠っている。きっとさぞかし疲れも取れたことだろう。
こんな緊張感のない男に説得された、ということに妙な敗北感を感じた。

烏月が羽藤桂を捜しに行きたい心を抑えて、ここに留まっている理由はふたつ。
ひとつは先述した体力の回復。
もうひとつはこのウェストに、藤林杏のことを伝えなければならないと思ったからだ。

「……気持ちよさそうに眠っているところすまないが、そろそろ起きてくれないか?」
「ん〜、むにゃむにゃ……」

反応なし。
とても幸せそうな顔で眠っている。
寝言まで聞こえてきて、少しだけ烏月のこめかみがピクリと動いた。
とりあえず『ハーレムに科学力世界一の我輩最高っ、今すぐボタンを作成するのだ』などと言うウェストの頭を蹴り上げた。

ごつりっ!

「ぐはっ!? 何なのであるかっ!? 敵襲!? まさかこれも孔明の罠であるか、引け、引くのであるッ!」
「……何を言っているのですか、あなたは」

ようやく、ドクターウェストが起床。
とりあえず目覚めの挨拶と言わんばかりにヒートアップしようとするウェストを、冷たい言葉で凍りつかせた。


311 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:11:58 ID:dXpEaPXe
 

312 : ◆guAWf4RW62 :2008/06/01(日) 03:12:28 ID:qJgefg9O
 

313 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:12:48 ID:cKITyGwr
「藤林杏が死にました。恐らく確定情報です」

ぴたり、と停止するウェスト。
表情が若干、真面目なものになったのを見て烏月は思う。
この男はキ○ガイだ、それは間違いない。だが……場数を踏み、冷静な判断を即座に下せる猛者でもある。
彼の頭脳が一般人のそれを大きく凌駕していることは、もはや疑いようがないだろう。

そんな彼に手に入れた残酷な情報を突きつける。
藤乃静留が手にかけた、という事実を話すべきかどうか迷ったが、話さないわけにはいかないだろう。
ウェストが気絶している間に起こった出来事を説明し終わると、ウェストは少しだけ遠い目をした。

「……そうであるか。凡骨リボンが」

寂寥の瞳だった。
一時とはいえ、共に行動していた仲間を追悼するような表情だった。
悲しみではなく、寂しさのような静かな慟哭は一瞬だけ。

「……大莫迦者である」

烏月は何も言わなかった、何も言えなかった。
どんな反応をするだろうか、と内心思っていたが、想像以上に静かに受け入れられたようだ。
寂しげな表情は一瞬だけで、再び口元をニヤリと歪めて戦意を取り戻すウェスト。
諦めはない、絶望はない。
仲間の分まで、己の矜持をかけてこのゲームを転覆させるという意志が、瞳の中で野心と共に再び燃え盛った。

彼は何かを言おうとした。
改めての決意表明か、それともこの場の雰囲気を払拭するために再び騒ぎ出そうとしたのかも知れない。
結果として、ウェストは続きを語ることはできなかった。


314 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:12:50 ID:qJgefg9O
 

315 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:13:12 ID:bs4Uickj


316 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:13:18 ID:z5rQYDVC
 

317 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:13:29 ID:qJgefg9O
 

318 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:13:46 ID:dXpEaPXe
 

319 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:13:52 ID:cKITyGwr

『――さて、放送の時間だ。早速死者の発表といこう』


時刻は正午。
悪魔の放送の時間である。


名前が挙げられていく。
簡易的な放送だった。前回の説法のようなものとは異なり、死者の名前と禁止エリアを挙げるだけのもの。
六時間の間に命を奪われた者の名前が告げられていく。

『浅間サクヤ、若杉葛』

烏月の瞳がこれ以上ないほど、驚きに見開かれた。
呼ばれた名前は六時間近く前に再会した、己の旧知の仲にして怨敵。互いにいがみ合っていた知人の名前だ。
彼女が本気を出せば、自分などよりも更に強い。
その彼女が、桂を置いて死ぬなど有り得るのだろうか。

そしてもう一人は己の上司、鬼切り頭を継いでいただく若杉の頭領だった。
彼女もまた、なんだかんだ言って生き延びるものだと思っていただけに衝撃は大きかった。
信じられない気持ちで続きを待つ。
烏月は放送の度に神に祈りを捧げるだろう。頼むから、無事でいてくれ、と。

『ティトゥス』

烏月、ウェスト両名が弾かれたような反応を見せる。
あの化け物のような男が死んだというのか、というのが両名の素直な反応だった。
僥倖、あまりにも僥倖である。
ウェスト自身警戒対象であったし、烏月自身は彼と戦って殺し合いに乗っていることを知っていた。
僅かにもたらされた吉報はしかし、やはり慰めにしかならなかった。


320 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:14:52 ID:cKITyGwr
『藤林杏』

ウェストが僅かに眉をひそめながら、空を見上げた。
事前に聞いていたとはいえ、改めて告げられるとまた違うのだろう。
心の何処かでは静留の勘違いであることを祈りたかったが、無駄な希望だったと溜息をつく。
彼は揺らがない。死は見慣れたものなのだから。

「………………ふう」
「…………ぬう」

放送が終わる。同時に、二人は深い溜息をついた。
色々と考えなければならない。
烏月はこれからのことを冷静に考え、即座に正しい判断を下さなければならない。

(桂さん……)

無事だったことに安堵した。
心の底からほっとして、その後は思考へと意識を移す。
何をすることが桂のためになるのか、どうすれば桂が生きて帰れるのかを考えなければならない。
彼女が無事なら何も要らない。
彼女さえ帰れるのなら、主催者に反抗もする。彼女さえ帰れるのなら、この手を何十人もの血で染め上げることも厭わない。

だから考えろ、最善の行動を。
サクヤが死んだ今となっては、彼女を身を挺して護れるのは自分だけなのだから。


321 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:15:44 ID:z5rQYDVC
 

322 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:16:18 ID:cKITyGwr
「……ドクターウェスト。私はここで別行動を取ります」
「なにい!? どうしてであるか、理由を述べるのである。原稿用紙三枚分ぐらいでプリィーズッ!」
「知人が亡くなりました。私は一刻も早く、桂さんを捜して守らなければならない」

それが最優先。桂を捜し出して守る、これ以外に方法はない。
情報はない。だからこそ数多くの人と出逢って情報を聞き出さなければならない。
ならば急がなければならない、今すぐにでも。

「ドクターウェスト。申し訳ないが、あなたの発明品はお借りします」
「むう……他人に使われるのは癪であるが、我輩が持っていても意味がないである。持ってけどろぼー」
「代わりに誰かへの伝言、捜索の願いがあれば聞き届けましょう」
「大十字九郎に伝達を頼むのである。『我輩の力が借りたければ、そちらの対応しだいでは受けてやらないこともないのである』」

承知しました、と烏月は頷いた。
ウェストへ一礼する。発明品を借りたことへと、そして一人になっても帰れないかも知れないという可能性の示唆に。
その忠告は最終的には無駄になるかもしれない。
だが、それでも感謝の気持ちはあった。この先、己がたとえ再び修羅に堕ちたとしても。

「それでは。ご武運をお祈りします」
「うむ。そちらこそ我輩の発明品を持っていくのなら、死ぬことは許さないのである! 必ず無事でいるのであるぞ!」

凡骨リボンのようにはなってくれるなよ、という言葉が飲み込まれた。
藤林杏、結局彼女の人生は何だったんだろうか。
走り去る烏月の背中を見送りながら、寂寥の思いが胸の中にあった。どいつもこいつも大莫迦者たちだった。
せめて彼女には、二の舞になってほしくないと思った。

その背中が見えなくなった頃、ウェストはこの後の行動をどうするかを考え始めた。
もはや藤林杏が死んだのであれば、大聖堂へと向かう意味もない。
烏月に伝言こそ頼んだが、それでも仇敵(本人談)にしてライバル(本人談)である大十字九郎は自力で捜すしかない。
問題は当てがない、という純然たる事実である。


323 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:16:59 ID:z5rQYDVC
 

324 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:17:15 ID:boIK+AiU
 

325 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:17:46 ID:bs4Uickj


326 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:18:07 ID:qJgefg9O
 

327 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:18:20 ID:cKITyGwr
(む……? つまるところ、我輩は千羽烏月に付いていっても何の問題もないような…………シィィィィィィイイットッ!!)

心中で絶叫をひとつ。
数秒後、復活。天才とは失敗にめげることなく次に生かす者のことを言うのだ。
転べば起きればいい。七回転べば八回起きればいいし、百回転べば百一回起き上がればいいのだ。

「ええい、仕方ないのである! 我輩は我輩の道を進むのである、レッツ、プレイッ!!」

壊れたギターをかき鳴らしながらウェストも再び歩き出す。
仲間の死は受け入れよう。それが己の未熟にも要因があると認めよう。
だが、決してその道を違えることはない。彼は悪の道を懲りずに慢心する自称大天才、しっかりと歩む道筋は見えている。
その道を進むことが正しい、と絶対の自信と共に進むのならば……彼の生き様に迷いはない。



【D-4 森(南部)/1日目 日中】

【ドクター・ウェスト@機神咆哮デモンベイン】
【装備】:無し
【所持品】支給品一式 、フカヒレのギター(破損)@つよきす -Mighty Heart-
【状態】左脇腹に銃創
【思考・行動】
基本方針:我輩の科学力は次元一ィィィィーーーーッ!!!!
1:知人(大十字九郎)やクリスたちと合流する
2:ついでに計算とやらも探す
3:霊力に興味
4:凡骨リボン(藤林杏)の冥福を祈る


328 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:18:25 ID:boIK+AiU
 

329 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:19:05 ID:boIK+AiU
 

330 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:19:12 ID:cKITyGwr
【備考】
※マスター・テリオンと主催者になんらかの関係があるのではないかと思っています。
※ドライを警戒しています。
※フォルテールをある程度の魔力持ちか魔術師にしか弾けない楽器だと推測しました。
※杏とトーニャと真人と情報交換しました。参加者は異なる世界から連れてこられたと確信しました。
※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます。
※烏月と情報を交換しました。


     ◇     ◇     ◇     ◇


 如月千早
 浅間サクヤ
 若杉葛
 ティトゥス
 藤林杏
 古河渚
 古河秋生
 佐倉霧
 桂言葉
 清浦刹那
 伊達スバル
 アイン
 真アサシン
 棗鈴


以上、14名。

331 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:19:23 ID:z5rQYDVC
 

332 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:19:29 ID:0cuA1VGK


333 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:19:37 ID:boIK+AiU
 

334 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:19:39 ID:cKITyGwr
朝から正午にかけて執り行われた殺し合いでの死者が告げられる。
非業に飲み込まれて消えていった命が、あまりにも無機質に伝えられた。
この島に存在する者のほとんどに衝撃を再びもたらし、そして再び六時間後の出番を待つ。

「……あ……?」

一人の青年もまた、衝撃を受けた人間の一人だった。
鮫氷新一は憎らしいほど眩しい太陽を見つめ、呆然と小さく小さく絶望した。
彼にとって文字通り、望みを絶たれたという気分だった。

「スバ、ル……おい、嘘だろ……? レオに続いてお前までって……なんだよ、それ」

伊達スバル……フカヒレたち『対馬ファミリー』の兄貴分だった。
四人の中で誰よりも頼りになり、誰よりも喧嘩が強くて、誰よりも自分を助けてくれるはずだった相手が。
このみの元から救ってくれるはずだった親友が、この島から消えていった。
鮫氷新一にとって誰よりも頼りにしていたのは、スバルだった。彼の死の衝撃はあまりにも青年の心を揺さぶった。

(おいおい、これからどうすんだよ……?)

ぐらり、とフカヒレの身体が揺らぎそうになった。
嘘だ、と叫びたかった。
この地獄を救ってくれるはずの親友の死を突きつけられ、目の前が真っ暗になっていくのを感じた。


335 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:20:03 ID:z5rQYDVC
 

336 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:20:09 ID:boIK+AiU
 

337 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:20:54 ID:qJgefg9O
 

338 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:21:52 ID:cKITyGwr
(スバルの奴、死んじまったぞ……?)

死者14名。
そんな、呆然とした頭の中に情報だけが叩き込まれた。
そのうち古河秋生、棗鈴、如月千早、古河渚の名前を知っていた。
顔を知っている。実際に話したことがある奴もいた。
写真を見れば判別できるし、数時間前には野球をしたメンバーまでが……全員、この世を去っている。

(俺が見捨てた秋生のオッサンも……一緒に野球したあの二人の女の子も死んじまった……)

その事実を咀嚼して飲み込むのに時間がかかった。
生き残りは自分だけ。
あの野球場のメンバーで生き残ったのは自分だけ……次は、誰の番だ、と乾いた唇から声が出た。
死にたくない、と。
死ぬのはあまりにも怖いんだ、と言い訳した。

(死んだ……死んだ、死んだ……古河渚、も……?)

ぴたり、青年の動きが止まった。
鮫氷新一は人を一人殺している。古河渚を騙って殺し合いに乗り、自分を騙そうとした女だ。
そう、倒したのは偽者のはずだ。それなら娘の名前まで呼ばれる必要はないはずなのだ。

(待てよ、俺が倒したのは古河渚の偽者だったはずだろ……? だったら古河渚の名前が呼ばれるはずなんてねぇだろ……?)


339 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:21:54 ID:0cuA1VGK


340 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:22:48 ID:cKITyGwr
もちろん、自分が殺したのは別の人間で、渚本人は別の理由で死んだと考えることはできる。
だが良く考えてほしい。秋生の娘ということは、少しは父親の面影が残っているものだろう。
最初に出逢った『ナギサ』と自分が殺した『ナギサ』の違い。
秋生と同じ色の髪、そして触覚のような髪型……フカヒレに言わせれば『アホ毛』と呼ばれるものが奇妙に一致する。

まさか。
まさか、まさか。
まさか、まさか、まさか。

自分が殺したのは『古河渚』なのだろうか。
最初に出逢った女の名前も『ナギサ』としか聞いていないことを今更思い返して、冷や汗が止まらなくなった。
途端に取り返しのつかないことをした、という恐怖が彼を苛もうとする。

「へ、へへ……へへへへ……関係、ねえって」

だから何だというのだろう。
仕方ないじゃないか。勘違いさせるようなことをした向こうが悪いのだ。
自分は悪くない。悪いのは殺し合いなんかに参加させた神父たちで、勘違いさせた古河渚だ。
怖がる自分を不用意に追い詰めるからこういうことになる。

「俺は、悪くねえ、悪くねえよ……」

彼ら、彼女らは皆、死んだ。
刺殺、射殺、斬殺、撲殺、絞殺、圧殺、爆殺、轢殺。
自分はどんな風に殺されてしまうんだろう、と考えると狂いそうになってしまう。
死にたくない、死にたくない、死にたくない。

もっと生きていたい。
だから自分に降りかかる火の粉は全部振り払っただけに過ぎないのだから。
必死に頭を振って否定した。
渚の名前が呼ばれたのは偶然だし、自分は殺し合いをしようとした悪魔を斬り殺しただけに過ぎないのだ。


341 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:23:03 ID:0cuA1VGK


342 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:24:29 ID:cKITyGwr
(そうだよ……狂うなよ、俺……? 生きたいなら、クールになれよ……)

不安と恐怖で吹っ飛んでしまいそうな理性を強引に押さえ込んだ。
だって狂ったら終わってしまう。
狂ったら、利用価値がなくなってしまったら……その瞬間、自分の命は簡単に消し飛ばされてしまうと知っている。
フカヒレは僅かに同行者であり、主でもある柚原このみへと視線を向けた。

放送を前にして思うことはないだろうか。
自分と同じような衝撃を受けてくれれば、もしかしたら。万が一にでも逃げ出せるのではないか。
そんな淡い希望はあっさりと打ち砕かれる。

「ふっ……ふふふふふふ、あはははははは……」

笑っていた。
柚原このみは死者の名前を聞いて可笑しそうに哂っていた。
悲しみではなく、歓喜。
憎らしい存在が消滅したことへの、人間としての本能の喜びのままに哂い続けた。

「そっか、死んじゃったんだ、刹那さん。あははは」

本来の彼女なら、笑わなかったに違いない。
本来の彼女なら、複雑であろうとも悲しんでいたに違いない。

だが、彼女の精神は悪鬼に蝕まれつつあるが故に。
人間の本能、より強い負の感情が黒く黒く黒く、純粋だった少女の心を染め上げていくのだ。
世界の代弁者のような存在だった清浦刹那。
彼女が死んだことを聞いて、最初に思った感情は……いい気味だ、というどす黒いものだった。


343 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:24:35 ID:0cuA1VGK


344 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:25:05 ID:qJgefg9O
 

345 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:25:48 ID:cKITyGwr
「……ファルさんはまだ生きてるね。良かった、良かった」

それはまた、喜ぶべきことだとこのみは思う。
復讐しなければならないから。
世界に、主催者に、ファルに復讐することが悪鬼たる自分の突き進む道なのだから。

「ねえ、フカヒレさん」
「はっ、ははははい、何でございましょうか、このフカヒレめにぃ!?」
「うん、そろそろ行こうと思うの。用意して」
「はい、ただいまっ、お嬢様!」

へこへことしながら、フカヒレは崩壊しそうになる頭をフル回転させて考える。
言うとおりにしなければ殺される。ならば、絶対服従が絶対条件だ。そうすれば殺されない。少なくとも彼はそう思っている。
スバルは死んだ。だけど、まだ希望がなくなったわけではないのだ。
鉄乙女がいる。椰子なごみがいる、橘平蔵がいる。
彼らなら必ず自分を、この鬼の手から救い出してくれるに決まっている。そう、信じた。信じるしか自分を保つ方法がなかった。

「…………あれ……?」
「そ、それでこのみ様、どちらへ…………このみ様?」

ふと、彼女の足が止まった。
可愛らしげに首をかしげているその様子は、年相応のものだと言っていい。
フカヒレもまた首をかしげた。少し怖いから離れたところにいるのはご愛嬌だが、このみはフカヒレなど毛ほども見ていない。
その視線は別の方向へ。精神を集中させて『それ』を知覚する。

あの女の匂いがする、と言えばいいのだろうか。
そんなはずがないのに。
たった今、彼女は放送で名前を呼ばれていたはずなのに……どうして、生きた彼女の気配を感知できるというのだろう。


346 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:25:57 ID:0cuA1VGK


347 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:27:12 ID:cKITyGwr
「…………まさか」

このみの足がその方向へと動いた。
彼女が悪鬼に侵食された分、五感は人間のそれを上回って発達している。
その嗅覚が『彼女の匂い』を捉えたのだ。
嫌な予感がして、このみはずんずんと先へと進んでいく。もちろん、フカヒレこと鮫氷新一を置いて。

「あっ? えっと……」
「途中でいなくなったら、またおしおきだからね……?」
「は、はいぃ! 全力で追従させていただきます……!」

今の彼女なら、このまま我を忘れて逃亡しようとする彼を仕留めることは容易い。
それはフカヒレ自身にも分かっていることで、もはや反抗のしようはなかった。
このみは眼鏡の少年を追従させながら、可愛らしい鼻を動かしてその匂いを追い続ける。

(……この腐った匂いと、あの人の匂いが混ざったような……それでも、まだ生きているような)

もちろん、確信はない。
腐った死体がそこにあるだけなのかも知れないし、放送を信じるならそれが当然だ。
だが、もしもという可能性がある。
この世界は黒く染まって腐っている、このみが実感した世界の裏側だ。だからこそ、その可能性にも行き当たる。

確かめよう、と思った。
汚い世界の裏側を確かめなければならないと思った。
その先に、更に深い業と憎悪が待ち受けていたとしても。



348 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:27:36 ID:0cuA1VGK


349 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:28:22 ID:z5rQYDVC
 

350 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:28:30 ID:qJgefg9O
 

351 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:28:33 ID:cKITyGwr
     ◇     ◇     ◇     ◇


『では、また六時間後に再会しよう――』

ぶつり、と放送が途切れた。
島のあちこちで怨嗟や、絶望や、悲嘆、あるいは歓喜の感情が飛び交っているだろう。
一人の少女がいた。じっと、何もない虚空を見つめ続けていた。
少女はほんの一瞬、魂を抜かれたような表情だった。まるで心を奪われたように、動こうとはしなかった。

「…………嘘」

ぽつり、と少女の口からそんな言葉がこぼれた。
一度生み出されれば、それはまるで洪水のように後から後から流れ出す。

「……嘘、嘘、嘘、嘘、嘘、嘘、嘘。
 嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘。
 嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ!
 刹那が死んだなんて嘘、そんなはずない!! 桂さんが死んだのも嘘! そんなことがあるわけないッ!!」

この世界は自分に都合の良い世界なのだから。
指が欲しいと思えば指が生えてきた。自分のための世界……否。
自分の名前は『世界』なのだ。故にこの世界は自分自身、だからこそ親友の刹那たちが死ぬなど有り得ない。


352 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:28:53 ID:0cuA1VGK


353 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:29:12 ID:cKITyGwr
「そうだよ、私だけは大丈夫なんだから。
 だから刹那たちだって大丈夫。そんな酷いことあるわけない。
 まったく、ダメな人たち。放送を言い間違えるなんて。
 そう、嘘なんだから。嘘、嘘、嘘。あはははは。嘘だってば、しつこいな。まったくつまんない」

口元を優雅に歪めてみせる。
そう、自分がこんな目にあっているなら、他の人にも同じ目にあって貰わないといけない。
偽りでも刹那を失った悲しみを味わったんだから、自分もどんどん殺さなきゃと思った。
そうすれば放送のたび、多くの人に同じ苦しみを味わわせてやれる。そうだ、それがいいと笑い続けた。

「まったく、桂さんも仕方ないよね。私の子、ちゃんと守ってくれないといけないのに。
 食べなきゃ、桂さんを食べなきゃ。
 そうしたら私の赤ちゃんも戻ってくるよね? あは、ははははは。はははははははは♪」

笑う。
哂う。
嘲笑う。

悪鬼に侵食された身体は少女の身体を蝕み続ける。
もはや精神は正常になど戻らない。
憎しみで生きる存在、憎悪を糧にして生きる存在。それこその己の存在価値。
それが悪鬼という妖怪なのだから。


354 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:29:45 ID:0cuA1VGK


355 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:30:36 ID:Tl8tPkcK



356 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:30:39 ID:qJgefg9O
 

357 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:30:57 ID:cKITyGwr
「………………?」

彼女の鼻が、何かを捉えた。
こちらに近づいてくる気配。知らない匂いと、知っている匂い。
嫌らしく笑った。今度こそは歓喜の笑み、近づいてくる怨敵の存在に高笑いしたくなってきた。

「あは、柚原さんだぁ」

何という偶然。いや、世界は自分のものだ。なら偶然じゃない。
北に向かおうと思ったのに、突然利きだした嗅覚が明確に憎悪の対象の一人を突き止めた。
さあ、歓迎しよう。
果敢にこちらへと向かってくる食料の存在を。

一分にも満たない時間だった。
ざり、と地面を踏みしめる音がして、世界は復讐の相手の一人の姿を見た。
ぼろぼろのおさげ、瞳を見開いて驚愕の意志を示す柚原このみがそこにいた。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「………………どう、して」

西園寺世界を前にして、このみは喉が渇くほどの驚きを得た。
目の前にいたのは『清浦刹那』と名乗った少女の姿。
放送で呼ばれたはずの彼女は、こうして壮絶なほどの祝福の笑みで柚原このみを歓迎していた。
彼女は口元を歪ませて笑っている。微笑み続けている。


358 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:31:06 ID:0cuA1VGK


359 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:31:43 ID:Tl8tPkcK



360 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:32:07 ID:cKITyGwr
あまりにも異様な光景だった。
死んだと告げられているのに生きている。
生きているはずなのに蛆虫が湧いたような死体の匂いがする。
そして何よりも、自分と同じ同族の匂いがした。そんな気配がした。同じ化け物なのだと告げていた。

「こんにちは柚原さん、よくも指を、指を、指指指喰いちぎってくれたよね、よね……?」
「………………そっか」

このみは自然に納得した。
知っていた、この世界が腐りきっていたことは知っていた。
だからそれを再確認しただけに過ぎない。だから驚きなどというものはなかった。
やっぱりか、という諦観だけがあって悲しくなっただけだった。

彼女はファルと同じなのだ。
このろくでもない世界そのもの。偽名を騙って人を騙し続けたのだ。
その結果として『清浦刹那』が死んだとしても関係ないのだ。


361 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:32:24 ID:z5rQYDVC
 

362 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:32:39 ID:Tl8tPkcK



363 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:32:52 ID:0cuA1VGK


364 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:32:54 ID:cKITyGwr
「ふふふふふふ……」
「…………あは」

ならば。
ならば、もう。
ならば、もう遠慮なんてしない。

互いの想いが一致する。
両者の感情が等しく、全く同じものとなる。
復讐しよう、目の前の女に思い知らせてやろう。
自分が受けた恐怖を、苦痛を、絶望を……目の前の鬼を必殺することで、制圧することで、征服することで。

「ふふふふふ、ふふっ、くくくくけけけけけけけけけけけッ!!!」
「あはははははははははははははははははははははははッ!!!」

鬼となった西園寺世界が高らかに哂い続ける。
悪鬼となった柚原このみが高らかに笑い続ける。
二匹の鬼が互いを喰らい尽くそうという気持ち、歓喜と哄笑が響き渡った。

鬼同士の潰し合い。
憎しみを糧にして生き続ける悪しき妖怪へと変貌した二人の少女の殺し合い。
世界は歪む、嘆き続ける。
生み出してしまった狂気と憎悪と悲嘆と絶望、その全ては間違いなく悪鬼の覚醒を認めた世界の咎なのだから。

遅れてきた青年がいる。
何の取り柄もない一般人であるところの鮫氷新一は死地へと足を踏み入れてしまった。
選択権などなかったとはいえ、その場に足を踏み入れた以上は公平だ。


365 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:33:31 ID:cKITyGwr
「ひっ……ひ、ぃぃぃぃぃ……!」

二人の少女の敵意に、殺意に、殺気に足が竦んだ。
本能が告げていた。一秒でも早く逃げろ、と。
理性が告げていた。逃げれば確実に捕まって殺される、と。

(た、助けて……助けてくれ、俺、いやだよ、こんなの……!)

進むも死、退くも死。
ここにきて彼の進退窮まったと言ってもいいのだろう。
これから始まる殺し合いは人の身で生き残れるような、生易しい殺し合いではないのだから。
二人の少女は凶器など持っていない。隠し持っているものはともかく、今はそれぞれが無手のように見える。
だというのに、フカヒレにはそれが最強の暗殺者よりも更に恐ろしい存在に見えたのだ。

どうすればいい。
どうすれば死なずに済むのか。
気を緩ませれば失禁してしまいそうなほど震える身体を抑え付けて、彼はただそれだけを考え続けた。


     ◇     ◇     ◇     ◇



366 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:33:34 ID:0cuA1VGK


367 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:33:44 ID:Tl8tPkcK



368 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:33:46 ID:boIK+AiU
 

369 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:33:56 ID:qJgefg9O
 

370 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:34:25 ID:cKITyGwr
「――――――ぁぁああああッ!!」

先手はこのみだった。
大地を蹴ると、爆発したような轟音が響いた。一瞬で世界との距離をつめる。
悪鬼化に伴う身体能力の増強。
このみの脚力、および腕力は著しく向上。何の変哲もないはずの小さな右手は、今や鉄塊のそれに近い。

容赦などしなかった。
手下のフカヒレに使ったような遊びではなく、相手を一撃で叩き潰すための一撃。
振り下ろした右手は世界の顔面を叩き潰すはずだった。

「あはははっ、すごいね! 柚原さんも強くなったんだ! でもでもでも私のほうが強いに決まってるんだからっ!」
「うあっ……!?」

全力を尽くした右腕の一撃は容易に受け止められ、そのまま投げ飛ばされた。
身体を捻って受身を取る、が元よりこのみは投げ飛ばされるなど生涯初めてのことだった。
受身の取り方も見よう見まねのようなもので、不完全な状態のまま地面に叩き付けられる。
かはっ、と空気を吐き出してしまうが、すぐに立ち上がった。

(うそ……あの時は、このみのほうが強かったのに。強かったはずなのに!)

簡単に制圧できた。彼女の血の味をまだ憶えている。
あの段階では柚原このみに軍配が上がっていたはずだったのに、現段階ではこうして圧倒されている。
たった一度の攻防で分かってしまった。
目の前の自称、清浦刹那は……化け物として、自分よりも更に戻れない場所にまで来てしまっているのだ、と。

そして、このみの考えは限りなく正しいのだ。
悪鬼に人間としての精神の半分を明け渡してしまった世界の身体能力は、このみのそれを大きく超えている。


371 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:34:38 ID:0cuA1VGK


372 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:34:39 ID:Tl8tPkcK



373 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:35:58 ID:Tl8tPkcK



374 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:36:03 ID:cKITyGwr
「くっ……!」

銃を取り出した。
ドライから譲ってもらった銃には勇気がこもっている。
彼女のようになるのだ。その教えを生かすときが来た。息を吸い、このみは力の限り叫ぶ。

「銃を持ったら躊躇うな。ありったけの殺意をこめて標的を……撃ち殺せッ!」

射撃、光の弾丸が放たれる。
初めて撃った銃の振動は重くなかった。悪鬼としての恩恵なのだが、拍子抜けなほど反動を感じなかった。
込めたのはありったけの殺意。世界に……セカイに向けて叫んだこのみの恨み言だった。

「あはっ、当たらない当たらないっ! そんなの当たるわけないじゃない! はは、はははははっ!!」

世界はこのみと同じように地面を蹴って回避する。
このみは運動神経は悪くないが、世界は腹の中の子供のことを考えればしばらく走ってはいない。
両者の運動神経はせいぜい年相応のものに過ぎないはずだ。
だが、互いに己の内側から侵食する悪鬼の身体能力を借り得ている。年相応の少女が、銃弾を避けるぐらいには。

このみの放った銃弾は世界から逸れ、虚空へと飛来していく。
世界には届かない。弾丸である以上、その動きは変えられないのが必然だ。

「―――――曲がれ!」

その常識をこのみが打ち砕く。
世界の表情が凍りつく。その瞳は背後へ、先ほど避けたはずの銃弾が迫ってくる様子を見た。


375 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:36:49 ID:qJgefg9O
 

376 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:36:55 ID:boIK+AiU
 

377 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:36:58 ID:Tl8tPkcK



378 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:36:58 ID:cKITyGwr
それは『魔法銃、イタクァ』
術者の意志どおりに弾丸の軌道を修正し、何処までも標的を追跡する銃なのだから。
避けられたなら、もう一度帰ってくればいい。
飛来する弾丸が二発、世界は少女に相応しくない形相のままに叫んだ。

「こっ―――――のぉぉおおおおおおおおおおッ!!」
「えっ……!?」

光の弾丸を素手で弾き飛ばす。
ただ弾くのではなく、弾かれた弾丸がこのみへと突き進むように思いっきり叩き落した。
ぐちゃり、という音と同時に牙を向く己の放った弾丸。
このみが反応できたのは偶然にも近い。かろうじて首を逸らすことで、凶弾と化した弾丸は吹っ飛ばされる。

「ひぃぃいいいいっ!?」

イタクァの弾丸はこのみの背後に隠れていた鮫氷新一の下へと。
直撃、されど本人に傷はなし。彼が身を隠していた大木へと突き刺さり、木の皮容易に貫通した。
その事実に青年は愕然とした。
彼女たちの戦いによる流れ弾は、大木の裏側であっても喰らい尽くすと分かったのだから。

逃げたい、でも逃げたら殺される。
それでもここにいたら危険すぎる。ちょっとしたことで死ぬのだということも証明された。

(お、俺が何したっていうんだよ……だ、誰か、助けてくれよぉぉぉぉ……)

戦いに参加することもできない。
逃げることすら許されない状況で、フカヒレの精神が磨耗していく。
そうしている間も激戦は加速していく。止まらないアポトーシス、互いを全殺せんと迫り切る。


379 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:37:03 ID:0cuA1VGK


380 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:37:26 ID:boIK+AiU
 

381 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:37:49 ID:cKITyGwr
激昂した世界もまた銃を取り出した。
89式小銃。右手で構え、蛆虫で形成された指で引き金を引いた。
放たれた銃弾は三発。
このみは地面を蹴って弾丸を避ける。五感もまた、悪鬼の浸食と共に鋭くなるのだ。
銃弾の動きを目で追え、そして弾丸を避けるだけの身体能力があれば……避けることなど容易い。

避けられた弾丸はイタクァのように曲がることなく、そのまま地面に突き刺さる。
世界が苛立たしげに地団太を踏む。

「何でよ! 何でアンタのは曲がって私のは曲がらないのよ! 不公平じゃない……!」

世界は憎悪を吐き散らす。
妬み、嫉みもまた負の感情。悪鬼の温床となる憎悪が溜まり続ける。
際限なく、自分の思い通りにならないだけで世界の憎悪は溜まり続ける。
その姿が醜かった。このみは何だか悲しくなってしまった。
世界の姿が哀れだとは思わない。ただ、目の前の化け物と同じ存在になってしまったということが、嫌だった。

人間に戻りたい、と思った。
多分、もう戻れないことだって知っているけど、それでも戻りたかった。
あの日常に帰りたいと思う心を大事にすることにした。それが、柚原このみの証明になると信じて。


382 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:37:57 ID:Tl8tPkcK



383 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:38:06 ID:0cuA1VGK


384 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:38:57 ID:Tl8tPkcK



385 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:38:58 ID:cKITyGwr
「くっ……ぁぁぁぁあああッ!!!」

柚原このみのまま、復讐をしよう。
絶対に生き続ける。そう誓ったのだから、こんなところで死んではいられない。
接近し、右手を掲げた。そのまま振り下ろし、今度こそ世界の首を千切ってやると意気込んで。

だが、それでは足りない。
絶対的に身体能力で劣っている以上、再び地面に叩き付けられるのが関の山だ。
予想通り、世界の左腕によって阻まれた。
世界がニヤリと哂い、そしてそのまま瞳を見開いて思考が凍結する様をこのみは確認した。

「なっ……!?」
「喰らうで、ありますッ!!」

右腕は捉まれていることで使用できないが、左手に握られたイタクァは咆哮することができた。
接近、零距離はもらったのだ。
イタクァの弾丸を曲げる必要もない。このまま心臓に向けて弾丸を放つ。

銃声が三度、世界の心臓めがけて発射された。
世界は身を守る。心臓や腹はダメだ、腹部には大切な赤ん坊がいることをまだ彼女は憶えていた。
たとえ今はそこにいなくても、言葉から返してもらうときまで腹は大事にしなければならない。
身を丸めて、両手で身体を抱くようにして銃弾を迎え撃つ。


386 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:39:07 ID:0cuA1VGK


387 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:40:01 ID:Tl8tPkcK



388 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:40:02 ID:cKITyGwr
「がっ……ぎ、ぎぃぃぃぃ……!!」
「これでぇ……終わりでありますッ!!!」

自由になった右腕を振るう。
世界は抵抗できない。身を守ることが精一杯で、苦痛を噛み殺すのが限界だったのだ。
ごうっ、と空気を切り裂いて振るわれる小さな豪腕。
それは確実に世界を捉えて、そのまま薙ぎ倒した。世界は何一つ抵抗できず、そのまま森の向こう側まで吹き飛ばされた。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「はっ、はあ……あは、やった……やった……!」

復讐する相手の一人を倒した。
このみは分かる。あれは全力を込めた一撃だ。脇腹をごっそりと削いでやった。
出血やら内臓が零れることやらを考えれば、もはや致命傷。
生きていたとしても立ち上がれないし、そのまま出血多量で消えていく命だろうことは明白だ。

「……あはっ♪」

勝者に与えられた権利。
敗者の肉を貪り、甘い血を啜り、骨を砕いて呑み込んでやりたい。
世界の尖兵をこの腹の中に収めてやりたい、という欲求。
鬼としての本能が告げる。食え、と……憎悪した相手を喰らうことで完全なものとなれ、と。

それは甘美な誘いだった。
それは魅力的な提案だった。


389 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:40:08 ID:0cuA1VGK


390 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:41:02 ID:Tl8tPkcK



391 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:41:18 ID:cKITyGwr
「あ、は…………うぐっ」

だからこそ拒絶した。
自分は化け物ではない、と否定した。
人を喰らって悪鬼の力とすることは、柚原このみではなくなるということなのだから。
御馳走を前にして食べない、という辛さを我慢して、このみは背後で震えるフカヒレことフカヒレに笑い掛けた。

「行こっか、フカヒレさん」
「………………あ……」

彼は震えている。
何かに恐れを抱きように。
雷を恐れる小さな子供のように、顔面を痙攣させながら震え続けていた。

「……? フカヒレさん、どうしたの?」
「あっ……あ……あああ……!」

錯乱した彼の様子に苛立つ。
言いたいことがあるならはっきり言ってほしい、と言おうとして……気づいた。
その『匂い』に気づき、フカヒレの視線が自分の後ろに向かっているのに気づき、その異様な気配に気づいた。

「ひゃ、は……」

そうだ、何を勘違いしていたのだろうか。
脇腹がごっそりと削れている?
出血多量や臓物損傷で確実に死ぬはず?
そんな常識は通らない。そんな通例のような出来事は人間に活用しなければならない。


392 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:42:05 ID:Tl8tPkcK



393 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:42:10 ID:z5rQYDVC
 

394 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:42:27 ID:0cuA1VGK


395 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:42:41 ID:cKITyGwr
「ひゅ、ははははははははははははははッ!! 痛い、痛いじゃない、もう! あははは、酷い酷い酷いぃぃぃいい!!」

即ち、化け物を前にすればそんな常識など打ち砕かれて当然なのだ。
それでも柚原このみの手には、絶対すぎるほど命を奪ったような感覚が残っていて。
まるでゾンビのような西園寺世界の存在に、数秒ほど現実を直視することに時間がかかって。

その隙を突かれて、このみはあっさりと敗北した。

お返しとばかりに振るわれたのは、華奢な左腕だ。
銃弾による傷は所々に蛆虫が集っている。
改めて形成された世界の両腕は変わらず悪鬼の力を提供し続け、その一撃はこのみのそれよりも更に上。
鉄塊の一撃をもろに受けたような衝撃と共に、小さなこのみの身体は大木に叩き付けられた。

「痛かったなぁ、柚原さん……? すごく、すごく痛かったのよ。聞いてんの? ねえ」
「か、ひゅ……けほ、けほっ」

近づいてくる。
悪鬼よりも更に上の存在が近づいてくる。
魔導書による再生能力と、悪鬼としての能力向上。西園寺世界のそれは悪鬼を超えている。

彼女の思考はひとつ。
目の前に倒れているこのみを殴り、蹴り、バラバラにして血の滴る内臓を咀嚼すること。
このみのように人を喰らうことを忌憚することはない。
西園寺世界は『正常』だ。自分が正常だと思っているのなら、彼女の世界は巡りめぐって正しくできている。


396 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:42:46 ID:Tl8tPkcK



397 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:43:01 ID:0cuA1VGK


398 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:43:41 ID:cKITyGwr
「償ってよ。償ってよ、私の赤ちゃん、桂さんの赤ちゃん? とにかく返してよ返して」
「うっ……あ……」
「返せ、って言ってるでしょ!? いいよね、もう。食べちゃうから。食べたら赤ちゃん帰ってくるかな?」

ぶつぶつ、と意味の分からないことを呟く鬼。
このみの意識が覚醒する前に食べてしまおう、と万力の如き腕力で肩を捕らえる。
逃げられない。それをこのみは実感した。

こういうときに仲間がいるというのに、鮫氷新一は呆然と突っ立ったままだ。
その隙を使えば逃げられるかも知れないのに、頭が真っ白になってしまっているらしい。
もしくは目の前の光景を、彼女の言動を否定したかったのかも知れない。
いかにゲームマスターである彼としても、現実の少女が人を喰らうなどという非日常は信じたくなかったに違いない。

そんな思惑など知ったことではない。
くぱぁ、と世界の小さな口が開いた。このみはその光景を見ることしかできない。
それは威嚇に近い行為だが、死刑宣告でもある。彼女は愉快に痛快に、お行儀よく言う。


「いただきます」


     ◇     ◇     ◇     ◇



399 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:43:46 ID:Tl8tPkcK



400 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:43:55 ID:0cuA1VGK


401 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:44:32 ID:Tl8tPkcK



402 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:44:53 ID:cKITyGwr
「………………!」

争いの音、それを千羽烏月が感じ取ったのは偶然だった。
耳を澄ませば銃声が聞こえてくる。人の声までは聞こえないが、近場に人がいるのは理解した。
銃声、それは人と人が争う証だ。
すぐ近くで誰かが殺し合っているということを考え、烏月は考える。

行くべきか、行かざるべきか。
思考は一瞬、二秒ほどの時間で決定。選択は行く、その争いに巻き込まれることを選んだ。
戦闘狂ということではない。人がいるのならば、情報を得ることができるということだ。
桂の情報がない以上、多くの人と接して情報を得なければならない。たとえ、それが危険だとしても。

「……近いな。急ごう」

幼い頃から培った脚力で走る。
銃声は轟音へと変わり、その規模は人と人の争いには留まらないことを理解した。
この気配は人の者ではないことを、鬼切り役としての長年の勘が示した。

烏月は舌打ちする。
会場で殺されたノゾミとミカゲの両名もまた、本来なら参加者として招かれていたはずなのだ。
ならば、どうして他に鬼が混ざっているということを考えられなかったのか。
現実、ティトゥスという男とて四本腕の『鬼』だったのだ。ならばこそ、まだ人外の者がいる可能性は十分にある。

どのような強者が待ち受けているのか、と烏月は覚悟を新たにする。
最悪、その殺し合いに巻き込まれようとも。
僅かな可能性として、その戦いに桂が巻き込まれている可能性を考えれば、退く理由などひとつもない。


403 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:45:01 ID:0cuA1VGK


404 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:45:09 ID:z5rQYDVC
 

405 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:45:18 ID:Tl8tPkcK



406 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:46:00 ID:cKITyGwr
「……っ……あれ、は……」

烏月が訪れたときには、もう既に勝敗が決していた。
倒れ伏す少女と、その少女の髪を掴んで口を開く少女の姿。烏月の瞳が細まった。
その右目が青く輝き、その詳細を把握する。
結論、どちらも鬼である。その答えに多少なりとも烏月は驚いたが、それでも合理的に今後のことを考える。

鬼切り役である千羽烏月にとって、鬼とは討伐しなければならない存在だ。
既に桂のために己自身が修羅となっていた烏月でも、人を襲う鬼は長年の生き方として見過ごすことはできない。
周囲を窺うが、桂の姿はないようだ。一人、震え上がる少年がいたが無視した。
さて、これからどのような行動が桂のためになるか、もしくは自分のためになるかを考える。

まず、どちらの鬼も善と悪の判断がつかない。
だから平等に考えよう。

(見たところ、鬼がもう一人の鬼を喰らおうとしているのか)

このまま鬼が喰われるのを待って、もう一匹の鬼と少年に接近するか。
正直、それはあまり良い行動ではない。
鬼が鬼を喰う。必然的に鬼の一人はいなくなるが、それで恐らくもう一体の鬼は力を増してしまう。
もしも喰らった鬼が桂にも危害を加えるというのなら、滅すべき対象が力を増すのは阻止したい。


407 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:46:03 ID:Tl8tPkcK



408 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:46:10 ID:0cuA1VGK


409 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:47:02 ID:Tl8tPkcK



410 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:47:13 ID:cKITyGwr
「……行くか」

ならば、答えは決まった。
利害関係から考えても、あの鬼に喰らわせるわけにはいかない。
元より鬼を喰らうほどの鬼ならば、人だって喰らうに決まっている。最初から彼女は千羽烏月の敵なのだ。

「千羽党が鬼切り役、千羽烏月が千羽妙見流にてお相手致す」

名乗り、疾風の如く駆け抜けた。
構えたのは名刀、地獄蝶々。一撃の下に西園寺世界を切り伏せるために疾走する。
接近、十メートル時点で彼女も敵意に気づいたらしい。
このみの髪から手を離し、世界は烏月を迎撃する。いかに狂った彼女とて、誰を優先するべきかは理解していた。

鬼切り役の烏月は、自分の天敵だと本能が理解した。
故にこのみを捨て置き、烏月へと相対する世界の表情は憮然としていて、楽しみを邪魔された子供のようだった。

「邪魔するの? 邪魔するんだ。へえ、そう……私の復讐の邪魔するんだ?」

銃を構える。
残った弾丸を全部ぶち込むつもりで発砲した。
烏月の顔が歪む。いかに鬼切り役とはいえ、相手は人以外のもの。鬼が銃を使用することは規格外。
銃弾を避ける経験などないに等しいが、だからと言ってむざむざと殺されるわけにはいかない。

咄嗟の判断で地面を転がり、そのまま影を縫うように横周りに走る。
世界も銃の扱いには慣れていないのが幸いした。
この広い森の中、うまく銃器を扱うことは素人にはできないのだろう。九つの銃声の後、彼女の武器は沈黙した。


411 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:47:42 ID:0cuA1VGK


412 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:48:03 ID:Tl8tPkcK



413 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:48:15 ID:qJgefg9O


414 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:48:25 ID:cKITyGwr
「何で邪魔するの? なんでなんでなんで。柚原さんを食べなきゃいけないんだから邪魔しないでよッ!!」
「……悪いけど、そういうわけには行かないんだ。ああ、すまない。ひとつ聞きたいのだけど」

返答はマガジンを取り替えた後の銃弾で返された。
舌打ちして、烏月は再び併走する。木陰に隠れてやり過ごし、陽動しながら弾丸を消費させる。
九つの弾丸が放たれた後、再び静まる。それが弾丸の切れた合図と考えて、烏月は問う。

「羽藤桂、という人に心当たりはないかな?」
「うるさい、うるさい、うるさいっ! そんな奴知らない、分かったら……死んでよ!!」

弾切れと油断した烏月の隙をついて、世界の銃が火を噴いた。
罠だと理解し、行動に移すまでの時間は一秒にも満たなかったが……一発の銃弾が烏月の脇腹をかすめた。
最初に九発、これは弾切れ。そして次の九発は烏月の予測を狂わせるための罠。

「くっ……不覚。いや、これで済んだのは僥倖か……」

僅かに負傷した身体を引きずって、大木の裏へと避難する。
これからの行動を考えて、とりあえず身を伏せようとした烏月の背中に誰かがぶつかった。
思わず刀で背後を薙ぎ払おうとするが、僅かに移した視線の先には両手をあげた一人の少年の姿。

「うわあああぁ、ごめんなさいぃいいいいいっ!!」
「…………いや、こちらこそすまない。ところでひとつ聞きたいのだが、彼女は君の仲間かい?」


415 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:48:41 ID:0cuA1VGK


416 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:49:04 ID:Tl8tPkcK



417 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:49:23 ID:cKITyGwr
指差すのは、木の下で朦朧とした状態の柚原このみだ。
まだ回復できないのは後頭部を打っているからかも知れない。憎い世界を前にしても戦えないほどに。
普通、鬼同士の殺し合いを見れば命惜しさに逃げ出すだろう。
事情を知らない烏月からすれば、フカヒレがこのみを見捨てることができずに立ち尽くしていると見えたのだ。

「え、えええ? な、仲間? ええと、仲間っていうか、その」
「……なら、あの鬼を滅するために手伝って欲しい。彼女とて鬼だろうが、仲間がいる以上無害なほうだろう」
「あ、あの……? そ、それはちょっと間違いかなー、とか思ったり、して……」
「仲間じゃないのなら、悪いことは言わない。逃げるべきだ。見たところ、あなたは戦えるようには見えない」

ドクターウェストのように筋肉がついているわけでもない。
何か超常現象が扱えるのなら、ここで情けなく震えてなどいないのだ。
善意で言った言葉だったが、烏月の言葉は大いに鮫氷新一の紙のような自尊心を傷つけた。
何も知らないくせに、と思うと心が黒くなった気がした。

何か言い返してやろう、と思ったところで烏月は飛び出していく。
再び世界に、悪鬼以上の存在となった化け物に挑むために。
決して義憤や正義感からではなく、それが己の利になるからこその行為だが……その後姿がフカヒレには恨めしかった。


418 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:49:40 ID:0cuA1VGK


419 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:50:08 ID:boIK+AiU
 

420 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:50:16 ID:Tl8tPkcK



421 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:50:16 ID:cKITyGwr
「何も、知らねえくせに……ふざけてんじゃねえよ……」

ガクガクと震える足が情けなかった。
怯えの表情を隠し切ることもできない自分が情けなかった。
そんな情けない自分を言い訳と欺瞞に塗り潰して、明後日の方向へと責任を転嫁する。

そうだ、自分がこんな目にあってるのはレオやスバルが助けてくれなかったからだ。
そうだ、自分が人殺しになったのは勘違いさせた古河渚のせいなんだ。
そうだ、自分がこんなに惨めなのはさっきの黒髪の女が変なことを言うからなんだ。
そうだ、自分が怖い目にあってるのは柚原このみのせいで、あの蛆虫の湧いた気持ち悪い女のせいだ。

(そうだよ、俺はまだ本気出してないだけ……やればできる子って言われてるんだ)

そのうち、手まで震え始めてデイパックを落としてしまう。
その反動でその中身がぶちまかれてしまい、惨めさが更に増した。
ああ、畜生と思って落ちてしまった支給品をデイパックに詰めようとして、己の手に渡っている武器に気づいた。
説明書にはこう書かれている。『エクスカリバーMk2 マルチショット・ライオットガン』……グレネードランチャー、と。

「………………」

ぐらり、と。
弱い少年の心が、あまりにも強い暴力で歪んだ。


     ◇     ◇     ◇     ◇



422 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:50:23 ID:0cuA1VGK


423 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:51:07 ID:boIK+AiU
 

424 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:51:35 ID:Tl8tPkcK



425 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:51:47 ID:cKITyGwr
「ぐっ……」
「邪魔しないで邪魔しないで邪魔、しないでッ!!」

千羽烏月は彼女の力を甘く見ていたらしい。
見た目は元々信じない性質で、幼女や人の良い老婆が鬼である可能性も考えれば当然だろう。
ただ、銃を使う以上は戦闘能力はそれほどではないと思ったのだ。
ノゾミやミカゲのように直接戦闘を苦手とするが故のものと思っていた。大きな勘違いだった。

今の西園寺世界は鬼だ、それは間違いない。
だが鬼にも二種類あり。ノゾミやミカゲ、ユメイのような霊体の鬼。そしてサクヤのような肉体を持つ受肉した鬼だ。
前者は霊力を使用したトリッキーな攻撃が多いが、後者は己の肉体だけで他を圧倒することができる。
なお、千年クラスの存在ともなれば霊力を使うこともできる大妖怪になることもあるらしい。

西園寺世界は後者だ。
その尋常ではない腕力は十分すぎるほどの脅威になるだろう。
救いは彼女自身が戦闘慣れしていない素人であるということ。
もしも戦い慣れていては、サクヤよりも強大な敵と成りえていただろう、と烏月は思う。


426 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:52:06 ID:boIK+AiU
 

427 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:52:11 ID:0cuA1VGK


428 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:52:38 ID:Tl8tPkcK



429 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:53:02 ID:cKITyGwr
(これは……仕方ないか)

あれを使うしかない。
このまま鬼の彼女を撃破しなければ、桂を悲しませる要因になるに違いない。
放っておく選択肢はない。
鬼を切るためならば、その業とて本望に違いないのだから。

「行くぞ、千羽妙見流―――――」

危険を察知した世界が退こうとするが、遅い。
いかに身体能力が高かろうが、素人の動きに対応できないほど鬼切り役は凡俗ではない。
何よりこの奥義は刀身から逃げ出す程度では防げない。
決して逃がすものかと接近し、地獄蝶々を振り上げる。これぞ千羽妙見流の裏奥義。


「鬼切り―――――!!」



430 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:53:08 ID:0cuA1VGK


431 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:53:24 ID:Tl8tPkcK



432 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:53:34 ID:cKITyGwr
取った、と確信した。
地面を蹴った世界は宙に浮いた状態で、回避などは不可能だ。
鬼切りは斬った人物の『鬼だけ』を斬る。なればこそ、西園寺世界を人間に戻すことも可能な一撃だった。
それが通っていたなら、世界は人間に戻れていたのかも知れない。

だが、やはり彼女の狡猾さを誤っていたらしい。
世界の口元がぼそぼそ、と。烏月にも聞こえないような声でとあることを呟いていることを知っていればよかった。
彼女はゆっくりとカウントダウンを告げる―――――3、2、1。


「どっかーん」
「―――――――!!?」


突如として、烏月の周囲に火柱があがった。
莫迦な、と思う心も感じられない。信管と混ぜて三分後の爆発だのということを烏月は知らない。
世界は考えたのだ。すばしっこい烏月を殺すにはどうすればいいのか。
そして思いついた。爆弾を仕掛けて、そこに誘き寄せるようにすればいいのだ、と。

ぐらり、と爆風で体勢を崩された烏月の鬼切りが空を切る。
必殺の一撃、己の体力と霊力を消費してまでの一撃を避けられ、形勢は逆転した。
もちろん爆風に吹っ飛ばされるのは世界も同じだ。吹き飛ばされた世界は地面を転がった。


433 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:53:41 ID:0cuA1VGK


434 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:54:27 ID:boIK+AiU
 

435 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:54:27 ID:Tl8tPkcK



436 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:54:32 ID:cKITyGwr
「……痛い。痛い痛い痛い。よくもよくもよくもよくも、よくもッ!!」

それが自分がやったということなど棚に上げて、積年の恨みのように烏月を睨む。
錯乱した彼女はもはや、憎しみの言葉しか投げかけないようだ。
烏月は舌打ちしてしまう。今のは最悪だった。
世界をどうにか倒す手段だった奥義を避けられ、体力を奪われてしまっている。二度も使えない。

(制限さえかけられてなければ……何度でも使えるというのに)

どうすればいいのだろう。
やはり、一度退却するしかないのだろうか……いや、それも彼女を前にすれば不可能に近い。
消耗した状態で、受肉した鬼の追撃を逃れられると思うことはできない。
西園寺世界を甘く見た、という事実が今まで自分を苦しめているのだ。もはや烏月には楽観的な考えなどできない。

(桂さん……)

地獄蝶々を構えた。
こうなれば徹底的に戦うしかない、と覚悟を決めて。
そして、飛来する『それ』を視界に入れて呆然とした。


「は―――?」



437 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:54:41 ID:0cuA1VGK


438 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:55:29 ID:Tl8tPkcK



439 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:56:14 ID:Tl8tPkcK



440 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:56:15 ID:boIK+AiU
 

441 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:56:30 ID:cKITyGwr
瞬間、眩い光の奔流が烏月を蹂躙した。
続いて轟音が聴力を奪ったかと思えば、何が起きたかも分からず光の奔流に対応できなかった。
迫り来る脅威の兵器、その名をグレネードランチャーと言った。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「へ、へへ……」

結論として、皆殺してしまえばいいのだ。
西園寺世界も柚原このみも、今なら殺せると思った。この兵器を使えば必ず。
黒髪の女もいたが、あいつが巻き込まれるのも仕方ない。
刑法にもちゃんと書かれている。カルネアデスの板、死なないために他人を殺しても罪には問われないのだ。

正当防衛の名の下に。
気づいたのだ。今ならこのみからも逃げ出せるということに。
だけど、それでも怖かった。死なないかぎり、このみは追いかけてくるのではないか、と。

「へへへへへ、どうだよ、見たかよ……お、俺だって、やればできるんだぜ……」

ならば殺すしかない。
纏めて殺すなら今しかない。
大丈夫。どちらも殺し合っていた三人だ。人殺しみたいなものだから、殺しても許される。
そうだ、生存したいという願いのためなら何でも許されるのだ。

引き金を引くと轟音、そして凄まじい反動が返ってくる。
それを代償にして強力無比な一撃が烏月たちを蹂躙していく。もう、彼には見えないが死んだだろう。
妙な興奮があった。それが人を殺した快感だと気づいた。

442 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:56:56 ID:boIK+AiU
 

443 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:57:00 ID:Tl8tPkcK



444 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:57:17 ID:0cuA1VGK


445 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:57:59 ID:Tl8tPkcK



446 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:58:43 ID:Tl8tPkcK



447 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 03:59:13 ID:cKITyGwr
「へへ、へへへへへへへ」

全ての弾丸を使い果たした。
言い様のない快感に酔いしれた鮫氷新一は、だらしない笑みで前を見る。

「へ、へへ……へ?」

それでようやく、自分が無力な愚か者であることを痛感した。
一人の少女が立っている。
手に持つ魔導書の名前は『妖蛆の秘密』……蛆虫の湧いた穢れた本を愛しげに抱く女がいる。
口元を歪ませた少女が、狂った笑みと共に少年へと語りかけた。

「だ れ ?」
「ひっ……あ……」

外した。
外してしまった。
当てればいかに彼女とはいえ無事ではすまない。それは真理だ。
だが、所詮、彼の射撃の腕などは素人。そしてグレネードランチャーは扱いやすいとは言いがたい。
結論、彼は逃げればよかったのだ。

殺される。
目が合ってしまった、殺される。
あの柚原このみですら敗北した怪物だ、勝てるわけがない。
背中を見せて逃げようとするが、あまりの恐怖に足が動かない。
踵を返した瞬間、八つ裂きにされる自分を想像してしまってのろのろと後退することしかできない。


448 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:59:30 ID:Tl8tPkcK



449 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:59:31 ID:boIK+AiU
 

450 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 03:59:34 ID:0cuA1VGK


451 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:00:21 ID:Tl8tPkcK



452 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:00:55 ID:cKITyGwr
「誰よ……誰よ、誰誰誰誰誰? みんなして私の邪魔ばかりするのよ。どうしてどうして? ねえ、どうしてよ?」

一歩、近づいてくる。
日常には存在しない怪物、非日常の化け物が足音も無く近づいてくる。
ホラーゲームの主人公の恐怖を体験した気分だった。
彼女は殺す。それは無残に殺す。頭を噛み砕き、血を啜って咀嚼する。それがフカヒレにも理解できた。

「どうしてって言ってるでしょ? 何で黙ってるの? ねえ、ねえ、ねえねえねえ?」

破滅の足音が、眼前にまで迫っていた。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「……あたたっ」

柚原このみが完全に覚醒したのは、エクスカリバーが火を噴く直前だった。
現状を把握しようと目をこすると、眩い光と大爆発による轟音に襲われて、ようやく事態を悟る。
誰かに襲われている、ということ。
目の前には怨敵である西園寺世界と、彼女と争っている千羽烏月の姿を見た。

思わず唖然としてしまったのも無理はない。
この状況下で自分を庇うように立つ烏月。まったくの利害の一致にすぎないが、それでも護ってくれていたように見えた。
敵じゃない、とこのみは思う。覚醒した頭は冷静な判断を弾き出す。


453 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:01:08 ID:Tl8tPkcK



454 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:01:29 ID:0cuA1VGK


455 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:01:34 ID:boIK+AiU
 

456 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:01:54 ID:Tl8tPkcK



457 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:02:45 ID:cKITyGwr
(逃げなきゃ)

復讐心は気絶していたせいか、鳴りを潜めているらしい。
目覚めたこのみはグレネードランチャーの爆風で無様に吹き飛ばされている烏月をキャッチ。
そのまま小脇に抱えると、もう一人の仲間の姿も探し出す。
見捨てても何ら問題はないのが正直な意見でもあるが、仲間である以上フカヒレは確保するべきだ。

煙で周囲が見渡せないし、腐乱したような匂いが周囲に漂っていて嗅覚も使えない。
ダメなら諦めてしまおうか、などと漠然と考えたとき、烏月がとある方向を指差した。

「……あそこだ。あの大木……彼は恐らく、あそこに……」
「…………了解であります!」

地面を蹴って跳躍、世界の頭上を大きく越える。
同じく視覚と聴覚をやられた世界にはフカヒレしか見えておらず、そのままこのみの通過を許してしまう。
大木の枝を足場にして、そのまま動けないフカヒレへと接近する。
右腕で烏月を抱えたまま、フカヒレの首根っこを左手で掴んで、間髪要れずに跳躍した。

「うっ、うひゃぁぁぁあああああ!!?」
「あっ……あああっ!?」

呆然とした世界の姿がある。
彼女は数秒後、ようやく獲物を横取りされたことに気づいて激昂する。


458 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:02:54 ID:Tl8tPkcK



459 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:03:36 ID:0cuA1VGK


460 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:03:54 ID:Tl8tPkcK



461 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:03:56 ID:cKITyGwr
「あっ……ああああああっ! 返せ、返しなさいよっ……待てぇぇええっ!!」

追いかけてくることは承知済み。
烏月とフカヒレの両名を抱えたこのみでは逃げられない、迎撃もできない。
だが、ここで逃げ切らなくてはならないことは明白だ。追いつかれれば消耗したこのみたちは確実に殺される。
故に全力を尽くさなければならない。

両手がふさがったこのみや、デイパックを放置したままのフカヒレでは迎撃できない。
ただ一人、千羽烏月のみがその切り札を有している。
使いどころは誤らない。冷静な判断を元に、烏月はデイパックの中のもうひとつの切り札に霊力を供給した。

「『我、埋葬にあたわず』―――!」
「―――――――っ!!!」

直後、再び轟音が響いた。
大聖堂を倒壊させるほどの力を誇る兵器、ドクターウェストの発明品が火を噴いた。
一撃は世界の踏みしめようとした地面を大破させ、先ほどの烏月のように無様に地面を転がりまわる。
その一方で大砲による反動を利用して加速したこのみは、一瞬で世界の視界から消え失せた。

「……………………くっ、ぁぁぁぁあ……!」

逃げられた。
身体のあちこちが痛い。
こんな目にあわせた森羅万象が憎くて、憎くて、憎くて仕方なかった。
茶髪の男のデイパックを拾う。
自分たちを撃ってきたグレネードランチャーも回収。撃ち手が下手だったおかげで、誰も怪我をしなかったのは幸いだ。


462 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:04:28 ID:0cuA1VGK


463 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:04:54 ID:Tl8tPkcK



464 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:05:07 ID:cKITyGwr
(食べたい……あいつらを食べて、腹いっぱいになりたい。そうしたら赤ちゃんもきっと元気になる)

悪鬼の嗅覚を全力で行使。
逃げた奴らを捜し出して喰らい、腹の中の子の原動力としなければならない。
すんすん、と鼻を動かして匂いを追う。

「……あ」

そして気づいた。
このみなどの瑣末な存在など無視してしまっていい、と思える者の匂いを感じた。

「……ああ……!」

表情が喜色に染まる。
知っている、この好ましい匂いを知っている。忘れたことなど一度も無い。
大切な人、愛している人、腹の中の子供の父親。

「誠だぁ♪」

蛆虫に侵食された身体で、彼女は愛しい人の元へと歩く。
詳しい場所まではわからない。もっと近くに行かなければ。もっと近くで感じなければ。
愛しい愛しい愛しい誠の元へ、彼女は慈愛ならぬ自愛の精神で森を行進する。

「待っててよ、誠。今から会いに行くから。私は権利があるんだから、誠には義務があるんだからね」

哄笑が響き渡る。
狂った少女は倫理観の崩壊に気づかぬままに歩き始めた。
身体の至るところは蛆虫だらけ。
かつての面影のない少女はない。可憐な少女の姿などそこにはない。

あるのは妄念と憎悪に彩られた怪物のみ。
周囲を散策することに決めた化け物の足取りは軽い。とても、とても楽しそうに西園寺世界だった者は歩き続けた。

465 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:05:15 ID:0cuA1VGK


466 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:05:32 ID:GVlBaRq+
 

467 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:05:49 ID:cKITyGwr

【B-3 路上(南部)/1日目 日中】

【西園寺世界@School Days】
【装備】:89式小銃(30/30)
【所持品】:支給品一式×4、BLOCK DEMOLITION M5A1 COMPOSITION C4(残り約0.60kg)@現実、
      時限信管@現実×2、妖蛆の秘密、贄の血入りの小瓶×1
      エクスカリバーMk2 マルチショット・ライオットガン(0/5)@現実、きんぴかパーカー@Fate/stay night[Realta Nua]、スペツナズナイフの柄
      ICレコーダー、ゲーム用メダル 400枚@ギャルゲロワ2ndオリジナル、37mmスタンダード弾x10発
【状態】:妊娠中(流産の可能性アリ)、精神錯乱、思考回路破綻(自分は正常だと思い込んでいます)、脇腹損傷(蛆虫治療)、悪鬼侵食率60%
【思考・行動】
基本:桂言葉から赤ちゃんを取り戻す。元の場所に帰還して子供を産む。島にいる全員を自分と同じ目に遭わせる。
0:誠、誠、誠、誠、誠
1:伊藤誠と逢うために周囲を散策する
2:言葉が追ってくるなら『桂言葉の中を確かめる』、そして『桂言葉の中身を取り戻す』
3:新鮮な内臓が食べたい
4:このみ、黒髪の女(烏月)、茶髪の男(フカヒレ)を見つけたら今度こそ喰い殺す


468 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:05:53 ID:Tl8tPkcK



469 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:05:54 ID:GVlBaRq+
 

470 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:05:59 ID:0cuA1VGK


471 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:06:14 ID:cKITyGwr
【備考】
 ※放送の内容を信じていません。
 ※侵食に伴い、五感が鋭くなっています。
 ※ゲーム用メダルには【HiMEの痣】と同じ刻印が刻まれています。カジノの景品とHiMEの能力に何らかの関係がある可能性があります。
 B-2中心部に回収出来なかったゲーム用メダル@現実が100枚落ちています。
 ※妖蛆の秘密は改造されており、殺した相手の霊を本に閉じ込める力があります。そして、これを蓄えるほど怨霊呪弾の威力が増します。
 そのほかのルールは他の書き手にお任せします。


【エクスカリバーMk2 マルチショット・ライオットガン@現実】
全長780mm。総重量4,235g。
イギリスのワロップ・インダストリー開発のリボルビング・グレネード・ランチャー。
特大サイズのリボルバーのような、シリンダー型の大型弾倉を備えている。
撃発・発射はダブルアクション式だが、かなりトリガープルが重いので、指を二本かけて引けるようにトリガーの形が工夫されている。


     ◇     ◇     ◇     ◇



472 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:06:32 ID:GVlBaRq+
 

473 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:06:56 ID:0cuA1VGK


474 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:07:06 ID:cKITyGwr
「……ここまで来れば、大丈夫だよね」
「一応……奴が追ってくる気配はないよ」
「ひっ、ひっ、はっ……はあ……し、死ぬかと思ったぁぁぁ……」

よろよろと、フカヒレが足に力を入れることができずに尻餅をつく。
無理もないと烏月は思う。鬼同士の戦いに巻き込まれて、さぞかし恐怖だっただろうと予測がついた。
烏月は周囲の気配を探る。
敵は悪鬼とかした世界だけではなく、ランチャーを使って纏めて葬ろうとした者にも警戒が必要だ。

このみは覚醒したばかりで、烏月は世界に気を取られていた。
フカヒレがまとめて殺そうとしたことなど、二人は知る由も無かったのだ。

「……ねえ、フカヒレさん。あの大砲みたいなやつ、誰が撃ったか知らない?」
「へっ!? え、えええええと、し、知らないであります、このみ様!」
「…………本当?」
「本当です、本当なんですっ! し、信じてくださいぃぃぃいい……」

嘘だった。虚偽をもってどうにかしなければならなかった。
ばれたら確実に殺される。
全身全霊を演技に使い、どうにか何も知らない一般人を演じきらなければならないのだ。
そうじゃないと殺されるから。死にたくないから。


475 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:07:09 ID:Tl8tPkcK



476 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:07:11 ID:GVlBaRq+
 

477 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:07:33 ID:GVlBaRq+
 

478 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:07:51 ID:cKITyGwr
「……二人とも。そろそろ良いかな? 私は千羽烏月……このみさんに、フカヒレさんでいいかな?」
「あ、はいでありますよ〜」

何か言いたそうなフカヒレだったが、話が逸れたことを全力で喜ぶことにした。
一方のこのみには疑問があった。
どうして彼女が自分を助けてくれたのか。彼女とは面識もないし、お互いの名前だって初めて知った状態なのだ。
烏月は語る。己の思惑を告げる。

「私は羽藤桂という人を捜しているんだが、何か知らないだろうか」

このみは首を振る。フカヒレにも視線を送ると、全力で首を横に振られた。
そうか、と烏月は落胆を隠しながら受け答える。
きっと大切な人なんだろう、というのがこのみにも伝わった。何故だか、すごく綺麗なものを見たような気がした。
穢れた世界の小さな良心、そんな気がした。

「ところで、君は鬼になってしまっているんだね。最初に見たときは人間だったはずなのに」
「…………鬼?」

ずきり、と胸が痛むのをこのみは感じた。
人じゃなくなってきているのは知っていた。だけど、改めてその名称を聴くと罪科を突きつけられたような痛みがあった。
鬼。物語にいう、角の生えた虎柄パンツの、人を喰らう鬼。
自分がそれに変貌しているという現実を突きつけられ、心が再び黒く染まっていく自分をこのみは自覚した。


479 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:07:57 ID:Tl8tPkcK



480 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:08:15 ID:GVlBaRq+
 

481 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:08:38 ID:qJgefg9O


482 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:08:45 ID:Tl8tPkcK



483 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:08:49 ID:cKITyGwr
「そう。恐らく憎しみで鬼に変貌してしまったんだろう。元来、鬼とは元々人間であった者が多いからね」
「……鬼……そっか。このみ、鬼になっちゃったんだ」
「このみさん。君は望んで鬼となったのかい? それとも、鬼になりたくないのになってしまったのかい?」
「それは……」

もちろん、なりたくて鬼になったわけじゃない。
憎悪が心を塗り潰してしまうことも考えれば、半分は必要に迫られてしまったと言って過言ない。
おぞましい、と思った。恐ろしいものが自分の身体の中にあるような感覚が。
あの西園寺世界のような、あの女のような汚らわしい姿になりたくなかったのだ。

「……私は、君を人間に戻す方法を知っている」
「…………え……?」

だから、その言葉が救いのようにも見えた。
驚きはこのみだけではない。話についていけてなかったフカヒレすらも驚きの表情で烏月を見る。
彼女の言葉に迷いはなく、偽りを騙ろうという気配も感じない。
まるで救世主のような言葉を前にして、このみはもう一度尋ねた。伸ばされた手が、消えてしまうのを恐れるかのように。

「……戻、れるの……?」
「私の条件を呑んでくれるのならね」
「…………条件?」

オウム返しに尋ねるこのみの言葉を肯定する。
詳しい話を伝え聞けば簡単なことだった。時間をかけて、烏月はこのみに説明する。
自身が鬼切りを生業とする者であること。
千羽妙見流には鬼だけを斬る奥義があり、それを使えばこのみの中の鬼を斬ることができるということ。


484 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:09:19 ID:GVlBaRq+
 

485 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:09:30 ID:0cuA1VGK


486 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:09:41 ID:GVlBaRq+
 

487 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:09:43 ID:cKITyGwr
「条件はひとつ。私と桂さんを再会させること、それが条件だ」
「……私、許せない人がいるの。見つけたら殺しちゃうかも知れないけど、止めない?」
「…………それが桂さんでない限り。もしくは桂さんが悲しまないのなら、私はそれを見逃そう」

恭介たちと同じようなもの。
捜す人数は多いほうがいいし、烏月自身も鬼を斬るということは職務。一石二鳥となる。
本来なら今すぐにでも鬼を切ってやりたいが、霊力はほぼ枯渇している状態ではそれも適わない。
鬼切りまでには六時間、それほどの時間が必要となるだろう。

(……桂さんを捜して、守る。その過程で誰が傷つこうとも構わない)

利用させてもらうのだ。
人間に戻すという報酬をもって、柚原このみという鬼を手駒とする。
もちろん、お互いに利用しあう関係なのは分かりきっていること。今更確認するまでもない。
一度は殺し合いに乗った身だ。桂のために全てを切り捨てる用意はできている。

「二人とも、異論は無いかな?」

改めての確認の言葉。
このみはもちろん頷いた。フカヒレは口元を少々邪悪に歪めたまま、同じく頷いている。
フカヒレと呼ばれた少年が何を考えているのかは分からない。
ただそれでも、彼程度なら問題は無いだろうと捨て置くことにした。文字通り、人畜無害であると思ったから。

鮫氷新一。
自分が生きるためなら、無抵抗の女も殺害する卑劣漢だとは知らないままに。



488 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:09:47 ID:Tl8tPkcK



489 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:10:14 ID:GVlBaRq+
 

490 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:10:35 ID:cKITyGwr
     ◇     ◇     ◇     ◇


(しめしめ、どうにか誤魔化せたし……こりゃあ、いけるかも知れねえぞ)

あくまで表情はクールを装おうとして、どうしても口元が歪んでしまう。
ピンチの後にはチャンスあり。彼女たちは自分がランチャーの下手人だと気づいていない。

(まあ、もっともこのシャーク様の手にかかれば、誰だって俺を疑うようなことはしないさ)

何の根拠も無い自信は愚か者の証明かも知れない。
ともかく、彼に運気が巡ってきたような気がした。
柚原このみは鬼になってしまっているらしい。だからこそのあの怪力、いかに自分とは言え勝てないわけだ、と思う。
だがしかし、烏月の登場で彼の機運を大きくアップした。

女の子の捜索。面倒な気はするが、それで烏月を利用できるならお安い御用だ。
しかも合流できればこのみを元のドンくさい女に戻してくれるという。
そうなれば、今までのお礼をたっぷりしてやれるではないか。なんて素晴らしいことだとフカヒレは思う。
小心者の邪悪な笑いは烏月に感知され、それでも小物と評されて捨て置かれている状態だというのに。


491 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:10:37 ID:Tl8tPkcK



492 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:11:03 ID:GVlBaRq+
 

493 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:11:25 ID:cKITyGwr
(さぁて、烏月がいる以上、このみだって無駄に暴力は振るえねえ。俺の天下は近いぞ……)

それが間違いだということにも気づかない。
仲間という区切りでも、このみはその気になればフカヒレを見殺しにすることなど厭わない。
彼女は未だ鬼なのだ。だから緊張感を持たなければならないのだ。

(でもなぁ、デイパック置いて来ちまったし、後はこの玩具と何かの薬だけかぁ……何か強い武器が欲しいなぁ)

鮫氷新一は気づかない。
その人間らしい臆病者、視野の狭い彼もまた自愛の塊である。
彼がどのような選択をし続けるのかは分からない。
だが、心せよ。世の中、この世界は因果応報。巡り巡って己に返ってくることもまた必定なのだから。

(なあ、レオ……スバル……俺、死にたくねえ。死にたくねえよ……)

フカヒレの心にはまだ刻まれている。
鬼である柚原このみの機嫌を損ねることは、死へと繋がることはまだ憶えている。


     ◇     ◇     ◇     ◇



494 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:11:27 ID:Tl8tPkcK



495 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:11:38 ID:0cuA1VGK


496 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:12:03 ID:GVlBaRq+
 

497 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:12:11 ID:cKITyGwr
(戻れるんだ、人間に。帰れるかも知れないんだ、あの日常に)

最後に、柚原このみにはひとつの希望が生まれていた。
鬼となった身体から解放されるかも知れない。
この憎しみだけで生きる精神と乖離させられ、まっとうな『柚原このみ』として生き続けられるかも知れない、と。
それは儚い夢なのかもしれない。それでも、一度持ってしまった希望は膨らむばかりだ。

それでも、今の彼女には憎悪が宿っている。
主催者に復讐をすること。刹那という偽名を使った女に復讐すること。ファルに復讐すること。
それは柚原このみ本人の憎しみが生み出したものであることは疑いようもない。

だけど、綺麗なものが残っているのだ。
ドライから貰った不器用な勇気も、真人から教えてもらった日常の楽しさも。
誠から感じ取れた人の温かさも、小さなこのみの良心としてずっと残り続けている。
だから烏月のことを信じてもいい、と思えた。少なくとも希望を感じ取ることはできたし、それはとても心地良かった。

(タカくん、ユウくん……タマお姉ちゃん……)

静かに幼馴染のことを想う。
こんな化け物になってしまったけど、ようやく救われそうな気がしてきた、と。
必ず仇は取るから……悪鬼と化した今のこのみには、それ以外の方法が見つけられない。


498 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:12:16 ID:Tl8tPkcK



499 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:12:39 ID:0cuA1VGK


500 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:12:50 ID:GVlBaRq+
 

501 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:12:50 ID:cKITyGwr
(私……頑張って、復讐するから)

利害関係だけで一致した三人。
砂上の楼閣よりも崩れやすそうな、薄っぺらい関係の下に三人が結集した。
様々な思惑、復讐心、想い、義務感、色々なものが混ぜ合わさって交差する。

それは、人と鬼と鬼切りの謝肉祭。
三人の行く末に何が待ち受けているのか、まだ彼らには分からない。



【D-2 キャンプ場周辺/一日目 日中】

【千羽烏月@アカイイト】
【装備:地獄蝶々@つよきす -Mighty Heart-】
【所持品:支給品一式、我 埋葬にあたわず@機神咆哮デモンベイン】
【状態:、身体の節々に打撲跡、背中に重度の打撲、脇腹に軽傷、右足に浅い切り傷(応急処置済み)】
【思考・行動】
 基本方針:羽藤桂に会う。守り通す。
 1:桂を守り共に脱出する、不可能な場合桂を優勝させる。
 2:このみ、フカヒレと行動を共にする。
 3:トルタ、恭介に対する態度保留。
 4:クリス、トルタ、恭介、鈴、理樹は襲わないようにする。
 5:なつきを探す。
 6:このみの鬼を斬ってやりたい。
 7:ウェストからの伝言を大十字九郎に伝える。


502 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:12:52 ID:qJgefg9O


503 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:13:18 ID:cKITyGwr
【備考】
 ※自分の身体能力が弱まっている事に気付いています。
 ※烏月の登場時期は、烏月ルートのTrue end以降です。
 ※クリス・ヴェルティン、棗鈴、直枝理樹の細かい特徴を認識しています。
 ※岡崎朋也、桂言葉、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています。
 ※恭介・トルタが殺し合いに乗っている事を知りません。
 ※ドクター・ウェストと情報を交換しました。
 ※蛆虫の少女(世界)を警戒しています。



【柚原このみ@To Heart2】
【装備】:包丁、イタクァ(3/6)@機神咆哮デモンベイン、防弾チョッキ@現実
【所持品】:支給品一式、銃弾(イタクァ用)×12、銃の取り扱い説明書、鎮痛剤(白い粉が瓶に入っている)
【状態】:悪鬼侵食率35%、リボン喪失、右のおさげ部分が不ぞろいに切り裂かれている、倫理崩壊
【思考・行動】
基本行動方針:何を犠牲にしても生き残り、貴明と環の仇を討つ。

504 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:13:22 ID:0cuA1VGK


505 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:13:39 ID:Tl8tPkcK



506 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:14:22 ID:cKITyGwr
 0:柚原このみのまま、絶対に生き残り、主催者に復讐を遂げる。
 1:ファルと世界に"復讐"をする。
 2:気に障った人間は排除する。攻撃してくる相手は殺す。
 3:烏月と共に行動し、羽藤桂を捜索。その後に人間に戻してもらう。
 4:フカヒレは今は仲間として適当に利用する。歯向かったり、逃げようとしたり、いらなくなったら殺す。
 5:最悪、一日目終了時の教会でファルを殺す。


【備考】
※制服は土埃と血で汚れています。
※世界が使う“清浦刹那”という名前を偽名だと知りました。
※ファルの解毒剤の嘘を看破しました。見つけ出して殺害するつもりです。
※第一回放送内容は、向坂雄二の名前が呼ばれたこと以外ほとんど覚えていません。
※悪鬼に侵食されつつあります。侵食されればされるほど、身体能力と五感が高くなっていきます。
※制限有りの再生能力があります。大怪我であるほど治療に時間を必要とします。
 また、大怪我の治療をしたり、精神を揺さぶられると悪鬼侵食率が低下する時があります。
※フカヒレのここまでの経緯と知り合いや出会った人物について把握済み。




507 :人と鬼のカルネヴァーレ ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:14:42 ID:cKITyGwr

【鮫氷新一@つよきす -Mighty Heart-】
【装備】:ビームライフル(残量70%)@リトルバスターズ!
【所持品】:シアン化カリウム入りカプセル
【状態】:このみへの恐怖心、疲労(極めて大)、全身打撲、顔面に怪我、鼻骨折、奥歯一本折れ、
     口内出血、右手小指捻挫、肩に炎症、内蔵にダメージ(大)、眼鏡なし
【思考】
基本方針:死にたくない。
 0:烏月とこのみを利用する。
 1:このみが恐ろしいので、機嫌を損ねたり、逆らわないようについていく。命令には絶対従う。
 2:このみを人間に戻してもらい、このみに復讐する
 3:知り合いを探す。
 4:蛆虫の少女(世界)、ツヴァイ、ドライ、菊地真、伊藤誠を警戒
 5:強力な武器が欲しい。

【備考】
※特殊能力「おっぱいスカウター」に制限が掛けられています?
 しかし、フカヒレが根性を出せば見えないものなどありません。
※自分が殺した相手が古河渚である可能性に行き着きましたが、気づかない不利をしています。
※混乱していたので渚砂の外見を良く覚えていません。
※カプセル(シアン化カリウム入りカプセル)はフカヒレのポケットの中に入っています。
※誠から娼館での戦闘についてのみ聞きました。
※ICレコーダーの内容から、真を殺人鬼だと認識しています。
※逃げようとすれば殺されると確信しました。




508 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:15:20 ID:Tl8tPkcK



509 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:15:58 ID:0cuA1VGK


510 : ◆WAWBD2hzCI :2008/06/01(日) 04:16:15 ID:cKITyGwr
投下完了です。
タイトルは人と鬼のカルネヴァーレ(謝肉祭)
元ネタは月光のカルネヴァーレより。多くのご支援、ありがとうございました。
ご指摘、ご感想をお待ちしております。

511 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:18:31 ID:Tl8tPkcK
投下お疲れ様でした!
なんというクリーチャーバトル、何と言う人外の謝肉祭w
もう色々天元突破した彼女達が凄く面白いです。
世界、人間やめるにも程があるw
誰も死なないというのも意外でしたw

そしてフカヒレ、憐れな……w



512 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 04:27:09 ID:qJgefg9O
投下乙です
クリーチャーバトル過ぎるw
場面の切り替えが早くて、一気にスラスラと読めました
それぞれのキャラが、それぞれの良い味を出してるなあ……
続きも気になる終わり方だし、超GJと言わざるを得ない

513 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 06:46:22 ID:xHoJI1xq
投下乙!
し、信じられない・・・mに同情しちまった!
世界はもうぶっとびすぎて怖いというより逆に笑えてくる。
フカヒレなんかはちっとも可哀想って気がわいてこないのに
mに同情する日が来るとは、思わなかったぜ・・・。

514 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 08:35:43 ID:0mvxWuIh
まさか、誠氏ねではなくむしろ合掌する日が来るとは。
彼女と友人が放送で死亡を知らされ、さらに残り一人の親友にして元彼女
が悪鬼化して自己愛と蛆の塊となっている姿で再会するわけだから。

これって、むしろ生きてる方が辛くないか?
精神崩壊しないで済むのか?

515 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 10:09:16 ID:uMXYewRB
投下乙
ま、誠南無……
ケアルガで大ダメージ与えられそうな世界が怖すぎる
そしてヘたれ、鬼、鬼切り三人組の今後も楽しみ

516 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 11:25:26 ID:a7YBUwk2
もはや弾丸避けるのが普通になってるインフレクリーチャーバトルGJwww
裏奥義は不発か…相手が狡猾な世界じゃ相性が悪かったね烏月さん。

517 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 17:34:05 ID:z/FTofXB
投下乙です
なんというインフレバトルwww
もうなんか色々突き抜けてるwでもそれもまたいいw
三人組の今後にも期待

518 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:26:52 ID:MFC1uqf1
投下乙です

ワールドvsこのみ!この二人のバトルがこんなに早く読めるとは!!
鬼が銃とか爆弾とか使うとか、まさに鬼に金棒…
それにしてもフカフィレと誠がかわいそうになってきたw

519 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:35:53 ID:z/FTofXB
時間にして一分ほどだろう。
必要最低限、きわめて事務的な放送が島に響きわたり、すぐさま静寂を取り戻す。
死者を告げるイベントとしては、些か簡素すぎるそれは死者を人間らしく扱っていると言えるかどうか。
第一放送は数十分に及ぶ大々的なイベントであったのだが、ここにいる彼は知る由もない。
人間を切望し、人間に擬態する少年、黒須太一は放送が終わっても人形のように静止していた。
廃校の放送室で古くなったパイプ椅子に座り、放送機材の置かれた机に行儀悪く足を上げている。
いや、正確には静止しているのではない。静止して見えるといったほうが正しい。
外側から見てとれる『静』とは正反対に、彼の内側は様々なものがせめぎ合う『動』だった。

彼は、あらゆるものに解釈を求め、人一倍考える生き物だった。
主催者であるエイリアンは、初めに『殺し合い』をしろと言った。
殺せ、ではない。殺し合え、だ。
人間足り得ない太一には、眩しささえ感じられる行為である。
しかし、その人間らしい殺し合いの末に死んだ者は、終わったことを人間らしく告げられはしなかった。
太一は、放送部の俺が放送の何たるかを教授してやろうか、と笑うことにする。

「霧ちんが、ねえ」

520 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:36:45 ID:z/FTofXB
たった今の放送で、死んだという事実が報告された佐倉霧。
『山辺美希』&『佐倉霧』でフラワーズ。愛らしいお花ちゃんたちの一輪が摘まれたらしい。
彼女は、いつも通り錆びたナイフのようだったろうか。
興味をひかれた精密さと繊細さからくる美しさを保ったままの佐倉霧だったろうか。
もしかして錆がとれ、煌くナイフのようになって一瞬の輝きの果てに死んだのか。
はたまた、無骨な丸太のようになり、救いようがないままに死んだのか。
ふうと溜め息を一つ。
おお、霧よ。死んでしまうとは情けない。どこかで聞いたような台詞が頭によぎる。
自分と他人の境界線をはっきり引く子であると認識していた。
どうせ人を信用できなくて死んじゃったんだろうなあ、と推測する。
そうだったら、実に霧ちんらしい。

「ふーん」

動きの見えなかった太一が、椅子の前足を上げ、ギコギコと前後に揺らし始める。
ここに集められた四つのかけらは、一つ欠けて三つになってしまった。
美しかった4――8――64。
しかし今は3――7――64。美しくないなぁと残念に思う。
佐倉霧の死に対して、どんな反応をすればいいだろうかと太一は考える。
選択肢はこうだ。

521 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:37:02 ID:U9XscXiI


522 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:37:43 ID:z/FTofXB
1.少女の死により侠気に染め上げられ、エイリアンの思惑通り殺し合いに乗ってしまう
2.愛と平和のヤングアダルトは、少女の死を乗り越え平和のために戦う

※侠気→太一語、狂気の誤字。か弱き少女の窮地を救えなかったことからくる狂気、かもしれない。

1も捨てがたくはあるが、やはり2だろうと結論付ける。
愛貴族としては初志貫徹し、仲間と共にエイリアンを打倒せねばならないのだ。
合言葉も忘れること勿れ。『友情は見返りを』『求めない』だ。

「ミキミキがエイリアンに喰われる前になんとかせねば」

フラワーズを二輪とも摘ませるなんて、そんな羨ましいことを他人にさせるわけにはいかない。
スーパーニンジャのほうは逆にエイリアンを喰ったりしそうだし、気にしなくていいだろう。
ガタンと椅子を両足とも着地させる。
待っているのは少年誌的な友情と努力の末の勝利に違いない。
さあ、人間やエイリアンとの交流を再開だ。
廃校を出る前に、最後のジャガイモを口に放り込む。
しっかりと咀嚼する。丁寧に丁寧に味合う。
しょっぱい。
でも、今まで食べたどんな料理よりも恍惚を覚える味だった。

「『佐倉霧』っと」


◇ ◇ ◇

523 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:38:42 ID:z/FTofXB
太陽が高く高く南中すると同時に放送は始まり、あっけなく終わった。
左腕全体に布を隙間なく巻きつけた赤毛の少年、衛宮士郎は森の中でその放送を聞くこととなる。
士郎は、徐々に昇っていく太陽の陽射しから目を背けるように北上を続けていた。
半日前、正義の味方が死んだ場所を去り、サクラノミカタは桜を求め続ける。
そう、求めるものはたった一つ。向かうところに迷う要素はない。
しかし、その足取りは重く、横から押したら倒れそうな覚束なさがあった。

今、士郎の思考を支配してしまっているのは、自身の体の熱さだった。
熱の元凶である左腕を、ぎゅっと掴む。
マルティーンの聖骸布により拘束された赤い腕。
人には過ぎた力をもたらすサーヴァントの腕は、体の主を蝕まんと侵食を続ける。
しかも、一度拘束を解かれたせいで、その侵食は一気に加速していた。
そんな熱に精神をすり減らしていた士郎は、放送の開始にびくりと体を強張らせることとなる。
放送が完全に導入を省いたものだったおかげで、危うく記録をしそこないそうだったほどだ。
放送内容については、特段驚くところは存在しなかった。
浅間サクヤ――おそらくサクヤと呼ばれていた女の死亡を確認。
カラドボルグの砲撃の結果を見ずに、あの場を離れてたが、殺せていたことに安堵する。
残念ながらケイ、アルと呼ばれていた女の名前はなかった。
それでも最も強かったサクヤを倒せたならば、左腕を解放した価値もあったというものだろう。
もっとも文字通り身を削っての一撃であり、それくらいの成果はないと困るところではあるのだが。

(人を殺して安心……か)

524 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:38:47 ID:U9XscXiI


525 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:39:45 ID:z/FTofXB
十のうち十の人を救おうとした正義の味方は、もういない。
サクラノミカタにとって放送で重要なのは、桜が生きているという事実の確認だけだ。
そう、桜は第二放送で呼ばれていない。
第一放送を聞いていない士郎は、桜は生きているという儚い確信をつけて先へと進む。
北上を続けていた士郎の目の前には川が横切っていた。
地図を見て、この先には施設が複数あることを記憶している。
士郎は、そのどこかに桜がいることを期待せずにはいられない。
頂点に達した太陽に背を向けたまま、サクラノミカタは進み続ける。




―――――――― CROSS POINT ――――――――




黒須太一と衛宮士郎、相手を先に察知したのはどちらだったろうか。
人間離れした鋭敏な感覚を持つ太一か、英霊の力を引き出し始めた士郎か。
人間の姿をして人間に憧れる怪物か、人間の姿をして人間をやめようとしている剣か。
あるいは同時だったかもしれないが、重要なのはそこではない。
ここが二人の交差点であるということ、それだけが重要な事実だった。

526 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:40:17 ID:U9XscXiI


527 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:40:49 ID:z/FTofXB
二人のいる場所は、D-6にわずかに存在する舗装されているエリア。
そこで二人は対峙する。
衛宮士郎は、発見した男の容姿に覚えがあった。
その男の特徴は学生服に白い長髪。
これは、同行者の関係を結んだ支倉曜子から聞いた黒須太一の外見にぴたり一致する。

(こいつ、黒須太一……なのか?)

熱に浮かされつつも、士郎は警戒と思考を続ける。
曜子との同行者の関係は未だ破棄されてはいない。
仲間ではなく同行者という関係。
裏切りを肯定し、利害関係を有することのみを理由とした協調関係である。
よって、太一をどう処理するかの決定権は曜子にではなく完全に士郎にある。
本来ここで即殺しても構わないのだが、士郎はこの接触に一定の意味を見出していた。
一つは、先に述べた曜子との同行者契約だ。
当然、最終的には桜以外を皆殺しにするつもりではある。
だが、切り札の投影、左腕の解放は確実に自身を蝕んでいく。
全ての参加者といちいち戦っていては桜を守り通す前に擦り切れてしまうかもしれない。
戦力温存という意味で曜子との契約は生きてくる。
もう一つは、喉から手が出るほど欲しい桜の情報を持っている可能性があることだ。
明確に敵対している相手でなければ、まずは桜の情報を求めたい。
サクラノミカタの存在意義は、すべて桜に収束するのだから。
そんな中、二人の間で第一声が発される。

528 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:41:45 ID:U9XscXiI


529 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:41:46 ID:z/FTofXB
「やあやあ、突然だが地球平和のために働いてみないかね?」

当然ながら、いきなり地球平和を持ち出されるとは士郎は夢にも思っていなかった。


◇ ◇ ◇


目の前にいる赤毛の少年に地球平和を持ちかける黒須太一。
数十の選択肢を頭の中に用意しては切り捨て、その結果一番率直な挨拶を選ぶことにした。
それは傍から見たら道化でありながら、自分を安全に偽って見せてくれるものであるつもりだった。
彼は望んでやまない交流を始めようと擬態する。人間またはエイリアンとの交流だ。

「……はあ?」

士郎は突拍子のない言葉に、眉をひそめて困惑せざるを得ない。
正直関わり合いになりたくない手合いだという第一印象だった。
殺し合いに突然放り込まれて、頭のネジが何本か弾けとんだのかとすら思う。
そんな訝しげな表情を浮かべる士郎に焦って見せたのは太一だ。
左腕に布ぐるぐるファッションなんていう先鋭的な彼には合わなかったかと頭を抱える。
いや待て、今の言い方だと彼がエイリアンならば敵対するように思われたんだな、そう結論付けた。

530 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:42:49 ID:z/FTofXB
「待て待て待て、短気を起こすんじゃない。
 そう、俺はエイリアンでも差別しない主義に変わったんだ」
「…………お前、黒須太一か?」

士郎は、まともに話しても埒があかないのではないかと判断する。
とりあえず黒須太一かどうかを確かめることにした。
そして、出来れば黒須太一でなければいいと願う。
しかし、残念なことに、その願いは叶わない。現実は非情である。

「――――あ?」

名前を言い当てられ、太一は動きを止める。
こいつはなんで俺の名前を知ってるんだという疑問。
なんでだ、なんでだ、と考えるうちにある恐ろしい可能性に辿り着く。
まさか、人の心が読めるエイリアンなんじゃないかと。
恐ろしいなんていうものではなかった。
それはまずい。何がまずいって抱えている煩悩が全て白日の下に晒されるじゃないか。
ヤングアダルト候補生の太一としては由々しき事態である。

「うわぁ、俺の性癖とかばらしてまわるつもりなんだな!」

531 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:43:14 ID:U9XscXiI


532 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:43:45 ID:z/FTofXB
胡散臭くてしょうがないという表情を浮かべる士郎は、どうするべきかと悩む。
いや、まあそれは冗談としてだな、と太一が続けたのが微かな救いであった。
さすがに名前を当てられただけでエイリアン認定するほど、太一の電波感度は良くないのである。

「おい、桜、間桐桜という子を知らないか?」

会話が成立しない。
頭を抱えたくなる士郎だが、ひとまず最も必要なことをすることにした。
目の前の相手が頭がおかしかろうが、衛宮士郎にとっての至上目的を果たすために必要なこと。
喉から手が出るほどに欲しい桜の情報を求める。

間桐桜という名前は、太一にとって覚えがなくもないものだった。
実際に会ったわけではない。
しかし、第一放送の死亡者が書かれたメモに確かに存在した名前だった。
なので、こう答えることにした。

「残念、間桐は先程俺が食べてしまった。尊い犠牲に感謝せねば」
「――――な、に?」

士郎の心臓がどくりと大きく打つ。
胸の前で手を合わせる太一は、士郎の動揺など意に介していない。
間桐桜は、放送前に食べたジャガイモの名前でもあるのだ。

「遊び心の理解できんやつだな。ジャガイモの名前だ。大地の恵みだぞ」
「――っ、お前、ふざけるのもいい加減にしろよ!」

533 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:44:20 ID:U9XscXiI


534 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:44:45 ID:z/FTofXB
士郎が怒り出すのも無理はない。
半日が経っても最愛の人である桜は見つからない。
こんな状況下でおちょくるような態度をさらりと流せるほど、人間が出来てはいなかった。

(へえ、そんな怒っちゃうんだ)

ふーん、へえー、と内心では冷めた目で太一は士郎を眺める。
きっと大事な人だったりするんだろうなあ。家族とか恋人とか。
いいな、いいな。羨ましいなと続ける。
少しだけ興味が出てくる。
じゃあ、こう聞いたらどんな反応を見せてくれるだろうか。

「で、その桜のためにお前は何人殺したんだ?」
「な?!」

太一は、別に士郎を人殺しと見抜いたわけではない。
だが、激情から驚愕へと士郎の表情は移り変わる。
元々、感情が顔に出やすい性質だった。
しまった、と取り繕って見せても、もう遅い。
にわかに鋭くなった太一の眼光が士郎を射抜く。
そんなあからさまな変化を見逃すことはしない。
ひょっとして本当に人殺しなのかなと推測する。

535 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:45:46 ID:z/FTofXB
愛する人のために殺し合う。
それは、なんて人間らしい行為だろう。
もしかして、こういうのに霧ちんもやられたのかなと冷笑を浮かべる。
赤。赤みがかった髪、左腕を包む赤い布。
なんでこいつはこんなに赤いんだろうなという疑問が浮かぶ。
84%。
太一の中の大部分を占める怪物が鎌首をもたげてくる。
衝動が、人間を犯していく。

――――――ああ、なんて壊したくなるんだろう。

しかし太一忘れたかと、ある目標が太一を踏みとどめる。
仲間を集めて『エイリアン』を打倒し、地球の平和を守る。
こんなところで簡単に暴走するわけにはいかないのだ。
たとえエイリアンであっても、人殺しであっても手を取り合い強大な敵へと立ち向かう。
友情、努力、勝利を謳うのだ。
警戒心を隠そうとしなくなってるハイセンスな左腕の装飾を持つ彼とて手を取り合う例外ではない。
士郎が厳しい口調で何やら詰問してきても、太一は動じない。

思考のフェイズは、どうやって仲間にしようかというところに移っている。
少なくともお仕置きは必要である。
いらない殺しのせいで、エイリアン打倒が遠ざかった可能性は非常に高い。
そうだ。それなら――――――。

536 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:45:47 ID:MFC1uqf1
 

537 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:46:48 ID:z/FTofXB
太一は思考しながら、ほどほどに神経を逆撫でしつつ士郎をあしらっている。
士郎も、いい加減太一に対し、接触している価値を見出せなくなってきていた。
だが、前後の文脈も関係なく唐突に耳にすることになった言葉に士郎は硬直せざるを得ない。

「その桜っていうの、もう死んでるのになあ」


◇ ◇ ◇


街を歩いていて見知らぬ相手から『あなたの恋人が亡くなったそうですよ』と聞かされたとする。
恋人が健康体であったことを前提とすれば、普通に考えて信じるわけがない。
まず、基本的に平和な日本でそうそう死ぬような事態には陥らないという社会性を根拠とする。
さらに、お前は俺の恋人の何を知っているんだという懐疑を根拠とする。

さて、今の衛宮士郎の場合はどうか。
ここは平和な日本ではなく、バトルロワイヤルという殺し合いの舞台だ。
残念なことに、人が簡単に死ぬ。それは第二放送によっても確認済みだ。
何より自身が複数の人間を手にかけており、安全地帯だとは口が裂けても言える場所ではない。
次に、間桐桜という名は士郎自身が告げているため、相手は恋人の名前を知っている。
死んだ者の名は放送で呼ばれるため、名前さえわかれば生死がわかる状態だ。
ここまでで前述の二つの根拠は使えなくなる。
放送。
その時間帯において死亡した者の名前を告げる、放送。
今の士郎には間桐桜が死んだという発言を戯言だと斬って捨てることが出来ない。
それは、士郎が第一放送を聞いていないという、この局面においては致命的な弱みから来る。

538 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:47:37 ID:MFC1uqf1
 

539 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:47:44 ID:z/FTofXB
それでも、士郎は否定する。
せめて目の前の男の不審さを根拠に。
自分に必死に言い聞かせる。
サクラノミカタである衛宮士郎の存在意義のために。

「お前、冗談も大概にしろよ!」

掴みかからんばかりの士郎に対し、口角を吊り上げた太一は間髪入れずに切り返す。

「ウィンフィールド。
 岡崎朋也。
 リセルシア・チェザリーニ。
 蒼井渚砂。
 対馬レオ。
 小牧愛佳。
 向坂雄二。
 宮沢謙吾。
 さあ、お前が殺したのはどれだ?」

間桐桜の死を知らなかったことから、第一放送帯での死者は知らないのだろうと推測する。
『誰だ?』ではない。『どれだ?』という質問。
反応を見る。手応えはありだ。

540 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:48:14 ID:MFC1uqf1
 

541 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:48:45 ID:z/FTofXB
「覚えがある名前があるんだな。
 ちゃんと放送くらい聞いておかないとダメだよ、君」

太一も同じく第一放送を聞いていないのだが、自分のことは完全に棚に上げていた。

リセルシア・チェザリーニ。
この名前を聞いたとき、士郎はぴくりと反応を見せた。反応せざるを得なかった。
『り、リセルシア・チェザリーニ……です。リセって呼んでください。衛宮さん……で、いいですか?』
それは正義の味方の死に際に唯一立ち会った少女の名前。
第一放送前に士郎の手により葬られた少女の名前だった。

(じゃあ……桜は、本当、に、もう……?)

第一放送を聞き逃してから頭の片隅にあった最悪の想像が現実味を帯びてくる。
リセルシアの名前があることは、桜が死んでいるという発言の信憑性をグンとあげてしまう。
受け入れたくない。嘘に決まっている。
でも、否定する客観的材料を一つとして持ち合わせていない。

目覚めてから今まで、明確に敵対する相手のみと出会ってきた。
そのおかげもあって、サクラノミカタは桜のために無我夢中で戦ってこられた。
では。
桜を失ったサクラノミカタは一体何者だろうか。
衛宮士郎は一体どうやって自己を定義すればいいだろうか。
桜の死を知ってしまったら、そして認めてしまったら、彼は極めて宙ぶらりんな状態に追い込まれる。

542 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:48:54 ID:MFC1uqf1
 

543 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:49:46 ID:z/FTofXB
「お、お前……」
「可哀想になあ。桜ちゃんのためにがんばってきたのに、もう死んでましたなんて」

認めるのか、と士郎は不毛な自問自答を繰り返す。
体の熱との相乗効果で、思考のヒートアップは止まらない。
動揺が強くなるにつれ、視界は赤く歪み始める。

「ぐ――――――、あ――――――!」

左腕を原因とする熱が勢いを増す。
痛みをもたらす極小の蟲がより活発になって細胞を食らう。
いや、それは誤認だ。
移植されたアーチャーの左腕による侵食は、今でも一定ペースで進んでいるに過ぎない。
勢いが増したように感じられるのは、侵食を抑えていた気力が削げたせいだ。
息が詰まる。
視界が歪む。
神経が痛む。
体中がザクザク突き刺された。
空気がまるで毒のように感じる。
時間が猛スピードで減速していく。
意識がボロボロとこぼれ落ちていく。

544 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:49:58 ID:MFC1uqf1
 

545 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:50:46 ID:z/FTofXB
苦し紛れに左肩の結び目をきつくきつく引き絞る。
しかし、途切れ目が赤く擦れるだけで、侵食は一向に治まる気配を見せない。
それもそのはず、なにせ原因はそこにはないのだから。
侵食の原因は衛宮士郎の折れかかった心にある。
そもそも、人間を超える存在であるサーヴァントの体の一部を人間に移植するというのは荒業だ。
よほど強固な意志を持たない限り、わずかでも支配下に置くことなど不可能に近い。
それを、士郎は桜の救うためという妄執的とすら言える意志で凌いできた。
なので、それが揺らいだとき、どうなるかは自明であるともいえる。
桜の死を認めたくはない。
だが、それを否定する材料は決定的に欠けていた。

切継に拾われてから十年。
父の死後も妄信的に正義の味方を目指してきた少年がいた。
だが、一人の少女のために、彼はそのアイデンティティを捨て去ることになる。
彼を支える土台は、正義の味方から桜の味方へと移り変わった。
士郎は現状を受け入れようとしても、思考の混乱を抜け出すことが出来ない。
桜を失ったサクラノミカタの存在意義とは一体何だ?

「教えてやろうか?
 今までお前のしてきたことは全部無駄だ。お前が殺した相手も無駄死にだ。
 はっきり言ってやるよ。
 ――――――お前の存在は、無意味で無価値だ」

546 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:51:01 ID:MFC1uqf1
 

547 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:51:44 ID:z/FTofXB
左腕が痛む。
切り落としたいほどに痛む。
たった今何について考えていたかすら整理がつかなくなってくる。
なぜ、なぜ衛宮士郎は存在するのか。何のためにあるのか。何によって定義されるのか。
混乱する。混乱する。混乱する。

「お前、なんでまだ生きてるの?」

サクラノミカタの世界は崩壊する。
テレビの電源が切れるようにプチンと、衛宮士郎の意識は途絶えた。


◇ ◇ ◇


あなたは人の心を喰う怪物だ。
黒須太一は、いつの日かある少女に評された。または評されることになる。
そして、それは太一本人も認めるところであった。
ある日を境に、太一の中の人間は16%を残して消えた。
太一の84%を占める怪物は、肉体的な攻撃性を持つだけではない。
人の心のヒビを広げ、潜り込み、喰らい尽くす。
太一の持つ怪物性の一つの側面だった。

548 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:52:00 ID:MFC1uqf1
 

549 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:52:11 ID:cKITyGwr
 

550 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:52:45 ID:z/FTofXB
「って、気絶かよ!」

倒れたナイスファッションセンスな少年を見下ろしながら、とりあえず突っ込みを入れてみる。
さぞかしショックだったんだろうな。
このまま放っておいたら、きっと彼はエイリアンに喰われていしまうだろう。
士郎に対し、攻撃性を剥き出しにした太一だが、そうなるのは本意ではない。
人間と手を組み、エイリアンとさえ手を組み、強大な敵と共に戦うこと。
その目的のため、太一は士郎を殺すつもりはなかった。

壊して、作る。
士郎を仲間にするために取った手段だ。
創造的破壊。イノベーション。
横文字使うと知的っぽいなと、ぷぷっと笑う。
さあどうしようかな、と考える。
壊す作業は完了し、作る作業に移らなければならない。
一連の作業は、ある種の純化だと思っていた。
エイリアンの思惑通りになってしまったバカな子を壊す。
そして、共にエイリアンと戦う仲間を作る。交流する。

(さてさて、っと)

551 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:52:46 ID:cKITyGwr
 

552 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:53:06 ID:MFC1uqf1
 

553 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:53:26 ID:cKITyGwr
 

554 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:53:47 ID:z/FTofXB
太一は士郎をおもむろに担ぎ出す。
友情を紡ぐならどうするのがいいか。
しばらく歩けば温泉があるらしい。
ここは男らしく裸の付き合いで友好を一気に深めるという方法も取れる。
でも却下。
男の裸なんぞ別に見たくない。そこまで背負っていくのもめんどくさい。
すぐ近くにあった民家の前に着く。
玄関先にどさりと士郎を降ろす。
家の中をうろうろと徘徊。
発見、発見と呟いた後、台所を中継、足取りも軽く士郎の下へと戻る。
手にしているのは水が並々と入ったバケツ。
その水を士郎へと思いっきりぶっかける。
以下目覚めるまで繰り返し。
このずぶ濡れは俺とお揃いだな、と太一がにやりとしたところで士郎が重い目蓋を開けた。


◇ ◇ ◇


衛宮士郎は夢を見ない。
気絶してから間にどんな風景を挟むこともなく、士郎は再び太一と向かい合うことになる。
気を失う前に真っ赤に染まっていた視界は、覚醒の後わずかにだが正しい色に近づいていた。
多量の水を浴びて急激に体温を下げたからか、高ぶりすぎた感情が一度途切れて治まったからか。
虚ろな目を太一に向けながら、生きてるのかとだけなんとなく思っていた。

555 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:54:28 ID:cKITyGwr
 

556 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:54:31 ID:MFC1uqf1
 

557 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:54:45 ID:z/FTofXB
「なあ、面白いことを教えようか?」

目覚めに対する前置きをすることもなく太一が語りかける。
士郎は興味を持てなかった。
認めてしまった。否定し切れなかった。
間桐桜は、聞かされた通りに既に死んでいるのかもしれない。
存在意義をなくしたサクラノミカタは今更何を面白がればいいのか。
桜は、もう帰ってこない。
士郎の心を覆うのは虚無感。あるのは、ただ虚ろな伽藍堂。
そんな士郎に響く言葉など存在しないはずだった。

「実はな、間桐桜っていうのは死んでないんだ。少なくとも第一放送の段階では。
 第一放送に死んだやつと絡めて言ってみたら見事に信じちゃうんだもんな」

笑いながら、ついさっきの発言を完全に翻す太一。
士郎にとっては再度の急展開ともいえなくはない。
が、精神状態からして簡単に士郎の心に届きはしない。
発言が二転三転し、聞く者に対して混乱を生じさせる。
重要な情報というのは、重要であるというだけで人は疑い深くなるというものだ。
先程徹底的に存在を揺さぶられた士郎は、ぼんやりとした頭を一度振るった。
被っていた水が飛沫となって地面を濡らす。
朦朧としていた意識が少しだけ明瞭になってきた。

558 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:55:29 ID:MFC1uqf1
 

559 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:55:45 ID:cKITyGwr
 

560 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:55:51 ID:z/FTofXB
もう一度、太一の言葉を咀嚼してみる。
今までの発言全てを思い返す。
嘘はどこにあるのか。
ただ遊ばれていただけなのか。
どれが真実だったとしても、俺は道化すぎるんじゃないか。
熱も少しだけ治まった頭で考える。
段々と視界と思考はクリアになってきた。
結局、桜が生きてるかもしれないと言われただけでこれかと自嘲する。
どれが虚言かも全くわからない状態であるというのにだ。
それほど、自分の中で桜が占めている割合は大きいのだろう。
もう一度頭を振り、次に相手の捉えどころを模索する。
自分の存在意義を一度崩壊させた相手を見極めなければならない。
目の焦点は次第に合い始め、士郎は太一のほうをじっと睨む。

太一は意識を取り戻した士郎を見下ろしながら、少しだけ様子を見ていた。
太一がこんなことを言い出した意図。
それはいわゆる優しい嘘のつもりだったろうか。
一つ間違いないのは、太一はエイリアン打倒のため士郎を仲間にしようとしているということ。
個でありたいという願いと他者との繋がりを求めたいという願い。
太一は士郎を喰い潰したくなる衝動を経ても尚後者を選択したかった。

561 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:56:22 ID:cKITyGwr
 

562 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 22:56:40 ID:MFC1uqf1
 

563 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:56:43 ID:z/FTofXB
「それで一つ提案がある」

君にとっても魅力的な提案だと、太一は前置きする。
これから始まるはずの交流。ゼロからもう一度作り上げての交流。
他者との繋がりを持ちたいという16%の願望を発露させ、魅力的であろう勧誘句を紡ぎだす。
太一にとってはエイリアンと戦う上でしっくり来る呼び名であった。
それがこの上ない皮肉であるとまでは、さすがに気付く余地はない。
響くのは士郎にとって、それほど昔ではない過去に、それでいて遠く離れた場所に置いてきた言葉。

「――――――正義の味方にならないか?」




【D-6 民家の前/1日目 日中】


564 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:57:07 ID:z/FTofXB
【黒須太一@CROSS†CHANNEL】
【装備】:サバイバルナイフ、拡声器
【所持品】:支給品一式、ウィルス@リトルバスターズ!、第1次放送時の死亡者とスパイに関するメモ
【状態】:疲労(小)、やや風邪気味(軽い発熱・めまい・寒気)
【思考・行動】
0:『人間』を集めて『エイリアン』を打倒し、地球の平和を守る。
1:拡声器を使って、人と交流する。
2:『人間』や『エイリアン』と交流を深め、強大な『エイリアン』たちを打倒する。
3:『支倉曜子』『山辺美希』『佐倉霧』と出会えれば、仲間になるよう説得する。
4:「この島にいる者は全てエイリアン」という言葉には懐疑的。

【備考】
※第一回放送を聞き逃しましたが、死亡者のみ名前と外見を把握しました。
※太一の言う『エイリアン』とは、超常的な力を持った者を指します。
※登場時期は、いつかの週末。固有状態ではありません。
※直枝理樹(女と勘違い)、真アサシン、藤乃静留、玖我なつき(詳細は知らない)、深優・グリーアを

エイリアンと考えています。
※スパイに関するルールはでたらめです。

565 :崩壊/純化 ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:57:37 ID:z/FTofXB
【衛宮士郎@Fate/stay night[Realta Nua]】
【装備】:ティトゥスの刀@機神咆哮デモンベイン、木製の弓(魔術による強化済み)、赤い聖骸布
【所持品】:支給品一式×2、維斗@アカイイト、火炎瓶×6、木製の矢(魔術による強化済み)×20、

屍食教典儀@機神咆哮デモンベイン
【状態】:強い決意(サクラノミカタ)、良心の呵責、肉体&精神疲労(小)。魔力消費小。身体の剣化

が内部進行。脇腹に痛み。ずぶ濡れ。

【思考・行動】
 基本方針:サクラノミカタとして行動し、桜を優勝(生存)させる
0:桜は生きてるのか? 正義の味方、だと?
1:参加者を撃破する
2:桜を捜索し、発見すれば保護。安全な場所へと避難させる
3:桜以外の全員を殺害し終えたら、自害して彼女を優勝させる
4:また機会があれば、支倉曜子の『同行者』として行動する事も考える

【備考】
※登場時期は、桜ルートの途中。アーチャーの腕を移植した時から、桜が影とイコールであると告げられ

る前までの間。
※左腕にアーチャーの腕移植。赤い聖骸布は外れています。
※士郎は投影を使用したため、命のカウントダウンが始まっています。
※士郎はアーチャーの持つ戦闘技術や経験を手に入れたため、実力が大幅にアップしています。
※第一回放送を聞き逃しています。太一が第一放送で死んだと言った名前はうろ覚え。
※維斗の刀身には罅が入っています
※現在までで、投影を計二度使用しています

566 : ◆CKVpmJctyc :2008/06/01(日) 22:58:41 ID:z/FTofXB
以上で投下終了です。多くの支援ありがとうございました。
問題点など指摘がありましたらお願いします。
タイトルは『崩壊/純化』です。

567 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 23:02:01 ID:cKITyGwr
投下乙!
おお、太一がすごく生き生きしはじめた。これぞ太一、84%の怪物。
士郎……さて、どんな選択をするか。難しいところだな。
マーダー士郎、対主催に転向するかマーダー続行か、どんな選択も有り得る。太一暴走エンドとかw

良繋ぎ、GJでした。

568 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 23:07:15 ID:MFC1uqf1
投下乙です
 
おお、太一が…太一がちゃんと太一してるよ…
前回のおちゃらけた太一もいいですが、やはり太一の本領発揮はこっちだと思います
そして士郎に正義の味方フラグが立ったっ!!
しかしながらこの男が今さら対主催になれるのだろうか…?
でも太一の言う正義の味方だしなあ…

569 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 23:07:42 ID:U9XscXiI
投下乙です
おお、太一が士郎をいいようにあしらっているw
今の士郎にとってその言葉はまさしく皮肉wどうする士郎w
太一がいい感じw

570 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 23:34:11 ID:PUA61qJY
GJ!
おお!某教祖様亡き今、番狂わせ筆頭な黒須太一がついに動き出したか。
どうなってしまうんだ士郎!?

571 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/02(月) 22:05:59 ID:lHw8mNyS
投下乙

WA氏
なんか凄いことになってるバトルだ。烏月の鬼切りが
うまい具合にこのみの行動と絡んでいるのもよし。

CK氏
太一がついに本格始動。士郎さんタジタジ
まさかここで正義の味方の単語が出てくるとは
曜子はスーパーニンジャでなくて、スーパーくのいちだったかな

572 : ◆CKVpmJctyc :2008/06/02(月) 22:57:59 ID:AaxqXBzM
>>571
自分でも原作確認しましたところ、確かに『スーパーくのいち』のようですのでwiki収録後に修正させてもらいます。
指摘ありがとうございます。

573 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 08:19:41 ID:Jg6RzVjz
うーむ、今の士郎にとって「正義の味方」という言葉は別の意味で危険かもしれない。
ひょっとすると、地雷を踏んだのは太一の方かも。

574 :週刊ギャルゲロワ2nd第11号(6/3):2008/06/03(火) 21:37:26 ID:sMIj4Olf
         このみ
          ↓
     _,.-ニ=‐-'´    '  くヽi ∠
   //   ,       ‐- 、`7´ヽ\    あ…ありのまま さっき 起こった事を話すであります!
  // /   / , /  ,  .  ヽ! .;::ヽ ヽ、
 〃 /.:  :.:/ /!:|:..::::..i ::.;::. ,  :',::::i:::::i::. 〉   『私は鬼に侵食されて強くなったと思ったら
    !;:: .::/ .::ム!ハ!:::i:::iニ!::ト:::i::. l::i::::|::::l:: /    西園寺さんはもっとクリーチャー化していた』
   | i::. .:/l.::::lィ'ト,lヽトハ!7=ト、|::::;:::ト、|::::l: !
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからないと思うけど
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        このみも何が起こっているのか分からなかったよ…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだったもん…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ ヤンデレだとかだとか悪鬼だとか、そんなチャチなもんじゃあ 断じてないよ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \     もっと恐ろしいザ・ワールドの片鱗を味わったよ…  



・トラブル☆メーカー、少し綺麗な悪鬼、綺麗な元マーダー。複雑怪奇な組み合わせのフカフィレチームはどこへ往く
・これは良い双七君補完話。けど双七君、それは決定的な勘違いだw
・第二回放送投下。神崎……数少ない出番をすぐ切り上げるとは、お前どんだけ空気になりたいんだとw
・徐々に黒く染まっていくファル様。そしてクラナド勢の死体損傷率は異常
・ワールドvsこのみ……なんという、なんというクリーチャーバトル。ギャルゲロワは可憐な少女達の物語……そう考えている時代が俺にも(AAry
・賽は投げられた。士郎、真実に気付くか、今の道を走り抜けるか、(爆笑)の称号を得るか、次回期待大

先週(5/24〜6/3)までの投下数:6作
死者:0(+1)名(岡崎の死体)
現時点での鬼他:羽藤桂(鬼)、鉄乙女、柚原このみ(少し綺麗な悪鬼)、西園寺世界(クリーチャー)
現時点(6/3)での予約:3件(◆Lx氏{仮投下済み}、◆CM氏、◆Uc氏)

575 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 22:43:43 ID:ll6J5K/Z
投下乙
……ってそのお下げは待てwwww
そして爆笑の称号は酷すぎですw

576 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:10:11 ID:WHqHM7t8
################################
10:45  G-4駅構内

九郎と理樹はG-4駅構内にいた。
「どうやら、犯人はもういないみたいだな」
二人がここに来る途中に見た、脱線した車両。
まあ電車もいろいろ大変なのはわかっていた。
あの乙女の猛攻で、さっきまで乗っていた電車もひどいことになっていた。
密かに電車も生き残りで必死だった。

「でも、電車も吹き飛ばすなんて……そんなすごい武器が支給されてるのかな?」
「支給品か能力かは知らないが、食らったらひとたまりもないな」
この惨状を作った張本人がまだ付近をうろついている可能性を危惧する。
その場合、この電車も狙われる可能性は高い。
二人は降りて周囲を散策したが、危険人物は見つけられなかった。

「死体も見つからない以上、脅威は健在しているはず。
あなた方の仲間にすぐ知らせるべきでしょう」
そう、二人からして危険人物と見て取れる存在は見つけられなかった。

深優・グリーア。
彼女は無害を装い二人に近づいた。
本調子でないため、殺すにしろ利用するにしても、こちらから敵対行動を見せるべきではないと判断したのだ。

「あなた方が探す犯人について知っている」

そう言い近づいた彼女は、電車破壊の犯人について話した。
(先ほどとは、逆のパターンですね)
太一の時とは反対に、生徒会長である静留と知り合っている理樹がいたために、あっさりと信用された。
やはり、あの太一が異常だったのだと深優は認識を深めた。

深優は二人に犯人の情報を伝える。

577 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:10:50 ID:sMIj4Olf


578 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:12:01 ID:WHqHM7t8
何かとてつもない威力の武器で電車を攻撃したこと。
その男に襲われたが、消耗していたため命からがら逃げられたこと。
襲われた人については、安否も姿もわからない。
深優は「そういうことにしておいた」。
その容姿を聞き、理樹はアサシンに聞いていた人物を思い浮かべる。
「衛宮、士郎さんかな。正義の味方だって聞いていたけど」
「電車で乗っていたのが悪党って見方もあるが、ゲームに乗ったって考えたほうが自然だろうな」
恋人である間桐桜が呼ばれての方針転換は大いにありえた。
深優に襲い掛かったことも考えて、その線が濃厚だろうとうな垂れた。

人の死は悲しい。友人の死はもっと悲しい。そして――
「っ……だとしたら、魔術による攻撃かな?」

「疲労していたってことは、何か能力を使った可能性が高いな。
しかも連続使用は難しいらしい」

近代兵器なら弾数、魔術なら魔力。
消耗していた様子ならば、まず魔術かそれに類する力だと推測できた。
魔術だとすれば、この制限のかかった状態であの威力ということになる。

(俺が同じ芸当をやらかすとしたら、マギウススタイルにイタクァ、クトゥグアは必要か?
ド畜生、アルがいないと本気で戦力になれそうにねぇぞ!)

九朗は、自分一人では行おうと思っても難しい惨状を目の当たりにし、憤りを感じていた。
だが、それは文字通り命懸けで放った一撃なのだから、仕方のないことなのだが。

「ともかく、戻って知らせよう。電車を狙う、危険な人物がいることを」
「ああ、本当に電車は危険だ。轢かれる危険性もあることも知らせるべきだ」

後者はみんな知ってるよね、と思いつつ理樹は時刻表を見る。
「このままF-2に行ったら、帰りに間に合う電車がないから、戻らないと」
どれだけ最速でも放送をオーバーしてしまう。

579 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:12:24 ID:sMIj4Olf


580 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:12:51 ID:8RdGBHiq
何という投下乙!

>>WA氏
因縁持ちの鬼同士の激突が熱すぎる!
もはやワールドはクリーチャーと言うのも生ぬるい!
烏月が微妙に黒かったり、フカヒレが根性ドス黒かったりするせいで
このみの小さな決意はやけにキレイに見えました

それにしてもフカヒレがランチャーぶっ放した後は
烏月が首つっこんで犬死にしたかと思ってヒヤヒヤしましたよ・・・


>>CK氏
さすが既知外、空気読まずに士郎に桜死亡放送ぶっちゃけやがった!
と思ったらヒラリとはぐらかしてくれましたね
士郎さんカラータイマー鳴ってるのに今更揺さぶられまくりw
前作で勢い付いた太一を上手く転がしてロワに関わらせたところ上手いです


>>週間ロワ
そのAAは・・・w
「どこへ逝く」じゃなくて良かったです

581 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:13:22 ID:WHqHM7t8
F-2からF-7駅に直行する電車は存在しない。

あまり長居していても、危険人物が来る可能性は低くはない。
あの電車の惨状が、どうしても最悪の予感をよぎらせる。

『雑種よ! カラクリ車両が来るぞ! 跳ね飛ばされて死ぬような脆弱な肉体を持つ雑種は、精々白線の内側まで下がって震えているのがお似合いよ! ふははははは!!』

そんな焦燥感を和ます、いつものアナウンスが流れた。

「ちくしょう、イヤミか!? 轢かれかけた俺に対するイヤミか!?」
「馬鹿にしてるんだろうけど、慣れると笑えるよね……この人も主催側なのかな」

「それはわからないが、ひとつ確実なことはある。
声を聞いただけでわかるぜ、こいつは生まれついての金持ちだッ! 
姫さんを含めたって、こんな金持ちには出会ったことがねえほどなァーーー!」

「いや、落ち着こうよ! アナウンス相手に怒んないでよ」
「はっ……す、すまん。急に頭に血が上って」

凄い敵意だった。
放っておけば
「貧乏いる世界に、汝ら金持ち、住まう場所無し! ツベコベ言わずに金寄越せェェッ!」とでもいいそうだった。
(それにしても……)

九郎の風貌を見て、理樹は思う。
怪しい風貌に加え結構ある筋肉。
真人ほどではないが、その筋肉具合とボケっぷりは理樹にとって懐かしいものだった。

(そういえば、加藤先生も、アサシンさんも、館長さんも、葛木先生も、あの侍も……みんないい筋肉してたな。
もしかしたら、真人の夢である筋肉革命が起こせたのかも……って、ああ僕も駄目だ)

582 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:13:36 ID:sMIj4Olf


583 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:14:56 ID:WHqHM7t8
一応ツッコミ担当の理樹。しかし彼はたまにツッコミを放棄して共にボケる傾向がある。
一度、そのために虚構世界が筋肉で覆われる最悪の結末を迎えたのもそのためだ。

その世界での経験を理樹と鈴に引き継がせることを防ぐため、どれだけ恭介が苦労したかは別の話である。

疲れているのだろう。そのまま空気に流されるほうが楽で、ついついボケに乗ってしまったことを恥じる。
(こんなことじゃ、駄目だよね。もっとしっかりしないと)
緩めてはいけないと、心を、決意を、硬く堅く引き締めなおした。

そんなことをしている内に電車が到着する。
反対車線に止まった電車は、問題の壊れた車両だった。
一両ながら走るその姿は頑張れよ、とエールを送りたくなる。
時刻表によると、電車に割り振られた番号は「B」。
(頑張れ、B)
(健闘を祈ります、B)

よくわからないエールを送ったのち、目の前の電車に理樹たちは乗り込む。
「ひゃあ!?」
「あら、確かにこれは……」
「……きゅう」
その後部車両に乗っていた先客。
ユメイ、千華留、りのは三者三様のリアクションを見せた。

################################
11:00  G-4駅電車内

「申し訳ありませんでしたあぁぁぁ!」
謝罪のベストオブベスト、土下座。
九朗は迷いなくそれを実行した。
教科書に乗せたいほどに美しい見事な土下座だった。

仮に主催者二人が参加者に向かって同じ土下座をして見せたなら、思わず許してしまう者が出るのではないだろうか。

584 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:15:20 ID:sMIj4Olf
 

585 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:15:43 ID:sMIj4Olf
 

586 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:16:06 ID:sMIj4Olf
 

587 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:16:12 ID:ChzLeQ1i
 

588 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:16:31 ID:WHqHM7t8
そんな見事な土下座も、九朗のドギツイ格好が、その効力を相殺しているのだが。

全女性の味方、源千華留は断言する。
「変質者は女性の敵です」
「ごもっともです!」
苺狩りのプロ、源千華留は断言する。
「露出狂は女性の毒です」
「ごもっともです!!」
「理解した上で、あなたの口から紡がれるべき最良の言葉は?」

「この生きる価値無しの変体露出狂に寛大なご処置をぉぉぉ!!」

「まぁ、冗談はおしまいにして、お互い仲直りしましょうね」

「「えー!?」」←深優・グリーアを除く全員の叫び

「その格好で歩くことは、もはやそれだけで罪。汝ら変態、見れる場所無し、とでもいいましょうか。
だけど、ユメイさんも精神的に参っていたからと言って、彼と対話をしようともしなかった。
どちらも生きていて、どちらも悪いのだから喧嘩両成敗で済むことよね?」
「俺が吐いた人類最低限のプライドを返せぇぇぇ!!」
号泣する九郎。
裸で涙する姿は、女性に騙され身包みを剥がされたチェリーボーイのようだった。

「大十字……九郎さん。そ、その……本当に申し訳ありませんでした」
「ぐすっ、ユメイさん……俺こそ本当に悪かった。俺もこの格好をどうにかしないといけなかったんだ……」
「それでしたら……」
ごそごそとディパックから何かを取り出す動作をしてみせるユメイ。
期待のまなざしを向ける九郎。凍り付く千華留とりの。いやな予感を感じた理樹。
再び蚊帳の外の深優・グリーア。


589 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:17:03 ID:sMIj4Olf
 

590 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:17:50 ID:sMIj4Olf
 

591 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:18:02 ID:mAqaKjPc


592 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:18:06 ID:ChzLeQ1i
 

593 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:18:10 ID:8RdGBHiq


594 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:18:16 ID:WHqHM7t8
勢いよく、それを取り出した。

大十字九郎は、クトゥルーにまつわる、とある歌を思い出す。

海底から起きあがる。地中から這い上がる。
天空から舞い降りる。奴らはあらゆる所に偏在する
奴らは戻ってくるだろう。
奴らが戻るとき、人類は新たな恐怖を知る。
そして大十字九郎はそれを知った。
九郎を変態にしようと、それはどこにでも存在するのだ。

【No.13――光坂学園の制服】

「ローブの下にでも……あ、あら?」
真っ白に燃え尽きた九朗にあわてるユメイ。
自分の突きつけた死刑申告を、ユメイは理解できていないらしい。
「よく理解できません。防寒機能が上がるというのに、何を躊躇っているのです?」
「そりゃあ……グリーアさん、知り合いでもっとも体格良い人があれを着てるのを思い浮かべてみてよ」
知り合いで……と言われて、記憶をたどる。
深優に、このゲームのジョーカーになれと誘った主催者二人。

################################
「ここは……?」
気がつくと、深優は薄暗い部屋に居た。
周囲に響くのは何か硬質の物体同士がぶつかる様な音。
「やあ、深優さん。ゲームが始まるというのに、引き止めてしまって悪いね」

その声に正面を見据えると、そこには女学生服姿の男と女学生服を着た屈強な体格の神父が居た。
私は迷わずミサイルを撃ち込んだ。
################################


595 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:19:32 ID:sMIj4Olf
 

596 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:19:54 ID:ll6J5K/Z
 

597 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:20:00 ID:WHqHM7t8
「なるほど、理性的な行動を不可能にする、と」
あの時、もし二人があの服を着ていたならば、形容しがたい感情に流されアリッサを救う機会を失っていただろう。
深優は、理由まではわからないが、確かに短絡的な思考を取りたくなることを理解した。
(あれを、うまくこの殺し合いに使えれば……)
などと深優が本気で考えているとは、誰も思うまい。

騒ぐ声も収まり、時間が惜しいと、電車が駅につくまでの時間を利用しての情報交換が始める。

「そうか、恭介と会ったんだ」
「……ええ、残念ですが今どこで何をしているかはわかりませんけれど」

恭介と食事をして、情報を交換したこと。
少し離れるはずが、一発の銃声の後、二人が戻って来なかったこと。
理樹への説明を聞いている内に、りのにもある事実が理解できた。
「私たち、恭介さんとトルタさんを見捨てたん、ですね」
ユメイも、あの時の強引な行動の理由がようやく合点がいった。
(守ろうとしてくれた? 初対面の私のことまで)

殺人肯定者がいるかもしれない場所から、一刻も早く遠ざけるために。
「あ、あの! 理樹さん、怒るなら私を! 千華留さんは、全然悪くなくて……」
「……仕方ないよ。恭介のことは心配だけど、仲間を守ろうとした千華留さんを責めるのは筋違いだし……」
トルティニタ=フィーネ。
恭介と一緒にいた恋人のような存在。それを理樹は知らない。
「恭介が、何かをたくらんでる可能性は……十分にある」
「えっ!?」
りのは、理樹の言葉に驚く。仲間だと言っていたはずなのに、どうして疑うんだろう。
「恭介は、僕と鈴を助けるためなら……命だって賭けてくれる。本当に頼もしい仲間なんだ。
でも、だからこそ……そのためなら、非情になれるのが、僕が尊敬する親友にしてリトルバスターズのリーダー、棗恭介なんだ」
最強の味方でもあり、最強の敵ともなりうる。
それが棗恭介だと、直枝理樹は断言する。



598 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:20:16 ID:mAqaKjPc


599 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:20:35 ID:WHqHM7t8
トルタという少女との関係が気になる。利用するつもりなのか、本当の仲間なのか。

「吊橋効果で本当に……という可能性もあるのですけれどね。
ちなみに理樹さんは、恭介さんが好みの女性のタイプなどはご存知ありませんか?」
「そうだな、ぅぅん……ロリ?」
「あー」
「そんな「なるほどなぁ」って顔しちゃうの!?」
「理樹さん、ロリとは? 聞き覚えのない単語ですが」
今まで会話に参加していなかった深優が妙なところで参加してきた。

「実年齢、もしくは外見がいつまでも幼い娘を優しく愛でる趣向のことですわよ」
「……そう、ですか。……そう、だったのですね」
なぜだか、深優の挙動がおかしい。
「どうしたんですか?」
「いえ、大したことではありません。このゲームの主催者の一人も、その趣向の持ち主でしたので」

ある意味大したことだった。

「たしか、同じ学園の生徒会副会長、なんですよね?」
「参加者にはいませんが、同じ学園の生徒である美袋命……
背の小さな彼女のことを、妙な目で見つめているのを、何度か見たことがありました」
こんなゲームを開催して、更にロリ。
神父の飾りのように思えたがとんでもない。
誰もが神父同様、相当の外道らしいと認識を改める。

「お、おい! 趣味趣向は人によるし、そういう偏見は良くないんじゃないか?」

そして、墓穴を掘った裸の変態王がここに。

「九朗さん……」
冷たい。こんな冷たさを、九朗は知らない。
真冬の公園で体を洗うときも、吹雪吹き荒れるイタクァとの戦いの時だってもっとマシだった。

600 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:21:12 ID:sMIj4Olf
 

601 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:21:13 ID:ll6J5K/Z
 

602 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:21:33 ID:mAqaKjPc


603 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:21:56 ID:WHqHM7t8
「ま、待ってくれ! 頼む、最期のチャンスを!」
「……どうぞ」
千華留の了承を得て、大十字九朗は吼える。
「俺はロリじゃなくてペd」
ドッヂボールを顔面に浴びて、大十字九朗のチャンスは終わった。

お互いの情報を交換していく。
理樹は作戦を伝え、星を千華留と深優に渡す。

「よかったぁ! プッチャンも無事なんだ!」
プッチャンがゲームに乗っていない人に拾われたことを、りのは喜んだ。
生きて喋る腹話術の人形。そんなものが主催者の目に留まらないわけがない。
参加していないという望みは薄かったため、良い人と行動しているのは幸いだった。
「でも、奏会長は……怖い目にあってないかなぁ」
「重ね重ねスマン……」

謎の仮面男。いったい何者なのか疑問のみが募る。
ユメイにトラウマを与えた存在。かといって、殺し合いに乗っているわけではないらしい人物。
「ユメイさんは可愛いですから、攫おうと思う気持ちは理解できますけど」
「理解しないでください……」
涙目のユメイ。だが、羽藤桂の話となり、その顔色は変わる。

「桂ちゃんは、アル・アジフという方と一緒に?」
「そのはずだ。大丈夫、アルは優秀だから平気さ」
クトゥルー神話。九朗以外の人間にとって、それは創作の存在に過ぎない。
アル・アジフという魔導書の精霊などという存在も、かろうじて似た存在であるユメイだけは想像できるくらいだ。
だが、心のどこかで誰しもが理解していた。
ここでは、今までの常識など何一つ通用しない。
どれほど常識はずれでも、目の前の現実を現実を受け止めなければ、生きることさえままならない。

(魔術、ですか)
深優もまた、HiMEとは違う超常の力を知り考察する。

604 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:22:28 ID:sMIj4Olf
 

605 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:23:05 ID:mAqaKjPc


606 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:23:06 ID:WHqHM7t8
(ワルキューレたちの戦いのように、これが何らかの儀式なら……
人を蘇らせることも、不可能ではない。ですが……)
それならば、すでに蘇っている人はどういうことなのか。
(人を蘇らせることなど容易く……それ以上のことを起こそうとしている?)
情報はまだ足りない。
今は、迷い無くアリッサを救うことだけを考えようと、そこまで考え疑念を捨てた。

「そうさ……俺なんかと違って、今頃頑張ってんだろうなぁ」
顔面に赤い跡が残る九朗は、電車の端っこで体育座りをしている。
「く、九朗さん。せっかく武器を貰ったんだから、それで挽回できるよ」
「こんだけ長い剣、いや刀か。使いこなすのは難しそうだな……」
九朗のローブから出っ張った刀、物干し竿。

裸の男の、ローブの下から何か棒らしきモノが出っ張っている。

「なんて……馬鹿なことをしたのかしら」
千華留は、丸腰だと言う九朗に武器を与えたことを後悔した。
裸に武器は、何があろうと犯罪だったのだ。

ガタンと、それぞれに思い悩む乗客の意思に関係なく、定刻を迎えた電車は動き出した。

######################################
11:25 F-7駅構内

「虎太郎先生は、あの作戦をどう思います?」
近辺の捜索の成果もなく駅へと戻った二人。
しばらくして、美希が虎太郎に話しかけた。
「理樹の作戦か? どうした、お前は賛成していたと思ったが」
「で、でもほら。やっぱり子供の考えた作戦なんて、大人が見れば穴があるかもしれないじゃないですか」
「まぁ、たしかに穴だらけだな」
美希が固まるのも気にせず、虎太郎は続ける。

607 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:23:07 ID:ll6J5K/Z
 

608 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:23:15 ID:sMIj4Olf
 

609 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:24:34 ID:ll6J5K/Z
 

610 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:24:38 ID:WHqHM7t8
「考えても見ろ。この星が本当に信用できる相手に渡る保証はない。
集まったところを一網打尽にするつもりのペテン師や、殺した相手から奪って持っているやつも現れかねない」
「だったら、どうして反対しなかったんです?」
虎太郎は、答える前にタバコを取り出し……火がないことを思い出して閉まった。

「……これぐらいせんと、人は集まらないだろうからな」
危険を度外視して、人を集める。本気で脱出するとしたらそれしかない。
「殺し合いを避けて、一人で逃げ隠れれば禁止エリアによって燻り出される。
知り合いだけで団結し、協力して生き延びてもエリアが狭まり、消耗した末に死ぬ。
なら、探すしかあるまい。危険は承知でも、この首輪を外せる知識を持つ人物をな」

「脱出の手段なんて……本当にあるんでしょうか」
「少なくとも、主催者の見立てでは0%なんだろうが……」
虎太郎は何か考えているのか言葉を切り、突然問いかけた。

「山辺。お前、俺を殺せると思うか?」
「えっ? む、無理ですよそんなの!」
発言の真意が読み取れず、美希は戸惑いつつも答える。
「別に正々堂々戦えとは言っていない。だまし討ちでも、不意をつくでもいい。
どんな方法を取ってもよければ、俺を殺せると思うか?」

「……罠を仕掛けたり、マシンガンで不意をつくとか、なら」
「そうだな、今の俺ならそれで死ぬだろう。
山辺や霧が俺程度の力を持つ相手を殺さねばならない場合、頭を使う必要がある」
虎太郎は、戸惑ったままの美希に本題を話す。
「想像してみろ。この殺し合いが円滑に進んで残り三人。
一人は山辺。二人目はあの悪鬼。三人目は2メートルを超える仮面の男。
この状況で、生き残る自身はあるか?」
美希はうなり、返答に困る。

もしその状況になったら、どうするか。
虎太郎のように頼れる相手はいないし、どちらかに取り入るなど不可能。

611 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:25:43 ID:mAqaKjPc


612 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:25:47 ID:WHqHM7t8
二人が争っている隙をつくしかないが、両方を同時に倒すなど一般人相手でも難しい。
トラップをしかけるとしても、あの運動能力を持つ相手に聞くトラップを用意する間に襲われてしまうかもしれない。
そもそも、エリアも狭まっているだろうし、不意をつくことすら無理がある。

「ちょっと、無理かもしれません」
「だが、乗っていようと乗っていまいと、そこまで進んでしまえば脱出も糞もない。
もはや選択肢は自分が生き残ることをおいて他にはない。
……今はまだ違う。悪鬼に堕ちた者はいる、殺し合いを楽しむものもいる。
それでも、本気で脱出したいと願う奴らは少なからず存在する。
その中には、ゲームに乗ってもおかしくないような悪党だっているかもしれん。
乗った者、乗らない者の双方にとって、集まると言う行為は重要だ。
乗らない者に紛れて狩るチャンスであり、乗ったものを撃破する好機でもある。
そして……本来交わらない双方が出会うことで、得られる情報もあるかもしれん」

なるほどと美希は思う。
危険は承知の上。それでも集まらなければ脱出するための手がかりはバラバラのまま。
パズルを壊そうとする者ですら、パズルを完成させるピースを持っているかもしれない。

(危険は避けたいけど……たしかに、人数が減ったときのことは考えないとね)
脱出計画中の危険は、先生やお人よしの九朗が守ってくれるだろう。
だが、その分消耗は早いかもしれない。
一緒に行動していく間に、危険人物と守ってくれそうな人物を餞別していく。
脱出計画が失敗した場合、最終的に殺しあう必要が出てきてしまう。
その相手のほとんどが、会話もできないような怪人では困る。
そういう意味では、人が集まった際に無害な優しい子という顔を売っておくのもいいかもしれない。

虎太郎先生や九朗が死んだとき、涙ながらに近づけば保護してもらえるようなお人よし。
そういう人物に危険人物の情報を流し、せめて相打ちでも倒してもらう。
それで生き残った人がいれば、守ってもらい、最後の二人となる瞬間を待つ。
自分は守ってもらう対象であり続ける。最後の最後に引き金を引くことになるまでは。
それが山辺美希の出した結論だった。

613 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:25:53 ID:sMIj4Olf
 

614 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:26:32 ID:mAqaKjPc


615 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:26:35 ID:ll6J5K/Z
 

616 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:27:01 ID:WHqHM7t8
(パソコン……壊すなら、本当によく考えないと)
適応係数が高い人間だなどと書いていては困る。
あの黒須太一と同類に見られては困るのだ。
黒須太一は、どうやら適応係数の高さからか、すでに現実離れを始めている。
まともな会話もできない異常者と同類に見られては終わりだ。

もし、脈絡もなくパソコンを壊せば、たとえ内容を見られずとも奇異の眼差しで見られてしまう。
パソコンを使用しようとして、ついうっかり壊す……自然だが、使えない子のレッテルが貼られる。
それでは守ってもらえなくなる。
それに、お人よしの人間を探すのに詳細名簿は役に立つかもしれない。
壊すより、利用する方法も考えるべきではと美希は悩む。

「まぁ難しい顔をするな。お前のことは守ってやる。だから、あまり離れるなよ?」
「た、頼りにしています」
そんな会話も終わりかけたころ、電車のアナウンスが響く。
「……誰か乗っているようだな。山辺、念のため下がっていろ」
電車が止まるよりも早く、気配を察する。
美希が後ろに下がったのとほぼ同時に、電車のドアが開く。

「……よう、ずいぶん収穫があったみたいだな」
そこには、6人になって帰ってきた理樹たちの姿があった。

######################################
11:40 F-7駅構内

電車に乗っている間、理樹は交換した情報をメモしていた。
それを貰った虎太郎と美希は、その内容に目を通す。
「やれやれ、うちの生徒も無事だと良いんだがな」
まったく入ってこない神沢学園の生徒の情報。
これだけ人数が集まっても目撃情報がないとなると、虎太郎も不安にはなる。
「ま、便りがないのは無事な証拠という。指導が必要なことをやってなければ尚の事いい」


617 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:27:37 ID:sMIj4Olf
 

618 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:27:46 ID:WHqHM7t8
「私としては……曜子さんの動向も気になるんですけど」
二人の知り合いの情報は、まったくなかった。

「ユメイと言ったか。あの時は誘拐犯から守りきれなくてすまなかったな」
「いえ、気絶していて覚えがありませんが、助けてくれようとしたこと、感謝いたします」
「なに、美しいお嬢さんを守ることは男の義務だからな」
大人の魅力と言葉に、赤くなるユメイ。
「……中々の強敵ね」
「ち、千華留さんの眼が燃えてます!」

そんな騒ぎを続けても、一向に待ち人は現れなかった。
虎太郎と九朗が周囲を見張り、おのおのは分かれて話している。

もうすぐ、放送前の最後の電車が来る。
これに乗っていなかったら、おそらく放送には間に合わない。
放送しだいで待つ必要もなくなる。
そんな不安を誰しもが思い出したとき、電車が到着を知らせるアナウンスが流れた。

######################################
11:55 F-7駅構内

到着した電車のドアが開く。
中から出てきた人物は、しかし待ち人の誰でもなかった。
「なっ、何だお前たちは? そんな大人数で……」
こちらの様子に驚く女性。
まずは、警戒を解こうと話しかけようと理樹が前に出る。

警戒した女性の手には、いつの間にか銃があった。
虎太郎が理樹を静止しようとするのとほぼ同時に。

発砲音が鳴り響いた。


619 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:28:01 ID:mAqaKjPc


620 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:28:33 ID:ll6J5K/Z
 

621 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:29:10 ID:sMIj4Olf
 

622 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:29:36 ID:WHqHM7t8
「えっ……?」
源千華留の思考は停止した。
そんなはずはない。ないはずだった。
千華留はその身を、りのの盾となるように立っていた。
だから、撃たれて倒れるのは何があっても千華留のはずだった。
だけど。

後ろから撃たれたのでは、りのの壁になることも無意味だった。

「ア、え、……や、やだ……」
白く柔らかい肌は、無骨な鉛によって汚された。
りのの足が赤く染まる。

刹那、時間は止まった。
だが、りのを撃った人物の動きは止まらない。
すぐに銃口を放心状態の千華留へと向ける。
「ッ……!?」
突然、視界を蝶のようなものが塞ぐ。
特殊な攻撃だと判断した襲撃者―――深優・グリーアは撤退を開始する。
崩れ落ちた蘭堂りのをつかみ上げ
「後は頼みます、なつきさん」
そう、女性――玖我なつきに捨て台詞を残して。

「りのちゃん!」
千華留は銃を片手に走る。
それを追うユメイ。
「なっ、なっ――!」
「理樹、九朗も行け! こいつは俺が相手をする」
狼狽していたなつきは、何も理解できぬまま、しかし迎撃体制に入る。

「理樹、りのを追うぞ! まだ助けられる!」
「う、うん!」

623 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:30:14 ID:mAqaKjPc


624 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:30:23 ID:ChzLeQ1i
 

625 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:30:36 ID:ll6J5K/Z
 

626 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:31:06 ID:sMIj4Olf
 

627 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:31:20 ID:WHqHM7t8
走り出す理樹と九朗。
駅に残ったのは、虎太郎、なつき。
そして隠れている者だけだった。

(一瞬でこんなことに……最悪じゃないのっ!)
人が集まることの危険性は、たしかに虎太郎の言うとおりだった。
だが、その危険は予想以上だった。
このまま脱出計画に乗っていいのか、美希が疑問を抱くには十分なほどに。


外に出た九朗と理樹は周囲を見渡すが、りのどころかユメイたちまでいなかった。
「それじゃあ、見つけたらこのトランシーバーで連絡して」
「わかった!」
理樹は九朗にトランシーバーを渡して二手に分かれた。
深優・グリーアに騙されていた事は悲しむ暇もなく、りのを探す。
ユメイと千華留の姿も見当たらない。
走る。
走る。
走る。
あれからほんの数分、だというのに影も形も見えないことに焦りが生まれ――

「――さて、放送の時間だ。
悪魔は、それに追い討ちをかける。

######################################
12:10 F-7喫茶店

「あ、ぐぅ……そんな、サクヤさん……!」
りのは、痛みに耐えながら放送を聞いた。
サクヤ、葛。二人も知り合いを失ってしまったユメイはどうしているのだろう。
(私がこんなことになって、千華留さんは心配してるよね。奏会長と同じ、優しい人だから……)
つかまって放り込まれた場所は喫茶店。

628 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:31:42 ID:mAqaKjPc


629 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:32:18 ID:ll6J5K/Z
 

630 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:32:23 ID:8RdGBHiq


631 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:32:32 ID:WHqHM7t8
撃たれた足からは、見たことも無い量の血が滴り落ちる、
止血しないと死んでしまう。けれど、りのには動くこともできない。
椅子に縛られているのだから。

「深優さん、どうして急に……」
「彼女が現れなければ、もう少し紛れているつもりでしたが……あそこで一人も殺せなかったのは失敗でした」
はじめから裏切る気だった。裏切るも何も深優からすれば内部をかき回す作戦だったのだが。
情報を入手して、後は揃ったところで問題を起こし離脱。
放送後がベストだったが、それもサクヤの死を知った今となっては先ほどが最良に違いなかった。

「……途中、血を垂らしておきました。気づいた彼らは、貴方を助けに来るでしょう」
そう言ってまもなく、何かに気がついたように外へと消えていった。
(誰か、来たんだ)
朦朧とする意識の中、何とか脱出を試みるが椅子に結び付けられた紐はまったく解けない。
そもそも、なぜ深優がりのを殺さないのか。
殺す必要もなく、りのはもうすぐ死んでしまうから。
すでに腕に力も入らず、視界までぼやけている有様だ。
「ひぐっ、痛い……死にたくないよぉ……」

外で発砲音が聞こえる。
(……銃の種類で、発砲音って違うんだ)
今のは、間違いなくりのを撃った銃の音だった。
自分のために誰かが死んでしまった。
りのの眼に、傷の痛みのためではない、悲しみの涙が浮かぶ。

また、発砲音。発砲音、発砲音。
「……?」
まだ無事なのかと涙を止める。
(もしかして……押してる?)
まだ希望は費えていない。
りのは、薄れかけた意識を呼び戻す。
外では、何かを吹き飛ばしたような音がする。

632 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:33:12 ID:ll6J5K/Z
 

633 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:33:16 ID:8RdGBHiq


634 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:33:40 ID:WHqHM7t8
誰かが駆けてくる音。
りのの胸は希望に溢れそうになり、

その希望は、熟れた苺のように甘いものだと、現実を突きつけられた。

「迎えに来たよ、りのさん」

だって、そこにいたのは希望などではなく。
絶望に沈んでしまった鬼だったのだから。

######################################
12:05 F-7 遊園地近く

ガシャンと言う音が、確かに聞こえた。
「サクヤさ……アサシ……さ……り ん? 違うよ、そんな、はは……ちがう人だよね」
砕け散る音を、その耳ははっきりと聞いた。
「はは、でもアサシンさんよばれたよ。あれ、ならアサシンさんも生きてるんだ。
なんだ、よかった。あれ、あれ? うそだって、ねぇ、アサシンさん、うそ、だよ」
ガタガタと震え、アサシンの仮面を見つめる理樹。
「つよく、ツヨク生きないト。
鈴と、これから生きてくって。僕が死んでも守らないと。ぜったい、ぜったい!」
砕けた心は、否定した。
だから、鈴は死ぬわけがない。だから、全部間違いなのだと拒絶した。

『りき……りき……さむい、さむい、……』
君の声を忘れるはずがない。だからこそ、その声が聞こえたことが信じられない。
「り、ん?」
『理樹……手を、引いてくれるっていったのに……あたしを、たすけてくれなかった』
「探したんだ! 一生懸命、仲間たちと一緒に!」
『ちがうひとを、たすけてた。あたしより、そのこのほうがだいじだったんだな』
「それは、仲間だから……!」
冷たい鈴の声。鈴のそんな声を聞いたことがない。

635 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:34:27 ID:sMIj4Olf
 

636 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:34:30 ID:mAqaKjPc


637 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:35:03 ID:WHqHM7t8
『あたしのことを守ってくれるって信じてた』
「鈴、僕は……僕はっ……!」

『理樹のせいで、リトルバスターズはおしまいだ』
砕かれたものは、粉微塵になるまで更に破壊された。

「ご、めん……ごめん、鈴。僕が、もっとしっかりしていれ、ば……」
『……でも大丈夫だ。リトルバスターズはまた作り直せばいい。
その子も、新生リトルバスターズに加えてやろう』
鈴の優しい言葉に泣き顔を上げる。
鈴は笑っていた。耳まで口の端が付きそうなほど満面に。
『理樹が、またひとつにすればいい。リトルバスターズは、理樹にしかひとつにできない。
大丈夫、理樹なら必ずできる。あたしのことも、加えてくれ』
「うん、うん……僕、また作るよ。リトルバスターズを」
『よし。だったら、まずは一人目だ。すぐに勧誘しよう』
理樹は、鈴と共に走り出す。
大丈夫、メンバーはすぐ見つかる。
素敵な目印がついているから、簡単に見つけられる。

『勧誘を邪魔する敵だ。倒そう、理樹』
「うん、ミッションスタートだ!」
相手の武器は銃。あれくらいならカンフュールで防ぎきれる。
なぜか相手は驚いていて、動きが鈍い。
銃弾を防ぎながら距離を詰めて、傘で横薙ぎに吹き飛ばす。

『あいつの勧誘は後回しだ。あの奥の子を勧誘しよう!』
「うん、わかってる」
走る、奔る、走る。
こんなにも体が軽いと思ったことはない。
鈴がいるからだと理樹は思う。
目印を辿り着いた先に、彼女はいた。
その顔は、まだ希望に溢れていた。

638 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:35:12 ID:ll6J5K/Z
 

639 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:35:58 ID:WHqHM7t8
######################################
12:15 F-7喫茶店

「……あ」
だけれども、すぐにその顔は絶望に沈んでしまう。
その理由を、理樹はまだ『勧誘』していないからだと思った。
「よかった、無事だったんだ。「まだ」殺されてなくて本当によかった」
『勧誘』しなければと近づく。

動かなくなった後では、強引な感じがする。
動いているうちに『勧誘』してあげるのが一番いい。

「ぁ……っ」
理樹が『勧誘』を始めた途端、りのはか細い声を上げた。
舐め取られる度に、少しずつ理樹の『仲間』になっていく。
『勧誘』しきる前に、そこから流れ出るものは少なくなっていく。
「ううん……どうしようか」
手っ取り早く『勧誘』して、りのもリトルバスターズに迎えてあげなければいけない。
だから、その首筋から『勧誘』することにした。

「理樹さん……」
「待っててね、りのさん。すぐに、りのさんもリトルバスターズにしてあげるから」

「理樹さん……目を、覚ましてください!」
首筋からの『勧誘』を始めようとした矢先に、りのは理樹に語りかける。
「私、理樹さんはどうなったのかわかりません。でも、どうしてそうなったかはわかります」
「何を言ってるの?」
わけがわからないと、理樹は首をかしげる。
これも、リトルバスターズじゃないからだと構わず『勧誘』を続行しようと動き。

「リトルバスターズは、もう終わってしまったんです!」
完全に、止まった。

640 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:37:02 ID:ll6J5K/Z
 

641 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:37:19 ID:WHqHM7t8
「お母さんが死んで、私が立ち直れたのはプッチャンがいたからです。
毎日が楽しかったのは、極上生徒会のみんなが……奏会長がいてくれたからです。
理樹さんにとってのプッチャンや極上生徒会が、リトルバスターズ……
そして、鈴さんが……奏会長だったんですよね?」
理樹は、石化したように動かない。
「私たちは、仲間です。何よりも大切な人を知っている、仲間です。
だから、一緒に大切な人を想って泣きましょう?
泣いて、泣いて……でも、それで終わらせないといけないんです!」
悲しむことは大切でも、悲しんだままではいけないとりのは力を振り絞り叫ぶ。
「理樹さんがそんなになったら……鈴さん、悲しみます。安心、できません!」

りのの言葉は、
「そんなことないよ、鈴は隣で笑ってるから」
「理樹さん」
「大丈夫、りのさんもリトルバスターズになればわかるよ」
理樹に届かなかった。

ずぶりと、肩に歯が食い込む。
(奏会長……千華留さん、プッチャン……私、やっぱりこういうの得意じゃないみたいです)
千華留に何とか届いた言葉は、出会って間もない理樹には届かなかった。
死の恐怖よりも何よりも、りのの胸中に残るのは後悔の念。
理樹が誤った方向へ進んでいくことを、止められない自分の不甲斐なさのみ。
(私の気持ちが……全部伝わればいいのに)
ぼやける光景が暗く堕ちきる瞬間まで、そんなことを思い続けた。

######################################
12:25 F-7を中心としたどこか

「ちくしょう、理樹! 応答しやがれこの野郎!」
放送を聞いて、嫌な予感がした九朗は理樹を探した。
トランシーバーで呼びかけても、その返答はなかった。
(何の役にも立てないのかよ、俺は! 俺ってやつは!)

642 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:37:44 ID:mAqaKjPc


643 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:37:47 ID:ll6J5K/Z
 

644 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:37:55 ID:sMIj4Olf
 

645 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:38:36 ID:WHqHM7t8
アルがいなければ三流魔術師。そんなことはわかっているとはいえ悔しい。
九朗は願う。何か力になりたい、俺の、俺ごときでもできる何かがあることを。
だから

『九朗……さん』
「理樹!」
今、この返答こそが俺にできることだと、相手の名を強く叫んだ。

「どこにいる、すぐ行くから教えやがれ!」
『僕は……どうすればいいんだろう』
理樹は、九朗の声など聞いていないかのように言葉を発するだけだった。
『鈴を殺した奴が憎い。殺してやりたい、八つ裂きにしてやりたい。
でも、こんな恨みや憎しみじゃあ、鈴は喜んでくれない!』

やはり、と九朗は血が出るほど拳を握る。
鈴の死で、理樹に何かあったに違いない。
今、理樹は二つの感情が争っているのだ。
「僕は……この怒りを捨てられない、この憎しみを忘れられない。
僕は、これを捨ててまで……みんなのために、戦えないよ……!」

ああ、ようやく俺にできることが見つかった。

「憎悪の空より来たりて」
『え?』
紡ぐ。
「正しき怒りを胸に」
紡ぐ。
「我等は、魔を断つ剣を執る!」
――最強の聖句を、紡ぐ!

「汝、無垢なる刃――デモンベイン!」


646 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:39:03 ID:ll6J5K/Z
 

647 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:39:32 ID:sMIj4Olf
 

648 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:39:43 ID:Fh9MhgZm
 

649 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:39:53 ID:WHqHM7t8
『九朗さん……それ、は?』
「俺とアルの最強のパートナー、デモンベインを呼び出す呪文だ」
今唱えても、それはただの言葉に過ぎない。何も起きはしない。
それでも、その言葉自体を伝えたかった。

「理樹、お前の味わった絶望は俺にわかるもんじゃない。
俺のとっての棗鈴……アル・アジフは今も生きているからだ。
だから、これだけは言う。
――その憎悪は、その怒りは、正しいものなのか?」

『正しい、憎悪?』
「間違った怒りは、その矛先を見誤る。
だが、正しい憎悪なら! それは魔を断つための剣になるんだ!」
『――だとしたら、僕はもう……間違えたよ』
「今からでも正せる! お前は正したんだろう、お前をマスターと呼んだ、あの人を!」

返答が無い。
何かが崩れたような音が聞こえる。
(くそっ、どこだ!?)
それきり、トランシーバーから応答はなかった。
九朗は走る。
(このままじゃ、口だけの男になっちまうだろぉがぁぁぁ!!)
自分が果たした行為の大きさに気づかぬままに。

【F-7を中心としたどこか /一日目 日中】
【大十字九郎@機神咆吼デモンベイン】
【装備】:物干し竿@Fate/stay night[Realta Nua]、手ぬぐい(腰巻き状態)、キャスターのローブ@Fate/stay night[Realta Nua]
【所持品】:木彫りのヒトデ7/64@CLANNAD、アリエッタの手紙@シンフォニック=レイン、凛の宝石5個@Fate/stay night[Realta Nua]
【状態】:疲労(大)、背中にかなりのダメージ、股間に重大なダメージ、右手の手のひらに火傷
【思考・行動】

650 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:40:41 ID:WHqHM7t8
 0:理樹を、りのを救う。
 1:アルと桂、奏を捜索。
 2:人としての威厳を取り戻すため、まともな服の確保。
 3:アル=アジフと合流する。
 4:ドクターウエストに会ったら、問答無用で殴る。ぶん殴る。
 5:変態で役立たずなのを返上するんだぁぁぁぁl!!!
【備考】
※千華留、深優と情報を交換しました。
深優からの情報は、電車を破壊した犯人(衛宮士郎)、神崎の性癖?についてのみです。
 ※仮面の男(平蔵)をあまり警戒していません。
 ※理樹の作戦に参加しています。 把握している限りの名前に印をつけました。


######################################
12:30 喫茶店外

(直枝理樹……彼に関するデータの修正を完了。以後はウィンフィールドの0.5倍の修正地で戦闘を行います)
深優は理樹の戦闘能力を見誤ったと判断した。
ただの一般人のつもりで挑み、敗れた。

追い討ちがあれば危なかったが、こちらには目もくれずに喫茶店へと消える理樹。
吹き飛ばされ、しばらく動けなかったのも回復した今、深優は再び殲滅行動を開始する。
呑気にドランシーバーで会話しているところを発見し、斬りつける。
右肩の負傷を確認するが、深くは無い。
(仲間を呼んだとすれば、早く殲滅する必要がありますね)
とはいえ、今は機能を使える状態ではない。
かろうじて使えるブレードと拳銃で、相手にしなければならない。

(問題はありません)
先ほどの攻撃は、技量も何も無い力任せの一撃。
それも、深優よりも全体的に弱いと見ていいだろう。
不意さえ付かれなければ、どうということは無いタイプ。

651 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:41:41 ID:Fh9MhgZm
 

652 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:41:58 ID:ll6J5K/Z
 

653 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:42:37 ID:WHqHM7t8
そのはずだった。
銃口の先にいたはずの理樹が消える。
「くっ!?」
音も無く、深優の制空権に近づいていた理樹を刃で斬りつける。
それを受け止めたのは、傘ではなかった。
バルザイの偃月刀。アサシンが理樹に託した魔術師の刃。
間合いを取ろうと後ろに下がる深優。
だが、それに理樹は追随する。
深優は理樹の急激な変化に対応しきれない。
身体能力はウィンフィールドには及ばない、技量もそこそこだが太一より劣る。
だが、その闘法が足りない全てを補っていた。

理樹は思う。
自分はなんて弱いのかと。
(アサシンさんは、もっと速かった。館長さんはもっと力強かった。
鉄乙女は、もっともっと恐ろしかった!)

アサシンに並ぶには、年月も素質も足りなすぎる。
橘平蔵に並ぶには、もはや人をやめた理樹には得られない。
あれは、人が人で在りながら極めた極地なのだから。
鉄乙女。あの生きとし生けるもの全てが生まれながらに知っている原初の恐怖そのもの。
そこに辿り着く道は、りのが閉ざした、閉ざしてくれた。
だから、理樹は知りうる全ての闘法を模倣し、敵に対峙する。

######################################
12:20 喫茶店

りのの血を吸い上げた瞬間、理樹の頭に言葉が溢れた。想いが溢れた。
蘭堂りの本人すら自覚していない力。神宮寺の血に流れる力。
その力は、ほとんど制限によって封じられこそしていても、確かに存在する力。
すなわち、以心伝心の力。
それすら封じられ、ほとんど行使などできない。

654 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:43:18 ID:mAqaKjPc


655 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:44:12 ID:ll6J5K/Z
 

656 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:44:25 ID:WHqHM7t8
その行使を、りのは可能にした。
溢れんばかりに想いを募らせた瞬間に、その血を啜われるという、これ異常ないほどに他者と触れ合ったことによって。

壊れたものは、元通りには直らない。
しかし、りのの想いはテープで補修するかのように、歪ながらも理樹の心を直した。
「……りん」
振り向いても、誰もいない。そもそも、誰もいなかった。

「りの、さん……」
その目に、一筋の涙が浮かび流れていた。
それきり、りのは動かなかった。
「ぅぁ……あぁぁ……ごめんなさい、ごめん、なさい……」
理樹は泣いた。
鈴を勝手な妄想で下種に仕立てた愚かさを恥じて、りのの想いを聞こうともしなかった自分を恥じて。

トランシーバーに気がついたのは、そのときだった。
電波が悪く、理樹は外に飛び出し……放送後、初めてまともな声を発した。

「九朗……さん」

######################################
12:40 喫茶店付近

来ヶ谷の歩法にアサシンの戦い方をアレンジした戦い方。
ぶつける、理樹の憎悪を。ぶつける、理樹の怒りを。
りのを奪った深優に。 鈴を奪った名も知らぬ誰かに。
そしてなにより、その遥か彼方にいる本当の敵に。

だが、理樹の猛攻は続かない。
焼き付けばの戦い方は、次第に深優に押されていく。
正確には、僅かながら回復し、自身の能力を使い始めた深優に押され始めたのだ。
バルカン斉射を、理樹はカンフュールで防ぐ。

657 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:45:22 ID:mAqaKjPc


658 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:45:39 ID:ll6J5K/Z
 

659 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:45:57 ID:WHqHM7t8
大きく下がった理樹に、深優は突進する。
「……ッ!」
その突進に合わせるかのように、深優めがけバルザイの偃月刀が投げつけられる。
普通の武器ならば、これを防ぐことは不可能だった。
「甘いッ!」
アンチマテリアルライザーを用いた刃によって、偃月刀はあらぬ方向へとなぎ払われる。
残る武器は傘のみ。
深優は勝利を確信し

「真・ライジング……ニャットボール!!」
必殺の閃光をその身に浴びた。
「がぁ――ぐぅuぅU!!!?」

体が吹き飛ばされるのを、脚部に全出力を回す事で耐える。
壁にぶつかるより前に、その勢いは落ちていく。
いったいこの攻撃は何なのか。
その正体に――本当に一瞬あっけに取られた。

「……ただの、ドッヂボール?」
そして、その刹那は致命的となる。
ザシュッと音を立てた時には、すでに終わっていた。
深優の右腕が、宙に舞う。

バルザイの偃月刀を回収した理樹は、間髪いれずに投げた。
いずれ押されるこの瞬間、相手が攻めに出る瞬間を狙う。
成功するかも危ういミッションが、成功したのだ。。

近づく理樹の攻撃を、ボールを止めることに集中していた深優が防ぐ手立ては無い。
理樹は躊躇無く、カンフュールで突き刺す動作に入る。
(アリッサお嬢様……私はアリッサお嬢様を救うのです)
ここで死ぬわけにはいかないのに、もはやどうしようもないのか。

660 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:46:21 ID:mAqaKjPc


661 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:46:53 ID:WHqHM7t8
「それでも、私は死ねないのです!」
深優が感情的に叫んだのと、ほぼ同時だった。

深優の周囲に、天使の羽が舞った。
「えっ!?」
理樹の全身を言い知れない悪寒が支配する。
だが、もはや攻撃を止められる段階ではなかった。

自然に深優の口から紡がれる言葉。
「我が前に……カマエルッ!!」
一秒にも満たない、天使の光臨。
制限が、その天使の存在を認めないが故に消え去る。
しかし、深優の手に発生した赤い天使の翼は消え去ることは無かった。

「「はあああああああ!!!」」
お互いの叫び声が重なり。
天使の翼から放たれた羽の爆発が、二人を包み込んだ。

######################################
??:??

「魔を断つ、剣か……少しでもなれたのかな」
そこは、彼にとって見慣れた学校の野球場だった。
「そんなこと知るか。ほら、早く打席に立て」
彼を急かす声は、記憶と一片だって違わない。
「ごめんごめん。……さぁ、いいよ」
「……一球勝負だ」
彼女は、全神経を集中している。
その指から放たれたボールは、音速に迫る。
「でぇぇい!」
カキィィィン!
それを、彼は完璧に捉えた。

662 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:46:54 ID:ll6J5K/Z
 

663 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:47:33 ID:WHqHM7t8
「真・ライジングニャットボールが!?」
ボールは、バックネットを越えるほどのホームラン。
「そうはさせんぞぉぉ!」
だが、バックネットの「上」に立ってる男は、それを認めない。
ジャンプして、ホームランボールをミットに収める。
「うぉぉぉあぁぁぁぁ!?」
そのまま落ちた。
「アウトだ」
「今のアリなの!?」
多分、抗議は無駄なのだろうと彼……直枝理樹はため息をつく。

「よし、次はホームランだ!」
「……いいや。今のでコールドゲームだ」
棗鈴は、マウンドを降りる。

「一球勝負で点差はないんじゃない?」
「うっさい! とにかく終わりなんじゃぼけー!!」
理不尽に怒られた。
「うう……謙吾からもなんとか……」

そこには何もなかった。

「謙吾……?」
「あいつは、もう行った。この世界は、これくらいしかもたない」
鈴は、笑顔だった。

「……僕は、まだ違うの?」
「そうだ。まだもうちょっとだけ頑張れ。勝ったあたしからの命令だ」
なら、せめてその体を抱きしめたいと近づく。

なのに、鈴の体はどんどん遠ざかる。

664 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:47:52 ID:sMIj4Olf
 

665 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:48:45 ID:ll6J5K/Z
 

666 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:48:46 ID:WHqHM7t8
「もう、あたしのことは忘れろ。理樹にお似合いの子はたくさんいる」

鈴は遠くへ行ってしまう。
どんな彼方にも終わりが待っている
そこに、鈴は先に行く。

「忘れない!」
「ッ!?」

君の声を忘れない。涙も忘れない。
何一つ、忘れたりはしない。

「忘れないよ、鈴。そこに行くのがいつになるかはわからない。
だけど、君のところへいつか必ずたどり着くんだから!」

1時間先かもしれない。1日先かもしれない。何十年も先かもしれない
どれだけ時が経って、どれだけ僕が変わっても。

いつか君を見つけてみせる。君を探し出してみせる。
君は今、どんなに想っても届かないほど離れているけど。
そこは、いつか誰もが辿りつく場所なんだから。

「いつか、また皆が揃うその日まで、待っててくれる?」
「……待ってる。おねがいごとひとつ、かなえてやる」

リトルバスターズは不滅だ。
それでも、メンバーが再び揃うには長い準備期間が必要だった。
だから、みんなが自然と揃うその日まで。

「「さようなら、リトルバスターズ」」
それまでは、ただの直枝理樹として頑張っていこう。

667 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:48:54 ID:mAqaKjPc


668 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:49:50 ID:WHqHM7t8
######################################
13:…… 喫茶店

そんな夢だった。
そう、どれだけ現実味があってもあれは夢だったのだろう。
直枝理樹は、虚構世界から現実に帰還する。
あの状況から、どう生き延びたのか疑問の答え。

「千華留さん、理樹さんが目を覚ましましたよ」
それは、彼女たちによるものだった。

爆発音を聞きつけ、駆けつけた二人が目にしたのは、酷い傷を負った理樹。
人ではなくなっていることをユメイは看破し、助けるべきか悩んだ。
だが、仲間の要望に応え、その傷を癒そうと月光蝶を用いた。
制限によって弱くなった治癒の力を補ったもの。

それこそが、エクスカリバーの鞘、アヴァロン。
源千華留は、考えた。
情報交換によって、魔術は確かに存在すること認めた。
ならば、これも本物なのだろうと。

伝承どおりならば、その鞘を持つものの傷を癒すと言う。
ならばと、鞘をユメイさんに渡す。
これを有効に使えるのは、魔力に類する力をもつものだけらしい。

「この鞘を媒介に、治癒の力を高めました。傷は残っていますが、十分動けるはずです」
なんとか立ち上がる理樹。たしかに節々は痛いが動くことはできた。
「ですが……失ったものだけは」
「うん……生きているだけで、十分だよ」
理樹と深優の戦いは、痛みわけだった。
理樹の右腕は、天使の羽によって寸断されてしまっていた。
その腕はというと、爆発によって黒い焦げ肉へと変わっていた。

669 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:49:55 ID:ll6J5K/Z
 

670 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:50:28 ID:mAqaKjPc


671 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:50:30 ID:Fh9MhgZm
 

672 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:51:00 ID:ll6J5K/Z
 

673 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:52:06 ID:WHqHM7t8
二人が来たとき、ぼろぼろになって倒れていたのは理樹だけだったという。
深優がどこに行ったのか、まったくわからない。

「……ユメイさん。僕は、どうなったんですか?」
「残念ですが貴方は……鬼になってしまったようです」
鬼。あの鉄乙女と同じ存在になったのかとショックを隠せない。
「ですが、信じられないことに、その力の暴走を抑えている。
……あなたは、人である全てを捨てることを、後一歩の所を踏みとどまっているんです」
人間をやめてしまったという感覚はどこかにあった。
第六感というのだろうか、今までに無い感覚もあるらしい。

「ですが、その力が破壊の力であることには変わりありません。
サクヤさんも、鬼でした。あなたより遥かに優れた彼女でも、一度戦闘と成れば凶暴性を抑えられなかった。
どうしても力を使うなら、鬼に飲まれないよう肝に銘じてください」

鬼に飲まれないように。その言葉は、もう手遅れなのではと感じた。
「ユメイさん……千華留さん。僕は、僕は……!」

「――りき、さん」
信じられず、その声のする方を振り向く。

そこには、青白い顔の少女が千華留に背負われて笑っていた。
「りの……さん!?」
死んだはずの、蘭堂りのの少しぎこちない笑顔。
その驚きに、千華留が笑って答える。

「当然ですわ。りのちゃんは、私が悶死させると決まっているんですから!」
「い、今パヤパヤしたら死んじゃいま……すぅ……」
笑う千華留の目は赤い。
瀕死のりのを目の前にして、どれほど絶望したのだろう。


674 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:53:01 ID:mAqaKjPc


675 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:53:09 ID:ll6J5K/Z
 

676 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:54:18 ID:WHqHM7t8
「先に、りのさんを鞘と私の力で治療しました。
――本当に、命の灯火が消えれば……どうにもなりませんから」

そう会釈するユメイの額には大粒の汗が浮かんでいる。
霊力の大部分を、治療に回した結果……霊体であったなら確実に消滅していただろう。

そこまで体を張って助けてくれた恩を返したい。
だが、それを鬼である理樹が許されるのか。

「千華留さん、ユメイさん。僕のような鬼を信じてくれとはいいません。
貴方たちが脱出する手助けをさせてください!」
千華留の顔から笑顔が消える。
「理樹さん。りのちゃんを、食い殺していたのかもしれないあなたを許せない。
……でも、あなたが居なければりのちゃんは間に合わなかった」
千華留は言葉を一度切り、右手を差し出す。

「だから、りのちゃんに免じて許します。私も、腕を失ってまで戦ってくれたあなたを信じます。
理樹さんがどれだけ変わろうと、理樹さんは私たちの仲間です」
その手を握り返し、理樹は立ち上がる。
「ありがとう、本当に……ん?」
理樹は、足元がスースーするのを感じた。
ふと下を見て、固まる。
今来ている服。
ずいぶん前に脱いだはずの女制服姿だった。

「こ、これは……」
「服がボロボロでしたので、お持ちのミアトルの制服を着ていただきました。
――とても、お似合いですわよ?」
少し、黒いオーラが千華留の背に見える。
どうやら、ちょっとした仕返しというわけらしい。
「でも本当にお似合いですわよ。私、似合わない着せ替えはしない主義ですから、自信をお持ちになってください」

677 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:55:38 ID:ll6J5K/Z
 

678 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:55:43 ID:WHqHM7t8
「いやいや」
「いえいえ」
「いやいや!」
「いえいえ!」

結局着るものも無いので、あきらめた。
下着がそのままなのは、武士の情けだと思っておこう。

ユメイと千華留によると、駅を出てから1時間以上経っていると言う。
その間に、駅の状況は好転したのだろうか。
九朗はどこにいったのか。
サクヤが死んだ以上、これからどうすればいいのか。
何もわからない。
ただ、早く仲間の元へ行かねばならない。

「でも、りのさんとユメイさんが……」
極度の貧血と怪我で、まともに歩くこともできないりの。
治療による消耗が目に見えて激しいユメイ。
多少身体能力が上がったとはいえ、片腕の理樹。
唯一無傷なのは千華留のみだが、戦闘となれば心細い。

この状態で移動し、誰かに襲われたならばひとたまりも無い。
エクスカリバーの鞘はユメイが持ち、疲労を回復させている。
りのに使えればよいのだが、鞘の治癒は魔力を持つ者にしか効果がないらしい。
ユメイが霊力を送りながらでなければ効果は無いのだ。

「九朗さん……」
怒りの矛先を正してくれた声。
本当の敵……言峰と神崎に向けるべきことを教えてくれた九朗。
今、ここを動くには誰かの、彼の力が必要だった。
まだ理樹たちを探しているだろう九朗に繋がる望みを託し、理樹はトランシーバーで呼びかけ続けた。

679 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:56:54 ID:mAqaKjPc


680 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:57:10 ID:WHqHM7t8
【E-7 喫茶店外/1日目/日中】
【直枝理樹@リトルバスターズ!】
【装備】:カンフュール@あやかしびと −幻妖異聞録−、バルザイの偃月刀@機神咆哮デモンベイン、
トランシーバー、聖ミアトル女学院制服@Strawberry Panic!
【所持品】:支給品一式×2、ハサンの髑髏面、女物の下着数枚、
      木彫りのヒトデ6/64@CLANNAD、トランシーバー
【状態】:鬼、疲労(大)、鼻に切り傷、全身に軽い火傷、右腕切断
【思考・行動】
 基本:ミッションに基づき対主催間情報ネットワークを構築、仲間と脱出する。殺し合いを止める。
0:鬼の力に心まで支配されない。
1: りのとユメイを守るため、九朗と連絡を取りたい。
2: リトルバスターズの仲間を探す。恭介の行動が気になる。
3:仲間達と協力する。
4:真アサシンと敵対関係にある人には特に注意して接する。
5:首輪を取得したいが、死体損壊が自分にできるか不安。
6:なつきが敵なのか確かめたい。
【備考】
※参戦時期は、現実世界帰還直前です。
※真アサシンの死、鈴の死を乗り越えました。
※トランシーバーは半径2キロ以内であれば相互間で無線通信が出来ます。
※千華留、深優と情報交換しました。
深優からの情報は、電車を破壊した犯人(衛宮士郎)、神崎の性癖?についてのみです。
※名簿の名前を全て記憶しました。
※博物館に展示されていた情報を獲得しました。
理樹の制服はボロボロになって吹き飛びました。
 ※アカイイトにおける鬼となりました。
  身体能力アップ、五感の強化の他に勘が鋭くなっている可能性もあります。
ただし、鉄乙女や西園寺世界に比べ、その上昇率は低いです。
戦闘の際は、鬼になった影響から攻撃的になる可能性があります。

681 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:57:20 ID:Fh9MhgZm
 

682 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:57:56 ID:WHqHM7t8
【理樹のミッション】
1:電車を利用して、できる限り広範囲の施設を探索。
2:他の参加者と接触。
3:参加者が対主催メンバー(以下A)であり、平穏な接触が出来たらならAと情報交換に。
4:情報交換後、Aに星(風子のヒトデ)を自分が信頼した証として渡す。
5:12時間ごと(3時、15時)にAを召集し、情報やアイテムの交換会を開催する。第一回は15時に遊園地を予定。
6:接触した相手が危険人物(以下B)であり、襲い掛かってきた場合は危険人物や首輪の情報を開示。興味を引いて交渉に持ち込む。
7:交渉でBに『自分が今後の情報源となる』ことを確約し、こちらを襲わないように協定を結ぶ。
8:Bの中でも今後次第でAに変わりそうな人間にはある程度他の情報も開示。さらに『星を持っている相手はできるかぎり襲わない』協定を結ぶ。
9:上記の2〜8のマニュアルを星を渡す時にAに伝え、実行してもらう。
  なお、星を渡す際は複数個渡すことで、自分たちが未接触の対主催メンバーにもねずみ算式に【ミッション】を広めてもらう。
10:これらによって星を身分証明とする、Aに区分される人間の対主催間情報ネットワークを構築する。

【源千華留@Strawberry Panic!】
【装備】:能美クドリャフカの帽子とマント@リトルバスターズ!、スプリングフィールドXD(9mm×19-残弾16/16)
【所持品】:支給品一式、木彫りのヒトデ3/64@CLANNAD、
      怪盗のアイマスク@THE IDOLM@STER、
      RPG-7V1(1/1)@現実、OG-7V-対歩兵用弾頭x5
【状態】:健康、強い決意
【思考・行動】
 基本:殺し合いはしない。りのちゃんを守る。殺し合いからの生還。具体的な行動方針を模索する。
 0:りのとユメイを守る。
 1: 今度こそりのを命に代えても守る。
 2: りのちゃんと一緒に行動。何としてでも守る。
 3:奏会長、プッチャン、桂ちゃん、クリス、リトルバスターズメンバーを探す。
 4:恭介とトルタに若干の違和感。
 5:神宮司奏に妙な共感。
 6:深優を許さない。なつきについては保留。

683 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:58:53 ID:Fh9MhgZm
 

684 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/03(火) 23:58:56 ID:WHqHM7t8
【備考】
 ※浅間サクヤと情報を交換しました。
※理樹たち、深優と情報を交換しました。
深優からの情報は、電車を破壊した犯人(衛宮士郎)、神崎の性癖?についてのみです。
 ※恭介からの誤情報で、千羽烏月を信用に足る人物だと誤解しています。
 ※G-4の民家に千華留とりのがF-2の駅に向かう、というメモが残されています。

######################################
13:…… 喫茶店内

ユメイはエクスカリバーの鞘を抱き締めながらうとうとと喫茶店のカウンターへと移動する。
そこには千華留が先に運んだりのの姿。この位置ならば外からは見えない。
絶対安全とは言えないが、外で見張りをしている二人がいる今なら安心だろう。

「んぅ、奏かいちょー……ぱやぱや……」
血が足りず、りのの顔色はけして良くはない。だが、この分ならば大丈夫だろうとユメイは笑う。

(命の恩人だもの。きっと必死に守ってくれるはずよね)
哂い、ユメイの口元が歪む。
けして気持ちの良い笑い方ではないなと、表情を戻す。

サクヤ、葛の死。
それは確実にユメイの心を蝕んだ。
だが、それで殺し合いに乗ることが桂のためになるのか。
(サクヤさんが動いてくれたおかげで、桂ちゃんを知る人は増えた)
ならば、殺し合いに乗ることは、仲間だと知られている桂にとってマイナスにしかならない。

だからユメイは、自身にしかできない方法で桂を助けることにした。
すなわち、殺し合いに乗っていない人物の命の恩人になることである。
(りのちゃんみたいな、皆に愛される娘を救うことは特に有効なはず)
理樹の星作戦同様、ユメイ、そしてその仲間の桂を無条件で守ってくれる駒はねずみ算式に増えていく。

685 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/03(火) 23:59:52 ID:mAqaKjPc


686 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:00:21 ID:BK5RpigX
 

687 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:00:39 ID:WHqHM7t8
ただし、その事実をきちんと伝えなければいけないので、恩着せがましくならないよう気を付ける必要がある。

(烏月さん……馬鹿な真似をしていなければ良いのだけれど)
千羽烏月。彼女は早まって殺しに乗ったりしていないだろうか。
(駄目よ、桂ちゃんの知り合いのあなたが人を殺したら。
桂ちゃんの邪魔になるようなら……死んでもらわないといけない)
それに、死んでくれたほうが良いのかもしれない。
直枝理樹。鬼となったその力は人よりも優れている。
その力を奪える唯一の存在である烏月が死ねば、もう戻ることは不可能となる。

(理樹さんは大事な戦力。失ってたまるものですか)
鬼となった理樹を治療することはリスクを伴ったが、結果として使える駒が生まれた。

月光蝶の効力が酷く低下していたのは予想外であり、計画の根底から覆るところだった。
エクスカリバーの鞘が無ければ、どうしようもなかっただろう。
(この鞘さえあれば、桂ちゃんを守る駒を増やせる。私でも、桂ちゃんの力になれる)
なによりも優先される事項は、桂との合流。
増やした駒に守らせることができれば、後は自分の命ですらどうでもいい。
桂を守らせるよう仕向けるためなら、どんな無惨にだって散っても構わない。

(そ、そうよ。もう仮面もはだ、裸も地方妖怪マグロだって怖くなんか)

「出ーたーぞー」
「……きゅう」
ぱたん、とりのと折り重なるようにユメイは意識を闇に委ねた。

「出たぞー……んぅ、重いですー、プッチャンが大きくぅー……むにゃ」
一見すれば、仲良い二人。
だが、殺し合いと言う名のゲームは確実に、一人の少女の心を蝕んだ。


688 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:01:08 ID:ll6J5K/Z
 

689 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:01:20 ID:mAqaKjPc


690 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:02:03 ID:WHqHM7t8
【E-7 喫茶店/1日目/日中】
【蘭堂りの@極上生徒会】
【装備】:メルヘンメイド(やよいカラー)@THE IDOLM@STER、ドリルアーム@THE IDOLM@STER
【所持品】:支給品一式、ギルガメッシュ叙事詩、地方妖怪マグロのシーツ@つよきす -Mighty Heart-
      騎英の手綱@Fate/stay night[Realta Nua]、縄
【状態】:酷い貧血、右足に銃創、首に噛み跡、睡眠
【思考・行動】
 基本:殺し合いはしない。ダメ、絶対。
 0:出ーたーぞー……むにゃ
 1:千華留さん、ユメイさん、理樹さんと一緒に行動。
 2:奏会長、プッチャン、桂ちゃん、クリス、リトルバスターズメンバーを探す。
【備考】
 ※浅間サクヤと情報を交換しました。
※理樹たち、深優と情報を交換しました。
深優からの情報は、電車を破壊した犯人(衛宮士郎)、神崎の性癖?についてのみです。
 ※恭介からの誤情報で、千羽烏月を信用に足る人物だと誤解しています。
 ※騎英の手綱の効力については、後続の書き手氏にお任せします。

【ユメイ@アカイイト】
【装備】:エクスカリバーの鞘@Fate/stay night[Realta Nua]、
【所持品】:支給品一式×3、メガバズーカランチャー@リトルバスターズ!、光坂学園の制服@CLANNAD
【状態】:霊力消耗、疲労(中)、気絶
【思考・行動】
 基本方針:桂を保護する 。桂を保護してくれる人を増やす。
 基本状態:うう…………きゅう
 0:命を救うことで恩を売り、桂を助けてもらう。
 1:桂を捜索する
 2:烏月の存在が邪魔なようなら死んでもらう。
 3:誰かを傷付けるのが怖い
 4:千華留、理樹に守ってもらう。
【備考】
※理樹たち、深優と情報を交換しました。

691 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:02:25 ID:ll6J5K/Z
 

692 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:03:35 ID:WHqHM7t8
深優からの情報は、電車を破壊した犯人(衛宮士郎)、神崎の性癖?についてのみです。
 ※霊体化はできません、普通の人間の体です。 霊力が枯渇しても死にません。
 ※月光蝶の効力が低下していることに気がつきました。
 ※メガバズーカランチャーを行使できたことから、少なからずNYPに覚醒していると予想されます。
 ※仮面の男(平蔵)は危険人物には違いないと思っています。
 ※エクスカリバーの鞘に霊力を送ることで、鞘を持った人物の傷を月光蝶以上に癒すことができます。

ドッジボール@つよきす -Mighty Heart-はF-7喫茶店近くに落ちています。
######################################
13:…… E7−橋付近

深優は、かつて乙女と出会った場所の近くまで逃げていた。
片腕の処置を済ませ、体の状態をチェックする。
「武装、再びブレード以外使用不可。右腕部損失により、バルカン使用は恒久的に不可。
そして……そ、して……エレメント発現、確、認。まるで、アリッサ様のよう、な」
アンドロイドであるはずの深優の瞳からこぼれる涙。

あまりにアリッサのエレメントと酷似した力が、なぜ発現したのかはわからない。
だけれど、その答えは聞かずとも心のどこかで理解していた。
(アリッサ様……貴女はやはり、亡くなってしまったのですね?)
この力は、アリッサが深優に託した力のように思えて仕方が無い。
『私の分まで生きてね、深優』
そう言ってくれているかのように。

死者蘇生。その甘い言霊は、深優・グリーアの心をもはや震わせることはない。
あのアリッサ様が偽者だとしたら、彼らは魔術と言う不思議な力だけではなく、科学的技術も高度である可能性を示唆していたからだ。
クローン、ロボット、アンドロイド。シアーズ財団かそれ以上の科学技術があれば、それは可能だった。
死者蘇生が可能だとしても。
本当に蘇ったとして目の前に差し出されるのは、待ち望んだ人物なのか。
深優には、何の案も出てこない。

693 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:03:43 ID:Fh9MhgZm
 

694 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:04:03 ID:crMpgMNh


695 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:04:42 ID:Qbv3PRw+
 

696 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:04:48 ID:KRCk8MSr
ただただ、アリッサの死が悲しくて生まれて始めての涙を流す。

「棗……恭介」
ふと、直枝理樹が最も信頼できると言っていた人物が頭に浮かぶ。
……アリッサ様のような人物を好むという人物。
彼は、どのような道を進もうとしているのだろう。
生きているのならば、会いたい。
彼は、どのような道を進もうとしているのだろう。
生きているのならば、会いたい。
迷い、曇ったこの心を、どちらかに染めあげて欲しい。

片翼の天使は、涙を流しながら歩く。
その先にあるものは修羅の道か、当てなき光を求める道か。
まだ、誰にもわからなかった。

【E-7 橋付近/1日目 日中】
【深優・グリーア@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備】:グロック19(拳銃/弾数7+1/予備48)、Segway Centaur@現実、木彫りのヒトデ3/64
【所持品】:支給品一式、拡声器
【状態】:HIME能力覚醒、迷い、悲しみ、右腕損失、全身に火傷
【思考・行動】
 0:アリッサ様は……死んでしまった?
 1:"目的の喪失。恭介を探してみる。
【備考】
 ※参加時期は深優ルート中盤、アリッサ死亡以降です。
 ※理樹、千華留たちから情報を得ました。
※HIME能力に覚醒し、エンジェルフェザーの使用が可能です。
 ※深優は偽者だと判断しましたが、アリッサが本物かどうかは不明です。
 ※ミサイルの残弾数については基本はゼロ、あっても残り1発。
 ※衛宮士郎による羽藤桂、アル・アジフを襲撃した一連の顛末を目撃しました。
 ※どこへ向かうかは後続の書き手にお任せします。

697 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:05:48 ID:crMpgMNh


698 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:05:53 ID:KRCk8MSr
一つの戦いは終わりを迎えた。
駅構内での戦いへと戻るとしよう。

######################################
12:10 F−7駅構内

数分の睨み合いから未だ動かなかった彼らに進展が訪れたのは、やはり放送によるものだった。
「霧……」
「吾妻……すまん」
「くっ……!」

そして、待ち人も死んだ。後は、理樹たちが戻るまでに、目の前の脅威を排するのみ。
構える虎太郎に、なつきは反論する。
「ちょ、ちょっと待てと言っている! 私はさっぱり状況が――」
「なら、銃を降ろせ」
「……相手に敵意をぶつけられて、はいそうですかと無防備になる馬鹿はいない」
一触即発の雰囲気に、美希は巻き込まれないだけの距離を取る。

(この騒ぎに紛れて、パソコン壊せないかな?
……なんて、もういいかな。霧も死んじゃったし、詳細データを持ってるサクヤってのも死んだし)
少しばかり気落ちした美希は、ぼんやりとしていた。
だから、ふと反対ホームに目が行って。

「……?」
何か違和感があることに気がついた。
電車の向こう側が、やたらと暗い。ように見える。
そう、暗いはずがない。太陽は真上にあるだから。

「……虎太郎先生」
「この状況だ、後にしてくれ」
「ご、ごめんない。で、でも……電車の向こう、変じゃないですか?」
余計な発現だったかと、美希は隠れなおす。

699 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:06:37 ID:ll6J5K/Z
 

700 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:08:29 ID:KRCk8MSr
「ん?―――うおッ!?」
だが、虎太郎の反応は大きかった。
なつき側から見れば、目を見開いた様子からそれが動揺だとわかった。
微動だにしなかった虎太郎は、じりじりと後ろに下がる。

(なんだ、何かの作戦か?)
なつきは、すごく後ろを向きたくなかった。
敵に隙を作る、などという理由ではない。
殺気も何も感じないのに、後ろを向いてはいけないと本能レベルで告げてくる。

それと、ディバックに入れておいた子狐がやたら暴れている。
電車を降りるまではずいぶん大人しかったはずなのになぜだろう。
そのすべての答えを知るために。
ちらっと見るつもりで振り向いた。


向こうの車両の中から

目を見開き、窓に張り付くように覗く顔があった。

殺気どころか気配すら消し、楽しそうに、とても愉快そうに哂う鉄乙女がそこにいた。


その周りだけが黒く見える。
そこだけ異空間のように黒く歪んだような幻覚。
その中で、限界まで見開かれた瞳だけが爛々と金色のように光っていた。
ずっと、見ていたのだ。電車の中で事の顛末を。
「おいしそうなのが少なくなった」
いや、どれから食べようと悩んでいたのか。

「う、あ……」
振り返ったときの覚悟が、なつきには足りなかった。

701 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:08:52 ID:ll6J5K/Z
 

702 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:09:19 ID:CQJ+GP7v
 

703 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:10:52 ID:KRCk8MSr
なつきは身を竦ませる。
だが、そのタイムロスなど致命的になりはしないはず。
相手は反対の電車にいるのだ。どれほど危険な相手でも、こちらに来るには時間がかかる。

そこにいたのが、常人であれば。
刀を瞬時に振るい、電車の車体を切り裂き。更にその先の車体も切り裂く。
ただ直進して、その距離をゼロにするなどという荒業を、なつきは予想だにしない。

チャイルドが制限された今、それほどの破壊などできないと思い込んでいた。
引き金を引くも、銃口から放たれる弾丸はかすりもしない。
(こいつ、人型のオーファンか!?)
とても人間の動きとは思えない俊敏さに、そんなありえないことを思う。

敵対者がいるのも構わず、なつきは後ろに飛ぶ。
普通の刀であれば回避可能だったろう。
斬妖刀文壱の長さから逃れることは、できない。

「ッ!?」
刀を振り下ろす乙女に向かって、飛びかかる影。
「お前!?」
尾花が、内側からディバックを開き飛び出したのだ。

「狐はおやつに入りません?」
噛まれることも、引っかかれることもなんとも感じず。
乙女は、狐をくびり殺すためその手を伸ばす。

「やめろっ!」
なつきの悲鳴の叫びより、乙女がキュっと力を込めるより。


「八咫雷天流―――白狼!!」
電光石火すら超える雷迅が、乙女を捕らえた。

704 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:10:58 ID:W+cFnK3D


705 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:11:07 ID:CQJ+GP7v
 

706 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:12:26 ID:eg8jIPeY
 

707 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:12:55 ID:KRCk8MSr
電車を突き抜け吹き飛ぶ乙女、宙に放り出される尾花。

「うわっ!? よっ、と」
飛んできた尾花を、美希がうまくキャッチする。
その美希が、今度は虎太郎に掴まれる。
「ひとまず、離れるぞ!」
なぜかその後ろにはなつきの姿。

「そ、それって、場所を改めてこの人と?」
「違う、こいつの件は狐に免じて保留だ。俺が言ってるのは……」
なつきが銃を撃つ。
「えっ、えっ、嘘!?」

あれほど綺麗に吹き飛ばされたはずの乙女。
それが、当然のように虎太郎たちを追随している。
「吹っ飛んだのはわざとだ。威力を殺すためのな。
これ以上ないタイミングの筈だったんだがな……化け物め」
しかし、あまりにも妙だった。
乙女の顔には漫画のようなあおたんひとつ。
前回も今回も、人妖能力で固めた拳がいまいち威力不足のように思える。

(まさか、これも制限というやつか……妙な真似を)
文壱の切れ味には制限なんてないんだろうなと、よく知る名刀の切れ味を初めて忌々しく思った。

(あれが、あんな化け物が……霧を殺した?)
レオが死んで、あの後どうなったのか。
何が彼女を変えたのか。
(やっぱり……対馬さんが死んだから? だとしたら……)
間接的に、霧は美希の方針の犠牲になった。
その事実を、認めたくは無かった。


708 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:13:36 ID:Qbv3PRw+
 

709 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:13:50 ID:eg8jIPeY
 

710 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:14:00 ID:CQJ+GP7v
 

711 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:14:04 ID:crMpgMNh


712 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:15:38 ID:KRCk8MSr
「いいか。お前をまだ信頼したわけじゃない。あくまで信用したのは狐、お前はおまけだ。
一時休戦となるが、もしグリーアのように後ろから撃ってくるなら、俺もお前の頭を吹っ飛ばさなきゃならん」
「それはこっちの台詞だ! なにがなんだかわからん内に殺されてたまるか!
というか狐以下なのか私は!」
「悪いが、生徒に狐がいるんでな。それに、猫ほどじゃないが動物は好きだ」

逃げながら、反撃の機会を伺う虎太郎となつき。
それを、逃がすまいと乙女は追う。
「おやつ……うん、おやつは別腹だからいくらでも食べられる」
ただただ、食事のために。
愛しき人が、また話しかけてくれることを信じて。

【F-7 駅付近/1日目 日中】
【チーム:スターフォックス+(先生と生徒+狐と問題児】
【山辺美希@CROSS†CHANNEL 〜to all people〜】
【装備】:投げナイフ1本 、尾花
【所持品】:支給品一式×2、木彫りのヒトデ7/64@CLANNAD、投げナイフ4本、ノートパソコン、MTB
【状態】:健康、悲しみ
【思考・行動】
 基本方針:とにかく生きて帰る。集団に隠れながら、優勝を目指す。
 0:霧の死に傷心。
 1:詳細名簿を見れなくする為に、違和感が無いようにノートパソコンを壊す?
 2:虎太郎から信用を勝ち取り、拠り所にする。
 3: 最悪の場合を考え、守ってくれそうなお人よしをピックアップしておきたい。
 4:太一、曜子を危険視。
【備考】
 ※千華留たちと情報交換しました。
 ※ループ世界から固有状態で参戦。
 ※理樹の作戦に乗る気はないが、取りあえず参加している事を装う事にしました。
 ※把握している限りの名前に印をつけました。(但しメンバーが直接遭遇した相手のみ安全と判断)

713 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:16:11 ID:CQJ+GP7v
 

714 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:17:13 ID:KRCk8MSr
【加藤虎太郎@あやかしびと −幻妖異聞録−】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、木彫りのヒトデ7/64@CLANNAD、凛の宝石5個@Fate/stay night[Realta Nua]、包丁@School Days L×H、
      タバコ、ガイドブック(140ページのB4サイズ)、
【状態】:健康、肉体疲労(小)
【思考・行動】
基本方針:一人でも多くの生徒たちを保護する。
1:エレンと霧の仇をとりたいが、今は撤退。
2:美希は霧の親友であると判断、ただし霧はなぜ黙っていたのかについては考える。
3:子供たちを保護、そして殺し合いに乗った人間を打倒する。
4:なつきについては保留。狐(尾花)の行動を信じてピンチを共に乗り切る。
【備考】
 ※千華留たちと情報交換しました。
※制限の人妖能力についての制限には気づき始めました。拳の硬化力が落ちているようです。
※鉄乙女を危険人物と判断。
※黒須太一と支倉曜子の危険性を佐倉霧から聞きました(ただし名前と外見の特徴のみ)。
※佐倉霧と吾妻エレンは、鉄乙女に殺害されたと推測しています。
※理樹の作戦に参加しています。 把握している限りの名前に印をつけました。(但しメンバーが直接遭遇した相手のみ安全と判断)

715 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:17:44 ID:Qbv3PRw+
 

716 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:19:19 ID:W+cFnK3D


717 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:21:12 ID:KRCk8MSr
【玖我なつき@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備】:ELER(二丁拳銃)、尾花@アカイイト
【所持品】:支給品一式×2、765プロ所属アイドル候補生用・ステージ衣装セット@THE IDOLM@STER、
      『全参加者情報』とかかれたディスク、カードキー(【H-6】クルーザー起動用)
      ベレッタM92(9ミリパラベラム弾 15/15+1)、ベレッタM92の予備マガジン(15発入り)×3
      七香のMTB@CROSS†CHANNEL 〜to all people〜、不明支給品(0〜1)、
      クルーザーにあった食料、双眼鏡、首輪(サクヤ)
【状態】:健康、理不尽な状況に怒り
【思考・行動】
 基本:静留と合流する
 0:狐より信頼無いのか私は!
 1:羽藤桂、フカヒレを探す?  もちろん今のピンチを乗り切ったらだが。
 2:ゲームに乗るかどうかは未定だが……今はそれどころじゃないわー!
 3:とてつもなく釈然としないが、刀を持った化け物女から協力して逃げる。
【備考】
 ※装備品のELERは支給品ではなくなつきのエレメントです。
 ※チャイルドが呼び出せないことにおそらく気づいています。
 ※人探しと平行して、ゲームの盲点を探し本当のゲームの参加者になる。
 ※盗聴の可能性に気付きました。
 ※『本当の参加者』、もしくは『主催が探す特定の誰か』が存在すると考えています。
 ※佐倉霧の言いふらす情報に疑問視。
 ※権利は元の世界に返すや死者蘇生と考えてます。
 ※劇場にてパソコンを発見しました。何か情報が隠されているようです。見るにはIDとパスワードが必要です。


【尾花@アカイイト】
【状態:刀によるかすり傷、右後ろ脚骨折(共に応急処置済み)】
【思考】
 基本方針:桂を救う。鬼を倒す。

718 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:21:22 ID:eg8jIPeY
 

719 : ◆CMd1jz6iP2 :2008/06/04(水) 00:22:54 ID:KRCk8MSr
活きが良いのは美味しい証拠だ。

あの狐は美味しそうだった。
それよりも和服の女も美味しそうだった
撃たれた子も、なんだが変わった味のようだった。
裸のは、硬そうだが珍味のようだった。

銃を撃ったのは不味そうだった。まる

まだまだ美味しそうな材料がたくさんある。
どんなおにぎりを作ろうか。
今度のは自信作だ、きっと彼も気に入ってくれる。
乙女はとても楽しみだった。


【F-7 駅付近/1日目 日中】
【鉄乙女@つよきす -Mighty Heart-】
【装備】:斬妖刀文壱@あやかしびと −幻妖異聞録−
【所持品】:真っ赤なレオのデイパック(確認済み支給品0〜1)、ドラゴン花火×1@リトルバスターズ!、
【状態】:狂気、鬼、肉体疲労(中)、腹部に打撲、全身に軽度の火傷、目にあおたん、空腹
【思考・行動】
1:おやつ、おやつ、おやつ、おやつ……あれ、ごはんはまだ?
2:自分が強者である事を証明する。
3:君の声が、また聞きたい……。
【備考】
※アカイイトにおける鬼となりました。
 身体能力アップ、五感の強化の他に勘が鋭くなっています。
食事のためか人間性が失われているからかの影響で、能力が上がっているようです。

720 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:30:56 ID:tzoWdH3X
  ま  た  鬼  か  

721 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:35:23 ID:W+cFnK3D
 

722 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:36:24 ID:F/PKNdKR
投下乙です
大人数の目まぐるしい展開でどうなるかとはらはらしました
乙女さんは相変わらずでw

個人的には一点ユメイさんが黒い思考に行くのが少し違和感が…ですかね

723 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:40:44 ID:fikU++CU
投下乙!
九朗は熱いんだけどまったく戦闘に関われないなw
そして乙女の妖怪っぷりに笑ったw

724 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:45:42 ID:Qbv3PRw+
投下乙。
なにやら修正の必要もありそうですが、まずは投下GJでした。
鈴と謙吾が理樹を励ます場面。
九郎が理樹に道を示す場面や、それぞれの思考などキラリと光る場面も多々ありました。
今回の修正も、これからの作品も期待して待たせていただきます。

725 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:48:54 ID:lvsb78eu
ただ。

ただ空が広がっていた。

蒼い

蒼い空が。

この絶望が広がる島で。

憎たらしいぐらいに。

こんな空の下で。

必死に生き続ける人。

ヒトはただソラを見続ける。

見据えるのは

未来か

それとも

終焉か

それは誰にも分からないけど。

でも。


726 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:49:39 ID:crMpgMNh


727 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:50:39 ID:W+cFnK3D
 

728 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:50:41 ID:lvsb78eu
それでも。

ただ

ただ

見続ける。

その先に何があるか分からないけど。

何があると信じて見続ける。

空の向こうに。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







はあ。
なんでこんなことになってるのだろう?

あの後僕達は普通に食事を取る事になった。
その前に浴衣を脱いで着替える事にしたんだけど。
ユイコ曰く


729 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:51:13 ID:crMpgMNh


730 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:51:38 ID:eg8jIPeY


731 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:51:50 ID:lvsb78eu
『これは日本の伝統の服だ……うむ実に似合う』

らしい。あんまり浴衣と変わらない気がするのだけど……。
まあ気にしたらいけない。
そして昼食に。

なのに。

なのにどうして……

どうしてこんな事になっているのだろう?



「ほらクリス君……」
「いや、だからさ……」
「なに、できないといったクリス君だろう?」
「いや、一応できるよ。一応」
「……」
「いや……すいません」

出された食事は日本の伝統食らしく見たこともないスープ。
不思議なぐらいねばねばした豆
その他諸々の料理が並べられていた。
……のだけど。

食べる為に使う道具……ハシといったか。
それが僕には上手に使えなかったのだ。
だからフォークなどがあるかユイコにきいたのだけど。

なのに……


732 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:52:25 ID:crMpgMNh


733 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:53:16 ID:lvsb78eu
なのに……



「ほらクリス君……あーん」



どうしてこんな事になってるのだろう?
どうしてユイコが僕に母親のようなことをしているのだろう?

微妙に……
いや、すごく……

恥ずかしいです……

なのに!

どうしてユイコは普通なんだ。
慣れてるというかなんというか。
……なんかそれも寂しいな。

……はあ。
何言ってるんだ僕は。

「ほら……クリス君いい加減諦めたまえ、私の腕も痛くなってきたよ」
「……はぁ……わかったよ」
「はっはっは! 相変わらずクリス君は面白いなあ! ここまでうぶな反応を見せるとは」
「……どうでもいいよ」


734 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:53:37 ID:W+cFnK3D
 

735 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:54:02 ID:eg8jIPeY


736 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:54:25 ID:lvsb78eu
やっぱりそういう事か。
なんというか……はぁ。

僕は諦めて口をあけた。
ユイコは納得かしたかのように頷き卵焼きなるものを僕の口を運ぼうとする。
そして食べようとした瞬間

「ふーん、唯ちゃんそんな事言ってけど実はクリス君が気になるからじゃないの?」

ミドリがそれを言った瞬間ユイコは真っ赤になって

「な! な、何を言ってるんだ碧君!」

否定して。
卵焼きを落として。
ハシが口からずれて。

結果。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

鼻に。

「ん? ああ!? だ、大丈夫か! クリス君!?」


ああ……

なんというか。

はぁ……


737 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:55:30 ID:eg8jIPeY


738 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:55:48 ID:lvsb78eu
目の前には珍しくあたふたするユイコ。
大笑いのミドリ。

そして痛む鼻。
ミドリがユイコに言った言葉を忘れてただ痛みだけが広がっていた。

……はぁ

その時だった。


『――さて、放送の時間だ。早速死者の発表といこう。


2回目の放送が流れ始めた。
僕にとって一回目だったけど。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





『若杉葛』


739 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:56:00 ID:crMpgMNh


740 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:56:29 ID:lvsb78eu
この名前が聞こえた瞬間ミドリは震え。

『藤林杏』

僕とユイコはやはりと思いまた僕は哀しくなって。

『伊達スバル』

ミドリはふぅと息を洩らして。

そして

『棗鈴』

ユイコがビクッと大きく肩を震わせた。

続けて禁止エリアの発表があり放送が終わった。

それは余りにも短く。
哀しく響いてた。

人の死を告げるには。

ただ短かった。

しばしの静寂。

誰も口をあけることもなく。

ただ


741 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:57:02 ID:lvsb78eu
ただ

散っていた者に思いをはせていた。


やがてユイコが口をあける。

「さて……これからどうしようか?」
「……うん、取り敢えずは少し落ちつこっか? もう少ししたら出発しましょ」
「……了解した」

ユイコとミドリがそうはなすとまた無言。
なんかとても寂しい雰囲気が流れていた。
僕はそれに耐え切れずそして気になったことを口にする。

「……ねえ、ユイコ。ウェストさん呼ばれなかったよね」
「ああ……おそらく杏君の勘違いとなるな」
「……そんな」
「……」

ほんの少しのすれ違い。
それがキョウを狂わせ、死なせ、シズルの道まで変えさせた。
それは……

何て悲しい事。

言葉がでない。
どうしてこんなことばかり続くのだろう?

雨が強くなっていくのが感じる。


742 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:57:10 ID:crMpgMNh


743 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:57:43 ID:W+cFnK3D
 

744 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:57:44 ID:lvsb78eu
哀しい連鎖。

カナシミがカナシミを呼んで。

どうして。

どうして。

そんな連鎖の為に。

誰かが涙を流さないといけないのだろう。

止める事はできるのだろうか?

……わからない。



「……さて、トイレにいって来るよ、クリス君達はそこで待っていてくれ」
「……ん、わかった」

ユイコがそういって立ち上がって部屋から出て行く。
残されたのは僕とミドリだけ。

ぼやーと外を眺める。
雨は強くそして延々と振り続けている。
何故かそれがとても哀しく感じられて。
ずっと。
ずっと眺め続けていた。

「……はぁ、駄目だなあクリス君は」

745 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:58:33 ID:eg8jIPeY


746 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:58:39 ID:crMpgMNh


747 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:58:52 ID:lvsb78eu
「……え?」

ミドリが突然溜め息をつき僕に言う。
何がだろう?

「唯ちゃん……寂しそうだったよ?」
「……そう?」
「そうだよ、ほらいってやりなよ?」
「僕が?……はぁ」

何故僕が?
分からない。

「クリス君じゃなきゃ駄目なのよ?」
「……はぁ」
「ほらいってきなさい男の子でしょう?」
「まあ……一応」
「ああ、もう! いってきなさい! しっかり男の子見せなさい!」

そういわれてはんば無理矢理追い出されるように部屋から出る。

やれやれ……

そして僕は旅館を歩き続けてユイコの方へ向かう。
そしていた。

「……ユイコ」

何処か寂しそうに。


748 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:59:16 ID:W+cFnK3D
 

749 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:59:18 ID:lvsb78eu
ただ、

ただ

窓から見える雨を見続けながら。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「……ふぅ。しっかりいいとこ見せなよ、クリス君」

渋々と出て行ったようなクリス君を見送ってそう思う。
唯ちゃん見せてなかったけど君の助けが必要だと思うから。
多分この島で一番信頼してるんじゃないかな。
想像でしかないけど。

ここでかっこいい所を見せなよ。

に、しても

「何やってるんだろうなぁ……私」


750 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 00:59:46 ID:lvsb78eu
唯ちゃんやクリス君を護る。
それは変わらない。
でも何をやってるんだろう。

スバルって葛ちゃんが探してた人が呼ばれた。
葛ちゃんが探してたかもしれない人。
その人を見つけることが出来なかった。
私は無力なのか。
せいぎのみかたといってるのに。

私は誰も救えないのか……

無力でしか……


パンッ!!



「弱気になっちゃ駄目よ! 私!」


そういって頬を叩く。
弱気になっちゃ駄目だ。
力がないかもしれない。
でも。
それでも常に全力でいこう。

私でも助けられる人がいる。


751 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:59:48 ID:fikU++CU
 

752 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 00:59:54 ID:crMpgMNh


753 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:00:31 ID:lvsb78eu
だから

「頑張ろう! あたし!」

そう

頑張ろう。

そう誓って。

「……クリス君は美味くやってるかな……それまでにもう一回温泉でも入ろうか」

そう考えてあたしは温泉に向かった。

その時まさかあんな事がおきるとは思っても見なかったけど。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「……ユイコ」

ユイコはただそこで空を眺めていた。
雨が降り続ける空を。


754 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:00:46 ID:fikU++CU
  

755 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:01:12 ID:lvsb78eu
そのたち続けてる姿は何処か寂しげで。
おぼろげで。
何故かつなげ止めたいとも思った。
僕に気付いたのか。

「……ああ、クリス君か」
「……うん」

なにか声をかけようと思った。
でもそうじゃない。
今はユイコに任せるべきだ。
おそらくユイコがそこにいるのは
名前が呼ばれた子のことだと思うから。
そっとユイコの話を聞くべきだと思った。

「さっき鈴君の名前が呼ばれた」
「……うん」
「……子猫のような子でとても愛でがいのある少女だった」

ぽつりぽつりと思い出を語りだす。
淡々と。
思い出すように。
ユイコの顔は窓の方を向いてるから分からないけど。
やはり儚い。

「全く分からないものだ……人生とは」
「……」
「死に逝く者が生きて生きるべき人が死んでいったのだから」


756 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:01:47 ID:crMpgMNh


757 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:02:12 ID:fikU++CU
   

758 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:02:12 ID:crMpgMNh


759 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:02:26 ID:lvsb78eu
違う。
ユイコは死に逝く運命だったかもしれない。
でもだからっと言って今の生を自嘲しちゃいけない。

「なあ……クリス君?」
「うん?」
「なんだったのかな? 私たちは……滑稽だよ。必死に必死に死すら抗ってあの二人に強く生きてほしいと願い続けて
 そして強く生きるようにする為倫理すら捨てて……その結果がこれだ……なんだったのだろうな……これは」

滑稽なんかじゃない。
ユイコがやったことはそんな訳ないんだ。
とても尊いものだよ。
そう伝えたい。

「そして私はやはり人形だ」
「……え?」
「なにも感じない。鈴君が死んで。ただ心がざわつくだけで落ち着かないだけだ。でもそれだけ。泣いたり落ち込むことすらしない。
 あんなに救いたかった少女で、ただそれだけで終わる自分がなんか腹が立って。よくわからない」

違う。

違うよ。

それこそが哀しみだよ。
それこそが感情だよ。
それこそがユイコが人形でない証だよ。

だって。
こんなにもユイコは思ってる。
彼女の事。


760 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:02:59 ID:eg8jIPeY


761 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:03:14 ID:lvsb78eu
ただ。

ただ。 

だからそれは哀しみなんだよと伝えたい。

でもそれじゃ意味がないんだ。
ユイコが自分自身で知らなきゃいけないんだ。

ユイコは人形じゃないって。

ユイコはしっかりとした感情があるって。

自分自身で。

でも。

ユイコをこのままにしてはいけない。
だから僕は。

あえて言葉じゃなくて。

言葉じゃなくても伝わるものがあると思って。

「ユイコ……」
「ん?……わあ!? クリス君?」

ユイコの背をそっと押し椅子に座らせる。

伝えたくて。


762 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:03:44 ID:crMpgMNh


763 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:03:49 ID:lvsb78eu
ユイコに。

ただ。

僕の気持ちを。

彼女にやすらいでほしくて。

「ク、クリス君?」
「……いいからそっとしてて」

僕はそういって彼女の髪をそっと梳き始める。
これが選んだ事だった。

彼女のとても長く綺麗な髪を。

優しく

そっと

そっと

梳き始める。

音楽と一緒で。

言葉よりも雄弁に語るものだと思って。

そっと。


764 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:04:45 ID:lvsb78eu
ただそっと

「……ふむ」

ユイコはそっと眼を閉じる。
伝わるかなんて解る訳がないけど。

それでも僕の気持ちを乗せて。

届けと。

ただ

梳いた。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






ふむ。
クリス君も大胆だな。
いきなり梳き始めるとは。

……しかし


765 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:04:51 ID:eg8jIPeY


766 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:05:00 ID:W+cFnK3D
 

767 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:05:09 ID:crMpgMNh


768 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:05:12 ID:fikU++CU
 

769 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:05:43 ID:lvsb78eu
……しかし

心地よい。

やすらぐ。

不思議だ。

本来だったら殴り飛ばしてる所だが。
それでも心がやすらいで仕方がない。

クリス君だからだろうか?
わからない。

でもまあいいかとも思う。

ふむ。

しばらくはこのままでいようか。

何故か荒立った心が落ち着く。

クリス君の気持ちが伝わってくるような。

ふむ。

暖かい。

不思議だ。
人形でもこれが温かいと思えるとは。


770 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:06:18 ID:crMpgMNh


771 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:06:43 ID:lvsb78eu
実に不思議だ。

クリス君。

やはり君は面白い。

さあ暫くは包まれていよう。

ふむ

……まあ一応は言っておこうか。


「……ありがとう、クリス君」






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






―――それは突然やってきた。私の意志とは関係なく。それは運命だって? そんな運命嫌だああああああああ――――




772 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:07:14 ID:fikU++CU
  

773 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:07:38 ID:lvsb78eu
「んー……やっぱ温泉は落ち着くわ」

私はそう呟く。
ふーと息をつき空を見上げる。
きらきら太陽が輝いて。
みなもを照らし私の裸体をも照らす。

しかし唯ちゃんには負けたけど地味にプロポーションには自信がある。
唯ちゃんは元々背が高いから胸が大きいのは当然なわけで。
私は背のわりに胸が大きいのだ!

密かな自信だ。
ふにふにと自分の胸を触りつつもう一度空を見上げる。

空は変わらず青くて。
とても殺し合いの場所には見えないほどだった。
綺麗で。
ただ青くて。

「止めなきゃね……絶対」

そう思った。
ただ何となくだけど。

だが空に何か黒い点が。

「うおぉおぉぉおおおお!? 落ちる!?」

なんか空から声が?

そして遠くから何が落ちた音が。

774 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:07:44 ID:TlnelDBl



775 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:08:52 ID:lvsb78eu
なんか空から声が?

そして遠くから何が落ちた音が。
ここから見えるのはあれは電信柱?

なんで?

不審に思いまた空を見上げる。

が、空は黒かった。

そこにあったのは

「ぬわぁああああああああああ!?」

人だった。

って。

ひとおおぉぉぉおおおおおおぉおお!?

「えええぇぇええええええええぇえええええ!?」

やだ!?

避けられない!?

「のわぁあああああああああああ!?」
「きゃあああああああああああ!?」

ジャパーンと


776 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:08:57 ID:TlnelDBl



777 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:09:16 ID:crMpgMNh


778 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:09:45 ID:eg8jIPeY


779 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:09:57 ID:TlnelDBl



780 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:10:07 ID:lvsb78eu
人が温泉に落ちる。
あたしもまき沿いにして。

そしてあたしを強く抱きしめごろごろ転がってるらしい。

視界があけないのでどうなってるか分からないけど。
強く抱きしめられてよく分からない。

温泉から上がったみたいでそれで動きは止まった。

そして眼を開ける。


が。

「んーーーーー!?」

目の前には親父。
声がでない。
いや唇を塞がれてる。

目の前の親父に。

……え゛

……あ゛

……い゛

「むお?」
「………………い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」


781 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:10:39 ID:TlnelDBl



782 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:10:53 ID:lvsb78eu
なんで

なんでえええええええええええええええええ!?


ふにっ


んあ?

音が鳴ってるところを見る。

それは



思いっきりぐっしゃりと。

握られている。

はえ゛

「わあッああああぁぁあぁぁあああぁああああぁあああぁああああ!?!?!?」

もう

もういや……


783 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:11:23 ID:eg8jIPeY


784 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:11:31 ID:crMpgMNh


785 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:11:33 ID:fikU++CU
 

786 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:12:02 ID:lvsb78eu
ん……?

あたし全身をみらてれいるって事だよね? 裸を

……

そしてさらに冷静に考える。

これは私が上。
親父が下。

つまり。

これは……

他者から見ると……


「どうしたんだ!? 碧君!……って」
「どうしたの? ミドリ!……あれ」

その、

これは

あの


787 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:12:09 ID:TlnelDBl



788 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:12:50 ID:lvsb78eu
「何故か知らないがお邪魔だったようだ……クリス君戻ろうか」
「……そうだね……なんか悪いね」

ちょ

ちょっと


「「お楽しみに〜〜〜♪」」

勘違いだ!

ああ、

いかないで。

あたしのせいじゃない!

どうして

どうして

こんな事に。


――くすっ、運命だからさ。



789 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:13:09 ID:TlnelDBl



790 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:13:18 ID:crMpgMNh


791 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:13:49 ID:lvsb78eu
そんな

そんな運命


「嫌だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







「そか……なつきは呼ばれへんかったか……そして藤林杏は……」

短い放送が終わった。
なつきの名前は呼ばれ変かった
せやけど……
呼ばれた

藤林杏が


792 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:14:30 ID:crMpgMNh


793 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:15:03 ID:lvsb78eu
つまりうちが殺したのは変えらへんということ。
何処か生きてる思うふしがあったんかもしれん。
せやけどこれで確実になった。

散々遠回りして。

「……そか……やれへんとあかんか……人殺しを」

やろう。

「今度こそ……誰でもや……なつきの為に」

もう誰でもええ。
哀しいけど。
苦しいけど。

殺しましょか。

誰でもや。

やらんとあかへんから

遠回りは終わりや。

いつまでもからわんわけいかへんもんね


794 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:15:53 ID:lvsb78eu
哀しいなあ
切ないなあ
苦しいなあ

せやけど

なつき

なつきをまもりたいんや

修羅にならんばならん。

いきまひょ修羅道を。


「……声?」

すぐ近くからなんや騒がしい声がした。

「いってみまひょか……」

うちは歩を声の聞こえる方に向けた。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






795 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:15:56 ID:crMpgMNh


796 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:16:07 ID:fikU++CU
 

797 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:16:09 ID:TlnelDBl



798 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:16:11 ID:eg8jIPeY


799 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:16:24 ID:lvsb78eu
「……あはは、結局呼ばれてるじゃないですか」

私は短い放送を聴いて桂言葉の名前が聞こえた時つい声がでてしまった。
あんなたいそうな事をいって。
結果はこれだ。
笑える。
とても笑える話だ。

藤林杏も死んだがどうでもいい。
所詮そこまでだった話で。

というより放送自体余り興味があるわけでもなかった。
先輩が呼ばれた以上は……

私はすぐ気を取り戻して次に何処に向かおうか決めようとする。
その時何処か聞いた声がした。

「……あの声は」

腹が立つ声である事は間違いない。
私はそこへ向かう事にした。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






800 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:16:30 ID:9bFEPuFF
 

801 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:16:55 ID:TlnelDBl



802 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:17:55 ID:lvsb78eu
「くくっ……大丈夫かい? 碧君」
「うるさい……唯ちゃん」

ユイコがミドリをからかう。
あの後空から降ってきたというヘイゾウさんとはなした。
今は温泉のロビーにいる。
ミドリは終始ばつが悪そうだったが。

とはいえたいして事を聞いてない。
傷がまだ治っていなかったのだ。

聞いたことはオトメという人が殺し合いに乗っているということだけ。

今は温泉に入って傷を癒してるという。

ミドリはオトメのことを聞いたとき凄く悔やむようにしてたけど。
よくは分からない。

兎も角はヘイゾウさんが上がるまでまとうとしたその時だった。

「……久しぶりやね……クリスはん」

入り口から姿を現したシズルを見たのは。
手には鞭を持って。

「シズル……やっぱり変わらなかったの」
「……せや。結局戻ることは出来へんかったよ」

ああ。
シズル変えられないのかな。
キョウはやはり死んでいた。
だから戻る事はできないかな。

803 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:18:20 ID:lvsb78eu
でも、それでも

「……最初はな……人殺してるもんだけと思ったけど……けど……そんなこといってたらかわらへん……せやからもう躊躇はせえへんよ」
「そんな! 変わる必要なんてないよ。シズル! ナツキは望まない……変わらないシズルでいてほしいと願うはずだよ!」

そうに決まってる。
だから僕は必死に言葉をつむぐ。
なれない言葉で。

「シズルだってわかってるはずだよ……」
「何や?」
「大切な人を護る為に誰か大切な人を奪うという連鎖を」
「……それは」

それはとても。
とても悲しい連鎖。
誰か止めなきゃ永久に止まらない連鎖。
全ての人を止める事なんかできないししたくもない。
でも、今目の前の迷ってる少女。
彼女だけは止めたい。
そうおもったから。
ひっしに。
必死に言葉をつむぐ。

「だからやめようよ……こんな哀しい連鎖。シズルはそれを誰よりもわかってるはず。ナツキも皆、皆それを望むだろうから」
「せやけど……」
「ねえ……戻れる。シズルはきっと戻れるから」

手をさしのばす。
とってほしい。
でもシズルは涙を一筋流しながら。


804 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:18:25 ID:crMpgMNh


805 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:18:30 ID:TlnelDBl



806 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:19:32 ID:lvsb78eu
「ダメなんやよ……不安で仕方ないんよ……なつきが知らないうちに酷い目にあったり、殺されたりしたら……怖いんよ」
「それは皆一緒だよ……だから他の手段をとろうよ」
「堪忍なぁ……それしかしらへんのよ……不器用やからそれしか思いつかん……せやから」

彼女は全てを降りしきる様に

「堪忍なぁ」

鞭を振るった。
泣きながら。

迫りくる鞭。
それをはじき返す者がいた。


「はーい。そこまで。簡単に殺させないよ!」
「……杉浦先生?」

でてきたのはミドリ。
斧やらなにやらよく分からない武器を出しシズルと相対している。

「静留ちゃんもHiMEだったんだ……」
「せや……」
「静留ちゃん……意志は変わらない?」
「…………なつきの為なら」
「……そっか」

ミドリはふーと溜め息を洩らしそしてもう一度武器を構え叫ぶ。

「なら! やらせないよ! クリス君と唯ちゃんは護ると決めたんだ!」
「……ミドリ」

807 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:19:32 ID:TlnelDBl



808 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:20:05 ID:W+cFnK3D
 

809 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:20:24 ID:crMpgMNh


810 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:20:36 ID:9bFEPuFF
 

811 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:20:36 ID:lvsb78eu
「……クリス君や唯ちゃんは逃げて。きっと強いと思う」
「……ふむ、碧君。さっき親父と絡んでた割にはカッコイイな」
「いわないでよ……それ」
「はっはっはっ! 冗談だ……了解した、無事でな」
「そっちこそ」

ちょっと待ってよ。
シズルは戻れる。
逃げるの? ミドリをおいて?

「ちょっと待ってよ……ミドリをおいていくの? シズルをこのままで。僕もたたか……」
「クリス君、任せてよ……ぶったおしてきっちり説教するから……はいこれ餞別に……私使えないみたいだからさ」
「……うん……でも」
「男の子でしょ! 唯ちゃん護ってやりなさい!」
「……ん一応」
「ああ……もうしっかりしなさい」

ミドリに背中を押される。
渡されたのはあのロイガーツァールとい同じような不思議な感じのものだった。
ミドリは笑い任せろといってるけど。
やっぱり僕はダメなのかな。
何も出来ないかな。
シズルを戻すことも。
戦う事も。

「何しなくさい顔してるの! 唯ちゃんを護るのはクリス君の役目でしょ! ならしっかりしなさい!」
「……うん、わかったミドリ……シズルまだ戻れるから……きっと……きっと戻れるから諦めないで……行こうユイコ……川岸の辺りにいるから」
「……わかった」

……うん。
……力も何もないけど。

812 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:21:17 ID:TlnelDBl



813 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:21:40 ID:lvsb78eu
でも。
それでも行こう。
僕らしくなんかない。
でもそれがきっとリセの為になるんだ。
そう思って。
ユイコの手を持って駆け出す。

ミドリは笑って送り。
シズルは哀しそうにでも、何処かほっとしたようにこっちを向いて。
ユイコは僕の顔を見て頷き。

空に変わらずの雨だった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





―――それが運命なら、受け入れるしかないよね?――――



「なかなか……やるね! っ!」

クリス君を送った後すぐに戦闘が始まった。
静留ちゃんはただ無慈悲に鞭を振るう。
鞭の軌道は読めず苦戦の一方だった。


814 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:21:51 ID:9bFEPuFF
 

815 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:22:31 ID:TlnelDBl



816 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:22:47 ID:lvsb78eu
「これで……終わりや!」
「……っ!? しまった!?」

一瞬の隙をついて鞭が私のエレメントを弾き飛ばす。

あちゃー……

……参ったなあ。

……でもまあ時間稼ぎになったかな。

「杉浦先生……堪忍なぁ……」
「静留ちゃん……そうやってやっていくんだね……これからも」
「せや……変えてはならへんうちの修羅の道やもの」
「……そっか……あたしも負けられなかったんだけどなあ……」

てっちゃん。
あたしのせいで殺し合いに乗ったのかなあ。
護れなかったせいで。

ミキミキ。
大丈夫だよね?
……置いてってゴメンね。

「あたしも皆を守りたかった。だからこそ負けられなかった」
「……うちはなつきだけでよかったんよ、どっちが優れてるかいわへんけど」
「はは……参ったなあ。負けてるつもりなかったんだけど……参ったな……」


817 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:22:58 ID:crMpgMNh


818 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:23:32 ID:W+cFnK3D
 

819 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:23:56 ID:lvsb78eu
クリス君。
唯ちゃん頼んだよ。
ああ見えて少し脆い面もあるから。

唯ちゃん。
気付くかなあ。
唯ちゃん、それは大切なものだから大事にね。

「正義の味方でい続けて……皆を護るには甘かったか……力がなかったか……意志だけじゃ足りなかったのか」
「……じゃ……堪忍なぁ……」

振り落とされる鞭。
それをゆっくり見ながら思う。

自分の無力を。

ああ。

ゴメン……

みん……な

あたし……は

ここで死ぬのが……運命……だったのかな……



820 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:24:13 ID:TlnelDBl



821 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:24:20 ID:eg8jIPeY


822 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:25:12 ID:lvsb78eu
「意志があれば充分だ! 自分の身を捨ててまで仲間を護ろうとしたその意志、見事!」


……え?

……何?

「……っ!?」

静留ちゃんが鞭を落として腕を押さえている。
そしてそこにたっているのは……

あたしの唇を奪った親父。

そう

「刻めっ! 儂の名は――竜鳴館館長、橘平蔵ッ!!」

橘館長という熱い漢だった。
その叫びを静留ちゃんの全身を震わすのには充分だった。

「うちがおびえてる?……ただものじゃない……ひいてほうがいいやろ」

静留ちゃんがそのまま逃げ出そうとする。

「待てっ! 小娘!」
「うちは負けられへん……だから……杉浦先生、大切な人がここにおるんやったら同じこと言えたんやろうか?」

あたしにそう問い掛け静留ちゃんは温泉旅館から去っていた。
少し羨ましそうにしながら。


823 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:26:07 ID:W+cFnK3D
 

824 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:26:13 ID:TlnelDBl



825 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:26:18 ID:9bFEPuFF
 

826 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:26:30 ID:crMpgMNh


827 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:26:47 ID:lvsb78eu
あたしにそう問い掛け静留ちゃんは温泉旅館から去っていた。
少し羨ましそうにしながら。

そっか。
あたしはこの島には大切な人はいない。
でも私が皆を守りたいという気持ちは……どうなんだろ。

「あたしは……」

あたしは……
何かわかんなくってきた。
どうすればいいのか。

そんな時だった。

「何を迷ってる? 杉浦、お前はその意志を貫けばいいのだ」
「……え?」

あたしに諭すように喋りかけたのは。
意志を貫く?

「大切な人の為にと皆が繰り返してたら永遠に終わらん。この殺し合いは。なら誰かが皆を守る。殺し合いには絶対に止めるという者がいなくちゃならん
 皆を守りたい。その意志は本当なのだろう? なら貫く事に何が迷いを抱く必要がある。意志を強く持て、杉浦」

橘館長はそう強く私を語りかけた。
迷いを持つなと強く言い。

「意志が弱いからこそあの大馬鹿者は堕ちた……」

てっちゃん……
ゴメンね。

828 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:26:55 ID:TlnelDBl



829 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:27:37 ID:lvsb78eu
私が何もしなかったせいで。

「てっちゃん……私の……」
「杉浦のせいではない……全ては鉄自身の問題だ。ならば悔やむより儂らがとめるをことを優先すべきだろう、違うか?」
「……そうだね」

……うん。
悔やんだり、迷ったり。
あたしらしくない。

ならあたしはいつものどおりに

「皆を守ろう! 正義の味方として!」
「うむ……それでいい杉浦!」

正義の味方としてやっていけばいい事だ。
簡単な事。
貫いて見せよう。

「ならクリス君達と合流しよう……ありがとね」
「うむ……何、礼を言われる事ではない」
「あたしの唇奪った割にはなかなかのお人で」
「あ……あれは!」
「忘れないからね……はっはっは!」

そう笑ったあたしの上に蒼い空が広がっていた。
何の曇りもなく。

蒼く。

澄み切っていた。


830 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:27:50 ID:TlnelDBl



831 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:28:35 ID:W+cFnK3D
 

832 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:28:36 ID:TlnelDBl



833 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:28:41 ID:lvsb78eu
――意志を貫き通すのが私の運命なら、それを貫き通すまで!――



【チーム:じゅうななさいと親父】
【D-6 温泉宿/1日目 日中】
【思考・行動】
0:クリス達と合流。
1:乙女を止める
2:美希を探す


【杉浦碧@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備】:不明、FNブローニングM1910(弾数7+1)
【所持品】:黒いレインコート(だぶだぶ) 支給品一式、FNブローニングM1910の予備マガジン×4、恭介の尺球(花火セット付き)@リトルバスターズ!
 ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]、
【状態】:健康、十七歳
【思考・行動】
 1:意志を貫く
 2:美希のことが心配。合流したい
 3:反主催として最後まで戦う
 4:知り合いを探す
 5:羽藤桂、玖我なつきを捜しだし、葛のことを伝える



【備考】
 ※葛の死体は温泉宿の付近に埋葬しました。


【橘平蔵@つよきす -Mighty Heart-】
【装備】:なし

834 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:29:19 ID:W+cFnK3D
 

835 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:29:25 ID:crMpgMNh


836 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:29:25 ID:TlnelDBl



837 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:29:36 ID:lvsb78eu
【所持品】:マスク・ザ・斉藤の仮面@リトルバスターズ!、木彫りのヒトデ×1@CLANNAD
【状態】:左腕に二箇所の切り傷、背中に切創(再出血の恐れあり)、貧血気味
【思考・行動】
 基本方針:ゲームの転覆、主催者の打倒。
 1:鉄乙女をこの手で成敗する(殺す)。
 2:直枝理樹、探す。
 3:女性(ユメイ)を探す?
 4:協力者を増やす。
 5:生徒会メンバーたちを保護する。
 6:どうでもいいことだが、斉藤の仮面は個人的に気に入った。
【備考】
 ※自身に掛けられた制限に気づきました。
 ※遊園地は無人ですが、アトラクションは問題なく動いています。
 ※スーツの男(加藤虎太郎)と制服の少女(エレン)全裸の男(九郎)を危険人物と判断、道を正してやりたい。
 ※乱入者(美希)の姿は見ていません。わかるのは女性だったことのみです。
 ※第一回放送を聞き逃しました。が、乙女の態度から対馬レオが死亡したと確信しています。
 ※乙女ルート終了後からの参戦。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







「はぁ……とりあえずここでくれば大丈夫かな?……疲れた」

838 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:30:29 ID:TlnelDBl



839 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:30:33 ID:lvsb78eu
「何、クリス君はだらしないな……これくらいでへばるとは」
「……平気なユイコの方が異常だよ」
「……クリスが体力無いだけじゃないか? 少しは鍛えてるのかい?」
「……一応」
「……はぁ」

温泉旅館から離れて今は川岸の辺りにいる。
崖になっていて落ちたらひとたまりもないだろう。
取り敢えずは暫くはここで待機することにした。
雨は変わらず降っているけど。

「ミドリ……どうか無事で」
「ああ……そうだな」
「ねえ? ユイコ」
「なんだい?」 
「……僕は無力なのかな……なにもできず……シズルも止める事もできず」

僕は無力なのかもしれない。
誰も助けれる事ができず、戦う事もうまくできない。
いつものように何もせずじっとした方がいいのかもしれない。
こんなに積極的に動いた事なんて今までない。
なんでこんなに動いてるか不思議でならない。
むしろ動いたからこそこんな悲しい事が続いてるのかさえ思えてきた。
僕はやはり何もしないほうがいいのだろうか。
思考がどんどんネガティブな方向に進んでいく。

「違うな……クリス君。君は無力じゃない」
「……どうして?」
「確かに力もない。静留君を止める事もできなかった」
「……」

840 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:31:14 ID:TlnelDBl



841 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:31:22 ID:crMpgMNh


842 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:31:32 ID:9bFEPuFF
 

843 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:31:34 ID:eg8jIPeY


844 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:32:01 ID:lvsb78eu
「でも、それでも私は君といて凄く有意義な時間を作れている。それがたとえ殺し合いに乗った人に襲われたことを差し引いてもだ 
 だから君は無力じゃない。私にここまで有意義な時間を作ってくれたのだから」
「ユイコ……」
「ふむ……君といるのもなかなかいいものだよ」

そうか。
積極的に動いたのは僕自身だけの力だけじゃない。
ユイコ、彼女がいたからだ。
彼女がいたからこそ僕は動こうと思ったのかもしれない。
もっとも動かされたといった方がいいかもしれないけど。
ユイコと行動するのも楽しい。
そう思った。
そしてユイコ自身に人形じゃないと気付いてほしいと思ってきた。
……本当不思議だな。
可笑しくて

「くっ、くく……あははは!」
「ふふ……ははは!」

笑ってしまう。
まあ、いいか。
このままでいこう。
ユイコに流されたままで。
楽しく。

そんな時だった。

「久しぶりですね、そんな馬鹿笑いをして」


845 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:32:01 ID:TlnelDBl



846 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:33:08 ID:TlnelDBl



847 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:33:15 ID:lvsb78eu
あの大聖堂で出会った少女がでてきたのは。
少女は銃を向け、睨んでる。
殺し合いに乗っているのは間違いない。
僕とユイコは警戒を始める。

「あれから対馬レオに関して知ることはありました?」
「いや……特にないよ」
「そうですか……」

少女は舌打ちするとこちらをまた睨む。
しかしこちらも聞きたいことがあったのだ。
それはずっと聞きたいことが。

「リセルシア……リセについて何か知ってる?」

放送で呼ばれたリセ。
そして僕の名前を知ってた少女。
なにかきっとあるはずなのだ。
だからききたい。

「……じゃあ、教えてあげますよ、あの馬鹿な女は知りもしないセンパイのことを好き勝手言って自分はそんな事しないといって結局死にました」
「……っ!?」

……リセ。
殺し合いを否定して。
そして。
もしかしてリセを殺したのは


848 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:33:16 ID:W+cFnK3D
 

849 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:33:27 ID:crMpgMNh


850 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:34:17 ID:lvsb78eu
「リセルシアを殺したのは……君?」
「いいえ、違います……でもきっと無残に殺されたのでしょうね。野ざらしになって死体が鴉にでも食われてるんじゃないですか?」
「……っ!?」

サーと。
雨が強くなるのが感じる。
リセ……そんな。
きっとそんな事ないと思いたい。
でもこの方がきっと多いのだ。
だから……

「どうして、殺し合いなんてするの? こんな哀しみの連鎖を止めなきゃいけないに……大切な人を護る為に大切な人を殺してそんなの……」
「うるさいですね、貴方も同類ですか? 私はセンパイだけでいいんです。リセルシアもこんな人のために無残に死んだなんて報われないですよ」

……報われない?
そんな事あるわけがない。
リセルシアはそんな訳ない。

「じゃあ死んでください」

パンと発射される銃弾。
それは僕の頭にまっすぐ向かっていた。

……違う。
リセルシアはそんな死なわけない。
たとえそれが報われないように思えたも。


851 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:34:24 ID:TlnelDBl



852 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:34:59 ID:9bFEPuFF
 

853 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:35:23 ID:lvsb78eu
「なっ残像!?」

彼女がうったのはミドリから受け取ったものによる残像だった。
僕は彼女の背後に今いる。

彼女は。
リセは。
誰よりも!
誰かの幸せを願って!
自分が報われなくても。
きっと最後まで。
他人の心配をして。

そんな死に方をする子なんだ!

「……訂正してくれないかな。リセはそんな子じゃないって」
「しませんよ! そんな事」

少女が背後に向かって撃つ。
でもそれも僕の残像。

今は彼女の脇に。
「……そう。じゃあ彼女が間違いじゃないとことを証明しようか……君を止めて」
「……ふん……うざい!」

脇に向かって撃つ。
でもいない。

今度は彼女の正面に。
そして


854 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:35:49 ID:TlnelDBl



855 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:35:58 ID:eg8jIPeY


856 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:36:30 ID:9bFEPuFF
 

857 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:36:45 ID:lvsb78eu
「……ロイガー ツァール」
「……なっ! ぐっ!?」

僕はあの武装を放つ。
それは彼女の肩を切り裂き戻ってきた。
前より威力もスピードも上がっている。


ああ。
なんでこんなに暴力的になってるのだろう。

そうか。
怒りか。
彼女に対する。

怒りが溢れて止まらない。

「ロイ……」
「止めろ! クリス君! 感情的になるな!」

ユイコの声で動きが止まる。
……僕は何をやってるんだ。


858 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:36:50 ID:TlnelDBl



859 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:37:08 ID:9bFEPuFF
 

860 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:37:38 ID:lvsb78eu
わからない、哀しみと怒りがごっちゃになって。

だけどその隙が不味かった。

「糞……どいつこいつもなめるなあああああああ!」

その隙に彼女はユイコを狙った。
僕は駆け出していた。

約束を果たす為。
彼女を護る為。

パンと発射される銃弾。
僕はその前にユイコを押し軌道からずらした。

だけど僕ははその押した時勢いで崖から身を乗り出してしまった。



ふあっという浮遊感。

ああ、落ちるんだと思った。
下には岩が。

上には土砂降りの暗い空。

死ぬのかな。

僕は。



861 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:37:52 ID:TlnelDBl



862 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:38:18 ID:9bFEPuFF
 

863 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:38:40 ID:lvsb78eu
「クリス君ッ!」


その時僕は手をつかまれた。 

つかんだのはユイコ。

必死に必死に。


「クリス君! しっかりしろ」


でも彼女は必死に僕の事をつかんでいる。
いづれ両方とも落ちるだろう。

それは絶対ダメだ。
だから。
だからこそ。

「ユイコ……少しだけ話を聞いて」
「なんだ……?」
「ユイコ……君は絶対人形じゃない。君はユイコというちゃんとした心のある人間だよ……それを知って」
「違う……私は……なんだそんな遺言のみたいな事を」

これは伝えなきゃいけないことだった。
そして僕は言葉を続ける。
楽しかった事を。

「ユイコ……君といて楽しかった。ふざけあいや笑いあって……本当に楽しかった」
「……ああ。有意義だった!」


864 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:38:50 ID:TlnelDBl



865 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:39:09 ID:9bFEPuFF
 

866 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:39:21 ID:crMpgMNh


867 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:39:54 ID:TlnelDBl



868 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:40:53 ID:TlnelDBl



869 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:41:09 ID:9bFEPuFF
 

870 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:41:12 ID:lvsb78eu
ユイコの手が震え始めた。
ああ、もう無理かな。

最後にひとつ。

「ユイコ……ありがとう。君ともっともっといたい」

バンともう片方の手で強く彼女のてを叩く。


「つぅ!? しまった……嫌だクリス君! あああああああ」


始まる浮遊感。

堕ちる僕。


空は変わらず土砂降りで。

何も見えない。

彼女の顔も。


ユイコ。

彼女の心を戻したい。

今でも。


871 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:41:41 ID:TlnelDBl



872 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:41:51 ID:lvsb78eu
今でも。

絶対に戻したい。

後悔だけが残る。


「ああああああああああああぁぁああああああああ」

そして悲鳴が聞こえる。

護れなかったかな僕は。
ああ、哀しいな。

僕は。

僕は。

なにをやってるのかな。

ユイコ。

ユイコを助けたい。


ああ雨がやまない。



873 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:41:54 ID:/1gcKT6q
 

874 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:42:14 ID:9bFEPuFF
 

875 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:42:27 ID:eg8jIPeY


876 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:42:43 ID:TlnelDBl



877 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:42:55 ID:lvsb78eu
ユイコをまだ救いたいと思う。

彼女の姿が見たい。

ああ

いつ

「雨が上がる?」




【クリス・ヴェルティン@シンフォニックレイン 死   】





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇









878 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:43:43 ID:TlnelDBl



879 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:44:09 ID:crMpgMNh


880 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:44:14 ID:9bFEPuFF
 

881 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:44:28 ID:TlnelDBl



882 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:44:37 ID:/1gcKT6q
 

883 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:45:12 ID:lvsb78eu
私にとって彼は何だったのだろうか。
分からない。
分からない。

でも不思議と何かがこみ上げていく気がする。

なんだろう?

これは


「あははは! 馬鹿ですね! あの男! 助けてしんじゃいましたよ!」

五月蝿い。

死。

クリス君は死んだのか?

そんな。

そんな。

「ああああああァァああああああ」

不思議と声がでる。

何故?

分からない。
分からない。


884 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:45:27 ID:TlnelDBl



885 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:45:48 ID:W+cFnK3D
 

886 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:46:18 ID:TlnelDBl



887 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:46:36 ID:lvsb78eu
「無駄死にですね……本当」

無駄死に?

クリス君が?

そんな訳がない。
そんな訳が。

ああ。

ああ。

あの女……!

ああ。

ああ。

頭が燃えそうだ。

そうか。

そうか。

これが

これが!


888 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:47:10 ID:9bFEPuFF
 

889 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:47:15 ID:TlnelDBl



890 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:47:25 ID:lvsb78eu
怒りか!

クリス君を馬鹿にした。
あいつに対して。

ふふ。

ふふ。

クリス君を失って。

得た。

ああ。

ああ。

いいだろう。

なら!

ぶつけてやろう!


ふっと顔を上げる。
目の前には笑う女。

私もふっと笑い

こう告げる。


891 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:47:51 ID:9bFEPuFF
 

892 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:48:00 ID:TlnelDBl



893 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:48:12 ID:W+cFnK3D
 

894 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:48:45 ID:TlnelDBl



895 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:48:59 ID:lvsb78eu
「……断罪してやろう!」

疾駆。
怒りをぶつける為に。

「なっ!? がふっ!?」
「……遅い」

まず腹に一発。
蹴りを。

「がっ!」
「……ふん」

そして蹴り飛ばした。
吹っ飛ぶ女。


「どうした……? こんなものか? 私の初めての怒りはまだ始まったばかりだぞ?」
「糞……!」
「……なにやらぶっそうやねえ。唯湖はん」

脇に現れた静留君。
碧君が無事かは今は聞かない。
ただ怒りを今はぶつけたいだけだ。
だから彼女にも言う。

「ああ……いい所にきた。静留君。こいつがクリス君を殺した……断罪したい。手伝え」
「……そうやの……ならころしあいにのってるんね……いいよ」

さあ。
まだ終わったわけじゃないぞ。

896 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:49:15 ID:eg8jIPeY


897 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:49:37 ID:9bFEPuFF
 

898 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:50:11 ID:TlnelDBl



899 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:50:46 ID:lvsb78eu
私の怒りは止まらない。

「……ちっ……この!」
「……甘い」

女は一発弾を放つが外れる。
そして女は逃げ出す。

2対1が不利と感じたのだろう。
だが逃がすものか。

私は彼女の背に銃を向ける。

あとはをひくだけ。

じゃあ


――ユイコ、哀しい連鎖だね――


つっ!?

ひけなかった。

声がした気がして。

その彼が言った連鎖が響いて。

そして女は姿をけした。
殺せなかった。
私は何をやっている?

900 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:50:50 ID:TlnelDBl



901 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:51:41 ID:TlnelDBl



902 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:51:43 ID:W+cFnK3D
 

903 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:52:20 ID:eg8jIPeY


904 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:52:22 ID:TlnelDBl



905 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:52:23 ID:lvsb78eu
そんな私に静留が声をかける。

「……唯湖はん……クリスはんは」
「ああ……私を護って死んだ」

そう継げた瞬間ペタンと地面に座る。
力が抜けた。

何だこの良くわらない気持ちは。

よくわからないもやもやが続いて。
なんなんだ?

「静留君……自分が分からない……なんなんだこの気持ちは……クリス君がいなくなって……から止まらないんだ……わたしにとってかれはなんだったんだろうな?」
「……大切な人やないの?」

え?
大切な人?

「だってないとるやないの? クリスはん失って」

あ。

泣いているのか?

私は?
彼を失って。

ああ。



906 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:53:06 ID:lvsb78eu
そうか

そうなのか。

私にとって大切な人にいつの間にか、なっていたというのか。

なら。

私は。

私は。


「あああああああああああああああ」
「……唯湖はん」

なんだろう?

涙が止まらないよ。

クリス君。


「……頑張りなさいよ……クリスはんを偲んで……見逃すわ」

そういって彼女は離れた。


残されたのは私一人だけ。



907 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:53:13 ID:TlnelDBl



908 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:53:24 ID:W+cFnK3D
 

909 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:53:35 ID:crMpgMNh


910 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:54:17 ID:lvsb78eu
ああ。

何だこの気持ちの波は。


わからない。

心がほしい。

もっと。

もっと。

この気持ちを理解したい。

でも。

でも。

理解するには大切なパーツがない。


たぶんそれは


――「ユイコ?」
  「……ああ! もういい! さっさと戻って演奏してくれ!」
  「ちょっとまってユイコ!」
  「ああ……もう!」――




911 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:54:30 ID:TlnelDBl



912 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:54:52 ID:9bFEPuFF
 

913 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:55:15 ID:TlnelDBl



914 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:55:23 ID:lvsb78eu
――「ユイコ……ありがとう。君ともっともっといたい」―



出会いと別れ。

懐かしさがこみ上げる。


クリス君。

私が人であるには君が足りないよ。


私は歩みを止めちゃいけないだろう。


それでも私は心を求めないといけないだろうから。
クリス君がいないけど望んだことだから。

だから行こう。


空は蒼いが。

滲む。

涙で。



915 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:55:41 ID:crMpgMNh


916 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:55:48 ID:lvsb78eu
ああ。

ああ。

あいたい。


クリス君。

心があると思いたくなかった。


今、君は何処にいる?

幻想かもしれないけど生きてる気がしたんだ。


へんな希望だけど。
願わずにはいられない。
縋りたいかも知れない。

だって人かもしれないから。

私は

だから

会いたい。

クリス君


917 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:56:21 ID:TlnelDBl



918 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:56:25 ID:crMpgMNh


919 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:56:28 ID:eg8jIPeY


920 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:56:33 ID:lvsb78eu
【D−6 川岸/一日目】
【来ヶ谷唯湖@リトルバスターズ!】
【装備】:、デザートイーグル50AE(6/7)@Phantom -PHANTOM OF INFERNO-
【所持品】:支給品一式、デザートイーグル50AEの予備マガジン×4
【状態】:脇腹に浅い傷(処置済み)
【思考・行動】
 基本:殺し合いに乗る気は皆無。面白いもの、興味惹かれるのを優先
 1:クリス君……どこにいる?
 2:ミドリの安否がきになる
 3:いつかパイプオルガンを完璧にひいてみたい
 4:リトルバスターズのメンバーも一応探す
【備考】
 ※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます
 ※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています
 ※静留と情報交換済み
 ※来ヶ谷は精神世界からの参戦です
 ※美希に僅かに違和感(決定的な疑念はありません)










921 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:56:42 ID:9bFEPuFF
 

922 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:57:00 ID:W+cFnK3D
 

923 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:57:32 ID:lvsb78eu
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇








ああ!

いらいらする!

なんだあいつは!


「ウザイ……!」

ただいらいらだけが募る。
これがあいつがいった哀しみの連鎖というものだろうか。
あの女がマジになったのは。

だけど。

それがどうしたというのだ。

「私はセンパイの仇がとれればそれでいい」

そう。それだけ。


924 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:57:52 ID:crMpgMNh


925 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:58:14 ID:9bFEPuFF
 

926 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:58:21 ID:eg8jIPeY


927 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:59:03 ID:lvsb78eu
だから考える必要などないのだ。

ん?
2人の人が。

行こう。

センパイの仇をとるために。

センパイしかいらないのだから。


【D-6 民家の前/1日目 日中】

【椰子なごみ@つよきす -Mighty Heart-】
【装備:S&W M37 エアーウェイト(3/5)、スタンガン】
【所持品:支給品一式、S&W M37 エアーウェイトの予備弾24
     コルト・パイソン(0/6)、357マグナム弾19】
【状態:軽度の肉体的疲労、右腕に深い切り傷(応急処置済み)、全身に細かい傷】
【思考・行動】
 基本方針:他の参加者を皆殺しにして、レオの仇を討つ
 0:目の前の男達を襲撃
 1:殺せる相手は生徒会メンバーであろうと排除する
 2:状況さえ許せば死者蘇生の話を利用して、他の参加者達を扇動する
 4:赤毛の男(士郎)とブレザー姿の女(唯湖)、日本刀を持った女(烏月)も殺す
 5:伊藤誠を殺してから、桂言葉を殺す
 6:出来るだけ早く強力な武器を奪い取る
 7:死者の復活は信じないようにするが、若干の期待
【備考】
※なごみルートからの参戦です。

928 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 01:59:18 ID:TlnelDBl



929 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 01:59:56 ID:lvsb78eu
※なごみルートからの参戦です。










◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇










「……なんか……すっきりせえへんなあ」

クリスはんが逝きおったらしい。
なんかざらつきがとまらへん。

必死に説得したくリスはんが……

「だから……どうしろといいますのん」

ああ、なんか訳わからへん。

930 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:00:01 ID:9bFEPuFF
 

931 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:00:10 ID:TlnelDBl



932 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:00:55 ID:TlnelDBl



933 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 02:01:13 ID:lvsb78eu
うちは何を期待してたといいますのん。
……わからへん。

せやからこそうちはうちがする事を。
……唯湖はんみたいにはなりたくない。
唯湖はんが未来のうちに見えてどこか恐ろしかった。
……感傷やな。

「……さて、なつき。なにをしておるんやろうか?」

空を見上げる。

ただ蒼くて。

その空に願う。

なつきの無事を。

【D−6 川岸/一日目 日中】


【藤乃静留@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備:殉逢(じゅんあい)、。コルト・ローマン(3/6)】
【所持品:支給品一式、虎竹刀@Fate/stay night[Realta Nua]、玖我なつきの下着コレクション@舞-HiME 運命の系統樹、木彫りのヒトデ1/64@CLANNAD】
【状態】疲労(中)、左手首に銃創(応急処置済み)、左の太股から出血(布で押さえていますが、血は出続けているが少量に)
【思考・行動】
 基本:なつきを探す なつきの為に殺し合いに乗る。
 0:なんかすっきりせえへん
 1:なつきの為に殺し合いに乗る、
 2:殺し合いに乗る事に迷い
 3:太股の傷を治療する為の道具を探す。
 4:なつきに関する情報を集める。

934 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:01:20 ID:9bFEPuFF
 

935 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:01:40 ID:eg8jIPeY


936 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:01:53 ID:W+cFnK3D
 

937 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:02:36 ID:TlnelDBl



938 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 02:02:41 ID:lvsb78eu
【備考】
 ※下着コレクションは使用可能です。
 ※理樹を女だと勘違いしてます。
 ※詳しい登場時系列は後続の書き手さんにお任せします。
 ※死者蘇生に関して否定。
 ※移動中です。移動先は後続の書き手さんにお任せします。




   ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





ただ。

空はくらかった。



雨が酷く降っていて。

彼の背中をぬらし続ける。


彼は岩にぶつかることなく川に流されていた。




939 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:03:03 ID:9bFEPuFF
 

940 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:03:04 ID:eg8jIPeY


941 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 02:03:27 ID:lvsb78eu
彼の心にあるのは後悔のみ。


大切かもしれない女の子を護れなかった。
救えなかった。

彼の思いと同様空は暗く。


彼と空が晴れるのはいつだろうか?

彼が彼女の心を癒すのはいつになるだろうか?


空は応えることなく。

ただ彼のことを見守った。


【クリス・ヴェルティン@シンフォニックレイン 生存確認】

【F−8 海岸/一日目 日中】
【クリス・ヴェルティン@シンフォニック=レイン】
【装備】:和服  アルのページ断片(ニトクリスの鏡)@機神咆哮デモンベイン
【所持品】:支給品一式、ピオーヴァ音楽学院の制服(ワイシャツ以外)@シンフォニック=レイン、 防弾チョッキ、フォルテール(リセ)
      ロイガー&ツァール@機神咆哮デモンベイン 刀子の巫女服@あやかしびと −幻妖異聞録−
【状態】:Piovaゲージ:95%、軽く湯冷め
【思考・行動】
 基本:無気力。能動的に行動しない。ちょっとだけ前向きに。
 0: 気絶中
 1:唯湖を救いたい。
 2:ユイコ……

942 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:03:41 ID:W+cFnK3D
 

943 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 02:03:54 ID:lvsb78eu
3:あの部屋に帰れるのだろうか
 4:トルタ、ファルは無事なんだろうか

【備考】
 ※雨など降っていません
 ※Piovaゲージ=鬱ゲージと読み替えてください
 ※増えるとクリスの体感する雨がひどくなります
 ※西洋風の街をピオーヴァに酷似していると思ってます
 ※巫女服が女性用の服だと気付いていません
 ※巫女服の腹部分に穴が開いています
 ※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています
 ※リセの死を乗り越えました。
 ※記憶半覚醒
 ※静留と情報交換済み
 ※唯湖が死んだと思ってます


944 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:04:19 ID:TlnelDBl



945 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:04:21 ID:9bFEPuFF
 

946 :sola ◆UcWYhusQhw :2008/06/04(水) 02:05:08 ID:lvsb78eu
投下終了しました。
誤字矛盾があったら指摘お願いします。

タイトルは「sola」
元ネタはアニメ「sola」から。


947 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:12:53 ID:TlnelDBl
投下お疲れ様です!
各々の心情と今までに積み重ねた人間関係が上手い具合に絡み合い、見ているだけでも面白かったです。
彼ら彼女らの今後の動向が非常に気になります。

クリス、覚醒しすぎに笑いましたw


948 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:18:14 ID:eg8jIPeY
投下乙&GJでした
クリスかっこいいwなんていうK1w
登場人物の心情がよく出ていました
ていうか碧先生ーーーーー南無w
前半のクリスと唯湖の髪梳きシーンが個人的にGOOD

949 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:18:38 ID:crMpgMNh
投下乙&GJ!です。
放送を経て、全員の心情等々がいい感じに表れ、また拗れてよい感じです。
散り散りになった彼、彼女らの次のシーンも気になりますし……GJでした。

クリスの覚醒は……まぁ、ちょっと気になるかもですw

950 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:18:50 ID:CQJ+GP7v
さて、まとめて感想を

>>週刊ギャルゲロワ
乙です
そのAAは反則だwwどこから持ってきたのか?
いや、作ったのか…ともかく乙でした!

>>CM氏
投下乙です
九郎のデモンベイン詠唱がマジでしびれるほどかっこ良かった!!
リアルで俺も詠唱してました!!

>>Uc氏
こちらも乙です。クリスが某マンガロワみたく
「死亡ォ〜〜? 死亡つったのか〜〜? 死亡だってェ〜〜?
じゃあ誰がこのクリス・ヴェルティンの代わりをやるんだっつーの」
って言って登場してくれれば面白…いや、なんでもないです
ところで、防弾チョッキが所持のままになってますが装備した方がよくないですか?

951 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 02:38:54 ID:W+cFnK3D
力作乙です

>>CMd1jz6iP2氏
途中で割り込んで申し訳ないです
裸王が土下座とか説教とか漢らしくて熱いです
誰かはやくマトモな服をあげてください・・・
尾花ちゃんが脱不幸アイテム化したのがちょっと嬉しい!
装備品として美希となつきで分裂しているのは要修正かと
あとユメイさんの一人称は「わたし」ですね

>>UcWYhusQhw氏
相変わらず静留は殺せてないですねw
碧先生、おめでとうございます
立った! 立った! 館長とのフラグが立ったよwww
死んだ……と思ったら死んでねぇえええ!?
クリスなかなかしぶといですねw
無傷なのがちょっと気になりました

952 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 18:35:14 ID:3D3nvfvG
>Uc氏
投下乙です
みwwwwどwwwりwwwせんwせいwwwwwwww
なんという大人かっぷ(ry
そして静留も、クリスも、姉御も、心情が深く掘り下げて描写されてて凄く良かったです
この三人の絡み、今後どう決着付くかマジで楽しみだ

953 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/04(水) 21:10:40 ID:kCNASMPy
次スレ立てました。

ギャルゲ・ロワイアル2nd 本スレッド11
ttp://game14.2ch.net/test/read.cgi/gal/1212580977/l50


954 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/05(木) 00:40:40 ID:MSFg7pRL
         / ̄\
        |     |
         \_/
          |
       /  ̄  ̄ \
     /  \ /  \
    /   ⌒   ⌒   \      よくぞ新スレを立ててくれた
    |    (__人__)     |      褒美としてギャルゲロワ2nd登場作品を買う権利をやる
    \    ` ⌒´    /   ☆
    /ヽ、--ー、__,-‐´ \─/
   / >   ヽ▼●▼<\  ||ー、.
  / ヽ、   \ i |。| |/  ヽ (ニ、`ヽ.
 .l   ヽ     l |。| | r-、y `ニ  ノ \
 l     |    |ー─ |  ̄ l   `~ヽ_ノ____
    / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ-'ヽ--'  / クラナド  /|
   .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/|    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| ______
/ ̄リトバス/|  ̄|__」/_スクデイ  /| ̄|__,」___    /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/つよきす ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄|/ シンフォ /|  / .|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/l ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| /
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|


955 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:03:42 ID:iNpky6VS
怪人は一つの目的を以って動く。

全ては黒須太一の為。

故に――――、

今だ使えるものは、何であろうと躊躇いなく使う。
切り捨てることに意味のあるものは、躊躇いなく切り捨てる。

……ならば。

切り捨てることに意味があるが、されどまだ使えるものはどう扱う?

簡単だ。
切り捨てるべき好機に自分自身の意思で切り捨てる、まさにその時まで。
せいぜい利用させてもらえばいい。


変電所。ライフラインの要。
……破壊すれば殺すべき対象の連携を断ち切るのは容易い。
だが反面、黒須太一が電力を要求する何某かを使用していた場合、彼に不具合を齎す怖れがある。
また、彼女自身にとっても何らかの形で有効利用可能な施設があるかもしれない。
例えば電子管制された監視装置などがあったとしよう、運用することが出来るならば彼女一人でも分散した場所にいる人間を監視できる。
首輪にカメラが付帯している以上はそれを監視する機構があるはずなのだ。
何らかの手段で介入できるなら御の字だ、と考える。
この「ゲーム」の主催陣がわざわざ用意した施設である以上、何処かにそんなシステムが構築されている可能性は充分だ。
ゲームの優勝であろうとその他の条件による脱出であろうと、そこには主催者の作為が絡んでいるのだから。

故に怪人は選択する。
遠隔操作可能な爆破装置を作成し、任意のタイミングでこの場所を破壊できるようにする。
……それまでは他者の介入による不意の事態を防ぐため、トラップによりこの場を防護すればいい。

956 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:04:43 ID:iNpky6VS
遠隔爆破装置、などといっても存外簡単に作成できる。
時限式の砂糖爆弾から携帯電話を利用した起爆装置まで、取りうる手段は様々だ。
この場には流石に材料はないが、どこかで調達すればいいだけの話である。
候補としてはそれなりの施設の見受けられる島の東側。
……遊園地などはショーの為の爆薬もあるだろうし、電波による遊具の管制も行き届いているだろう。
そうした爆薬や機械を調達すれば工作は容易だ。
必要なものを入手した後、ここに帰還して作業を完了すればよい。

だからこそ、不慮の人為的介入を防ぐ為にトラップを周囲に仕掛ける。
準備は万端だ、抜かりはない。
怪人はこの場に至った場合の人間の心理を全てシミュレートし、斧や工具を以ってありふれた道具を実に適切な罠へと変えていく。
それも恐るべき正確さと速さを併せ持って。
ごくごく普遍的な落とし穴、ただし底には無数の木槍。
専用に新たに組み上げたスリングとワイヤーを連動させたオートスナイプ。
シンナーを用いた簡易地雷。
そんなものを無数に設置し、変電所の周囲を完全なるキリングフィールドへと変貌させる。

準備は万端、はてさて後は遠隔爆破装置の材料を入手する為に東へ向かうのみ。


……そんな折だった。
怪人が、実に都合のいい撒き餌を見つけたのは。




957 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:04:43 ID:KMQHYMN0


958 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:05:43 ID:iNpky6VS
◇ ◇ ◇


(……尾けられてやがるな、フザけろよ)


最強の暗殺者、ファントム。
……そう呼ばれる自分を完全に追跡しつづける姿なき存在に舌打ちをしながらある種の感嘆も含んだ感情を抱くのは、金の髪持つ一人の女性。
ドライ。
彼女は人気のない歓楽街の中を縦横無尽に巡りつつ、その先へ向かおうと駆け抜けていた。
地下通路から出た折から自分の背後で息を潜め続ける何某かの存在を撒く為に。

……だが、彼女がそれを振り切ろうとしても気配はぴったりと付いて来る。
その力量に惜しみない賞賛を送りたいところだが、殺し合いという場においてはそんな悠長な事はしていられない。
排除しようにも先手を打たれて向こうだけがこちらを認識している以上、相手の力量を鑑みれば場所の特定に要する一瞬が命取りになりかねない。

これが万全の状態ならファントムたるドライは後手に回ることなどなかったろう。
だが、放送によりアインの死を知ることで、ツヴァイへの感情を掻き立てられて生じた僅かな動揺。
ファントムといえども人間、ドライにさえ毛先程もないとはいえ隙が生まれ出でてしまったのだ。

……起きたことを悔やんでも仕方ない。
ならば、今は目の前にある事実に対してどう対処すべきかを考えるべきだ。

ドライこと天才・キャルは思考する。

姿なき追跡者は何故自分を襲撃しない?
理由は単純、利用価値があるからだ。
では、その価値とは何か? 会話どころか独り言すら呟いていない今の自分から何を見出した?


959 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:06:44 ID:iNpky6VS
……身に染みこんだ暗殺者としての立ち振る舞い。
同業者あるいはそれに近しい者なら歩き方一つからその技術は窺うことができるだろう。
……追跡者は同類だ。故に、不要な消耗を回避する意味でも正面からの戦闘は望ましくない。
それは向こうにとっても同じだ。
自分ならば、仕留める場合には第三者との戦闘に割り込む形で介入するだろう。
餌。
要するに自分に期待されているのはそれだ。
クソッタレと心の中で毒づくも、意味がないので表に出すことはない。

……だが逆に言えば、利用価値を示し続ければ、追跡者は自分の味方をするだろうということだ。
自分は現状、単独行動。
この時点で徒党を組んでいないならば、よほどの運の悪さが無い限り殺し合いに乗っている可能性は高い。
そんな自分を敢えて追ってきて利用しようとするなら、追跡者もまた殺し合いに乗った者。
……そんな相手にとっては、今の自分ほど利用しやすい相手もいないだろう。
何せ放っておけば殺すべき対象を勝手に消してくれる上に単騎だ、複数の『殺し合いに乗っていない』連中を相手取るよりも監視しやすく対処も容易。

……だが、自分が都合のいい道具ならば、余程の窮地に陥らない限り使い絞ろうとするはずだ。
何度でも、何度でも。
ならば。
連携を取る事は期待できないだろうが、遠距離攻撃による援護はあり得るかもしれない。
また、交渉の際に姿なき第三者を示唆するだけでも効果はあるだろう。
要するに、切り札とまではいかなくとも自分にとってもいざという時のカードの一つにはなるはずである。
こちらもこちらで散々使い倒してボロ雑巾のように捨ててやればいい。

……では、そのためには何をすべきか。
相手を最大限に利用するるために、向こうのこちらへの評価を高めてやる必要がある。
……その為に、ドライは後ろを向かずにその場に止まった。

デイパックに手を入れ、一つの物体を取り出しながらまるでそれに話しかけるように呟きを洩らす。


960 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:07:45 ID:iNpky6VS
「噴射型離着陸単機、クドリャフカ。
 1エリアを10分とかからず移動できる代物とはいえ、悪いがお前の出番はしばらく無ぇだろうな。
 ……何せ、急いで動く必要性は無くなったみてぇだし」


――――言葉の効果は強烈。
不意に、背中にかかる圧力が別種のものに変化した。
今までが釣り糸を見る漁師の目線なら、今のものは猟犬を放った猟師のそれだ。

……追跡者はドライの僅かな台詞で彼女の思考を全て理解したようだ。
それがドライ自身にも伝わってくる。
ニヤリと口を歪めながら彼女は駆け回ることを止め、ゆっくりと歩みを再会した。


一見独り言のようなドライの言葉。
クドリャフカでこの場からすぐ逃げる事もできたが、それはしない。
……追跡者を利用するつもりだからだ、と、そういう意味を込められたものだった。

つまりそれはドライが追跡者の存在に気付き、その意図を正しく理解している事。
自分もその意図に乗って利用されてやるつもりだという事。
代わりに自分に利用されて、必要な時に援護しろという事。

それだけの内容をドライが対峙すらせずに示唆して見せた事は、追跡者にとって無視できない事実だ。
少なくとも相手に、ドライは多少なりとも協力的であることと、それだけの知恵が回ることをアピールする結果にはなる。
この殺し合いの場では協力者がいることには越したことはない、切れ者なら尚更だ。
殺し合いに乗った人間にとっては尚更貴重なものとなる。

……反面、自分は厄介な相手だということも印象付けることにはなってしまうだろう。
だが、それでも単なる餌よりは切れる協力者の方が相手にとって利用価値は高くなる。
それでいい。

961 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:08:26 ID:KMQHYMN0


962 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:09:39 ID:iNpky6VS
使える間は使う。邪魔になれば始末する。
実に明確な協定だ、それこそ間違えようのない位に。


結果――――、

たったの一言で、姿すら見ず、会話すらせずにドライは奇妙な信頼関係を会得することに成功した。
それも、言外に今までの事全てを悟り得るほどに能力の高い相手だ。
……双方共に頭も回るし技術も高い。それを互いに理解した上での薄氷の繋がり。
だがそれは利用しあうだけの関係であるが故に、互いの目的を妨げない限り、あるいは余程の足手纏いにならない限り続く鉄の鎖でもある。

ツヴァイ。
黒須太一。

言葉を交わすまでもなく、互いの洞察力のみで意思交換を行なえる程のスペックはしかし。
彼らという爆弾を抱えた事すら伝えることが適わない。

果たして彼女達の向かう先は何処か。
――――それは既に見えている。



963 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:10:05 ID:qx1bgRCy



964 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:10:39 ID:iNpky6VS
歓楽街を抜けた先に見えるのは大きな大きな観覧車。
かつてとある少女の一撃を食らったその様相など微塵も見せない佇まいに、ドライは一つの感想を抱く。
あれだけ目立つならば人も集まりやすく――――、
情報収集も容易ではないかと。
殺しやすいのではないかと。
彼が訪れる可能性すらあるのではないかと。


そして怪人と暗殺者は向かい行く。
希望の星の輝く遊園地へと。


遊園地へ、遊園地へ、遊園地へ――――!


◇ ◇ ◇


怪人は一人の強敵を思い浮かべる。
白き髪の討伐者を。



965 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:11:40 ID:iNpky6VS
◇ ◇ ◇


「……成程な。お前が佐倉の言っていた山辺……か」

――――遊園地の東端。
ひとまずの情報交換を終えた山辺美希と玖我なつきが出会ったのは、白髪の男性と凛とした少女の二人組というコンビだった。
直枝理樹の作戦に乗る気はさらさらないが、しかし、情報交換や今後の生き残りを考えれば人脈を作っておくに越した事はない。
そう考え、玖我には余計な事は話さずに『善良な一般女子学生』を演じることにした。
彼女を遊園地までの一時しのぎの護衛にして、星を使ったネットワークと人々の集まりがあることを告げ、そこに向かおうとした次第だ。

だが、その情報交換の過程で一つ厄介なことが判明した。

主催の目的や本当の参加者とやらより何より、ノートパソコン以外のパソコンの所在がそれだ。
前者も考える価値はあるかもしれないが今は保留する。
何せ、そんなものがあっては、ノートパソコンを破壊しても一時しのぎにしかならない。
いずれは詳細名簿を見られてしまうことだろう。
しかも玖我は、浅間サクヤが持っていたはずの詳細名簿まで保持している。
つまり、成すべき事は一つ。

玖我なつきからどうにかして詳細名簿を掠め取り、破壊する。

玖我なつきと出会えたのは、そういった意味で僥倖だろう。
とはいえ、お人好しではあってもこの女は自分の楯とするには色々な点で問題がある。
その点直枝理樹の作戦に乗っているならば、扱いやすい人間が多々集まるはずだ。
中にはもしかしたら実力者もいる可能性は捨てきれない。
とりあえずは遊園地に向かい、面々を見極めてコネクションを作っておけば後々役に立つこともあるだろう。

……そう考えていたのだが、一つ誤算があった。

「……貴方も、霧と会っていたんですか」

966 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:12:40 ID:iNpky6VS
九鬼耀鋼。
警戒していたのにもかかわらず目の前にいる男に捕まってしまったのは、明らかに計算外の事態だ。
とはいえ、事態は決して悪くはない。
……予想外ではあったが、九鬼はむしろ使える人間だ。
虎太郎から聞いていたとおり、連れの刀子も使い勝手が良さそうではある。
戦闘力はおそらく相当高い。
頭も回り、中々の人格者でありながら熱くなりすぎることもなさそうだ。
彼女の求める楯の条件としては中々申し分ない。
……とはいえ、やはり十全ではない。

九鬼は、要するにキレすぎるのだ。
……油断なく自分の言動の端々を吟味している。
これでは落ち着けない上、自分の求める完全なる保護を行なってくれることは望めない。
自分が邪魔になれば容赦なく切り捨てられる可能性は高いだろう。
……味方の内はいいが、敵に回ったときのリスクは計り知れない。

何より虎太郎の時と同様に、不意を突かれて先手を打たれるということ自体が望ましくないのだ。
可能ならばそれほどのスペックを持つ相手は始末したいが難しいだろう。
今の自分にできるのは彼にせいぜい友好的に媚びへつらい、敵対の意思はないと伝えるくらいだ。
……自分の安全を確保する為にも、主導権は常に握りたい。それもさりげなく。
もちろん九鬼に捕まった自分に油断があったとは思わない。
少なくとも今のやりとりでは玖我を喋らせず、自分だけに話させることには成功している。

「……なあ、正直どれを着るにせよ対して変わらない気がするのは、私だけか?」
「え、えーと……。そ、それでもウェディングドレスよりはマシだと思いますから」

その玖我は、今現在何故か場違いにもウェディングドレスを来たブレードハッピーとくっちゃべっている。
何やら玖我の持っていたステージ衣装とやらでドレスよりはもっとマシな服を探しているようだ。
呑気なものだ、と思い軽蔑するもおくびにも出しはしない。

それより問題は目の前の九鬼だ。

967 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:13:40 ID:iNpky6VS
「……支倉、曜子ともな」

……その言葉を聞き、美希は更に確信を深める。
あの支倉曜子と敵対し、生存している。
――――実に危険だ。

この状況下ではあの女は確実に太一を生存させる方向で動く。
まず殺人遊戯に乗っていると見て支障はあるまい。
そう確信した直後に、裏付けは九鬼自身の口から取ることができた。

「佐倉が警戒していただけあって中々のモノだったよ、支倉は。
 ……今何をやってるかは知らんが、隠密行動に徹されたら厄介だな」

決定。
……どうにかして、この男は始末せねばなるまい。
ならばどうすべきか。
……最も理想的なのは、自分と敵対しないままに、何らかの戦闘の最中にこの男が死ぬことだ。

その為に成すべきはたったの一つ。
自分が守られるべき対象であることをより強く印象付ける。
これは自分の安全を確保することに繋がるというのもあるが、それ以上の理由は勿論ある。


「……霧は、信じられないような化物に……殺されました」

……これでいい。
美希は淡々と、これまでの経緯を九鬼に伝えていく。
ついでに直枝理樹の作戦についても触れて情報交換や人脈のメリットを教えることも忘れない。
自分に同行する価値があると思わせればそれでいいのだ。
彼を連れて行けば直枝理樹たちへのアピールにもなるだろうし、より信頼を得ることが可能だろう。


968 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:14:31 ID:qx1bgRCy



969 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:14:40 ID:iNpky6VS
あとは、機会を待つだけだ。
襲来するのはあの化物でなくとも構わない、とにかく戦闘が起こればいい。
できればそんな事態が起こってほしくはないが、ここは殺し合いの真っ最中。
起こらない可能性のほうが遥かに低いだろう。
ならばその時を最大限に利用するまでである。

戦闘中に『流れ弾』や『誤射』――――、投げナイフでそう呼ぶのかは疑問だが――――、が原因でこの男が死んだとしよう。
それが『善良な一般女子学生』が『慣れない凶器』で『援護』しようとした結果なら誰も責める事はできないはずだ。
たとえ、『戦況がすでに自分たちの勝利だと確定した』タイミングであったとしても。



「……悪鬼か」

一通り語り終えた美希の言葉に、九鬼は思い当たるものが一つあった。
……かつての自分自身。
実際目で見なくては何ともいえないが、もしそうだとするならば放っておく訳にはいくまい。
聞けば彼女以外にも直枝とやらの仲間にはその悪鬼と相対したものが何人かいるという。
果たして生存者がどれだけ残ったかは不明だが、遊園地での会議に参加する意味はあるだろう。
同類相憐れむ。
……九鬼は自分自身に対する想いを込めて、鉄乙女を抹殺せねばならないのだ。

それに、双七やアル・アジフ達の情報も得られるかもしれない。
放送でひとまずの生存を知り、似合わぬ安堵の息を漏らしたのは喜ばしいことではあった。
だが、いると見込んだその場所に彼女らの姿はない。
当然の事ながら双七も今は何処か知る由もなく、九鬼と刀子は周囲の探索に努めざるを得なかった。
とはいえ、ようやくこの山辺美希と玖我なつきをみつけたくらいだ。
何処に行ったものかまったく検討もつかず、今後も探し続けることになるだろう。
……ならば、人海戦術を取るにしても人手は多い方がいい。
後々どうなるかという点においても人脈は築いておくべきだろう。


970 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:14:48 ID:KMQHYMN0


971 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:15:40 ID:iNpky6VS
尤も、疑問は残る。
仮に鉄乙女という存在が悪鬼に成り得たとして、果たして数時間前まではまともな人間だった少女がそこまで短時間で変貌しうるのか?
復讐に身を焦がされ、何処までも堕ちていった九鬼だからこそ分かる。
あれは、そこまで生易しいものではないと。

何か原因があるはずだ。
死人を蘇生させ、世界を超えて人を集め、自分たちの力に制限を課す主催者達。
……もしかしたら、悪鬼化を促進させる何かの仕掛けが施されていたとしてもおかしくはない。

ただでさえ憎しみの生まれやすい殺し合いという状況下。
それを用いて悪鬼化を推し進めることが出来るなら、これほど混乱を生み出すのに容易な手段はあるまい。
自分の様な只人であろうと人妖を超える力を与え、その力を以って世界を壊す。
……まさしくそこにあるのは混沌だ。

九鬼は考える。
主催陣、正確には言峰と神埼の目的は、そこにあるのではないかと。
――――混乱。
それが表に出ている主催者の役割だ。

思えば最初から、彼らは自身をゲームの駒と言っていた。
死者蘇生の可能性や内通者の示唆、動揺を狙う発言に食事による挑発。
あたかも参加者が本当に優勝するかどうかは二の次のような言葉は、全てが会場内の混沌を促進させる為のものだ。

……だとするならば、優勝そのものは本当の目的ではないのかもしれない。
繰り返されるゲーム、その過程にこそ意味がある。
……あるいは過程にすら意味がなく、ゲームだとするなら何か別の『プレイヤー』がいるのかもしれない。

だが、それがどうした。
主催陣が駒でしかないのなら、その奥の誰彼を叩き潰すまで。


972 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:16:38 ID:Kn2wxJkh
 

973 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:17:36 ID:iNpky6VS
自分の成すべき事を認める意志は更に強固に。
死人の蘇生。悪鬼化の促進。
――――本当の主催への断罪は、必ず成し遂げねばならない。

このゲームは存在が侮辱そのものだ。
自分に対するあらゆる面での。

故に――――、

その一歩として、直枝理樹に会うとしよう。
全てはそれからだ。
彼の意思、彼の目指す物、彼の受け継いだ物。
それを見極め、必要とあらば力を貸す。

不安要素は確かにある。話を聞く限りまだまだ青い。
目の前にいる山辺美希も、言動からしてその端々が実に『どうとでも取れる』言い回しなのだ。
嘘はついていないという見通しはおそらく正しいはず。
だが、九鬼にとって必要な全てを語っているかどうかは……と、まさにその境界上を突く情報しか口にしていない。
九鬼ほどの洞察力がなければまず気付かないだろう。猛者揃いのこの会場内でも居ても数人というレベルだ。
……無意識か計算かは分からないが、油断は禁物だろう。

信頼しきる事はできず、罠の可能性もある。
……だが虎穴に入らずんば虎児を得ず。
今は攻める時であり、武器を手にする好機であるだろう。

……直枝理樹。
口の中で唱えるその名に何かを見出しながら、九鬼は一つの決断を美希に伝える。

「……向かうか、直枝の所に」



974 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:18:32 ID:Kn2wxJkh
 

975 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:18:32 ID:qx1bgRCy



976 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:18:36 ID:iNpky6VS
――――その会話を、誰に知られるでもなく聞き届けるものが居た。

伏臥する愁厳の意思は妹と玖我なつきの姦しいやりとりを背景に、九鬼の言葉を噛み締める。

既に覚醒した頭で思うのは、山辺美希との再会だ。

彼女の言う鉄乙女という名の悪鬼。

彼女を悪鬼たらしめたの原因は十中八九自分だろう。

……不甲斐ない、と心から思う。

大切なものがいるのは自分だけではない、そう分かっているつもりだった。

それでもなお、修羅の道を進むつもりだった。

だが、人を悪鬼にすら変えるほどの強い感情。

……あの少女がそうである事までには思い至らなかった。

結果として妹の命を脅かす大敵を一人増やし、山辺美希を初めとする多くの者へ悲しみを与える結果となった。

鉄乙女自身にも、悲惨な修羅の道を歩ませる事となった。

ならばそれを断ち切るべきは自分を置いて他にない。

道を誤ったことを悔いはしない。

それは自分の斬り捨ててきた全てのものへの侮辱であり、また、後悔に捕らわれることも許されないからだ。

……最早正しき道を歩めずとも、せめて、その道を歩む者たちに安息を。

977 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:19:36 ID:iNpky6VS
外道が正道を脅かそうとするのなら、その前に外道が片付ければそれで済む。

贖罪の為でなく、双七の為、仲間の為、何より妹の為に。

だから、もし次に自分が表に出ることがあるのなら。


……今度こそ。
今度こそ自分は正しく間違おう。

外道は外道として、外道を以って外道を討つ。

今こそ言おう。
一乃谷愁厳は悪役を任ずる、と。

さあ進撃せよ、全ての正道者の為に外道が往くぞ。

己以外の全ての外道を駆逐し撃破し粉砕し、そして殲滅する為に―――――――


そして討伐者と正道外道、銃師と隠者は向かい行く。
希望の星の輝く遊園地へと。


遊園地へ、遊園地へ、遊園地へ――――!


◇ ◇ ◇

保身に長けし隠者は警戒を、正しき外道は悔いを彼女に見出す。
愛に狂った鬼神のイマを。


978 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:20:37 ID:iNpky6VS
◇ ◇ ◇


何も分からず、ただ、自分の幸せは確かにここにあるはずなのに、とそれを確認しつつ。


深い深い森の中。
取り残された廃屋で。
どうしようかと彼女は考える。

とにかく何かが食べたくて、うろついていた時に見つけた一つの小屋。
そこにはとってもありがたいことに柔らかくて美味しそうなお肉が落っこちていたのだ。
ご丁寧にも既にシメてあったため、手間が省けたというのはとても嬉しい。

料理が不得意なのは自分でも残念に思うけど、それでもいいお肉はやっぱり美味しいと思う。
お肉というのは実はシメた直後よりも死後数時間から数日経って、死後硬直が溶けたころが一番食べごろなのだ。
アミノ酸が分解されて旨み成分が一番多くなる。
それでは何を食べようかと考えたけど、選択肢は僅かしかない。
どうにか作れるおにぎりを作ろうと思ったけどお米がない。
しかたないので、レバ刺しで我慢することにした。
とりあえずは他の部位も食べようかと考えたけど、さっき食べた凄く美味しい狐でそれなりにお腹いっぱいになったぶん別にいいと思う。

体の活力を回復させるのには、今は量より質、食べ放題よりも美食なのだ。
牛でも極上のカルビはほんの僅かしか取れないのだし、たまには贅沢もいいだろう。
という訳で、一番美味しい内臓だけを食べる。
食べながら、考える。
自分の感情を、あの言葉を、愛しい愛しい男の事を。


979 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:21:37 ID:iNpky6VS
先刻のやりとり。
自分の全てが否定されたようで、それがとても哀しくて、どこかだけが嬉しくて。
……考え続けても答えは出ず、いつしか彼女は浅い眠りについていた。


夢を見た気がする。
愛しい男が、腹を切り裂かれて中身を洩らす夢を。


そして、目覚めてみれば何より先に口に出たのは、

「……お腹、空いた」

そんな――――、煮詰まった思考の先にあるものとは全く関係のない単なる生理現象だった。
考えるのにも体力は消費される。
脳の糖分の消費は体全体の平均の5倍の速度であるらしい。
ずっと考え込んでいたのだから空腹になるのも当然だろう。
傷も完全に癒やした分、さっき食べた分ですらはもうあまりお腹の中にない。

……これから先どうするか。
分からないことを分かるようにする為にどうするか。

何にせよ今必要なのは、考える為の糖分だけでも補給しなければいけないということだ。

すぐ側に転がっている柔らかいお肉は美味しかったけど、もう内蔵は全部食べつくしてしまった。
量よりも美食を極めたいお年頃な自分にとってはもう用済みだ。

ふと、南の方からたくさんのおやつのニオイがする。
もうすぐ3時だし、ティーパーティーでもあるのだろうか。
そこに行けば新鮮な××もたくさん手に入るかもしれない。


980 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:21:44 ID:KMQHYMN0


981 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:21:51 ID:Kn2wxJkh
 

982 :ヴぁんぷ! ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:22:37 ID:iNpky6VS
とにかく、行くだけ行ってみよう。
何をすべきかは食べてから判断すればいい。


彼女は立ち上がり、歩みを止めない。止まらない。
たくさんのおやつの用意されたパーティー会場。
楽しげなその場所をぼんやりと見据えながら。
……先程逃した食材も、きっとそこにあるのだろうと。


そして鬼神は向かい行く。
希望の星の輝く遊園地へと。


遊園地へ、遊園地へ、遊園地へ――――!


◇ ◇ ◇

鬼神は只唯夢想する。
憐れな勇者を美味しく頂く食事時を。


983 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:22:47 ID:qx1bgRCy



984 :世界の中心、直枝さん ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:23:37 ID:iNpky6VS
◇ ◇ ◇

大十字九郎とユメイは、誰ひとり居なくなった喫茶店の中でしばし体を休めていた。
本来ならば直枝理樹達が居るはずで、ここにくれば合流できるはず。
そう考えていた彼らにとって、一人すら姿が見当たらない、という事態は一瞬だけ嫌な予感に見舞われはしたのだが。

「……俺達が帰ってくんのを信じてる、か」

――――九郎が今手に持つ一枚のメモ書き。
そこに記された言葉で一先ずの安息を得たため、水分補給や食事を行い僅かでも体力を回復させることにした次第だ。

記された内容は至極単純。
葛木という人物達や山辺美希との合流を考えて、早めに遊園地に向かう――――という事だった。
気がつけばもうすぐ3時。
りのの足の負傷で移動速度が低下している事を考えれば、約束に間に合わせる為にはこの場で待つことは出来なかったのだろう。
そのことに対して文句を言う気は全くない。
文面からは、自分たちが帰ってくるということを信じている、という事が伝わってくる。
断腸の理樹の想いは今この場でもありありと思い浮かべることが出来た。

幸い自分達は足には負傷していない為、移動に関しては問題ない。
少し休んで軽く手当てをしても、3時までに遊園地に辿り着き彼らに追いつく事は可能だろう。

……尤も、手当てといっても応急処置程度だ。
エクスカリバーの鞘、アヴァロン。
それが完璧ならば治療は問題なく行なえるのだが、如何せん感じられる魔力量が至極少なくなってしまっている。
九郎の持つ宝石を使えばもしかしたら再度治癒能力を復活させることが出来るかもしれないが、幾つ使えば復活するのかも検討がつかない以上迂闊には使えない。
……使うならば、誰かが致命傷を負ったその時だろう。
九郎もユメイも消耗しているとはいえ、とりあえず普通の手当てで動き回ることが出来るレベルだ。
宝石の魔力は攻撃にも使えるために今使うべきではないだろう。


985 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:23:38 ID:Kn2wxJkh
 

986 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:23:42 ID:qx1bgRCy



987 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:24:33 ID:Kn2wxJkh
 

988 :世界の中心、直枝さん ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:24:37 ID:iNpky6VS
九郎はこれからどうするか、を考える。
勿論遊園地に3時に間に合うように向かうのは確定、問題はその後だ。
情報と支給品の交換を目的とした会議、そこでどれだけの情報を得られるか。
……不慮の事態が起こらない限り、得られた情報で決まる事は多いだろう。
神宮寺奏、彼女が予定時間に来なかった事も気にかかる。
放送後に死亡していない限りはまだ生きているはずだが、何か不慮の事態があったのだろうか。

……死なせたく、ない。
だからこそ彼女の情報を得られるかもしれない会議には出なければならないだろう。

そして、その場では自分も加藤虎太郎の死を伝えねばなるまい。

「……おっちゃん」

瞳から熱い物が零れそうになり、机の上の握った手はカタカタと震えを隠しきれない。
何かが堪えきれなくなりそうだったが、不意に小さな手が自分の拳に重ねられる。
見れば、ユメイがこちらを見つめたまま無言でこくりと頷いた。

……そうだ、自分たちは立ち止まっている暇はない。
各々の目的を果たし、この巫山戯たゲームを壊す。
ポケットの上から虎太郎の眼鏡に触れ、決意と共に先程と同じ言葉を紡ぎだす。


「俺達は未だ止まれない。行こう――お互いの目的を果たしに」

一息で目の前の紅茶を飲み干して、ユメイの同意を確認。
立ち上がり、ベルの音と共に店を後にする。


989 :世界の中心、直枝さん ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:25:42 ID:iNpky6VS
の後姿を目で追いながら、ユメイも硬く決意する。
……羽藤桂。
彼女もまだ生きている。
理樹の作戦に協力すれば、もしかしなくても情報が手に入る可能性は高い。
それを信じて彼女も手と手を皆と取り合う。

……尤も、懸念は0ではない。
先刻交戦した鬼の少女、そして。

「……あの仮面の人とかが、襲ってこなければ良いのだけど……」

何を考えているのか分からない正体不明存在。
虎太郎はもしかしたら危険ではないかもしれないと言っていたが、動向次第……、例えば奇襲などされれば敵に回るだろう。
勿論皆が集まる場では対処はよりしやすいかもしれない。
だが、逆に言えば皆を危険に曝す事にもなり、混乱を煽る可能性も充分だ。
……果たして。

できれば、何事もなく会議が終わればいいと願いながら、小走りで九郎に追いつき肩を並べる。
と、それを果たした瞬間九郎は不意に口を開いた。

「……また、あの鬼が襲い掛かってきやがったら。
 今度こそ俺が倒す。倒してみせる。……おっちゃんに託された、この手で」

自分の掌を見つめ、ぎゅっと握りこむ九郎。

そうか、とユメイは悟る。

鬼の少女。
対象は違うとはいえ、九郎も会議が襲撃される怖れを抱いているのだ。


990 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:25:45 ID:Kn2wxJkh
 

991 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:26:27 ID:Kn2wxJkh
 

992 :世界の中心、直枝さん ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:26:42 ID:iNpky6VS
……ならばどうするか。それを九郎は示してみせている。
決まっている。
この手で皆を守り、倒すのだ。
例え相手がどれだけ強大な相手であろうとも。

答えは簡単、しかしそれを成す為には何かが必要だ。
大十字九郎にその何かを見てユメイは苦笑する。
……彼のような人をこそ、正義の味方と呼ぶのだろうと。

自分もそんな存在になれるだろうかと僅かな憧れを抱きながら、ユメイは無言で歩みを進める。
九郎の目線を追えば、その先にあるのはここからでも分かる大観覧車。
かつて自分と仮面の男が一戦相見えたその場所だ。


そして勇者と蝶は向かい行く。
希望の星の輝く遊園地へと。


遊園地へ、遊園地へ、遊園地へ――――!


◇ ◇ ◇

勇者と蝶は決意する。
見据えた鬼神と奇怪な漢、そして大切な人たちを脅かすあらゆる者を守りきってみせると。


993 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:27:34 ID:Kn2wxJkh
 

994 :世界の中心、直枝さん ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:27:47 ID:iNpky6VS
◇ ◇ ◇


「……駄目、見つからないよ……。
 入れ違ったのかな、クリス君たちは何処に行ったんだろう」

簡単な治療のあと、温泉宿の周囲にてしばしの捜索を行なうも結果は無しの礫。
杉浦碧と橘平蔵は、ならばどうすべきかと意見を交わす。

「……ふむ、この辺りからは離れたのかも知れぬな。
 だとするならば、後は人の口を介して調べる他はあるまい」

必然、自分たちの足で見つからないのなら誰かに話を聞くしかない。
とはいえ、その肝心の人が見つからなければどうしようもないのだ。

「人、と言っても……。そう都合よくいるかな。
 さっきの捜索でも一度も会わなかったよ? 誰ともさ……、はぁ」

溜息と共に素直に口に出す碧に対し、しかし平蔵はにやりと口端を歪めてみせる。
まだ、策は残っている。
彼にとってこの場に連れて来られて初めてまともに会話を交わした相手。
彼自身の見込んだ少年、いや、漢と会う約束の刻限が近づいてきているからだ。

「……案ずることはない。儂に一つ、人と会う伝手がある。
 そこならば彼らだけでなく、鉄や山辺という少女の情報を得られるやもしれん」

「……え?」



「――――凄いね、その理樹君って子。
 確かにそれなら……、上手く行けばかなり色々な情報を得られるかもしれない」

995 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:28:09 ID:KMQHYMN0


996 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:28:15 ID:Kn2wxJkh
 

997 :世界の中心、直枝さん ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:28:51 ID:iNpky6VS
平蔵から直枝理樹、という少年の話を聞いて、素直に浮かんだ言葉は賞賛だった。
具体的な脱出の為の方策、そして情報や支給品の交換会。
正義の味方として動くなら彼の協力はぜひ欲しいし、彼を守り抜くことこそ正義の味方として為すべき事だ。
だから、勿論彼に会うのにやぶさかではない。
やぶさかではないのだが――――、

「見た目こそ童女のようではあったが、あ奴こそまさしく日本男児の心を引き継ぐものよ!
 ……そして時間は3時に近づいておる。丁度、直枝が遊園地に集まると告げた時間である」

……時間の問題が、少し気になる。
流石にこの温泉宿から遊園地に向かうとしたら、それなりに時間がかかるだろう。
3時までに辿り着けるのだろうか。

「……ちょっと、遠くないかな。急いでいっても間に合うかどうか……」

溜息を吐きそうになる。
だが、しかし。


「ワッハッハッハッハ、気にするな、この橘平蔵に任せておけ!」

それを一息で笑い捨てる男がここにいる。
不可能を可能にすることなど朝飯前のこの男が。

「……? どうするの?」

「何、しばしそこで待っておれ」

そう言うなり何やらごそごそとデイパックを漁り始める平蔵。
何か少し嫌な予感がするも、碧にはとりあえず頷くことしかできない。

「う、うん……」

998 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 20:29:41 ID:Kn2wxJkh
 

999 : ◆wYjszMXgAo :2008/06/15(日) 20:30:01 ID:iNpky6VS
話のつながりを考えて、これ以降は11スレに投下させていただきます


1000 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/15(日) 22:06:28 ID:LZSI0zTL
うめ

1001 :1001:Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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